なんでもありな人間も問題児と共に異世界にくるそうですよ?   作:ゆっくりキリト

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第十二話だそうですよ?

「「「………なっ………!?」」」

 

「これは………」

 

「へえ………やっぱり………」

 

 

 

余りの異常さに、十六夜達は同時に息を呑んだ。

死鬼は余り驚いていなかったが。

 

箱庭に招待された時とはまるで違うその感覚は、もはや言葉で表現出来る御技ではない。

遠く薄明の空にある星は只一つ。緩やかに世界を水平に廻る、白い太陽のみ。

まるで星を一つ、世界を一つ創り出したかのような奇跡の顕現。

唖然と立ち竦む問題児組に、今一度、白夜叉は問いかける。

 

 

 

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は“白き夜の魔王”―――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんし等が望むのは、試練への“挑戦”か?それとも対等な“決闘”か?」

 

 

 

魔王・白夜叉。少女の笑みとは思えぬ凄味に、再度息を呑む問題児組。

“星霊”とは、惑星級以上の星に存在する主精霊を指す。妖精や鬼・悪魔などの概念の最上級種であり、同時にギフトを”与える側”の存在でもある。

十六夜は背中に心地いい冷や汗を感じ取りながら、白夜叉を睨んで笑う。

 

 

 

「水平に廻る太陽と………そうか、『白夜』と『夜叉』。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現してるってことか」

 

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私がもつゲーム盤の一つだ。まあ、私の正体はそこの赤い小僧には既に見破られていたがの」

 

 

 

白夜叉が両手を広げると、地平線の彼方の雲海が瞬く間に裂け、薄明の太陽が晒される。

“白夜”の星霊。白夜とは、フィンランドやノルウェーといった特定の経緯に位置する北欧諸国などで見られる、太陽が沈まない現象である。

そして“夜叉”とは、水と大地の神霊を指し示すと同時に、悪神としての側面を持つ鬼神。

数多の修羅神仏が集うこの箱庭で、最強種と名高い“星霊”にして“神霊”。

彼女はまさに、箱庭の代表ともいえるほど―――強大な“魔王”だった。

 

 

 

「これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤………!?」

 

「如何にも。して、おんし等の返答は?“挑戦”であるならば、手慰み程度に遊んでやる。―――だがしかし“決闘”を望むなら話は別。魔王として、命と誇りの限り闘おうではないか」

 

「………………っ」

 

 

 

飛鳥と耀、そして自信家の十六夜でさえ即答できずに返事を躊躇った。

白夜叉が如何なるギフトを持つかは定かではない。だが勝ち目がないことだけは一目瞭然だ。しかし自分達が売った喧嘩を、このような形で取り下げるにはプライドが邪魔した。

しばしの静寂の後―――諦めたように笑う十六夜が、ゆっくりと挙手し、

 

 

 

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」

 

「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けるという事かの?」

 

「ああ。これだけのゲーム盤を用意出来るんだからな。アンタには資格がある。―――いいぜ。今回は黙って試されてやるよ(・・・・・・・)、魔王様」

 

 

 

苦笑と共に吐き捨てるような物言いをした十六夜を、白夜叉は堪え切れず高らかと笑い飛ばした。プライドの高い十六夜にしては最大限の譲歩なのだろうが、『試されてやる』とは随分と可愛らしい意地の張り方があったものだと、白夜叉は腹を抱えて哄笑をあげた。

一頻り笑った白夜叉は笑いを嚙み殺して他の二人にも問う。

 

 

 

「く、くく………して、他の童達も同じか?」

 

「………ええ。私も、試されてあげてもいいわ」

 

「右に同じ」

 

 

 

苦虫を嚙み潰したような表情で返事をする二人。満足そうに声を上げる白夜叉。

一連の流れをヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギは、ホッと胸をなでおろす。

 

 

 

「も、もう!お互いにもう少し相手を選んでください!“階層支配者”に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買う“階層支配者”なんて、冗談にしても寒すぎます!それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」

 

「何?じゃあ元・魔王様ってことか?」

 

「はてさて、どうだったかな?」

 

 

 

ケラケラと悪戯っぽく笑う白夜叉。ガクリと肩を落とす黒ウサギと問題児組。

 

 

 

「それで、私の正体を暴いた赤い小僧と金髪の少女はどうする?“挑戦”か?それとも“決闘”か?」

 

 

 

問題児組の“挑戦”を確認した白夜叉は今まで聴きに徹していた死鬼達主従組にそう聞いた。

 

 

 

「私はシキの判断に従います」

 

「ふむ。では小僧は?」

 

「………白夜叉が選んでいいよ」

 

「………ほう?」

 

 

 

少し予想外の言葉に思わず聞き返す白夜叉。

 

 

 

「俺は“挑戦”でも“決闘”でもどっちでもいい。白夜叉がやりたいと思う方で、ゲームをしよう。もし、白夜叉が“決闘”を選んだとしても、俺は文句は言わない。全力で行くさ」

 

「ふむ。そうきたか………」

 

 

 

あっさりとそう言い放った死鬼に、黒ウサギと問題児組はもちろん、白雪まで目を見開き驚いた。

 

 

 

「本気か、ご主人?白夜叉様の規格外はご主人も見ただろう?」

 

「そ、そうですよ死鬼さん!もし万が一の事があったら………っ!」

 

「大丈夫だよ、二人共。セイバーもいるし、心配ないって」

 

 

 

慌てて止めようとする白雪と黒ウサギをそう言って宥める死鬼。それを聞いた白夜叉は面白そうに笑って、

 

 

 

「ハハハハハッ!面白いことを言う小僧だ!うむ、いいだろう。だが、他の童達の“挑戦”が先だ。それが終わるまで待つがよい」

 

 

 

白夜叉が死鬼にそう言ったその時、彼方にある山脈から甲高い叫び声が聞こえた。獣とも、野鳥とも思えるその叫び声に逸早く反応したのは、春日部耀だった。

 

 

 

「何、今の鳴き声。初めて聞いた」

 

「ふむ………あやつか。おんし等三人を試すには打って付けかもしれんの」

 

 

 

湖畔を挟んだ向こう岸にある山脈に、チョイチョイと手招きをする白夜叉。すると体長5mはあろうかという巨大な獣が翼を広げて空を滑空し、風の如く三人の元に現れた。

鷲の翼と獅子の下半身を持つ獣を見て、春日部耀は驚愕と歓喜の籠もった声を上げた。

 

 

 

「グリフォン………噓、本物!?」

 

「フフン、如何にも。あやつこそ鳥の王にて獣の王。“力” “知恵” “勇気”の全てを備えた、ギフトゲームを代表する獣だ」

 

 

 

白夜叉が手招きする。グリフォンは彼女の元に降り立ち、深く頭を下げて礼を示した。

 

 

 

「さて、肝心の試練だがの。おんし等三人とこのグリフォンで“力” “知恵” “勇気”の何れかを比べ合い、背に跨って湖畔を舞う事が出来ればクリア、という事にしようか」

 

 

 

白夜叉が双女神の紋が入ったカードを取り出す。すると虚空から“主催者権限”にのみ許された輝く羊皮紙が現れる。白夜叉は白い指を奔らせて羊皮紙に記述する。

 

 

 

 

 

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ギフトゲーム名 “鷲獅子の手綱”

 

 

 

・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

         久遠 飛鳥

         春日部 耀

 

 

 

・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。

・クリア方法 “力” “知恵” “勇気”の何れかでグリフォンに認められる。

・敗北条件  降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開始します。

 

“サウザンドアイズ”印

 

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あまり良い展開が思い付かなかったので、VSグリフォン戦はカットといたします。ご了承ください。
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