IS<インフィニット・ストラトス> for Answer   作:Akimiya

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とりあえず書けたので投下。


01-10 忘れ去られた者②/interlude

「「「あ、いたんだ」」」

「酷いですわっ!?」

 

 食堂に木霊するオルコットの声、その声は悲しく、幾分かの驚愕を孕んでいた。

 それはそうだろう、篠ノ之と同じく言葉を発していたのにも関わらず認知されていなかったのだから。

 

「誰よアンタ?」

 

 鈴音はオルコットにぞんざいに言葉を投げかける。お世辞にも友好的だとは言えない。

 

「……っ。いいですか、鳳鈴音。私はセシリア・オルコット。誇りあるイギリスの代表候補ですわ。私をご存知でなくて?」

「興味ないし」

 

 オルコットは米神に青筋を浮かべながら自己紹介をするが、鈴音は露ほどの興味も持たない。

 鈴音は直感的な要素を優先する傾向がある。発言に関してもその傾向があるのならば、発言一つ一つが意識しなくても他人に不快感を与える可能性が発生する。彼女は通常よりもそれが顕著に表れていることから、その可能性は高い。

 

 優は鈴音を観察しながらある程度の対応の方法を考えていた。

 類推から導き出された解の通りならば彼女と良好な関係を築く事は容易である。

 だがしかし、勘が良いという事には注意が必要だ。

 公衆の面前で自身の隠しておくべき情報について問い詰められると収拾できない恐れがある。

 とはいっても優が易々とボロを出す訳がない。仮にも傭兵、不用意な発言により自身及びクライアントを危険に晒す訳にはいかないのだから。

 クラスでは優は口数が少ない人物だとは認識されていない。今回は言うなれば潜入任務。無口であると此方の情報が向こうに伝わる事は少ないが、その代償として得る情報も少なくなってしまうのだ。首輪付きとして活動している時はただ戦うだけで、オペレーター(セレン・ヘイズ)以外とは殆ど会話も無かったし、情報は基本的にクライアントに与えられるだけであった。

(あの時は考える必要なんか無かったのにな)

 ただ守る、ただ壊す、ただ戦いさえすればよかったのだ。自分が意見することは無く、ただ向こうの筋書き通りにやるだけ。

 今思えばORCA旅団に参加した時だけ、アルテリア施設の破壊を決行するか否か、そのときだけは考えていた気がする。

 もし、旅団に参加せず、首輪付きのまま戦い続けていたならば――

 

「わ、私は貴方なんかに決して負けませんわよ!!」

「あっそ、私が勝つと思うけど、まあ頑張ってね」

 

 ――このような微笑ましい光景を目にすることなど起こり得なかっただろう。

 一般的な解釈の度合いから言うと微笑ましいとは言い難いが、日々傭兵(リンクス)として戦い続けていた、非日常に慣れ親しんだ彼にとってそう形容するには充分であった。

 ちなみに優がこうして考えている間、オルコットの顔は怒りで真っ赤に染まっていたのは秘密だ。

 

 

                   *

 

 

「一夏、あなたクラス代表になったんだって?」

「ああ、なんか成り行きでな」

「へぇー」

 

 鈴音が一夏にこのような言葉をかける。一夏は何かこっちに視線を一瞬向けて答えたがその視線は「お前が原因だ」と暗に語っていた。

 仕方が無い事だ。本来、自推他推は問わない代表に一夏は選ばれてしまった。そして、代表決定戦の後、オルコットと優は一夏を推薦したような形をとった。上に立つものは下からの信頼がないとやってはいけない、つまりあの戦いで二人の信頼を勝ち取った形になった一夏こそが相応(ふさわ)しかったのだ。一組に彼以上に適任な者は現状おるまい。

 ORCAに関していうのならば、上といえば最初の五人――特にマクシミリアン・テルミドールを想像する事だろう。彼は一種のカリスマのようなものを備えていた。謳われない(unsang)、とはよく言ったもので、企業連との戦いでは最後まで生き残るし、旅団内からの信頼も厚かったことから、個人的には十分に謳っていたと思っている。

 閑話休題。

一夏の返答に関してまるで興味が無いかのように答え、豪快に昼食のラーメンの汁を啜っていく鈴音。

 興味が無いように振舞ってはいるものの、一夏にそれを聞いた時点で興味が無いわけがない。

 器を両手で持ち、豪快に麺類の汁をに啜っているのはそれを隠すためにでも行っているのだろうか?

 

「あ、あのさ……ISの操縦、私が見てあげてもいいけど」

 

 ほらきた。

 鈴音は一夏から顔を隠し、目だけでその顔を眺めて言っているが、こちらには寧ろ丸見えであり、その頬が薄ら赤く染まっているのを確認した。

 しかし、これはあまりよろしくない。問題点は三つ。

 一つ、一夏と鈴音は対抗戦では互いに戦いあう存在であり、こちらの戦法を知られてしまうと厄介である。

 二つ、質に関しては置いておいて教育係は既に間に合っている状態である。

 そして三つ、この事態を一組の女子達は黙ってみているだろうか。

 答えは否である。

 

「一夏を鍛えるのは私の役目だ。私が、直接、頼まれたのだからな」

「貴女は二組、(わたくし)どもとは敵同士でしょう。敵の施しなど受けませんわ」

 

 オルコットよ、施しとは何か違うと思う。

 

「私は一夏に聞いてるのよ、外野はすっこんでて」

「お、お前の方こそ外野だろう?」

「そうですわ、これは一組の問題、ならば私たちがお教えするというのが自明の理、貴女こそ、一組でも無いくせに、後から何を図々しく――」

「後からじゃないんだよね。私の方が付き合い長いし、アンタよりもよっぽど」

 

 これは不毛な争いであると評価せざるを得ない。このままだと話は平行線、何の進展も無く終わる事だろう。

 優は表情に出さず嘆息する。

 現在、鈴音の付き合い云々と述べたことに箒が反応し話は混沌への道を辿っている。

 付き合いの長さから、一緒に食事をした、しないの話に変わっていく。

 早々に立ち去るべきだろう、このままでは自分にまで火の粉(といっても大したものではない)が降りかかってしまう。

 しかし、同時に一夏がどうなるのかというのも見てみたい。彼にとっては日常茶飯事なのかもしれないが、こちらとしてそういう経験は未知に近いものであり、なにより興味がある。

 だが静観するならばこれ以上ややこしくなるのは面倒だ。

 

(ファン)、教えるのは構わないが対抗戦が終わってからにしてもらえないか? そうすればこの二人も納得するだろうから」

 

 故にここに妥協案を提案する。

 

「高城!?」「優さん!?」

 

 まさか一組の仲間が裏切る(彼女達にとっては、の話だが)とは思っていなかったのだろう。 ご両人、顔が驚愕に染まっている。

 

「今は時期的に他のクラスを入れる訳にはいかないが、それが終わったら別に構わないだろう?

 これは一夏が技術を身につけるためのものだろう、ならば人手は必要だ。あまり多すぎては逆に邪魔になるが、現状では二人。一人二人増えたところで何も問題ないと思うが」

「それはそうだが(ですが)……」

 

 篠ノ之、オルコットの二人は言い澱む。反論する術は二人とも生憎持ち合わせてはいない。

 ここで頑なに凰の参加を拒否すると他に疑問を持たれかねない。大前提として「一夏を鍛える」というものを挙げている以上、暴挙にはでられないのだ。

 だが、ここは同じ組の誼みとして助け舟を出すのは忘れない。

 

「まぁ尤も、それで十分だと言わせられる要素があれば話は変わってくるがな」

「「!?」」

 

 そう、指南役は足りていると言わせる根拠さえ提示できさえすればこの問題は万事解決する。

 結果さえ出してしまえば文句の一つや二つは簡単に封殺できるだろうし、多少の我儘も通る。

 恋する乙女は盲目とはよく言ったものだ。

 恋愛に関しての彼女らの思考の早さには目を見張るものがる。

 

「ま、頑張る事だ」

 

 この言葉を最後に優は此処から去る。

 この後、女子二人のやる気は上限100%を超え、結果一夏は苦しい思いをしたとかしないとか。

 

 

                  *

 

 そこはただ荒涼とした世界であった。

 木々の一つも見受けられず、命の営みは見受けられない。

 所々に倒壊した、あるいはしかかっているビル群があり、元は高層であったのではないかと想定される。状態からは判断しにくいが恐らくは商業用に設計されたものだ。この地域は経済活動が活発であった様子が想像できる。

 

 何故、何故こうなってしまったのかと口にする人も少なくは無い。自然が牙をむいたのだと声を荒げる人がいるだろう、争いの極み、最終局面と言う人もいるだろう。

 残念ながらこの二つの意見は双方正解である。国家解体戦争及びリンクス戦争、この出来事を知るものならば理解するのは容易かもしれない。

 国家解体戦争とは、統治力を失い、テロや暴動等を頻発させていた国家に辟易した六つの軍事企業が既存の全国家に対し起こした戦争である。

 この戦争の注目するところは企業側が投入したネクストACという存在である。

 当時世界で使用されていた最高と評される兵器は『アーマードコア』であった。アーマードコア(ノーマルAC)は圧倒的火力、制圧力を実現、保持する人型汎用兵器であり、当然この戦争であっても主戦力として期待されていた。

 だがそれは幻想に終わる。アーマードコア・ネクスト(ネクストAC)と呼ばれる企業側の新兵器によってアーマードコア(ノーマルAC)は一方的に蹂躙された。

 ネクストACは『next』と銘するようにノーマルACの次世代機に位置する兵器である。その特徴は言わずと知れたコジマ技術、及びAMS(アレゴリーマニピュレイトシステム)であり、ノーマルACとは比べ物にならない戦闘能力を発揮、結果戦争を僅か一ヶ月で集結させた。

 ここで問題となるのがコジマである。コジマ粒子はネクストACには必要不可欠な存在であり、国家解体戦争を終結させた一つの要因と断言しても過言ではない。

 だが、コジマ粒子は軍事兵器(ネクストAC)に多大に恩恵を与えるが、対して環境に悪影響を及ぼすものであった。

 話を戻そう。国家解体戦争によって世界の実権は企業が握った。これによって世界の荒廃が始まったともいえる。だが、それはあくまでも始まりであり、直接的な要因は他にある。

 その要因は”リンクス戦争”と呼ばれる争いである。

 リンクス戦争を語る上であの人は欠かせない存在だろう。低いAMS適性であったために最初は政治的価値しかない小さな存在だと思われていたが、結果的に戦争自体を集結させるに至った(イレギュラー)

 アナトリアの傭兵。元は歴戦のレイヴン()であり、同時に最後のレイヴンである、()を。

 後にリンクス戦争と呼ばれるようになる戦いでアナトリアの傭兵は17機ものネクストACと対峙し、打ち破っている。無論一対一などという状況だけではない。一対多数の状況でも彼は勝利し、帰還している。

 極めつけは、レイレナード社を崩壊させた事だろう。国家解体戦争に参加し、世界の利権を握った大企業の一角を彼は単機で壊滅させてしまったのだ。

 これにより企業間のパワーバランスは崩壊、世界は混沌たる経済戦争の波に飲み込まれていった。

 リンクス戦争は『リンクス』という言葉から想像できるようにネクストACを用いた戦争である。

 先ほど述べたようにコジマ粒子は環境を多大な悪影響を及ぼす物質である。

 それがこの戦争にて大量に地上に散布されてしまったのだ。

 コジマ粒子を軍事産業に応用し、世界にばら撒いたのはその世界の人間である。

 だが、争いしか世界に辟易した世界が送り込んだ悪魔であると言えるかもしれない。

 

 この(ISが世界を左右させる)世界では、コジマ粒子に関する知識、危険度どころか存在すら認知されてはいない。

 作戦行動においてネクストACを使用するということは地上に汚染物質をばら撒くに等しい行為なのである。

 現状では放出されたコジマ粒子は自然の浄化力によって事なきを得ているが、このバランスが何時崩れ、汚染が始まるか誰であっても分からない。

 あくまでも現状だ。こちらが現在同時運用する戦力(ネクスト)は三機。現在の環境でと考えると問題は無い、と判断できる。

 だが――、もし我々が恐れている()()事態が発生するとなると話は変わってくる。恐らくこの世界はあちらとと同じく急速に滅びの一途を辿るだろう。

 現在、此方が確実に対抗できる戦力は先に述べたとおりである。これでは負けは必至、まずは戦力の増強である。

 だが、これに関しては当てはある。故に今急いで行う必要は無い。

 コジマ粒子の影響を無効化若しくは軽減する装置の開発こそが急務であろう。

 物事は常に最悪の事態を想定して動かなければならない。もし戦場にて継続的に此方の戦力の殆どを投入する場合、汚染のリスクは当然高まってしまう、少なくとも自らの手でこの世界の首を絞めるのだけは回避したい。故に、これを最優先の事項と設定させて頂く。

 

 サジタリウス及びグリムは現在の職務をこなしつつ、別命あるまで待機。

 時期等は分かり次第伝達されるように手配しておく。

 では、話はここまでだ。最後はこの言葉にて締めくくらせて頂く。

 

 

 人類に黄金の時代を……




最後の方、ちょっと今までと感じを変えてみました。
タグでアンチ・ヘイト付けているんですけど、アンチな内容って別にこれと言ってないような気がしています。このタグどうしよう……


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一言いただければ、と思います。

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            穴三 ドヒャァ
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