過去編2話目。東方キャラは椛以外でません。
戦闘をもう少し臨場感が出るように書きたいなあ…
――???
椛は森の中を歩いていた。
といっても刀を作っていた男に引っ張られるように景色が変わるので仕方なくついていっているだけだが。
男は国の中でも3本の指に入るほどの刀鍛冶だったらしく、どうやら天皇に頼まれて妖怪を討伐するための刀を作っていたらしい。
先程椛が見た刀はいわば対妖怪用の霊刀だったようだ。
男は護衛の者たちを10人ほど連れて都を目指していた。
道中は何事もなく、一行は順調に歩みを進めていた。
いくら気を張っているとはいえ、何もないまま時間が過ぎれば当然緊張は緩んでくる。
全員の気が緩んだとき、狙ったかのようにそれはやってきた。
「ひい、ふう、みい…はっは、十人もいるじゃないか。最近は人を食っていなかったんだ、おいしく頂くとしよう」
現れたのは一人の美しい女。
しかし、椛は女から感じる妖力で彼女が妖怪だと分かった。
それは男を守っていた護衛たちも同じらしく、おのおの武器を抜いて臨戦態勢をとる。
その反応の速さ、隙のない陣形を一瞬でとったことから、彼らが相当な実力者だということが分かる。しかし女はそれを見て面白そうに笑い、
「いいぞ、なかなか手ごたえがありそうだ。怯えて命乞いをする人間を喰うのもいいが、こういう強いやつを殺して喰うのが一番楽しいからな」
そういうと、妖力を練り上げ始めた。
そうはさせじと護衛たちが一斉に斬りかかる。が――
「ふうむ、いいのか?そんな安易に斬りかかって。私がどんな能力を持っているか貴様らはわかるまい?例えば――相手を操る能力とか、な」
護衛たちはお互いを斬りあい、そして全滅した。
女は怯えて後ずさりをしている男にゆっくりと近づく。
男の背中が木にぶつかり、動きが止まる。女は男の顔に腕を伸ばす。
しかし、その腕は切り落とされた。
「んん?私を斬れるのか、貴様?いや、違うな。その刀か、私を斬ったのは」
腕を斬られたというのに落ち着いている女は男がいつの間にか右手に持っていた刀を見る。
女の体は並みの刀では傷一つつけられない。妖怪を殺すためだけに作られた刀だからこそ、腕を斬り飛ばすことができたのだ。
「こ、これは妖怪を殺すために作った刀だ!お前が近づけば今度は首を刎ねるぞ!」
怯えながらも刀鍛冶の男は自らが作った刀を女に向ける。
女は男の言葉を気にも留めず、今度は刀に手を伸ばし、触れた。
妖怪の討伐のために作られた刀は、妖怪である女の手を内包する霊力で傷つける。
「ぐっ、ううっ!なるほど、なかなか霊格の高い刀のようだな。だが、私の能力ならば――」
女が刀から手を離すと、女の手は密度の高い霊力によって傷を負っていたが、徐々に回復していく。
そして、霊刀は今までは霊刀にふさわしい静かな雰囲気を纏っていたのが、今は禍々しい気配を漂わせている。
「なっ、俺の刀に何をした!」
「なあに、私の能力を使っただけさ。私の能力は『ありとあらゆるものを反転させる程度の能力』。貴様の刀、確か妖怪を殺すための刀なんだろう?今は私の能力で人を殺すための妖刀になったってわけだ。さあ、自分の刀に殺されな」
右手が男の意思とは関係なく動き、少しずつ切っ先を男の喉へと向け始める。
男は刀を離そうとするが、手は刀を離そうとはしなかった。
「やめろ、やめろ!俺はお前を作ったんだぞ、やめろおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
男は絶叫を断末魔として首を切り落とされた。
男が死に、地面に転がった刀を女は拾い上げる。
「ふうむ、いい感じに妖力を持っているな、気に入った、こいつを私の武器にしよう。ああ、そういえば、この刀の銘を聞き忘れてしまった。まあいい、道具に名前なんざいらないだろう」
女は男の腰から鞘を取り上げると、刀をしまい、自分の腰に差す。
「さあて、次はどこに行こうかな、都に行くのもいいし、蝦夷って所に行くのも一興だ」
女はそう呟くと、行先も決めぬままに歩き出す。
椛は再び引っ張られる感覚に従い、女を追うことしかできなかった――
補足説明
分かりにくかったと思うので女妖怪がどうやって護衛を殺し合わせたのか説明します。
本文でも言っている通り、彼女の能力は「ありとあらゆるものを反転させる程度の能力」です。(輝針城の鬼人正邪の能力に似ていますが、彼女とは全く関係ない妖怪です。てか名前も決めてない(笑))
護衛たちが「敵」である妖怪を殺そうとする→女妖怪がそれを反転させ、「味方」を殺そうとさせる→結果、護衛たちが殺しあう。
こんな感じです。分かりにくくてすいません(汗)
文才が、欲しい…