東方呪刀話   作:村雨 晶

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独自解釈、独自設定があります。
苦手な方はお戻りください。


3話目

 

 

――妖怪の山 白狼天狗詰所

 

 

妖怪の山は一種の軍隊だ。

天魔をトップとして、(昔は鬼がトップだったが。天狗は良くも悪くも実力主義なのだ)大天狗、烏天狗、白狼天狗と階級が下がっていく構成になっている。

また、同じ種族内でも階級が存在しており、上下関係が徹底されている。(椛に積極的にかまいに行く射命丸文のような例外は存在するが)

 

簡単に説明するならば、同じ白狼天狗ならば、大尉と少尉ならもちろん大尉の方が地位は上だ。しかし、烏天狗の少尉と白狼天狗の大尉ならば、烏天狗の少尉の方が地位は上となる。

 

そんな天狗の中での地位の差はともかくとして、いくら戦闘が主業務だったとしても組織だった動きをする以上、書類仕事は存在する。

そして、その書類を消化するために妖怪の山を見回るために山の各所に設けられている詰所には事務室が存在する。

見回りのルートはそれぞれ決まっていて、それ故に自然と事務室にいる天狗の顔は決まったものとなる。

 

 

ある白狼天狗はいつも通りに書類を提出しようと事務所に顔を出した。

そこにいるのはいつもの見慣れた面子。だが、今日は一人だけ見慣れた顔が存在していなかった。

 

 

「ん?今日はまだ椛は来ていないのか?」

 

 

部屋の中を見回しながら彼が疑問の声をあげると、書類と格闘していた一人の天狗が顔を上げる。

 

 

「そういえば今日はまだ見てませんね。寝坊でもしたんでしょうか。昨日も結構な量の書類を家に持って帰ってましたし」

 

 

椛とともに書類仕事をしていた天狗が声をあげるとまわりの天狗たちも口々に椛の情報を言い始めた。

 

 

「最近書類仕事に没頭してたからな、椛さん」

 

 

「この前侵入者を撃退した時に剣が折れたから鍛錬が進まないと愚痴ってましたね」

 

 

「武器がないから剣が支給されるまで見回り業務から外されたんだよな、確か」

 

 

「なんにせよ、寝坊なんて珍しいよな、あの真面目な椛さんが」

 

 

今入ってきた天狗はそれらの言葉を聞いて、少し考え、言った。

 

 

「今から見回りに行くやつがいるだろう。ついでに椛を見てきてやれ。本当に寝坊しているようだったら起こしてきてやれ」

 

 

「今から私が見回りなので行ってきますね」

 

 

ある女の天狗が席を立ちながら言う。

 

 

「ああ、頼んだ」

 

 

そしてその女白狼天狗は見回りの途中で椛の家に寄ったが、中はもぬけの殻だった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――幻想郷 太陽の畑

 

 

風見幽香は上機嫌だった。

 

今日はとてもいい天気で、太陽が自分の大好きな花たちに日光をそそいでいたし、新しく芽を出した花を見つけたからだ。

彼女は人里ではとても危険で凶暴な妖怪として恐れられているが、それは少し間違っている。

 

彼女は確かに幻想郷内では上から数えた方が早いほど強く、戦闘を好む傾向があるが、子供には優しいし、基本的に自分より弱い相手を傷つけたりはしない。

向こうから喧嘩を売ってきたり、花を無駄に傷つけるような者には容赦しないが、無駄な殺しはしたりしない。

 

 

ご機嫌に花の世話をしていた彼女は、自分の領域に何かが入り込むのを感じ取った。

普段なら適当に力を見せつけ、追い払おうとしただろう。

しかし、今回の相手はご丁寧にも殺気をまき散らしながらこちらに向かってきている。明らかに幽香を狙ってきている。

 

 

故に風見幽香は臨戦態勢をとった。周りの花に妖力で結界を張るのも忘れずに。

そして、侵入者は幽香の前に降り立った。

 

 

「誰かと思ったら妖怪の山の犬コロじゃない。殺気なんかまき散らして何のつもりかしら?」

 

 

挑発交じりに声をかけるが、侵入者――犬走椛はそんな言葉は気にもかけずに幽香に質問してきた。

 

 

「あなたがこの太陽の畑の主、風見幽香ですね?」

 

 

「ええ、私が風見幽香だけど。私に何か用かしら?」

 

 

幽香が答えると、椛は刀を抜いて切っ先を幽香に向けた。

 

 

「ならばその首、貰い受ける」

 

 

幽香は一瞬呆けると、笑い出した。

 

 

「あっはっはっ!!あなたが私を殺す?天狗の中でも格下のあなたが?それは随分と…、面白い冗談ねっ!!」

 

 

言い終わると同時に二人はぶつかり合う。二人を中心として衝撃が太陽の畑を走り抜けた――

 

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