IS<インフィニット・ストラトス> for Answer   作:Akimiya

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戦闘が書きたいばかりに話にねじ込み、内容が変わったりかわらなかったり。
もしかして:難産
そしてちょっと短め。


01-11 訓練

01-11 

 

 朝、誰もが良い日だと言いそうなほどの晴天。雲ひとつ無く、青々しい景色が広がる空。

 時計の太針は8をまわり、学園という特性故、少し慌しくなっている。

 そんな中そこにいる人たちの態度は様々だ。

 ある人は長い髪を括りながら廊下を走る。ある人は友と談笑をしながらゆっくりと歩を進める。

 リノリウムの床が発する靴の音はどことなく心地の良い音色に聞こえ、壁が反響させる生徒達の元気の良い声はまだ眠気眼の人々の目を覚まさせる。

 ここで注意しておきたい事ある。このような場を見たならば、元気の良いと機嫌の良いを同じような意味として捉える人が時々現れるが、それは大きな間違いである。

 人が感じるのは雰囲気だ。

 周りのテンションの高さ、声量、気配、判断すべきところは多々挙げられるがそれは全て感じ、捉えて判断するのは人である。とするならばこれらを全体的に雰囲気と纏める事ができるかもしれない。

 周りの雰囲気に流されて勝手なイメージを抱いてはいけない。もしかしたら機嫌云々を表に出さず、仮面を被っている人が居るかもしれないのだから。

 だが、精神的に成熟していない、若しくは内に秘める事が苦手な人は、秘めることなく表現する事だろう。それは決して悪い事ではないし、視点を変えてみれば『良い』とも言えるかもしれない。

 しかし、その良し悪しは状況によって変化していく。そう、常に。

 

 

 

 

「んあーっ、もーっ。なんであんなに鈍いのさっ!!」

「知るか」

 

奇声を上げるのはツインテールの少女、その黒髪は太陽光を反射し、黒曜の如く光り輝いている。

 その小柄体躯はさながら猫を彷彿とさせ、その瞳は愛玩だと暗に述べているのか人を惹きつける様な魅力を放っている。

 だがしかし、行動が残念である。髪を振り乱し狂乱する様はまるで駄々をこねる子供。彼女の年齢を考えると少々予想できない行動だ。

 優は呆れ顔でその光景を眺めている。それはもうすごい顔で、どこぞの逆流王子も真っ青である。

 今はそろそろ朝のSHRが始まろうかとする時間帯。一組では遅刻は即ち女帝による出席簿制裁を意味している。優にとってその制裁を掻い潜ることは出来るものの、できることなら出来事自体を回避したい。

 

「でさ、私は言ったのよ。『約束は覚えてるか』って」

「ああ、で?」

「それをアイツは何て言ったと思う? 『奢ってくれるってやつか』よ!? 信じられる!? アイツ私が言った事の欠片も理解してなかったのよ、信じられないでしょ!?」

「……そーだな、アイツはあんな奴だからな……うん、仕方が無いと思うよ?」

 

 最近思うが、相当一般的な行動をとるようになってきたと思う。首輪付きの時はそもそもあまり喋らなかったし、あちら(束ラボ)では最近テルミドールの口調を意識しているだけに最近どれが素であったかが曖昧だ。だが、仕方ない事であるしあまり気にすることは程ではない。彼の口調はこれから必要になってくることだろうし、自分は自分、それは不変であるのだから。

 それにしても一夏の朴念仁には頭を悩ませられる。どうしてああも鈍いのか、これでは一種の才能だと言わざるを得ないではないか。幼い頃からそのような経験は無いという事は知ってはいるが(ソース元は篠ノ之束である)それにしても鈍すぎである。

 彼のあの特性に関しては優も半ば諦めかけている。いくら技術的な支援を得た山猫でもできるのは戦力的な介入だけであり、こういった精神的な問題に関しては門外漢であるのだから。そこまで完璧超人ではない。

 

 優はチラリと左手に巻いている腕時計を見る。時計の針は刻一刻と始業時刻に近づいている。

 廊下に出ていた生徒はあらかた教室の中に入っていった。ざっと見渡して今廊下に居るのは自分達を含め数名。頃合だ。

 

「凰、話に関しては一夏にも聞いてみよう。だからとりあえず教室行け。遅刻は勘弁だ」

「あー、そういえばもうそんな時間か。わかったわ、じゃあまた後でね」

「ああ」

 

 そういえば、対抗戦の組み合わせの発表って今日だったなと、小さな声で呟きながら教室へと入る優であった。

ちなみに数時間後、彼は一夏の対戦相手が凰であることを知ったようだ。

 

 

 

 

                  *

 

 

 

 日は変わり五月。鈴音がIS学園に編入して数週間が経過した。

 怒りは短い狂気である。この言葉より判断するならば人の心情的な問題は時間が解決してくれると言えるかもしれない。

 だが時間によって解決されるのであればその逆――間違った考えが憎悪を呼んだり、悩みすぎて逆に答えが導き出せなくなったりすることもあるだろう。

 結論から言えば人の心はそう簡単なものではないということなのだが。

 

 数週間の時を経た訳だが、凰鈴音の機嫌が治ることは無かった。

 彼女の性格ならば想像に想像を重ね(悪い方向に)機嫌を悪くしそうなのだがそれはなかった。一部の話によると彼女の考えを矯正する話し相手が居たらしいのだが詳細は不明である。

 しかしながら、それは後ろに般若を従えている、いない程度の差異であり、特定の人物にとっては十分脅威である。

 

「さて、来週から対抗戦期間にはいる。日本内外からのIS関係者、国家重鎮の方も見学に来られる。自分の行動に責任を持て、お前達の行動一つ一つが世界を左右する要因に成りかねん。

 また、対抗戦用の調整がはいるので、一部施設は今日をもって使用できなくなる。各人気をつけるように」

 

 織斑千冬のこの言葉にて午後のSHRが締めくくられた。今日はもう授業は無く、放課後の自由時間を残すまでになっている。

 一夏はアリーナにて対抗戦に向けて猛特訓を行っていた。荒削りながらもその戦闘スキルを磨き、素人とは呼べないレベルにまで達していた。

 

「オオオオオッ!!」

 

 横薙ぎに振るった雪片が前方から放たれる光線を消滅させる。

 その後直ぐにその残心を利用して体勢を変え、続けて放たれる四方からの光線を回避する。

 

「くっ、往きなさい、ブルーティアーズ!!」

 

 セシリアは回避された事に驚きながらも直に追撃に出る。直後に狙撃銃(スターライトMk.Ⅲ)を連続で発砲。ただ愚直に放たれたわけではない、一発を除いて全てが白式の回避位置を予測して放たれた。偏差攻撃、(あらかじ)め敵の回避するであろう位置に攻撃を加える事で相手に損害を与える高等技法。敵はそれによって『逃げても撃たれる』という幻覚を植えつけられ、回避挙動を制限する心理的打撃をも与えることのできる代物だ。

 放たれた光線は全部で5。まるで白式という白鳥を捕らえる檻の如く放たれた攻撃の内いくつかは白式の零落白夜によって消滅させられたが一撃は肩の装甲を抉り取った。

 一夏は悔しさに少し表情を歪めたがそれも束の間、零落白夜の使用を止め雪片を実体剣に戻し、セシリアに向かってきた。

 近接特化機に距離は不要、その特性をやっと掴めてきたのか回避一つ一つも距離を詰めるようにしている。

 嬉しい、こうまでも貪欲に自分達に近づこうとする精神が。そして同時に嫉ましい、彼をこのように思い至らしめた人が。自分でないだろう。では誰だろうか、幼馴染、姉、世間? そんなこと分かる訳が無い。個人的には姉というものが一番有力であると思ってはいるが、それはあくまでも起爆剤。では燃料は? 彼をここまで燃え上がらせる燃料となっている人は誰か。

(そんなもの、考える必要も無いですわね)

 もう一人のISを動かせる男、バランスなど明後日へ捨てたかのようなピーキーな機体を乗りこなす謎の少年。

 彼の事を考えてみると一夏の操作は彼のそれを意識したものだといえないこともない。

 尤も、彼の動きを模倣していると仮に言うのであればあまりにも未熟だと言わざるを得ないし、それ以上に姉の影響が大きいと思うが。彼は一種の天才だ。個人的には絶対裏があると思っているが(普通の素人にああも簡単にあしらわれるわけが無い)巧妙に隠蔽しているのか強固に統制してあるか、はたまた単純に思い過ごしなのかは分からないが、全く情報を手に入れることが出来なかった。

(ここは、本人に直接訊くしかなさそうですわね)

 これが最善。悪手ではないだろう。分からない以上、聞くしかない。

 

 セシリアは足元に控える二機のミサイルビットに命令を下す。

 手元のライフルは不用意に連射できない。排熱を十分に行わないのは悪手、主武装の使用不能は形勢逆転の要因になりかねない。

 本来スターライトmk.Ⅲは狙撃銃であり連射には向かない。更に実弾ではなくレーザーを放つ特性上熱の蓄積は避けられない。

 故にセシリアは今まで温存していたミサイルビットを使用する。

 ミサイルはセシリアの武装の中で数少ない運動エネルギーにて敵を攻撃する武装だ。

 

「放ちなさい!!」

 

 ビットから一斉にミサイルが発射される。

 一夏はその操縦の未熟さ故に移動に多様さは無い。あくまでも直線的な動きが主体の且つ真正面から向かってくる彼に攻撃を当てるのは容易なことだ。

 故に命中は必至。距離を詰めようと躍起になっていたためか確認が遅れ全弾命中した。

 先に述べたように彼の動きは()()()()()()の模倣だ。彼らの動きは高い技術があってはじめて形を成すものであり、それがただの素人に再現できるはずが無い。寧ろ逆、彼らの動きは実践ならば一歩間違えると死に直結する程。平たく言えば、彼の今の行動は自殺行為に等しい。それが仮にも代表候補であるセシリアにとってただの的。この機を逃すわけが無い。

 そしてミサイルというのがいけなかった。

 ミサイルの爆風は衝撃を放つ。普段そのような兵器を身に受ける事のない一夏に耐性など着いている筈も無く――

 

「ぐあああっ」

 

 散らすことなく全てその身に受けるのだ。

 硬直。ISの性能をもってしても吸収できなかった衝撃は機体の動きを止めるには十分なものであった。

 そしてこの瞬間にできた隙は勝敗を決め付けるには十分なものだった。

 セシリアは冷却が終わったスターライトを構え、標準を白式に合わせる。

 

終曲(フィナーレ)ですわ」

 

 放たれる蒼光。試合終了の鐘が鳴る。

「またかーっ」と悔しがる一夏を見て、セシリアはまるで幼子を見守る親のように優しい表情を浮かべていた。

 

 

       *

 

 

「まったく、お前は無策に飛び込みすぎる」

 

セシリアとの模擬戦を終えた一夏に待っていたのは幼馴染の説教であった。

 

「お前は千冬さんや高城とは違うのだぞ? 無謀すぎる。あれは自分から弾に突っ込んでいるようなものだ。

 お前に今必要なのは戦況を見極める目だ。精進しろ一夏。いまのそれは自殺行為だ」

「ってもなぁ、どうにもわからないんだよなぁ」

 

 分からなくて当然。箒のいう目とは長年の経験から身につく一種の心眼のようなものであり、そもそも経験が不足している一夏には現段階では習得できない。

 しかし一夏のあの動きを形にするならばどうしても必要となってしまう技術だ。

 

「それは知らん。自分で気付くべきだ」

「ですよね……」

 

 一夏も分かってはいるのだ。だが如何せん完成に近づくことは無い(尤も元々無茶な話なのだから仕方が無いのだが)。

 

「まぁいい。一夏、千冬さんが言ったとおり、来週からいよいよ対抗戦だ。アリーナの調整の事も考えて実質特訓も今日で最後だ。次は本番。日本男児として無様に負けることは許さんぞ」

「ああ、あれだけ必死にやったんだ。こんどこそ白星をもぎ取ってやるさ」

「無論だ、お前ならきっとやれる。なぁセシリア?」

「当たり前ですわ! この私が訓練をつけているのですわよ? 当然のことでしょう!?」

「対中距離射撃型の対策は問題ないだろう。あとはお前次第だ」

「ああ、任せとけ」

 

 一夏はそういって待合室を出、更衣室へ向かう。

 ドアセンサーに手をかざし、更衣室にはいるとふと黒い影が目に入った。

 

「一夏!!」

 

 闖入者は一夏が良く知る人物であり、それを確認した一夏は今日何度目かの溜息をついた。




セッシーとモッピーの仲は良好のようです。
さて、次回はついに戦闘。そして彼らが動き出します(つまり物語が動き出します)。
無理やり戦闘をねじ込む訳ではないのできっと……書ける……はず……です。


高評価をいただければ幸いです。
また、誤字指摘を含む感想も受け付けております。
一言いただければ、と思います。

5以下の評価をつける方は可能ならば「どこが悪かったのか」「どういう所を直したら良いのか」というのを感想の方に記述してくださいますようお願い申し上げます。


挿絵機能が追加されるようですね。だんだんと機能が拡張されていく。運営さんの手腕に感謝。
そういえばこのサイトってTwitterとかの情報を開示してもいいものなのだろうか、もし開示してもいいなら更新報告とかそっちでもやりたいですね.というか連携機能つけてくださいお願いします

2013/05/12 誤字修正及び表現を一部修正
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