「……え?…なん…で?」
我が妹がキョトン、とした顔で俺を見つめてくる。
うん。今日も天使です。
「……え、えっとぉ〜…。……ど、ど、どうしていきなり?」
我が妹の唯はゆっくりと言葉の意味を吟味したようだ。
すこし間を置いて理解したのか挙動不審になっていく。
さて、今目の前にいる大変可愛らしい妹が此処まで困惑しているのには勿論理由がある。
俺が唯にとある重大なお願いをしたのだ。
そのお願いとは…
……『テレビ』だ。
……うん。
先に言っておくけど、
買って欲しいなんて事は言ってないからね。
ただテレビを見たいって言っただけだからね。
「…どうしてと言われても……見たいから?」
「ど、どうしてなの?」
「ぇ?…ぇえっと……社会情勢とかを知りたいから…かな?」
「ど、どうしてなの??」
「えぇ?…ん〜、やっぱりそういう事が全く分からないのはダメでしょ?」
「ど、どうしてなの???」
「えぇぇ、……ふ、不安になるからかな」
「ど、どうしてなの????」
何これ新手の哲学ですか???
【10分経過】
「30分だよ!30分だけだからね!!!」
「うん。分かったよ」
…長い…戦いでした……。
現在我が妹様は俺の膝の上に乗っていて俺が後ろから抱き締めている状態だ。
え?セクハラ?違います。兄弟のスキンシップです。しかも提案したのは妹様なのです。
俺が、
『お願い!!俺にできる事ならなんでもするから!!!』
と言ったら、
『な、なんでも!?…っは!だ、ダメよ私、私にはお兄ちゃんを綺麗に保つという使命が…』
と言うので、
『え、俺汚い…?もしかして臭かったりする??』
と問うと、
『そんな事ないよ!!寧ろずっと嗅いでいた…ゲフンゲフン!!と、とにかく、ダメなモノはダメだから!』
と返ってきて、
『………どうしても?』
とそれをさらに返すと、
『………ち、因みにだけど、
…例えば……昔みたいに頭撫でたり抱きしめて欲しい……とかはできる事に入るのかな??』
と可愛い返事で返され、
『え?寧ろそれはごほう…ゲフンゲフン!!
兄としてそれくらい当然だよ!!!』
すると妹様は、
『(…え、…うそ、夢じゃないよね?
…いや寧ろ夢じゃないとダメでしょ。
…ここま女子への警戒心がないのは幾ら何でも…、
……というかもしかして私異性として見られてない?
え、それはそれでショックだよ??ないよね??
……あ、信頼してくれてるのかな?
…うんそうだよね。でもなら尚更ダメだよね。
お兄ちゃんは違うくても私はもう実際にそういう風にお兄ちゃんを見ちゃってる訳だし…あ、でもその信頼を利用するっていうのもなんだか背徳的で…ってダメダメ!!欲望に負けちゃダメだよ私!!
……でも、お兄ちゃんが昔からずっと注意しても直さない理由ってそういう目にあった事やその情報がないからだよね?
でもお母さんは教えちゃダメだって言うし、なら今の内に経験させてあげなきゃダメなんじゃないかな??
将来知らない人に襲われてなんて欲しくないし、
なら多分途中で止まれる私が、
妹である私がお兄ちゃんの体に一つずつゆっくりと教え込んであげなきゃダメなんじゃないかな?
そう、
そうだよ、
お兄ちゃんは勉強が好きなんだから。
こういう事に関しては全く知らない無知なお兄ちゃんには先生が必要なんだよ。
そしてその先生の適任は私。
お兄ちゃんの妹の私が一つずつ丁寧に教えてあげなきゃ。
……お兄ちゃんはどんな表情するのかな?
やっぱり怖がるよね。
昔から夜に目が覚めて二度寝しようとした私に『トイレに行きたくて目が覚めちゃったんだよね』って言ってトイレについて来させて一緒にトイレに入るお兄ちゃんだもんね。
最近でも暗視用のマスクを付けたお母さんを見て1週間お母さんと私にべったりになるお兄ちゃんだもんね。
…あ、でもトイレの時も年上の威厳の為か私にも必ずトイレさせてたし顔に出さないように我慢するのかな??
……いや、お兄ちゃんの事だからよく分からない感覚に混乱するのかな?
でも大丈夫だよお兄ちゃん!!
私がその感覚は気持ちが良いって感覚なんだって教えてあげるよ!
そう、そうだよ、
いきなり襲われたら怖いだろうし警戒心を持たせる為にもお兄ちゃんに色んな初めてを体験させてあげるのは妹の責務なんだよ!!)
……仕方ないなぁ。なら……うん。最初は昔みたいに後ろから抱き締めて欲しいかな。(……その後は、私がちゃんとエスコートするから…)』
という流れで俺は30分のテレビの代わりに妹様を抱きしめているのだ。途中ボソボソと言っていたけどテレビの前ではそんな物は些細な問題である。
……さて、何故俺がテレビを見たいと言っただけでこんな話になったのかについて説明しよう。
それについては今世の七不思議から説明しないといけない。
七不思議……怪談などでよくあるものだが、
もし今世の七不思議を作ったらランクイン間違いなしな事象。
それが、我が家の全然使われないテレビである。
なんとこの家に引っ越して来てから俺はまだ数回しか使ったところを見た事がなかったりする。
なんでも、
教育に悪いし変な知識をつけて欲しくないから、と昔から母があまり見してくれないのだ。
なので通称、真っ暗な液晶(俺命名、その当時は点いているのを見た事がなかった。)である。
そんなテレビが初めて点いているのを見たのは、…そう、あれは確か数週間前、夜トイレに行った時だ。
◇◇◇
オレンジ色の小さな光だけが辺りを照らす。そんな部屋のベットの上で横になっている少年、勇希は思った。
やばい、トイレに行きたい…と。
もちろん前世を含めるととっくに成人している勇希はトイレに行くのが怖いなんて事はない。
子供の頃は夜に結衣の目が覚めたみたいでソワソワしていたから一緒にトイレに行ってあげたなぁ。なんて考えながら廊下に出た。
そこで事件はおきたのである。
トイレに行きようを済ませてから部屋に戻ろうとすると勇希はある事に気づいた。
ん?どっか明かりがついてる??
部屋から漏れる光で十分だと思っていたので廊下の電気はつけていない。にも関わらず違う方向から明かりが来ている気がする。
そう思って周りを見渡すと階段の下から光が漏れていた。階段の下を覗くとどうやらリビングかららしい。
もしや泥棒か??そう思い足音を立てずに下に向かう勇希。リビングの扉の横に着くとそっと中の様子を伺った。真っ暗な部屋の中には、テレビだけが点いていた。
はっきり言おう。この時点で恐怖がやばかったのである。
普段ついていないものがついている。しかもその画面の明るさは薄明るい程度。
冷や汗ダラダラである。
そしていきなりその薄明るい画面が フッ と消灯。
勇希の身体はなんかヒュッってなった。
だんだんと真っ暗闇に目が慣れ始めると、どうにもテレビの前に何かがあるらしい。勇希はスッと目を凝らした。そしてその像が鮮明になってゆく。それは……
…人型で、顔の肌が黒く、その顔で光をいくつも反射する何かがこちらを見ていた。
その瞬間、年齢とか無視して階段を駆け上り何事かと顔を出した結衣を見つけるとその身体を押し込み迷わず妹の部屋に駆け込んだ。結衣もなんかパニックになっていたけどかまってやれなかったのは悪かったと思う。
それから1週間、俺の提案で夜は皆んなで行動し、家族3人揃って俺の部屋で寝た。
俺の部屋な理由?防犯設備が謎に整ってるからだよ。
その後何も起こらず、
『普段使わないから怖く感じちゃったんだね!!』
と言い、朝は使うようになった勇敢な妹様を見てようやく俺の見間違いで落ち着いたのである。
で、なんでテレビを見たいかと言うと、単純に恋しかったのだ。ドラマやアニメ、お笑い番組。
……いや、だって全然見てないんだよ?
そして中学までは先輩、同級生、後輩、先生への対策を考えて時間が潰れたけど今は暇なわけなのよ。
《へへへ、姉御ぉ随分な上玉ですぜぇ》
《本当だねぇ、これは楽しめそうだよ》
《く、殺せ!お前らとヤるくらいなら死んだ方がましだ!!!》
《あははは!!バーカ!殺す訳ないだろ?しっかり私らの相手をして貰うよ!大丈夫。安心しな?このお薬を飲んだらとっても気持ち良くなれるからねぇ?》
《!!?なっ!?んん、〜〜〜〜っ!!ゲホッ》
《ふふふ、安心しなよ。ちゃんと死なないように飯もやるし食わないなら栄養剤も打つ。1日の回数だってちゃんと制限を設ける。男のスパイなんだ、死ぬ事が出来るなんて思わない事だね》
《な、まっ、ん!?ん〜〜〜〜〜〜っ》
………な、なんだこの超展開。
え、羨ましい……いや微妙だな。
流石に恐怖が勝ちそうだ。
でも男役、お前は喜んどけよ。いや、台本だってのは分かるんだけど…。
なんか悪役?は全員美人なのに男はブサイク。いややっぱ喜べよ。普通なら一生にそんな事出来ないよ??
「…お兄ちゃん……」
!!?!?
し、しまったぁ〜〜!?
ちょ、妹様!?
ヤベェよどうするよ俺なんか質問されても答えらんねぇよ。
「な、なんだ?唯?」
「うん。あのね?これ、どう思った??」
「え、う、うーん。なんて言うか…(なんか色々カオスである意味)恐ろしいかな」
「…うん。そっか、そうだよね。……怖いよね?」
「え?うーんまぁ確かに(こんなシナリオを考えた作者とこれを普通の時間から流す事を許可した奴らが存在すると考えると)怖いかなぁ」
「………そっか…。な、なぁんだ!そうなんだね!!もう!無駄に色々考えちゃったよ!!」
「?」
「お兄ちゃんもそう思うなら普段の行いを改めなきゃダメだよ!こんな事になったら怖いんでしょ??」
「ふふ、唯何言ってるのさ。俺そんな変な行動してないし、現実でこんな事ありえないよぉ〜」
「………うん。そっか、やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんだもんね」
「??」
「お兄ちゃんが悪いんだからね?私ずっと言ってたもん。パジャマを着てって。なのにお兄ちゃん全く着ようとしないんだもん」
「ゆい?」
俺の膝の上にいる妹様の様子がおかしい件について。
な、なんだこれは?!
戦闘力が6、7、8…ま、まだ上がるだと!!?
《ボフン!》す、スカ◯ターが!?
………まぁ冗談はさておき
妹様から黒い何かが湧き出てる気がする。
おそらく戦闘力50を超えたんじゃないだろうか。ちなみにこれは何も鍛えてない人を5とした時の数値である。
……こ、怖すぎないこれ?絶対今の妹様の目は血走ってると思う。
「もう我慢なんて出来ないよ。なんでパジャマ着てないのよ。あれがあればなんとでもなるのに…」
「………」
妹様、只今俺にギリギリ聞こえない声でブツブツと何か言っております。………とりあえず頭撫でとこう。子供の頃泣いてたらこうしたら泣き止んだし。
「よしよし。どうした〜(ナデリコナデリコ)」
「っ!………はぁふぅはぁ」
妹様がなんか泣きそうな件について。
目がウルウルしてる。
なんだ?嫌だったか??でも反応的には嫌がってないよな???
………まさか、おねだりか??小さい頃のように抱きしめながらしろってことか???
……やってやるぜぇ!!!
「どうした結衣〜!!元気出せ〜〜!!!(ぎゅ〜〜!!)」
結衣の頭に乗せていた右手を背中に回し引き寄せ左手で頭を胸に押し付けながら優しく撫でる。
すると結衣はビクッと反応をしてから腕を俺の背に回して身体を預けてきた。
「はぅ!?…はぁはぁはぁはぁ」
結衣が俺の胸で多分泣いてる。俺の背に腕を回しながら抱きついてくる身体が少し震え、肩で息をしているのか上下に動きながらしている息は荒い。
さらに言うならば鼻をスンスンと鳴らし続けているのが証拠である。
……なぜ泣いているのかはお兄ちゃんちょっとわかりません。
とりあえず背中を叩いてやる事にする。
「ほれほれ、大丈夫か?落ち着け〜(ポンポンポンポン)」
「ふぅふぅふぅふぅふぅふぅ」
なんか妹様が身体を捻ったり座る位置を前後に移動させたりして俺に擦り付けてくるようになった。
いや、待って、それはまずい。
何がまずいかっていうとこっち向いて抱きついてるって事は俺のこと跨いでるって訳で特に今回は右脚だけを跨いでるわけで両足とは違って間に隙間はないわけでぶっちゃけると感覚が伝わってくる上に成長途中の上半身も十分に凶器というかなんというか本当にありがーーゲフンゲフン!!!生理的に反応してしまう系でまずい!!
おおお落ち着け俺。無心だ。無心になるんだ。確かに結衣は可愛い。でも妹様だから。考えるな。これはあれだ。ペットが匂いを擦りつけてるのと同じだと思え。
……結衣がぺッーーゲフンゲフン!!無心だ。無心になるんだ!!
その後、5分ほどそれが続きその間俺はテレビを見ながら原因を必死に考えた。結果、恐らくこの原因はこのテレビだと判断した。きっとさっきの変なドラマを見て兄である俺もあんな風になるかもと考えて不安になったんだろう。可愛い妹である。
そして5分が経った頃、妹様はいきなりビクンと抱きつく力を強めた。
何度か段階的にグングンと締め付けてるから危うく飲んでいたコーラを吐くかと思った。
その後5秒程かけて力が抜けた結衣に『大丈夫か?』と声を掛けると惚けた表情で顔を上げた結衣はサァァっと顔を青くし自分の部屋に走り去ってしまった。
…………え?俺の顔そんなに身の危険を感じるくらいやばかった???
作中のテレビの内容
ジャンル、スパイ系?
とある秘密の組織に在籍していた男
↓
嫌いな女上司から指令を受ける
↓
いやらしい目をしやがってと思いつつも上司なため仕方なく指令を遂行するために犯罪グループに潜入
↓
すると何故か潜入した直後に捕まってしまう
↓
犯罪グループの卑劣な行為に怒りを覚え必死に抵抗するも様々な屈辱を味合わされ屈服
↓
そんなある日何処かに連れて行かれる
↓
そこで待っていたのは自分に指令を出した女上司だった
↓
男は真実を悟り、恨みを晴らそうと襲い掛かるが身体の筋力はすでに衰えており逆に組み伏せられてしまう
↓
そして何十日もかけて作りかえられてしまった身体は相手はあの憎い女上司にも関わらず反応してしまう
↓
そんな自分の身体の事が信じられず、しかし真実としてある事で男は完璧に屈服しそうになるが、そこである少女に助けられる
↓
しかし、彼はその事件が破滅の序章に過ぎず、その少女との出会こそが本当の破滅の始まりだとは知らなかった…。
続く……。
男、ブサイク又はフツメン
女、美女又は美少女又は美魔女又は美幼女
完璧にR18です。ありがとうございました。