学戦都市アスタリスク 黒白の剣と凛姫   作:Aike

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「黒白の剣と凛姫」、第1話です。では、本編どうぞ!


第1章 過去との決別編
第1話 戦うワケ


 中等部棟の2階、ユリスと別れて自分の教室に入ると、まだ他の学生はさほど集まっていなかった。精々、いつもグループを作って屯している数人の学生がいるだけだ。いつも通り窓際の最後尾にある自分の席に座り、携帯端末を使って今朝のニュースを確認する。

 

 「あぁ、またシルヴィアのライブがあるのか。チケットは・・・どうせまた即完売だろうなぁ、買わないけど。いや、行きたくないわけじゃないけどさ。」

 

 そんな事を呟きながら、端末を弄っていると。後ろから誰かに抱き付かれた。ある部分の感触と香水の匂いで大体想像はつく。

 

 「朝からブラコン全開で抱き付いてくるのはやめてくれないかな、姉さん。重い。あと貧相な胸が当たってる。」

 

 ペシン、と頭を叩かれた。地味に痛い。

 

 「女の子に対して『重い』は禁句!あと『貧相な』は余計!」

 

 むすーっとしながらそんな事を仰る実の姉ーーー双月光。悠より少し早く双月流の本家に生まれ、悠と共に双月流を習っていた稽古仲間でもある。そのせいかは分からないが、体の一部分が他の女学生と比べて育ってない・・・もとい、引き締まっている。

 

 「・・・今何かすっごい失礼な事考えてない?」

 

 「いいえ全く全然そんな事ないですよ?」

 

 「なぜに敬語・・・。まぁいいけど。」

 

 そういうと光は悠の前の席に腰を下ろす。そしてこんな事を聞いてきた。

 

 「悠はさ、冒頭の十二人(ページ・ワン)に入る気はないの?星導館で最強な私の最強な弟なんだし、普通に入れると思うけど。」

 

 冒頭の十二人(ページ・ワン)。各学園の上位12名の事で、その学園において相当な実力者である事を示す証のようなものだが・・・正直、悠はそんなものに興味は無かった。ちなみに、この姉は星導館の現序列1位である。

 

 「自分で最強とか言ってる内はまだ未熟だって父さん言ってなかったっけ・・・。まぁいいや。前にも言ったと思うけど、俺はあくまで星舞祭(フェスタ)で・・・というか、自分一人で戦える王竜星舞祭(リンドブルス)で自分の強さを証明したいんだ。だから、正直学院内で強さを争う事に意義はないと思ってる。だから序列とかに興味はない。以上。」

 

 「あぁ、そういえば前にもそんな事言ってたね。まぁ、私の弟なんだしいい所まではいくと思うけど・・・ガラードワースの聖騎士(ペンドラゴン)やレヴォルフの孤毒の魔女(エレンシュキーガル)は私はもちろん、悠でも厳しいと思うよ?」

 

 「それは分かってるよ。でも、やってみたら案外勝てるかもしれないじゃん。」

 

 「まぁ、それはそうだろうけど・・・。」

 

 自分は強くならなければいけないのだ。そう約束したから。彼女達をーーーシルヴィアと実里を己の手で守るためにも。

 

 「そろそろ他の生徒も入ってくるし戻りなよ。俺の事は気にしないで大丈夫だから。」

 

 「はいはい、分かった。トレーニングするのはいいけど、くれぐれも無理はしないようにね。」

 

 そう言って自分の教室へと戻っていく姉を見送り、視線を窓の外に向ける。自分が来た時にはまばらだった道が学生たちで込み合っている様子を見、クインヴェール女学院がある方へ視線を向けた。ちなみに案の定、爆睡していた夜吹は遅刻した上に反省の色を見せなかった事で担任にぶん殴られていたそうだ。

 

 「おい悠、何で起こしてくれなかったんだよ?」

 「起こしてもどうせ寝るじゃん、夜吹は。ていうか人に文句を言う前にまず自分が反省しなよ。」

 

 午前の授業の後。食堂で昼食を食べている所で、夜吹がそんな事を言い出した。悠としては良かれと思ってやった事だし、遅刻した事の責任は全面的に夜吹にあるので文句を言われる筋合いはないのだが。

 

 「悠の言う通りだろう。今回の件に関して言えば、悪いのは全面的にお前ではないか。悠を責めるのは筋違いだろう。」

 隣に座っているユリスが助け船を出してくれる。夜吹はと言えば、言い返す言葉を無くしてぐぬぬ・・・と唸っていた。

 

 「あぁ、そういや担任の先生が言ってたけどさ。夜吹、この前サボった分の授業の補修をバックレたらしいね。今週末補修やるから言っといてくれってさ。」

 

 「な、何の事かサパーリ分からんなぁ。俺はこの前ちゃんと補修に出てたぞ?」

 

 「それは2週間前の週末に受けたやつだろう。それだって遅刻してきただろうに。」

 

 ユリスが容赦ない言葉を飛ばす。完全に夜吹の負けだった。

 「いや、しょうがないじゃん!この前のは新聞部の仕事で忙しかったんだよ!?部長に頼み込まれて断りきれなかったんだよ!少しは譲歩してくれても・・・」

 

 「文武両道が基本の星導館でそれが通用するとでも?」

 

 「・・・ですよね、チクショウ。」

 夜吹、完全にノックアウト。

 

 

 ー放課後ー

 星導館には、巨大なトレーニングルームがある。魔女(ストレガ)純星煌式武装(オーガルクス)を用いた戦闘トレーニングが普通にあるため、かなり頑丈に作られているその部屋の中央に、一人静かに悠は立っていた。

 

 「・・・よし。」

 

 深く息を吐き、腰から2つ、待機状態の武器を取りだし、それぞれ右と左に持つと星辰力(プラーナ)を込めた。それに反応し、武器もまた発動状態へと移行していく。形状自体はガラードワース管理下の純星煌式武装(オーガルクス)ーーー白濾の魔剣(レイ=グラムス)に近いが、大きさとしては中型のもの。さらに星辰力(プラーナ)を込めると、万能素(マナ)が刃の形を造り出す。

 右手に握られているのは真紅のウルム=マナダイトをコアとし、紫陽花色の柄から漆黒の長刃が伸びている純星煌式武装ーーー絶煌の魔剣(ヴォルグ=ドラス)

 一方、左手に握られているのは黄金色のウルム=マナダイトをコアとし、蒼の柄から純白の長刃が伸びている純星煌式武装ーーー聖閃の魔剣(グロリア=フラム)

 どちらも、今は亡き両親が愛用していた純星煌式武装(オーガルクス)でありーーーこれまで6年、相棒として常に持ち続けている。

 

 「双月二刀流ーーー烈火。」

 

 そう呟き、体を動かす。聖閃の魔剣(グロリア=フラム)を右上段から袈裟懸けに斬り下ろし、それを素早く手返して左下段から逆袈裟に斬り上げる。同時に、逆手にした絶煌の魔剣(ヴォルグ=ドラス)を左下段から上段へ垂直に斬り上げ、素早く持ち変えて左上段から右下段へ袈裟懸けに斬り下ろす。さらに右手をしならせつつ右中段から左中段へ薙ぎ、勢いで体を回転させながら左右の剣を同じように薙ぐ。

 双月流は古流武術にあたる。剣術やその関連術については多々あるが、基本的な技は古流武術のそれだからだ。本当かどうかは分からないが、その起源は室町期より二刀流剣術を使っていた血筋のそれと言われている。

 悠が使うのは双月流の二刀。一刀に比べて手数を重視した型だが、彼の場合は純星煌式武装の二刀流に膨大な星辰力(プラーナ)を利用した流星闘技(メテオアーツ)で純粋な力の方も高めている。

 彼が今日トレーニングルームに来ているのは、この双月二刀流の技を一通り確認するためだ。

 「車連斬」

 「連舞」

 「狼牙」

 「***」

 

 

 

 「・・・まぁ、こんなものかな。今度から新しい技にもチャレンジしてみるか。」

 

 一通りの技を確認し、そう言いながら悠は純星煌式武装(オーガルクス)を待機状態に戻す。斬撃の余波で、壁や床のあちこちに傷がついていた。

 (約束は、絶対に守る。)

 そう心中で呟き、トレーニングルームを出ていった。




皆様、おはこんばんにちは。Aikeです。「黒白の剣と凛姫」、第1話を投稿しました。初っぱなから主人公の出番です。まずは主人公が戦う理由を重点にした話です。
ちなみに、夜吹はしばらくこんな感じで弄られ系キャラです(笑)
後々、過労死しそうな位に働いてもらう予定ですがね。
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