渋兄生。〜しぶりんの兄が好き勝手やりすぎるはなし〜   作:秋ボーロ

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お待たせしました、ようやく本編です。


十九:新米P、力戦奮闘。(2)

 

 

 

 

 ――そこには、バスタオルを体に巻いただけの姿の、凛がいた。

 

「…………」

「…………」

 

 

 時間が止まる。

 

 凛は、突然現れた俺に驚いて身動きすら取れていない。

 かくいう俺も、何がどうなっているのかさっぱり分からない。

 

 未だに頭から酒精が抜けきっていないからか、目の前も白く霞がかった靄が邪魔してよく見えない。

 

 よくよく目を凝らしてみてみると、それは靄ではなく湯気だった。

 風呂場の戸は開いており、そこから湯気が洩れているのだった。

 

 そして目を凝らしたことで、見ていなかったモノが良く見えるようになった。

 

 それは、花と犬が可愛らしくデザインされているバスタオルに包まれた、凛の細く華奢な体。

 

 まだ上がってからそれほどの時間が経っていないのか、頬は熱によって紅潮していた。

 

 しっかり体を拭き切っていなかったのか、あるいは後から湯気で付着したのか、腕の表面にはうっすらと水滴が浮かんでいる。

 

 髪の毛は長さゆえにそもそも拭く気が無かったようで、じっとりと濡れたままである。

 

 艶めかしい漆黒の輝きの束は肩から胸元に流されており、普段隠されていて透き通るように白い項が露出して露わに光を反射している。

 

 どうも髪でも整えていたのか、何処までも深く吸い込まれていきそうな黒を、生命力溢れる瑞々しい右の五指がくしゃりと掻き上げている。

 

 そして、落ちないようにしっかりと巻かれたバスタオルのせいで、形が歪められた、包容力の象徴であるおっぱい。

 

 大きさは然程でもないが、その分バスタオル越しでも分かるほどの形の良さと、髪の毛から透けて見える白磁のように光り輝く膨らみがそこに確かな母性を息づかせていた。

 

 

 ここまでの約三秒間。

 

 

 俺の脳内は網膜から入ってくる情報に処理が追いつかず、思考回路が焼切れそうになっていた。

 

 

 やがて、俺の出来の悪いおつむが下した判断は一つ。

 

 

 

(……ああ、夢だ。コレ)

 

 

 

 夢オチ説だった。

 

 ちょっと考えればすぐに分かることだ。

 

 そもそも童貞ヒキニート上がりの新社会人一年目の俺がどこぞのラッキースケベ主人公みたく安易なエロイベントを量産できるはずもない。

 

 そういうのが出来るのは神に愛された極一部の草食系男子だけなのだ。

 

 俺は神に愛されてもいないし絶食系男子(物理)なのでお風呂で美少女の裸に遭遇してドキッなんて起こりうる訳が無かった。

 

 しかし、本当に嫌になるほどリアルな夢だ。

 

 確かに疲れている時は現実に近しい夢を見やすいとは言うが、それにしてもリアルな夢だ。

 

 夢から覚めた夢というのも初めて見る。

 夢から覚めたと思って安心していたらそれも夢だった的なサムシング。聞いたことはあったが、自分が体験するのは初めてだった。

 

 まあ、いい。

 今はそんなことどうでもいい。重要なことじゃない。

 

 問題はこれが夢であるということ。

 

 

 つまり何をやってもいい。

 

 

「……ちょ、ちょっと、何――ぁっ!?」

 

 

 俺は取り敢えず手を伸ばして凛の胸を揉んでみた。

 

 まずバスタオル越しに。

 ふかふかの手触りが指に伝わる。

 

 次いで力を軽く加える。

 押し返してくる。

 

 更に力を加えると沈み込むような感触。

 少し力を抜くだけで簡単に押し戻された。

 

 想像よりも弾力に富んでいる。

 小さいからか。

 小さいからなのか。

 

 それにしても不思議な触り心地だ。今まで体験したことのないタイプの柔らかさである。

 

 

 直で触ったらどうなるんだろう。

 

 

「やめっ、んっ、やっ、ぇ、ひぁっ!」」

 

 

 今度はバスタオルの中に手を入れて直接揉んでみる。

 

 思った通りの滑らかさ。絹の布よりもさらにきめ細やかな布を触っているような手触りだった。

 

 それに暖かい。

 確かに生きている実感の湧いてくる暖かさだ。

 

 そのまま指に力を入れてみると、いともたやすく形が歪む。

 力を入れれば入れるほど柔らかく、そして押し返してくる。

 それだけで、俺の胸の奥からなにか幸せの粒子が溢れだしてくるようだった。

 

 満たされ、癒される。

 そんな気持ちになる。

 

 その気持ちが、もっと揉めと俺の中のもう一人の俺に囁きかける。

 

 衝動に抗うことなく。

 

 ただひたすら。

 

 もみもみ、もみもみ。

 

 

 

 やがて掌に硬い小さな粒のようなモノが当たり始めた。

 

 心なしか揉み始めた時よりも膨らみが全体的に膨張してきているような気がする。

 

 俺は一度手を離して自己主張を始めた肉芽をそっと摘むように触ろうとして――

 

 

 

「――やめろって、言ってんのッ!」

「――ぶらくしゃぁっ!?」

 

 

 

 唐突に内回し蹴りをこめかみに叩き込まれた。

 

 目にも止まらぬ速さで凛が飛びながら回転し、踵を的確にぶち込む。

 ごしゃり、というおおよそ人体が出してはいけない音と共に、俺は勢いよく床に激突する。二重のダメージ。

 

 一気に意識が覚醒するが、それと同時に別の要因により朦朧としはじめる。

 

 急速に闇に閉ざされていく視界に、最後に映ったのは、激しい運動のはずみで宙に浮いたバスタオル。

 

 

 それと、腕やらタオルやらで巧妙に大事な所だけが隠された凛の裸だけだった。

 

 

 

(――ああ、やっぱり、自宅の床って最高だなぁ……)

 

 

 

 そんなことを、沈みゆく意識の中でふと思った。

 

 

 

 

 

 ★

 

 

 

 

 

 目が覚めると、俺は制服のままで自宅のベッドの上に寝かされていた。

 眩い朝の光が、カーテンの開け放たれた窓から入ってくる。

 

 体を起こそうとすると、なんだか妙に頭が痛かった。

 二日酔いだろうか。

 

 初めてなのでよく分からないが、二日酔いってこんなもんなんだろうか。

 

 なんだか頭の芯の方から鋭いような鈍いような痛みがじんわりと昇ってきて、控え目に言ってめちゃんこ痛い。

 

 ……二日酔いってこんな痛むもんなんだ。

 

 アルコールによる頭痛は脱水症状によるものと聞くが、脱水って本当に怖いんだね。身をもって知ったわ。

 

 

 なんとか体を起こし、昨夜に比べると多少しっかりした足取りで居間に向かう。

 

 

「……あ」

「……おう、おはよう」

 

 

 居間では、既に凛がトーストを齧っていた。

 

 壁掛け時計を見てみると、まだ日の出からそう時間が経っていない。

 

 随分早いな。いや、俺も同じ時間に起きてるんだけど。

 

 凛は俺を見ると、何故だか下を向いた。

 

 

「……どした、腹でも痛いんか?」

「……う、ううん、何でも……」

 

 

 訊いてみると、なんだかごにょごにょと言うばかりではっきりしない。

 何かあったのだろうか。

 

 もしかしてアレだろうか。アレ。

 近頃の女の子のアレはキツイと言うし、たぶんそうだろう。

 

 アレがなんなのか全くわからないけど。

 

 

「ね、ねぇ……」

「ん?」

「昨日のこと、覚えてる……?」

「昨日? 昨日っつーと、多田さんと前川さんと食事に言って、楓さんと川島さんに会って、帰ってきてそれから……あれ、そっからどうしたっけ」

 

 

 痛む頭を押さえながら昨日のことを思い出そうとするも、全く思い出せない。

 

 制服のまま寝てたことを考えると、多分帰ってきてすぐに寝落ちしたんだろう。

 

 しかし、それでは凛が言っている昨日のこととは何なのだろうか。

 

 

「ホントに、覚えてないの?」

「えっ、あ、うん、覚えてない、よ? 多分……?」

 

「……そう」

 

 凛が何のことを言っているのかはさっぱり分からないが、思い当たる節がないということは多分忘れたんだろう。

 

 とは言っても確信は無いので、曖昧に返事をする。

 

 すると、凛はほっとした様子を見せた。

 

 

「なんだよ、昨日なんかあったのか?」

「……うっさい、バカ」

「えぇ……」

「そ、それより、早くシャワー浴びてきなよ。今日も仕事なんでしょ?」

「お、おう……」

 

 

 何処か不自然な凛に急かされる。

 大事な何かを忘れているような、そんな違和感を抱えたまま、俺は風呂場に向かうのだった。

 

 

 

 




疲れた……。
いや難産でした。
何度も胸の描写書き直してようやっとここまで辿り着きました。
クォリティ低いって?

すいませんねぇこちとら童貞で処女だよ生まれてこの方揉んだことも揉まれたこともねぇよ揉もうとしてぶん殴られたことならあるけどね!

大体そんな感じです。
お楽しみ頂けていれば良いのですが。

次回からはまたいつもの毒にも薬にもならないギャグテイスト(笑)です。
多分。
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