女神な姉ちゃんの友達が妖精や天使ばかりで辛いです! 作:葛杉
ここまでこれたのも皆様からの温かな声援のおかげです。
本当にありがとうございます。
これから舞台を移して「東京女神 偶像崇拝」編が始まります。
これからもどうかよろしくお願い致します!
女神の話をしよう。
この荒んだ現世に舞い降りた、麗しき女神であらせられる新田美波の話だ。
女神は文武両道、品行方正、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花も恥じらう美しき乙女である。
学業面は非常に優秀であり、中学高校通して期末試験の結果は卒業するまで常に学年上位5名に挙がっている程。その傍らで高校時代は生徒会副会長を立派に勤め、生徒のみならず先生方からも称賛敬意を示されていた。ぶっちゃけ生徒会長よりも人気があったのは暗黙の事実である。会長も可愛かったがお姫様レベルであり、女神には敵わないのは仕方ない。さすが女神様。
さらにその傍らで資格取得の勉学にも励み、英検漢検都道府県検定にトイーック! も上位点を獲得したのみならず簿記2級をも取得した才媛である。さすが女神様。ちなみに女神様の口から簿記と言われると・・・なんか、ふふ・・・いいよね。
さらにさらにその傍らで生徒会活動とは別に地域のボランティアにも積極的に参加してH県一部地域に住まう皆々様の渇いた心を癒す女神は実際凄い。赤子からご老人までご近所に住まう人達から新田家の美波ちゃんと呼び慕われているのも納得である。女神かな? 女神だな。さすが女神様。
容姿はもはや語るまでもないが、それでもなお語るのならばたれ目で可愛らしい笑みが最高でふわっと柔らかく舞うちょっと茶色がかった髪はまるで最高級の絹のようであり横を通りすぎると超最高な匂いが最高で春風のような暖かさと秋風のような切なさを感じさせる甘い声が最高で背筋がしっかりとした立ち姿がより一層強調する腰のくびれ!
ぷりっとしたオーシリ!
そして形の素晴らしいオパーイ・・・っ!
最高かよ女神様。心臓がもたねぇ。
高校時代所属していた水泳部は地獄の様相を日々見せており、男子部員があまりにも増えたためにそれまで男女混合だった水泳部が別れ、男子は血涙を流して猛抗議を行い女子は女神を守るべく親衛隊が結成された。
ちなみに男子は女神が卒業する年に全国を制した。しゅごい。
女神のスクール水着姿を目に焼き付けイヤーンでアハーンでウフーンなまったくけしからん妄想に捧げんと、後に魔王軍『エロース』の恐るべき一番槍となる他区の男子学生(当然のように女子学生もそれなりに含まれる)連合が押し寄せたさい、女神の純心を守らんと後世に語られる『女神の聖なる泉防衛戦』の火蓋が切って落とされた。その陣頭指揮にはいまだ中学生の身ながら果敢に戦う勇者の姿があったのは言うまでもない。
だが、何事にも終わりがある。
数々の伝説と黙された激しき裏の戦いを残し、女神は新天地へと旅立った。悲しい。
女神は新天地でも新たな伝説を打ち立てながら、しかし自らの胸に空いた奇妙な空白に戸惑っていた。
新しい環境、新しい出会い。日々は騒がしくされど色鮮やかに輝きながらも、どうしてこんなにも私は寂しいのだろう。
答えが見いだせぬまま時が過ぎていくなか、ある日一通の着信が女神のもとに舞い降りる。
着信名は、勇者。
女神は不思議と高鳴る鼓動に戸惑いながらも電話に出る。
電話の向こうから、別れた日からさらに男らしくなった勇者の声。火照る頬に手を当てて、女神は己の気持ちに気づいてしまう。私、勇者のことーーー
いけない感情だ。だって勇者は大切な家族なのだ。こんな気持ちはすぐに忘れてしまわないといけない。
だが一度気づいてしまった感情は女神の心と身体を掻き乱す。そして、ついに、女神は禁断の果実に手を伸ばすーー
「どうしたんだよ姉ちゃん! こんなのおかしいよ!」
「ごめんね弟くん。私、悪いお姉ちゃんだね・・・」
深夜のベッド。勇者のお腹に跨がった女神。勇者は女神の狂行に瞠目する。払いのけようと思えばできる。だが、そうしたら姉はきっと傷つく。もしかしたら払いのけたさいに怪我をさせてしまうかもしれないーーーどこか言い訳染みた思考を行いながら、勇者は女神の潤む瞳から目を離せない。
「・・・でもね、弟くんも悪いんだよ。私の気持ちに気づいてくれないから」
つつ、と細い指が優しく勇者の胸を撫でる。思わぬ刺激に頬が赤らむ勇者の顔に、淫靡な微笑が浮かぶ女神。
震える口を開きながら、勇者は女神を止めるべき言葉を探していた。
「だい、たい・・・なんだよその服」
女神はいま、改造されたメイド服に身を包んでいた。
とにかくいろいろ短い。肩が露出しているだけでなく、女体の偉大なる神秘オパーイの上部まで見えてしまう。
腹部に巻かれた赤いリボンが妖しいコルセットがよりオパーイを強調している。
オパーイから目を離しても今度は大胆に露出された太股が目に入る。申し訳程度の短さしかないエプロンがひらひら揺れるたびに、その先の暗闇を凝視してしまう。
これ以上は駄目だーーー本能的に目を閉じる勇者。その様子に女神は淫靡な微笑から一転、慈愛に満ちた微笑みを浮かべた。
細い指を胸から離して、女神はそっと勇者の頬を撫でる。
「大丈夫。痛いのは最初だけだから・・・ずっとお姉ちゃんが傍にいるから。私だけのご主人様にしてあげちゃうから・・・だから・・・お姉ちゃんから目をそらすのは、許しませんっ」
そうして身体を倒して、嗚呼オパーイが! オパーイが!
「美波様がしてあげますっ!」
耳元で囁かれた言葉に理性の糸がぷっつんしてふたりはめくるめく世界にダイビング・・・っ!
世の男性達に捧ぐ、上も下も大洪水な今世紀最大最後の禁断ラあ↑ブストーリぃ↓!!
君は、女神の涙を啜る・・・っ!
さすめがっ!!
「と、いった話をこのグラビアを見て思いついたんだがどう思う?」
「ながい」
「くどい」
「うざい」
「率直に申し上げますとそもそも導入部が不要ですし途中から語彙力が著しく低下していますし女神殿と拓海さんの絡みが唐突すぎます。それ以降から無駄にーーーやら・・・を多様し過ぎでしかも最終的には自分の妄想で興奮していて非常にドン引きでつまりは文才がありませんな。あときもい」
「平たく言って、ハゲロ」
「髪の話はヤメロッテ!!」
手に持っていたアイドルグラビア雑誌を机に叩きつけ、佐藤は悲痛な絶叫を上げた。周りは驚く様子もなく、ちらりとこちらに視線を向けて嗚呼馬鹿がまた馬鹿をやっているな馬鹿だなあと言わんばかりに優しい眼差しで自分たちの時間に戻っていく。
放課後の教室。季節は冬。間もなく高校受験を控えて仲間と共に勉学に励む勤勉なクラスで、俺は何故か馬鹿共に囲まれていた。
英熟語の単語帳を閉じて俺は溜め息を溢して、立ち上がった佐藤を見上げる。なに姉ちゃんのグラビア雑誌叩きつけてんの?
あっすいません。と頭を下げて佐藤は机に叩きつけた雑誌を持ち上げて今度はそっと机に置いた。頭髪は薄いけど根は素直ないい奴なのだ。頭髪は薄いけど。
広げられた雑誌に目を向けると、改造メイド服に身を包み鞭を握って読者を見下ろす妖艶な雰囲気を纏った美少女の姿があった。なんだこの凄い美少女は。あ、俺の姉ちゃんか。
雑誌は昨日発売された「週間アイドルこすぷれ!」だ。毎週人気アイドル達を集めてコスプレグラビアを載せるという、男性人から結構な人気を集めている雑誌だ。先週は猫ちゃんコスプレ特集だったが某猫アイドルがいないことがインターネットの某掲示板で論争となり、結論として猫アイドルが猫のコスプレをしたら二重猫になって宇宙がヤバいと結論されていた。
姉ちゃんは東京でアイドルになってからグラビアだったりライブ映像だったりを毎回送ってくれていて、今回も発売日当日に姉ちゃんが俺宛にわざわざ自分が写っているページの角に折り目までつけて送ってきてくれたのだ。昨夜は雑誌を読むために勉強が手につかなかった。
しかし昨夜も思ったが、姉ちゃんのせいでどれだけの男達が眠れぬ夜を過ごしたのだろうか。我が姉の罪深さに身が震える。
「つか、姉ちゃんの台詞がおかしいよ。なんで最初に痛いのが俺なん? 俺なにされてるん?」
「やだもー! ナニを言わせようとしてんのよいやらしい!?(低音)」
「ええ・・・?(困惑)」
「そりゃ痛いやろ。だって鞭持ってんだぜ?」
元野球部ショートの鈴木さんの言葉に皆がグラビア画像に目を向ける。そこには鞭を持って微笑みを浮かべる美少女がいる。なんだこの凄い美少女? あっ、俺の姉ちゃんか!
しかし清純派アイドルで売り出している筈だが事務所としてこれはいいのだろうか。姉ちゃんから送られてくる雑誌やら写真集を眺めるたびに思うのだが、当の姉がわりと楽しんでやっているから問題ないのだろう。
昨夜も姉ちゃんから電話がきて、ぐちぐちと愚痴を溢していたのだが声音はとても楽し気だった。会話の合間に「私、何か変な道に目覚めちゃいそう・・・」とか「弟くんはどうなのかな・・・その、Sな女の子とかどう思う?」とか言っていたからなんだ全然問題ないじゃん(シスコン)
「なんでメイドに鞭なんだ。いや、ギャップ狙いでやっているなら大成功だよ。女神がメイドでドSとか・・・ふふ」
「メイドに鞭を持たせる理由か・・・いや、すまないな。メイドの鞭には無知なんだにゃ」
しん、と教室内の空気が張り詰める。
それまでそれぞれのグループや個人で時間を過ごしていた連中が静かになりこちらの様子を伺いながら無言の問いかけを発している。処す? 処す?
俺はたっぷり息を吸い、ゆっくり息を吐く。
がたがたと椅子ごと身体を震わせるクラスも学年も突き抜けて校内一のイケメンと称される男を見据えながら、俺はたしかに、両腕を水平に広げたのだ。
俺の動作を見て皆が再び自分の時間に戻っていく。そのさい何人かは舌打ちをした気がする。女子って怖い。
それにしてもほんと皆は俺が手綱を握らないとすーぐ共食いするんだからなーこまっちゃうよー(愉悦)
俺はいまだがたがたと身体を震わせるイケメンを見てにっこりした。
「あーなんか喉が渇いたなー!」
「・・・買って来ますかにゃ?」
えーいいよーなんか悪いしーでもでも好意を無下にしちゃうのもなんかやばーい感じだしー。と女子力全開の言語を繰り返していると、イケメンはスマートに立ち上がり「気にするにゃ。すぐに戻るにゃ」とクールに微笑み教室の扉を目指してエレガントに歩き去る。やだ・・・イケメン・・・っ!
その背を見送りながらクラスの皆が優しい言葉をかける心暖まる光景が俺の眼前に広がっている。
「俺は炭酸系な」「わたしたちは紅茶系よ」「お菓子類の補充もたのんまー」「あっちゃ、シャー芯切れちまった。すまんな」
「超過料金は後で折半よろしくにゃー!」
こうしてイケメンこと《全能者》田中は寒空の下へ旅立ったのだ。合掌。
んでんでんで。
「話を戻すけど、なんで雑誌を学校に持ってきたの?」
頭髪の薄い佐藤に問いかけると、なぜか照れるように頬を赤らめてはにかんだ。
「実はさ、昨日DVDとこの雑誌が通販サイト蜜☆林から届いて夜を明かしたんだけどさ」
「DVD(意味深)」
「夜を明かす(意味深)」
「わかって言ってるんだろうからスルーするよ? それで一晩中グラビア写真と妄想世界を行ったり来たりでまともに睡眠も取れなかったから朝からテンションマックス状態でね。朝日を眺めていたらこのグラビア写真と妄想をみんなと共有したいなって感じに」
「共有しなくていいから・・・」
ふとこの会話のなかで不穏な気配を感じて、俺はこれ以上この話を続けるのを止めようと思う。
だいたい高校受験が近いのだから勉強するべきじゃないですか。俺たちは田中と違って普通に受験するのだし、この時期は学習の追い込みすべき時でしょ? そうと分かれば今からみんなで英熟語の勉強でも
「佐藤・・・おまえ夜が明けるまで拓海のことを考えてたのか・・・?」
「あっ、俺お家帰るわ。お家でお勉強しなきゃ」
立ち上がろうとした俺の肩を両脇にいた二人が強引に押さえ込んでくる。特に元野球部ショート三番打者の鈴木さんの力が強くて逃げ出せそうにない。慌てて周りを見渡すも誰もこちらを向こうともしない。このクラスの連中は薄情な奴らしかいないのか・・・っ。
一部の女子と男子だけこちらをガン見しているが、なんだろうこいつらにだけは助けられたくないと本能が訴えている。
「夜が明けるまでというか・・・ほら、ずっと前に『オペレーション・女神の影代』があったじゃない。僕、その時に思ったんだよね。男とか女とか、性別に拘る必要なんてどこにもない。動物的な本能を振り切って、心のムスコが求めるままに腰をグラインドするのが愛なんじゃないかって」
「拓海、落ち着けって。大丈夫だよ、痛いのは最初だけだって。最初は痛いんだよ」
「暴れるなよ・・・あばレんなよっ! こっちは三人もいるんだぞ!」
「ばかやろう鈴木俺は勝つぞすずきぃ!!」
しかし多勢に無勢、拘束から抜け出せずとにかく時間を稼ごうともがく。こういう時にいないから全能者(笑)とか言われるんだぞ田中「ひゃん!?」なになになに腰になんか怖い!?
いつの間にか後ろに回り込んでいた佐藤が俺の腰を触ってさわさわしていた。意外とテクニシャンな動きに戦慄する。
だ、誰か助けてくれ。周りの連中は「ひゃんとかくそ可愛」「くっそ録音したかった」「道具に頼るな脳に焼き付けろ」「下品な話なんですがね。いま自分・・・ギンギンですよギンギン」「鉛筆はしまっとけよ」こいつら全員後で処す。
絶望的な状況のなか、脳裏に浮かぶのは大好きな姉の笑顔。俺は姉ちゃんの笑顔に向けて絶叫する。助けて姉ちゃーーーん!!
「くしゅん」
「ミナミ、大丈夫ですか?」
「なんか急にムズムズしちゃって」
「今日は一段と寒いです。体調管理に気をつけないとダメ、ですネ?」
「そうね。もうちょっと厚着してきたらよかったかな」
「・・・いいこと思いつきました。こうしたらティプロ、あー・・・暖かい、ですネ?」
「きゃっ。もーアーニャちゃん、これはちょっと恥ずかしいよ」
「ふふ、でもこれで寒くないです。アーニャも暖かくていいことばかりですヨ」
「・・・うん。とっても暖かいよ。ありがとう、アーニャちゃん」
姉ちゃん・・・姉ちゃん・・・届いていないのですか?(絶望)
だんだん手が尻に当たりそうで背筋が凍る。誰でもいい、誰か助けてくれ。
「勉強もせずに何を馬鹿やってんのよ」
眼前にひとりの少女が立つ。勝ち気な瞳、サイドに纏めた艶やかな黒髪。スレンダーな体型。この少女こそ、魔王軍最年少幹部を務めた恐るべき女傑。『百合弓』と呼ばれた弓道部主将、君の名はーーー
「「「「百合子さん!!」」」」
「名前で呼ぶな!!」
散れ、散れと俺にまとわりついていた馬鹿共を蹴散らしていく百合子さんはすごく格好いい。凄いよ百合子さん!
「ありがとう。本当にありが」
「あっ、これ美波さんの写真!? わー凄い綺麗!!」
机に置かれた姉ちゃんの写真に釘付けになる百合子さん。
「やっぱり美波さんて綺麗」とか「こういう衣装も着こなせるから凄いよね」とか、純粋に姉を褒めてきて俺は気恥ずかしくも嬉しくなる。周りの連中ももうちょっと素直に姉を褒めることはできんのか。
一頻り姉の写真を堪能して満足したのか、一息つく百合子さん。
「それで、馬鹿がひとり足りないようだけど?」
「田中は物資調達のために風になった」
「またあんた達は・・・私はオレンジジュース」
「あいよー」
元野球部ショートの三番打者で盗塁が得意な鈴木さんがメールを打ちはじめる。哀れ田中、帰ってくるのは何時になるのだろうか。
「いい加減に許してやったら?」
「全能者(笑)を許しちゃいます?(提案)
許しませんよ(即答)」
「そもそも語尾を『にゃ』にするのは本人が望んでやってるから。みくにゃんみたいでいいにゃん! とか言っていてイラッとしたので語尾が治るまで継続します」
「なら仕方ないわね。それと拓海、これ」
百合子さんが手に持っていた用紙をこちらに差し出してくる。それを受け取ろうと手を伸ばして、きゃっ手に触れちゃった!
ひとり脳内ではしゃいでみたが、百合子さんはなんとも思っていないようで用紙を渡したら両手をスカートのポケットに閉まってしまう。ちょっぴりさみしい・・・。
センチメンタルな気分で受け取った用紙を見ると進路希望表と書かれていた。
「先生から拓海だけまだ提出してないから渡してくれって頼まれたのよ。もう12月なのにまだ出してないなんてほんと呆れる。どうせ拓海もA高校を受けるんでしょ? ほら早く書いてよ先生に出してくるから」
「いや、えっとな」
「・・・なに? もしかして違う高校を受けるつもり? この近くだとB高校とかC高校かしら。どっちも偏差値はいいけど、やっぱり地元ならA高校が一番よ。大学進学率だって高いし学外活動も活発だし。別にどういった進路を決めるかは拓海自身の問題だけど早く言ってくれないと困るじゃない。受験後の準備だって色々あるんだから。で、どこに行くの?」
なんか妙に早口で威圧感が増している百合子さんが本当に怖い。馬鹿共も巻き込まれないためか距離を取っていて許しがたい。
ちなみにA高校は姉ちゃんが通っていた高校だ。地元では有名な進学校で、昨年に男子水泳部が全国を制してからは部活にも力を入れていると評判になった。
・・・でもそうか。身近な阿呆共には話していたのに俺、百合子さんには進路のことを言っていなかったな。
一時期、俺が一方的に百合子さんを意識してしまい距離を置いてしまったことがある。
今では随分マシになったが、感じる距離は以前よりもずっと遠い。
仕方ないと諦めを感じる一方で、自分のちっぽけさを改めて思い知り自己嫌悪に陥る。
ただ別に話すことでもなかったのは事実だ。姉ちゃんの弟なのにたるんでいるいうことで、俺は百合子さんからは嫌われているのだ。
しかしこうして聞かれたら別に隠すことでもないとは思う。
「で、どこを受けるのよ」
「いや、俺さ。かなり悩んだんだけどね」
「早く言いなさいよ」
「東京に行こうと思う」
「そう東京ね。わかったわそれなら・・・えっ?」
「えっ?」
しばし見つめあう俺と百合子さん。やっぱり睫毛ながいなぁ、肌白いなぁ。
「東京に行くの?」
「うん」
「それはH県のどこにあるの?」
「いやH県のどこにもないよ。外だよ」
この日本の首都だよ。百合子さんは地理が苦手だったのか? と考えていると、百合子さんは呆然とした様子で「とうきょう」と呟き。
膝から崩れ落ちた。
『『ゆ、百合子さーーーん!!?』』
教室内が唖然とする。百合子さんは崩れ落ちた体勢のまま天井を見上げて動かない。俺は混乱している。救急車って何番だっけ? 110番?
クラスメート達が百合子さんを中心に円陣を組むようにして囲う。皆がそれぞれ心配して声をかけていく。
「傷は深いよ百合子ちゃん!」「倒れてもいいぞ!」「倒れる時でも前のめりの精神が大事」「その通りよ。倒れたさいにはこうふわっとスカートがふわっとする感じでよろしく」「ふわふわだぜ!」
「「「ふっ、わふわ! ふっ、わふわ! いえーい!」」」
何故か巻き起こるふわふわコール。よく聞くと一部の連中は「ウーサミンwwwwウーサミンwwww」コールをしているのだがいいのだろうか。
俺と百合子さんを置いて盛り上がる阿呆共の宴は汗水垂らして帰ってきた田中が持ち帰った物資で更なる盛り上がりを見せようとしたところで復活した百合子さんの一喝によりあえなく終わったのだった。
結局俺は百合子さんがなぜ崩れ落ちたのかは分からずじまいであった。
ーーーーー百合子さんが崩れ落ち、阿呆共が盛り上がるなか、俺はひっそりと姉ちゃんの写ったページをめくった。
そこには、クラシックスタイルのメイド衣装を纏った白銀の妖精が写っている。
ティーカップを両手で口元近くに掲げ持ちながら、透き通るような美しい微笑を浮かべている。
俺は高鳴る鼓動を感じながら、ページの向こうの妖精を想う。
心に住む姉ちゃんに、俺はそっと告げた。
姉ちゃん。俺いますごく乙女チック・・・っ!
そして俺は改めて決意する。
そうだ、東京に行こうと。
まる
前回に比べて倍以上も女神美波様を出すことができて皆様のご期待に答えられたと葛杉は確信しています。
えっ? 全然アイドルがでてないじゃん(憤怒)ですか?
発想を変えてみましょう。
全然アイドルがでてないじゃん(歓喜)と考えてみるのです。
耐えて、耐えて、耐え抜いた果てに出てくると凄くキモチイイじゃないですか。そういうことですよ。
あっ、ちょっと今どんなことを想像しましたか?
やだもー私が言っているのはトイレのは☆な☆しなんだからね!
ふふ、顔が赤いよ? どんなことを想像しちゃったのかな?
おじさんに、教えてお★み★そ★
土下座、土下座しながら書いてますから(卑屈な笑み)
あっ、次の更新は早いからな待っててよ待っててよー(懇願)
次回以降から本作に登場予定のアイドル達を列記しますので担当が出ているかのご参考にどうぞ。
女神
白銀の妖精
四つ葉の天使
九州の堕天使
母になってくれるかもしれない可能性
苺
ウーサミンwwww
文香 様
以上です。
こんなところまで読んでくださった皆様方、誠にありがとうございます。
楽しんで頂けてたら幸いです。
またどうぞ、よろしくお願い致します。