「この広場から続く山道を登って、途中にいる獣人達とそれぞれ違うルールで戦ってもらいます。武器は禁止。山のてっぺんで待っているネコネコ様に勝てばあなたの勝ちです。制限時間は日の出まで、オーケー?」
「おう」
「それではにゃんにゃん☆まーだー☆まさくる主催第一回チキチキ登頂百番勝負スタートです!ファイッ!」
【ROUND1】
さて始まりました第一回チキチキ登頂百番勝負、実況はわたくし神出鬼没の実況解説者ジェイケー・マイマイがお送りします!ゲスト解説はこの方、猪獣人ボタン・ムラセさんですどうぞよろしくお願いします。
ーーあの、実況を始める前にお聞きしたいのですがほんとにジェイケーさんは通りすがりの旅人なんですか?我々にゃんにゃん☆まーだー☆まさくるのメンバーではない人間の女の子に見えますけど……
はい、ガトーネ村から森を抜けてくる途中でちょうど実況のにおいを嗅ぎつけてきました、テヘペロ!
ーーそ、そうですか。勝手に人間の人入れて後でネコネコ様に怒られないかなあ……
ギャグ回ですから細かい事は気にしないで!まずは概要を説明しましょう。関係者にお話を伺ったのですが、今回この百番勝負は挑戦者の剣士さんがにゃんにゃん☆まーだー☆まさくるのメンバー全員といっぺんに勝負をつけるにあたり、合議の末急遽開催されたものであるとのことでした。理屈はとってもカンタン!夜が空けるまでに山道で待ち構える獣人全員を倒しててっぺんにいるネコネコ様を倒せば挑戦者の勝利!一回でも挑戦者が負けるか朝を迎えてしまえばネコネコ様達の勝利です!
さあまずは一人目の試練に向かって挑戦者は山道を足早に登っていきます。関係者の情報によりますと挑戦者は「ネズミ」というお名前だそうです。ゴツゴツした見た目に反してかわいいお名前ですね!ん?あれ、ネズミさんの後ろに付いてきてる白黒シマシマ服の獣人の方は?
ーーワシ頭の彼はレフェリーです、今回急遽試練を裁いてもらうことになりました。
先刻何か怖い事でもあったせいかレフェリーの方は緊張した面持ちでついてきてますね。彼には厳正なレフェリングを期待したいところではありますがさあ早速第一関門!少し開けた山道に待ち構えるのは山羊獣人のヤギの助!一対の椅子と机に座して挑戦者を睨みつけます!
「来ましたね!最初の相手は僕です!」
ーー競技種目は何でしょうね。
「腕相撲!ファイッ!」
先行して両者の間に入ったレフェリーが腰から下げたゴングを鳴らします!競技はどうやら腕相撲のようですが……なんとネズミ選手椅子に座らずに競技体制に入りました!大丈夫か!?
「ふん!」
「アバーッ!」
なんということでしょうか!ネズミ選手立ったままヤギの助選手を秒殺!ほとんど歩みを止めずにそのまま二人目目指して既に登って行ってます!
ーー流石に体を使う勝負は分が悪過ぎましたね、見た感じ手加減されて腕は折れてなさそうですけどヤギの助君の安否が心配です。
「ナ、ナムアミダブツ……」
ヤギの助選手うわ言で何か呟きながら担架で運ばれていきましたが、その間にもネズミ選手は既に二人目の試練へ歩みを進めております。
ーー女の子にモテたくて始めた日頃の腕立て伏せの努力むなしく、噛ませ犬にすらなりませんでしたね……
【ROUND2】
ーーそこまで高くない山とはいえ、割と急勾配の山道をネズミ選手は息もつかずにスッサスッサ登っていきますね。すごいなあ。
ガタイの良さが服の上からでもハッキリ分かるくらいですから、相当鍛えあげられてるんですねえ。先程聞いた話によると、あれだけの巨漢にも関わらず身のこなし、というか突進速度は恐ろしく早いそうで。
ーーええ。なんというか、多分真横から隕石が降ってきたらあんな感じですよ。事故ですよ事故。
さあその突撃隕石野郎は汗一つかかずに二人目の試練に到着した模様です。待ち構えるのはワニ獣人の隊長さん、椅子に座ったままコンパクトに凄んでおられます!
「よくきたなコラ!すっぞコラ!」
ーーウチの隊長珍しく強気ですね。ただ凄む事に慣れてない感が隠せません。
設けられた椅子とテーブルにネズミ選手が隊長さんと向かい合う形で今着席、運ばれてきたのは……あれはおでんですかね?二人分のおでんがお皿に山盛りで運ばれてきました!
「種目はこのアッツアツのポテト……じゃなかったおでんの早食い対決だ!僕が勝ったら何でもひとつ言う事を聞いてもらうよ!」
ん??今何でもって????
ーージェーケーさん落ち着いて。
失礼!さあ両者共に箸を構えて臨戦体制!ん?ネズミ選手の方がレフェリーを呼びつけています。どうしたんでしょうか。
「おい」
「何ですか」
「俺はんぺん嫌いだから除けてくれ」
「ノー!」
ネズミ選手の申し出をレフェリーは大きく手と首を振って拒否しました!ネズミ選手箸を握りしめて苦い表情!
ーー好き嫌いはいけませんね。当然のレフェリングだと思います。
相対するワニ隊長は何やらニヤニヤと笑い始めました。何か秘策があるのでしょうか……
ーー元々キングオブクソビビリのクマ五郎君に次ぐビビリ症の隊長ですから、ここまで強気なのであれば何か策を練ってきたと見て間違いないでしょうね。
「相手の食べる行為を暴力で妨害するのは反則です。コップのお水と辛味はご自由にどうぞ。それではファイッ!」
さあ第二関門になりますおでん早食い対決、ネズミ選手が早速大根にかじりつき、いや、つけない!
ーーおでんがアツアツ過ぎて一旦戻しましたね。彼はマナーが良くないですね。
「ぐ、あがががが」
挑戦者ネズミ選手なんとかちびちび大根を攻略しようと試みておりますが……おや!?ワニ隊長はおでんに手をつける前に箸を地面に取り落としてしまった模様です!レフェリーが慌てて落とした箸を取りにテーブルの下に潜りました。
「今だ喰らえ!そらそら!」
「なっ、てめえ!」
ああっとこれはいけません!ワニ隊長レフェリーのブラインドを突いて自分の大根とはんぺんをネズミ選手の皿に移し替えています!ネズミ選手怒ってそれを返そうとしますが、
「ノー!ノー!」
「ふざけるな!反則じゃねえのかおい!」
返そうとする前にレフェリーがテーブルから出てきてしまいました!ワニ隊長の反則行為に気づいておらず、ネズミ選手が自分の分のおでんを押しつけようとしていると勘違いをおこして必死に止めています!
ーー褒められる行為ではありませんが、うまい手を考えましたね。あとでシバかれるであろう事を考えてはいけません。
抗議の間にもワニ隊長は自分のおでんに手をつけはじめています、これは隊長が優勢でしょうか。
ーーあ、ネズミ選手諦めて食べ始めましたね。レフェリーを睨みつけています。怖っ。
二人とも皿いっぱいのアツアツおでんを手こずりながら食べ進めています。口が大きい点において隊長の方が優勢かと思われましたが、隊長の一口が思ったより小さい。
ーーアツアツですからね……ところで私さっきから思ってたんですけど、登頂百番勝負って本当に百回勝負するんですか?そんなに仲間はいなかったはずですけど。
いえ、あくまで百番勝負っていうのは名前だけで実際にはもっと少ないですよ。本当はとっとと次の展開書きたいそうなので。
ーーギャグ回とだけあって先程から発言がメタいですね……聞かなかった事にしましょうか……
さあ試合展開に戻りましょう!それぞれある程度食べ進めたみたいですね、終わりが見えてきました。先程から隊長の一口がネズミ選手に比べて少し小さいようですが、しかしリードを付けた分隊長の方が先に食べ終わるか……!?ネズミ選手ピンチです!しかも残っている具はちくわとがんもとはんぺんがふたつ!最後のはんぺんに苦戦を強いられるか!隊長が大根を口に入れた!残るはがんもと牛スジ、ラストスパートをかけます!
ーーあれっ、これ本当に隊長勝てるんじゃないんですかこれ……!隊長頑張って!今輝いてる!
ネズミ選手まだ熱いちくわとがんもを一気に口に詰め込む!ああっ、顔が真っ赤です!喉に詰まったか!
ーー胸をドンドン叩いてますが大丈夫でしょうか。場合によってはレフェリーストップも……!
その隙に隊長牛スジを完食、残るはがんもただ一つ!決まるか!?決まるかァァ!?
ーーち、ちょっと待ってください!ようやく飲み込んだネズミ選手が水の入ったコップを手にしましたよ!
ここで給水!?危険な判断いや違う!ネズミ選手コップに辛味をありったけぶち込んでいます!どうする気だ!?
ーーいやでも隊長ががんもを摘んだ!隊長!それ食べたら勝ちだ隊長!いけー!
「おい!向こうの杉の木真上あたりをでんでん太鼓持った赤ちゃんちゃんこ姿のシルバが龍に乗って空飛んでるぞ!」
「「えええどこどこ!?」」
「んぐっ、ブーッ!」
「ギエエエエ!!」
ど、毒霧だァーッ!!ネズミ選手レフェリーの気を逸らした瞬間辛味入りの水を隊長に吹きかけたァ!隊長思わず椅子から転げ落ちて悶絶しています!ダーティーファイトにはダーティーファイトだァ!
ーーた、隊長!隊長のつぶらな瞳に涙が……
その隙にネズミ選手はんぺんを二つまるごと口に押し込む!咀嚼する事に顔色が青くなっていくが!?
「どこ!?シルバどこ!?」
ーーレフェリーまだ探してますね……つくづく残念な……
顔面辛味まみれの隊長ようやく席に着いた!が遅かった、ここでネズミ選手が完食!気付いたレフェリーがゴングを鳴らします!
「ひ、卑怯者!レフェリー!」
「ノーノー!」
「コンナハズジャナイノニィ!」
隊長が悲痛な声色で抗議しますがレフェリーは取り合いません!ネズミ選手の腕を上げます!
ーー隊長の味方をしといてこう言うのはどうかと思いますが、先に仕掛けといて何言ってんだって話ですねぇ。
ネズミ選手早々にレフェリーの手を振りほどいて山道を登り始めます、残念ながら敗れた隊長は担架で運ばれていきました!
ーー負けた人を担架で運んでいく意味はあるんですか?
ありません!様式美です!
さて、前半戦ここまで振り返っていかがでしょうか。
ーーえ!?まだ二回戦目ですよ!?
この章を早く書ききりたい作者によると、この勝負自体一話で終わりたかったとの事ですが……
ーー蛇足が大きすぎて結局足主体の謎の生き物になるのがいつものパターンですね。
それにプロレスとゆるキャン観てる暇があったら次の話に取り掛かる準備を少しでもしなきゃいけませんね。ただでさえ何ヶ月ぶりの投稿になるんですから……