東方呪刀話   作:村雨 晶

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最近忙しかったのとパソが不調だったというダブルパンチで投稿遅れました。
たぶんしばらくは投稿がまちまちになります。


9話目

 

 

――魔法の森

 

 

椛は走っていた。無我夢中で走っている間にも、永琳の言葉と思い出してしまった記憶が頭の中で渦巻いていた。

 

 

(違う、違う、違う!私はご主人様のために戦っている!蔑ろなんかにしていない!)

 

 

でも、と心のどこかで考えてしまう。

 

 

(でも、否定できなかった、八意永琳の言葉を否定できなかった!また、捨てられてしまう!ご主人様に見限られてしまう!)

 

 

(嫌だ、嫌だ!せっかく力を手に入れたのに!ご主人様の役に立てるのに!)

 

 

今の椛は酷く動揺していた。永琳に心の隙を突かれて精神が弱っていた。

だから、直前まで攻撃に気づかなかった。

 

 

――「幻想風靡」

 

 

ぎりぎりで弾幕に気づいた椛は全ての弾幕をグレイズし、回避する。

ここでようやく椛は目の前を飛んでいる人物に気が付いた。

 

 

「射命丸、文…」

 

 

「上司を呼び捨てですか、椛?いえ、今のあなたは椛ではなかったわね。」

 

 

文は冷たい表情で椛を見下ろしている。その眼は明らかに「敵」を見る目だった。そして、文は烏天狗としての任務を全うするために言葉を紡ぐ。

 

 

「天魔様からの命令よ、「暴走している犬走椛を捕獲せよ」とね。降伏するならば、手荒い真似はしないけど?」

 

 

「わ、たしは…、駄目です、降伏などできません。そうしたら私は私であることまで否定することになる…!」

 

 

椛は少し迷う素振りを見せるが、臨戦態勢をとる。

文はため息を一つ吐くと、呆れたように言う。

 

 

「そう…、残念ね、あまり椛の体を傷つけたくないのだけど。最後に一ついい?

貴方の名前は?いつまでも椛じゃややこしいわ」

 

 

「私に名前は無いですが、そうですね、…紅刃。周りの人間は私をそう呼んでいました」

 

 

「そう。それじゃ、紅刃。さようなら」

 

 

――「無双風神」

 

 

先ほどとは比べ物にならないほどの弾幕が椛、いや、紅刃に襲いかかる。

紅刃は刀を振り、弾幕を消し去るが、文はすでに次の攻撃を仕掛けていた。

 

 

――疾風「風神少女」

 

 

紅刃が反応できないほどの速度で文が突進する。その威力は文が操っている風の力も合わさり、局地的な台風を生み出すほどだった。

当然、避けきれなかった紅刃はそれをくらい、吹き飛ばされる。

 

 

「がっ…はっ…!?」

 

 

げほげほ、と紅刃がむせると、口を押さえた手には吐き出した血がべったりと付いていた。

ここにきて紅刃は文に勝てない、と悟る。

 

 

(速すぎる…っ!幻想郷最速だと聞いていましたがこれほどとは!これでは私の能力が当たらない、いや、彼女に対して使うことさえできない!)

 

 

「ふうん、八雲紫が警戒してたからどれほど強いのかと思ったけど、拍子抜けね。ここまで戦闘経験が無いなんて。能力に依存してるのが丸分かりよ?」

 

 

そう言いながら文は紅刃に近づく。その姿には、どんな距離からでも紅刃の斬撃を避けられる、という自信が見えていた。

だから、紅刃は逃げる算段をした。文が紅刃まであと5歩まで近づいた時、刃は振られた。

当然、文は斬撃を避けた。紅刃はもう一振りしつつ、逃走を開始した。

 

 

「待ちなさい!」

 

 

文は紅刃を追おうとする、だが、それはできなかった。

 

 

(体が動かない…!?いや違う、これは紅刃を追おうとする動作だけが封じられている…!?)

 

 

結局、文が紅刃を追うことができるようになったのは、これから30分後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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