いつだって、災害と戦うのは人間。
人を救うのは、人でしかない。
さてさて、現場の暴走にシステムのダウン、状況をコントロールできない上層部と怪獣以上の災害となったこの状況。
どう処理しよう。
20XX ayase/yamato-city,kanagawa-pref,japan
フェニックスネストでは同じように爆笑とはいかない。
隊長以下殉職したクルーを知っている早田と諸星はあまりのショックに茫然としている。さすがにその状況下で爆笑するわけにはいかない張本と石上
石上「張本さん、一つ問題が・・・」
張本「なんでしょう?」
石上「ベムラー、どう対処するのですか?クルーはともかく、対抗策の一つであるメテオールの搭載と発射機能のある戦闘機が無くなりました。まぁ、探せばいいかもしれませんが、あったとしてそれを操る人はどうするのでしょうか?」
張本「・・・どうするのでしょうね?」
同じ問題は管理室でもすぐに持ち上がった。
女「問題です。自衛隊の攻撃もおそらく効かないでしょうし、対抗策としてまずあるのはメテオールですが、その搭載発射システムも人員もどこにいるのでしょうか?」
ロジ業務スタッフの黒田羽衣の質問に全員がハッと気づいた。
三田村「現状で確認するしかないでしょう。確かGUYSのライセンスは資格としてありましたね?ROTCとして考えればいいですか?」
高村「ROTCよりももっと柔らかいものですね。就職に有利な資格と言いますか・・・」
三田村「ここでライセンス持っている人!手を挙げて!」
ほぼ全員が挙手した。
高田「全員持っています。一応、取れるものはとっておかないと。学生時代に単位の代わりに取りました。」
苦笑しながら言う
三田村「分かりました。リーコンも全員持っていますね?」
高村「勿論です。」
三田村「高田さん、綾部さん、淀川さん、高村さん。大至急チーム4を中心して臨時の部隊編成を進めてください。あと、現在フェニックスネストにいる準隊員は全員招集してください。なんだかなぁ・・・ベルリン攻防戦でヒトラーユーゲントを中心にした防衛軍を編成している司令官の気分ですよ。」
そういう三田村に4人は苦笑する
高田「まぁ、竹やりしかない日本本土決戦ではないだけましかもしれません。少なくとも、パンツァーファストはあるわけですから。」
そう三田村を慰める一方で高村はリーコン・チーム4の招集を指示した。
こういう事態が進行していることを知らないフェニックスネストでは残った装備の確認に追われていた。
張本「ガンウィンガーとガンスピーダーが2機ずつ、計4機残っています。武装もエンジン回りも最新鋭機と同程度まで改装されているので運用可能かと。」
三田村「機種などこの際どうでもいいです。さしあたり、かき集められる人員を確保してください。そして、投入可能な状態にしてください。」
石上「オペはどうしますか?現状、人がいませんが。」
三田村「準隊員を総動員します。一応訓練は受けているでしょう?あと、ライセンスを持っているのでうちのチーム4を投入します。今、宇都宮から移動中です。システムの復旧状況は?」
張本「システムダウンの原因は分かりません。別系統で回線を引っ張るべく作業中ですが、なお時間がかかります。今夜は徹夜ですね・・・」
三田村「分かりました。明日にはシステムの応援部隊が来ますのでそれまで頑張ってください。石上さん、機材の投入可能の時期についての連絡を待っています。」
持ち込んだ移動体通信システムでの管理室との連絡をいったん中断した2人
石上「早田さん、現在ここにいる準隊員は何名いますか?」
早田「ここにいる私と諸星さんの2名だけです。」
石上「・・・はい?」
早田「準隊員として正規にいるのは私たちだけです。」
石上「つまり、装備はグレードアップされてはいるけど、運用人員は足りず。ですか?」
天を仰ぐ石上
張本「巨大生物が出現しなかったですからね・・・肝心かなめのところが平和ボケしていたということですね。」
石上「管理室に連絡しましょう。」
三田村「つまり、一人ずつ載せて発進させるしかないわけですね?」
女「はい。ただし、攻撃がうまく効くかどうかは分かりません。」
作戦業務スタッフの東山摩耶が報告する。
三田村「東山さん、防衛省の作戦は?」
東山「防衛省は統幕指揮下、東部方面総監部を指揮官とする統合任務部隊を臨時で編成しました。なお、この部隊は巨大生物が多数出現する場合には管轄の幕僚副長を置き、その直轄の部隊に再編されます。」
足原「その連絡では、特科の展開には時間がかかるため、機動性のある攻撃ヘリによるものとされたようです。」
三田村「足原さん、東山さん。どう思いますか?」
足原「我が国周辺情勢との絡みを考えますと、有人攻撃機によるものはリスクが大きすぎます。抑止力に限界があります。ドローンによる飽和攻撃が良いとは思いますが・・・」
東山「弾薬の問題があります。ベムラー以外の巨大生物が今後襲来した場合に弾薬がないというのは問題があります。それに、足原さんに言うように周辺情勢が緊張した場合を考えますと・・・」
三田村「GUYSにやらせるしかないか・・・この件、防衛省に意見具申してください。」
那田「三田村さん、チーム4が到着しました。そのままフェニックスネストに入ります。」
Guys japan base,kanagawa-pref,japan
三田村「その気はなかったが・・・GHQだな。」
高田「ええ。」
モニターには依然ベムラーが潜伏している龍ヶ崎湖が映し出されている。
三田村「チーム4を呼んだはいいが、考えてみたらどう使うかを考えていませんでしたね。戦闘機の操縦訓練を受けているわけではありませんし・・・」
足原「どうでしょう?陸戦兵器を持ち込んでは?」
東山「基本的に陸戦兵器はありません。乗用車にレーザー砲が乗っているようなものです。高機動車に毛が生えたようなものです。」
那田「いえ、乗用車がベースですから悪路での走行は不可能です。持ち込んでも意味はないですね。」
三田村「うちでの反撃は準隊員2名の航空攻撃だけということ?」
熊野「残念ながらそうなりますわ。」
三田村「かといって自衛隊にお任せ、というわけにはいきませんね。形式的だけでも送り込んでおきますか?」
高村「分かりました。ヘリを用意します。」
しばらくモニターをつけたまま業務をしていると、誰かが叫んだ。
「室長!湖面に動きがあります!」
三田村「天田さん!動きを報告してください。」
天田「湖面にベムラーを確認しました。」
熊野「フェニックスネストに発進を許可します。良いですね!」
三田村「熊野さん、行動を許可します。発進したのちは個々人の判断で攻撃を開始してください。県警からの連絡は!?」
高田「警察庁からの連絡では該当地域に避難該当者は確認できません。」
三田村「東山さん、2人に撤退を指示してください。」
東山「分かりました。以降は無人偵察機からの映像に切り替えます。」
すぐにモニターが無人偵察機からのものに切り替わった。
三田村「こうやってみると、変な話、なかなか男前なのですね。ベムラーって。」
思わずジョークを飛ばす。
淀川「ですね。でも、彼氏にはしたくはないですね。暴力的でしょうし、結婚したらDV男になりそうです。」
傍にいた全員が笑った。
女「室長、臨時編成航空隊が現場に到着します。」
鳥海亜季作戦業務スタッフが報告してくる。
三田村「分かりました。あとは・・・三隈さん、ちょっと来てください。」
総務業務スタッフの三隈めぐみを三田村は呼んだ。
三田村「三隈さん、あなたが中心になって被害査定評価の準備にかかってください。人員はここのアタッシェとあっちの主計課から出させてください。まだ、巨大生物災害基本法に基づくとは言われていませんが、万が一の場合遡及して、ということがあり得ますのでそのことを念頭に入れてください。」
三隈「分かりましたわ。」
三田村「ついでに。国交省と連携してライフラインの復旧計画と同時にこっちの攻撃の威力査定と敵の攻撃の威力査定を行ってください。情報セクションでは・・・衣笠さん!」
三田村は衣笠愛情報業務スタッフを呼んだ。
三田村「三隈さん、衣笠さん。こっちも敵もその攻撃の威力判定をしてください。大事な情報です。」
2人は承知しました、と答えると自席に戻ってそのための書類の作成を始めた。
モニターでは、無人偵察機からGUYSの残った戦闘機がベムラーに攻撃する映像が映っているが、作戦業務と情報業務の一部のスタッフを除き、それを見ている者はいなかった。
足原「室長!一機被弾!急速降下中!」
足原の声を聴いた全員がモニターに視線を戻すと、黒い煙を上げながらぐんぐん降下していく機影があった。
不時着したのかと思われると同時に、まばゆい光が起こり、その中から一人の巨人が、そう我々がよく見ていた光の巨人が現れた。いや、光の女神と言えるだろう。
三田村さん「作戦は終了に近づいています。備品の確認と購入をしてください。あと、コピー機に紙がありません。」
高村「分かりました。準備させましょう。ところでまだ固定資産へのナンバリングと台帳の整備ができていないのですが・・・」
三田村「こっちはやったばっかりでしょ・・・あっちですか?」
高村「ええ。しかし、固定資産というとすべてですね。機体もナンバリングするのですか?一回の出撃で撃墜ですと登録する意味がないような・・・」
淀川「だからと言ってしないわけにもいきません。」
モニターには光の女神がベムラーを投げとばし、弱まらせようとしている。
衣笠「問題はなぜフェニックスネストでシステムダウンが起こったかもです。場合によってはテロなり、ゲリラ攻撃があり得ます。内部犯かもしれませんし外部犯かもしれません。そのあたりの調査もしないといけません。」
三田村「やむをえませんね・・・高田さん。監察官を動かしましょう。こういう警察業務に出すのはダメだと分かっていますが、時間も人でもほしいところです。スタッフはアタッシェを使って、指揮は監察官でとってください。」
高田「分かりました。」
モニターでは光の女神が、ベムラーの光線を胸に浴びて苦しんでいる様子が映っている。だが、もはや誰も気にしていない。やはり、光の女神も必殺の光線技を出してベムラーを粉砕した。すでに胸のカラータイマーは点滅しているが、敵を倒したこともあり、空に向かって飛び立っていった。
三田村「さてみなさん。今回の事態対応の業務は終わりました。これからは後片付けの時間です。次回に向けての業務です。頑張りましょう。」
しばらくはウルトラマンはほぼ出てきません。
巨大生物災害もそうですが、災害に立ち向かうのは3分間しか戦えないヒロインでもなければバッタ男でもなければ特殊スーツに身をまとったヒーローでもありません。
極々普通の人間が処理していくのです。
「それが仕事ですから」