東方呪刀話   作:村雨 晶

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2話目投稿。
読者の反応が怖い…。


2話目

 

 

――???

 

椛は夢を見ていた。

戦いの夢だ、それも哨戒天狗である自分でも経験したことのない規模の戦い。

戦争、そう呼ぶべきであろう戦いの中に椛はいた。

椛は闘っていた、だが相手はわからない、知ろうとも思わない。

自分の手の中にはあの刀があって、それを振るい、敵を切り刻んでいく。

それだけで満たされる。それだけで救われる。

今幻想郷で主流なのはスペルカードを使った弾幕ごっこだが、この快楽はそんな生温い闘いでは得られない。

もっと、もっと、もっともっともっともっともっともっともっともっともっと

もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっ

ともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと

闘いたい――それがあの人の勝利になるから

斬りたい――それがあの方の敵を減らすことになるから

殺したい――それで「ご主人様」が褒めてくれるから

もっと私に獲物を寄こせ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで椛は飛び起きた。

酷い夢を見たのは覚えているのだが、どのような内容だったのか思い出せない。

覚えているのは喜びと悲しみと快楽と苦痛と狂気を一緒に混ぜて飲みこんだか

のような気持ち悪い感覚だけ。

 

 

(喉…渇いた…)

 

 

落ち着いてくると酷く寝汗をかいているのに気が付いた。これほど汗をか

けば喉が渇くのも道理だろう。水を飲もうと台所に向かう途中で、文から

もらった刀が目に入った。

 

 

(あの刀…もう一度、もう一度あの刀身を見てからまた寝よう…)

 

 

椛は水を飲もうとしたことも忘れて、刀にふらふらと近づき、鞘から抜いて

刀身をぼんやりと眺める。そうして眺めていると刀身に直接貼られているお札

が目に付いた。

 

 

(もったいない…こんな綺麗なのにこんなもので隠してしまうなんて…)

 

 

椛は突然そのお札がこの刀を酷く冒涜しているような気持ちになった。

 

 

(剥がしても大丈夫だよね?博麗の巫女も文さんも何も感じなかったみたいだ

し、それに…もっと見てみたい)

 

 

心の中でだれにともなく言い訳しながらお札を剥がし始める。

そして、お札が剥がれ落ち、刀身が全てあらわになった瞬間――

 

 

――見つけた、私のご主人様

 

 

椛の意識は闇に落ちた。

 

 

 

 

 

 

しばらくして椛の体は起き上がり、自分の体を確認し始めた。

 

 

「これが今回の私のご主人様…。犬耳に尻尾?こんなのがあるってことは人間

じゃなくて妖怪ですよね。ふふふ…でも大丈夫です。持ち主が、使い手がどん

な方でも私のすることは変わりません。私はただの武器。以前はそれ以上を望

んだから失敗したのよ。だから今回はご主人のために闘い、斬り、殺すだけ。

しばらくお休みください、ご主人様。私があなたに勝利を捧げます」

 

 

そう呟いた椛の体は転がっていた刀を鞘にしまい、腰にさして暗闇の中に消え

ていった。

 

 

 

 

 

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