そろそろ椛を出したいなぁ…。
モフモフが足りん、モフモフが。
――霧の深い湖
その後、お互いの自己紹介を済ませた3人は湖のほとりに座っていた。
「それで、あたいはそのカエルを凍らせてやったのよ!」
「ほう、それはすごいですね~、やはりチルノちゃんは他の妖精より力が強いんですね。あ、大ちゃん、この木の実食べますか?甘くておいしいですよ」
「え?あ、ありがとうございます」
チルノが自分の武勇伝(かなりの誇張が入っているが)を話し、紅刃は大妖精を腕の中に抱きながらチルノの話に相槌をうつ。大妖精は紅刃の膝の上に乗せられながら紅刃からもらった木の実や果物を食べている。その光景は端から見れば微笑ましい姉妹のようだった。
その光景は紅刃が立ち上がったことで終わりを告げる。
「さて、そろそろ行かなければ。2人とも、この近くにある真っ赤な屋敷を知りませんか?知っていたら方向を教えてもらえませんか?」
「ん?それなら、え~っと、あっち!」
「チルノちゃん、方向逆だよ…」
チルノが自信満々に指差すが、大妖精に訂正される。
「では、2人ともお元気で」
「ああ、お前は見込みがあるからあたいの子分にしてやるぞ!」
「チルノちゃん!もう…、ごめんなさい、紅刃さん。お元気で」
手を振りながら紅刃は大妖精が教えてくれた方向に向かう。
チルノと大妖精は紅刃の姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。
――紅魔館
「やっと着きましたか…、夕方には着く予定だったのに大分かかりましたね…」
チルノたちと別れた後、紅刃は1時間ほど迷ってようやく紅魔館に辿り着いた。
空には半月が煌々と輝いている。
「さて、そこを退いていただけませんか?門番さん。私が用があるのは吸血鬼だけなのですよ」
「はいそうですか、と退くと思いますか?どうしても通りたいというなら私を倒してから通ってください」
門前で紅刃に立ちふさがったのは『紅美鈴』紅魔館の門番だ。
普段は昼寝などをしてはメイド長に叱られているが、ここ最近は主人に言われて警戒していた。
「では、押し通るとしましょう」
すらり、と紅刃が刀を抜くと、美鈴が構える。
そして、美鈴が先に攻撃した。
――彩符「彩光乱舞」
虹色の弾幕が紅刃に襲い掛かる。しかし、紅刃は弾幕を刀を振ることで消してしまう。
弾幕が消えて紅刃の視界が明瞭になったとき、美鈴は紅刃に肉薄していた。
――熾撃「大鵬墜撃拳」
凄まじい威力が乗った拳が紅刃に迫る。
紅刃は拳を顔面にかすらせながらもなんとか避け、美鈴を袈裟懸けに斬りつけた。
美鈴はそれを体を捻ることでかろうじて直撃を免れる。
お互いの視線を交わしながらも、二人同時に後ろに下がることで距離をとる。
美鈴は体勢を立て直すと、紅刃に突っ込む。
――撃符「大鵬拳」
先ほどの一撃に比べればやや威力は落ちるが、その攻撃は確実に紅刃の顔面を捉えていた。
とった、と美鈴が確信したその時、紅刃は刃を振るった。その斬撃は蛇のようにうねり、美鈴の腕に絡みつく。
そして、美鈴の腕は切り刻まれた。美鈴の攻撃は痛みによってそれ、紅刃には当たらなかった。
攻撃が外れたことで美鈴には大きな隙ができ、紅刃はそこに横薙ぎを打ち込んだ。
美鈴は吹き飛ばされ、門にぶつかる。
「がっ…ふっ…!」
美鈴は血を吐きながらも立ち上がろうとするが、門にぶつかったときに頭を強く打ったのか、足元がおぼつかず、うまく立てない。
紅刃は美鈴に近づき、首に刃を振り下ろそうと振りかぶる。
そのとき、世界が停止した。
――「咲夜の世界」
「ここからは私が相手になるわ、襲撃者さん?」
紅魔館のメイド長が紅刃の前に降り立った。