事務屋の戦争(仮)   作:Pubの親父

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なんでこうなるのか分からないことに世界は満ちている。

あるいは世界を構成するのがそれなのかもしれない。



第0話「なんでこうなるの?」

19×× miyagi-pref,japan

第二次怪獣頻出期と第三次怪獣頻出期の狭間にあるこの事件は、きわめて重大なものである。しかしながら、対応をめぐる省庁間の縄張り争い・予算の配分などの関係から、事実上黒歴史と評され、この情報化社会でもほとんど表に出ることはない。

 

はっきり言ってしまうと、その怪獣の出現後、次の怪獣頻出期を迎えるまで怪獣は“ただの一体も”出現することはなかった。さらに言えば、その出現による被害に関しても極々小規模なものであった。勿論それまでの巨大生物災害に比較して、ではあるが。

 

どんな災害でも犠牲が出ることは不可避であり、また、それを無にすることは概念においては可能であろうが実際は不可能であり、それが出来ると公言するものはペテン師と呼ばれてもしょうがない。実際、その災害以降の怪獣災害を公言するものはその損害を無視して発言することはできず、それを無視するものは大きな批判を受けることになった。

 

当時、怪獣災害が頻発していたのは大都市、特に首都圏近郊であり、広島県福山市に出現した個体などを除けば、ほとんど出現した形跡がない。それは関西圏でも同様であった。

ましてや東北地方で出現する可能性はほとんど想定されておらず、実際にその個体が出現した際のパニックを誘発する一因にもなった。

 

結局のところ、宮城県某市に出現した怪獣は、市街地に大きな被害を生じさせ、迎撃部隊により殲滅したわけであるが、死者百数十人、負傷者千人以上を出す大災害となった。

その際の避難誘導のマニュアルの不備やら主管官庁の不明確さなど、様々な汚点を残す事態となり、そのすべての権限をGUYS JAPANへと移行させる契機になった。

 

そして、その災害である少年の死と、ある出会いと、その後の行く末が起こる・・・

 

20XX Kudanshita,chiyoda-ku,Tokyo,japan

とあるビルの最上階。眼下には東京の夜景が広がっている。

男「なかなかいいものだろう?東京の夜景を見ながら食事をするのは?」

男「ああいいものだね。目の前にいるのがお前さんでなければ。」

そういって互いに苦笑する二人。

男「で、要件というのは何だい?」

男「お前さんにはこの案件を考えてほしいのだ。」

そういって封筒を差し出す男。

封筒を開ける男。その中に入っているのは書類の入ったクリアフォルダ。

男「何々?GUYS JAPANへの出向要請書?おいおい、冗談きついよ。僕はね、政府職員じゃないのだよ。情報機関の手伝いをした元海兵隊員じゃあるまいし。ああ、彼は確か合衆国大統領だったよな。今じゃあ、また大統領になっているらしいな。しかも二度目の。和訳のタイトルを知っているかい?あれはひどいよ。ああ、うまいな。これ。」

男「そうだな。なかなかいけるワインとジビエのローストじゃないか?冗談じゃないよ。この件。」

男「理由、聞いてもいいよね。」

男「知っての通り、ウルトラマンメビウスの“ご活躍”もあって、この星から“敵性宇宙人”は現段階ではいない。そうなると人類が始めるのは・・・」

男「国家間、いや集団間の縄張り争い。いや、負の感情からくるすべてをめぐる争奪戦、そんなところか。」

男「そう。そうなると、対巨大生物戦で実績と経験のあるGUYS JAPANがその争いのおもちゃになるのは自明の理だ。そこで、機先を制してこっちで確保したい。ただ、諸外国にそう思われても問題がある。そこで・・・」

男「どっかのだれか、しかも政府系の審議会やらシンクタンクで手あかがついておらず、かつ思想信条にも問題のない人間。官僚出身者も政府系のにおいがするから×。政治家も利益供与に走りかねないから×。数は少ないか・・・で、僕?」

男「そういうこと。」

男「今の仕事はどうなるの?」

男「非常勤になる。要請した仕事のほうがね。あっちに連絡室を作るからそこの監視というか観察というか、監督だな。まぁ、見ていてほしい。週に2,3日顔を出せばいいから。ポジションは・・・非常勤参謀ということで。」

男の皮肉めいた表情に、男は渋い顔をする。

男「一応大学には話を通しておいてほしいなぁ。まぁ、要請があった以上はやりましょう。やるからには常駐ということにしてくれや。口添えは頼んだよ。あと、連絡室の人員は私にも選考の過程に口を出させてほしい。」

男「勿論。」

 

20XX ayase-city,kanagawa-pref,japan

神奈川県綾瀬市/大和市。旧UGM基地が置かれて以来厚木航空基地が歴代の対巨大生物対応組織の国内における拠点となっている。その正面玄関前に車が止まる。

それを迎える、GUYSの総監代理と補佐官。

車から降りる男。

男「お待たせしました。本日からこちらでお世話になる三田村です。」

女「ようこそGUYS JAPANへ。総監代理の西田恵です。」

男「総監補佐官の権藤俊明です。どうぞ、こちらへ。」

そういって通されるのは応接室。

三田村「今回出向してきました、三田村です。で、私は何をすればいいのですか?その点、全く聞かされていないもので。」

明らかに歓迎していない雰囲気である。

西田「三田村さんには状況管理室の管理をお願いします。何分、前回の怪獣頻出期から時間も経っていますし、諸機関との調整の業務もありますので・・・」

権藤「よろしくお願いします。」

頭を下げる二人。

三田村「その点は問題ありませんが、人員はどうなっているのですか?予算規模も知りたいのですが、その点はスタッフにしてもらいましょう。」

西田「実は・・・」

 

20XX ayase-city,kanagawa-pref,japan one month after

三田村「まぁ、そんなことがあってだな。」

そういって笑う三田村。

女「そんなことだろうと思っていました。官民問わず、奇人・変人・一匹狼・頭の切れる変わり者・組織の異端児、そんな人を集めたのですから。」

笑いながらそういう女。

三田村「政界・財界・学会問わず知人に声をかけて集めたよ。何せあっち(フェニックスネスト)の連中はこっちに全く興味なし。何のために永田町や晴海や立川と同じ様な設備を導入したのか分からないよ。予算消化のためかな?それとも関係諸機関へのジェスチャー?高田さん、どう思う?」

高田妙子首席事務官はそれを聞いて苦笑する。

高田「そうですね・・・そもそもなんで本部(フェニックスネスト)の隣のビルの地下にここがあるのでしょう?まぁ、その分私たちも仕事がしやすいのですけど。これが予算関係の資料です。」

そういってA4の紙の束を渡す高田。それを読む三田村

三田村「なるほど、予算関係は分かった。癖はあるがスタッフも優秀なのに来てもらったし、なぜか知らないけど全員私の知人だ。」

そういって笑う三田村

高田「そう仕組んだのはどこのどなたでしょうか?“室長”」

高田は笑い、三田村の肩書を言った。肩をすくめる三田村

三田村「国内の某名門大学の助教授からどこかの一介の名もない部署の室長になってもねぇ。まぁ、そもそもその某名門大学に行ったのだって、リハビリだからね。ここでも自然体でしますよ。各官庁からのアタッシェが結構常勤でいるしね。昼寝をしながら仕事ができますよ。基本は総務・作戦・情報・ロジと技開(技術開発)だけだからそこまで大規模じゃないし、それに実務はあちらに任せましょう。」

そのとき、メインの出入り口から大きな声がした。

女「すみません!助けてください!処理が終わっていない書類がこんなにあって、たいへんなのですぅ・・・」

入ってきたのは小柄で眼鏡をかけた女性と、女性にしては身長が高めの女性、そして小柄ながらいかにも鍛えています、という感じの女性の三名であった。

彼女たちが押しているのは、書類が何段にも重なった物流センターで使うような荷物運搬カートである。

女「どうしたのですか!?いきなり!そしてその書類の山は・・・」

女「助けてください・・・まだあと10カートあるのです・・・これ、何年分かのシステム未入力の書類の山なのです。総務関係に経理関係、整備関係にシステム関係・・・私、今年入局したばかりの主計課スタッフの南紀子といいます。」

女「次席事務官の綾部春奈です。しかし、すごい量ですね・・・」

あまりの書類の量に絶句する綾部

そこから少し離れた自分のデスクでその様子を見ていた三田村は傍にいる高田に小声で話しかける。

三田村「なぁ、高田さん。どうやら思いのほか仕事はありそうだぞ。システム入力というけったいな代物だけどね。嫌いなのだよね。あれ。」

 

すると先ほどの2名の女性が同じようなカートを押してきた。

移動時間の速さに若干感心する三田村

カートが運ばれてくる横で何とかしてほしいとほぼ泣きそうな声で綾部に頼み込む南。その様子に慌てて駆け寄る女性が2名。総務のスタッフである。綾部と何か話をしている。

3人の話が終わると綾部がこの書類の処理をしてもいいかどうかジェスチャーでサインを送る。

三田村「まぁ、しょうがないか。高田さん、立ち上げの作業は終わっているよね?」

高田「終わっていますね。技開の調整がまだの部分がありますが、その点はあそこのスタッフに任せてもいいかと。それよりも、あの書類のシステム入力ですか・・・あ、そうですよ。重大なことを忘れていました。」

三田村「何?」

高田「GUYSのシステム、何を使っているかどうか私たち知りませんよ。こっちは内閣官房のシステムをそのまま導入しましたから・・・」

ため息をつく三田村

三田村「その点をすっかり忘れていたな。しかし、あの書類を見る限りあっちはあてにはできないか。技開のスタッフを呼んでくれ。こっちで何とかしよう。」

そう三田村と高田が話をしていると、4名の女性がやってきた。

綾部「三田村さん、あの山片づけてもいいですか?」

綾部が書類の山をさしながら言う。

三田村「まぁ、良いだろう。そちらの方は?」

南「GUYS JAPAN主計課スタッフの南紀子です。よ、よろしくお願いします!」

確かに胸元のIDカードには「南紀子」と書かれている。

三田村「よろしくお願いします。私はここの室長の三田村謙です。」

綾部「あ、そうですね。こちらの方の紹介を忘れていました。今話があったようにこちらが三田村さん。隣にいるのが首席事務官、まぁ三田村さんの秘書官兼補佐官の高田妙子さん。

私の隣にいるのが総務の高田さんと淀川さんです。」

高村「総務の高村雄子です。よろしくお願いします。」

淀川「総務の淀川綾子です。」

そういって自己紹介する二人。

三田村「どうだ?入力はできそうか?」

高村「入力も何もないですよ、三田村さん。システム系どうするのですか?」

三田村「そこなのだよねぇ・・・私もうっかり入れていなかったのだよねぇ・・・自分たちGUYSのシステム系使わないわけだし。今、高田さんに技開の明石さん呼んでもらっているから何とかできるでしょ。南さん、南さん!意識がどこか遠い宇宙に飛んでいますよ。」

どこか茫然としている南の意識を笑いながら戻す三田村

南「は、はい!すみません。よろしくお願いします・・・」

 

書類は何とかシステム系の導入と、主計課などから空いている端末を持ってきて何とか1週間で入力した。

主計課のあまりの為体ぶりに、改めて西田から聞いていたGUYSの事務部門の酷さを実感するのだった。

 

三田村「高田さん、前途多難ですね。こんな調子で仕事を進められるのでしょうか?」

高田「三田村さん、それが仕事ですから。」

三田村「自分が辞めるころには頭から毛が無くなるか、完全白髪のジジイになっているでしょうね。」

力なく笑い、端末の設定作業やらシステムのセットアップの光景を見ながらため息をつくしかない三田村。

淀川「三田村さん。どうしますか?私たちがここに来たのはGUYSの監視やらその事務作業のサポートですが、このままでは実務をすることになってしまいます。」

三田村「淀川さん、多少の実務はやむをえません。ただ、あっち(フェニックスネスト)のバックオフィスはうちがアウトソーシングとして使うようにしましょう。そうでないとこっちの仕事が回りませんし、あっちは無駄飯ぐらいの巣窟になってしまいます。まず、フローチャートをください。そのうえでどの部門の実務を丸投げするか決めましょう。あと、我々が何をするのかもわかるでしょう。」

どこの世界でも、仕事の最初はこうだよな。三田村はそう思って天を見上げた。

 

 

 




うん。
あの本を読んでいるとあの会社がなんで新しいコンテンツを作れないかがよくわかった。

うん。
まぁ、ね。TBS関係が離れてテレ東に局が移った段階で新しいものができるとは思えなかったし、その考えはある意味当たっていた。

今のは、新しいように見えるけど、以前のものの再利用にしか過ぎないと思う。
なので、基本はメビウスのまま進展なし。
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