IS<インフィニット・ストラトス> for Answer   作:Akimiya

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さて、お待たせいたしました。戦闘回です。
途中英文が混ざりますが、間違ってても気にしない方向で。


01-12 騎士は龍と邂逅す

 時計の針はそろそろ午前10時を回ろうとする頃、第2アリーナは猛烈な熱気に包まれていた。その熱気は若干の狂気めいたものを孕んでおり、各地から言葉が飛び交っている。

 それもそのはず、今日は待ちに待った組の代表達によって行われる戦い、対抗戦が行われるためだ。各人の視線はアリーナ内の試合場に向けられているが、篭められている感情は様々だ。それは期待だけとは言いがたい。そこにはまるで値踏みをするような不躾なものも存在していた――恐らくはどこかの企業や国の機関のものなのだろう。機体を把握し、パイロットを見極め本社本国へ送信するための端末、戦闘ログを残すためのカメラ、各種感知機器。隠す気はさらさら無いのか一部ではまるで要塞のように機器を展開しているところもある。

 まるでモルモット、クラス代表はモルモットにでもなったのかと思ってしまう状況。しかしながら、周りの生徒――特に上級生達は疑問に思っている様子はない。

 これが日常なのだろうか、だとするならばここはどんな魔境なのだろうか。()自身これがこの状況が日常に変わってしまうと思うとぞっとしてしまう。

 

「まったく、冗談きついな。こりゃ相当だぞ」

 

 まぁ、だからこそ自分の行動も怪しまれる事がないのだろう。木を隠すなら森の中、とはよくいったものだ。

 確かに、要塞のように機材を展開している所まであるのだ。人々が注目するなら彼らだろう。つまりそれは自分が行動し易いということだ。これ以上望むことは現状では不可能だろう。

 

 周りから歓声が沸きあがる。空中の電光掲示板に生徒の情報が記載されたのだ。そしてそれに続くかのようにアナウンスが流れてくる。

 始まるのだ。雛鳥による戦いが。尤も、自分からしてみればとんだ遊戯に過ぎぬが、まぁ模擬戦だと思って暫し観戦するとしよう。

 そして――時が来たらならば――

 ()は言葉を発すことなくただ静かに、口を噤んでアリーナに目を向けるのであった。

 

 

         *

 

[Starting Combat_System || change to Combat_mode from Nomal_mode ]

[Starting SubSystem_A and Subsytem_B ……Completed] 

[Activating FCS(射撃管制システム)……Skip]

[Activating RCS(姿勢制御システム)……Completed]

[Completed starting Combat_System]

[MODE:Combat, Infinite_Stratos:Byakushiki activated]

 

 生身の時よりも明瞭な視界。湧き上がる万能感。四肢がまるで生身のように可動する。

 この感覚だ。そう、この感覚だ。一夏は高揚感に身を躍らせていた。

 決して力に酔ったわけではない。決して慢心ではない。なぜならば目の前に待ち受けるは巨大な壁であり、技術的には自分が大きく劣っているからだ。

 力の差は歴然。このままでは結果は明らかだ。しかし、思ってしまうのだ。こいつ(白式)と一緒なら何でもできると。

 根拠など無い。それを為すだけの力も今の自分にはないだろう。しかし、それでも、そうだとしても――

 

「俺は、やるんだ」

 

 根拠など必要か? そこまで世界は絶対か? そうではないだろう。たとえ1%でも0.1%だとしても、0ではない。どこまで値が小さかろうとも0でなければ、やる価値はあるのだ。

 

「一夏、今謝るなら痛めつける程度を変えてあげるわよ」

 

 まるで自分が絶対強者かのように告げる鈴音。展開しているISの装甲と相まって、威圧感をかもし出している。なんとも優しい心遣いだ。だが、その気遣いは俺には――

 

「そんな器量持ち合わせてないくせに、よく言う。本気で来い、鈴。」

 

 ――不要だ。

 双方同時に武装を展開する。

一夏が展開するは近接ブレード『雪片弐型』、対して鈴音が展開するのは一振りの偃月刀――異形ではあるが恐らくそうだ。

 鈴音はまるでバトンを扱うかのようで重心近くを掴みくるくると回す。

 

「一応言っておくけど絶対防御は万能じゃないのよ。貫通さえしてしまえば本体にも損傷を与えられるわ。だから……覚悟しなさい、一夏」

 

 偃月刀を回すのを止め、構える。

 その目はまるで炎の如く燃え盛っていた。更に若干の殺気も含んでいる。

 鈴音の動きに呼応するかのように一夏も雪片を正眼に構える。

 一夏の武装は近接特化、対して鈴音は中近距離。相性は決して悪くない

臨戦態勢、開始のブザーが鳴った瞬間に両者は激突するだろう。

 両者の間には形容詞しがたい火花のようなものが散らされ、

 

 開始のブザーが鳴った。

 

最初に動いたのは鈴音だ。

 鈴音は偃月刀を大きく振りかぶり、白式に叩きつけてきた。一夏はそれを雪片を偃月刀の刃の腹に当て、軌道を逸らす事で回避、お返しとばかりにそのまま返し刃で甲龍を切りつける。

 鈴音は重心を支点とし偃月刀を回転、柄部分についているもう一つの刃で雪片を受け止めた。

 単純なマシンパワーでは甲龍の方が上。一夏は鍔迫り合いになることを避け、大きく回避した。

 

「へぇ、初撃を凌ぐなんて大したものじゃない」

 

 甲龍の肩部装甲が展開する。データにあった、あれが恐らく中距離武装。

 それに実体は無く、防御は困難。不可視不定形の弾丸。

 一夏は射線を避けるように横に回避した。直後に放たれた透明が一夏の髪を揺らす。

 

「へぇ、龍砲(りゅうほう)も避けるなんて、砲身も砲弾も見えないの……にっ」

 

 連続して偃月刀に夜攻撃を連続して加える。技量のあるものならば力任せな攻撃など全て往なしてしまいそうなものだが、如何せん一夏にそこまでの技量が備わっているわけではない。

 鈴音の武器は雪片よりも巨大だ。正面から受け止めるにはそれなりの覚悟がいるし動きも制限される。

 

「捕まえた」

「ぐっ」

 

 もし鍔迫り合いになった場合、武装が刀剣一つの一夏と、複数ある鈴音の場合どちらが有利だろうか。そして甲龍の衝撃砲は腕部の状態に依存しない。即ち、

 甲龍の両肩から衝撃砲が発射される。それは鍔迫り合いで体勢が崩れている一夏に確かに突き刺さった。

 衝撃砲では射撃型の主砲のようなダメージは与えられない。しかしながら、それは重要な事ではない。この兵器の特筆すべきなのは衝撃だ。

 衝撃を与えると短時間であるが敵の体勢を崩し、戦況を有利に持っていく事ができる。特に、近距離で放った場合は手持ちの武器の攻撃を防がれる事なく与えられる利点がある。

 

 衝撃砲の二連射撃を受けた一夏は衝撃で体を硬直させた。機体も衝撃に耐えることができなかったのか稼動部に不具合が発生し、メッセージとなって一夏に伝えられる。

 鈴音はその隙を逃さず一夏に偃月刀の一撃を放った。

 元々パワータイプの機体に巨大な偃月刀だ。幾ら重心付近を掴んでいようとも伝わる力は凄まじい。白式はその装甲を大きく散らせ、後方へと仰け反った。

 

「まだだ、鈴!!」

 

 しかし一夏は諦めない。まだ負けていない、まだ逆転の余地はあると考えながら甲龍から離れ、早急に体勢を立て直す。

 しかし離れすぎてはいけない、武器構成的に離れるのは悪手。特訓の成果か、一夏も理解しているようで体勢を立て直して直にスラスターの方向、出力を上げ、甲龍に向かった。

 甲龍がパワータイプなら白式はスピードタイプだ。パワーでは勝てるはずが無い。ならば勝っている点で対処すればいい。そして一夏にはまだ彼女には見せていない奥の手がある。

 ――瞬間加速と零落白夜の併用。

 現在一夏が持ちえる最大の切り札。

圧倒的加速下から放たれるエネルギー無効化攻撃。ただででも零落白夜は相手のシールドエネルギーを貫通するというある意味鬼畜ともいえる能力を持つ。それに加え瞬間加速で得られる速度だ。防御特化ならいざ知らず、通常の競技用ISでこれに耐えられる機体はそうそうない。

 鬼札とも言える代物を一夏は使う事ができるのだ。そして極めつけは、向こう(鈴音)がその鬼札を存在知らないということ。

 白式は完成したのはここ最近であり、武装データ、スペックデータもまだあまり広まっていない。それに一夏は公式の場で戦った事が全くなかったために鈴音は彼の戦法、機体の情報を入手する事ができなかった。

 しかし仮にも代表候補、直に対応する事だろう。故に通じるのは初見のみ。二度目など甘ったるいことは言えない。

 一夏に選択肢など無い、いや必要ない。近接武装に関しては如何に少ない機会を生かすという要素がそのまま勝利に繋がるのだから。それに零落白夜の糧は自機のエネルギー、外せばどの道敗北は確定だ。

 真っ向からは分が悪い、離れても砲撃が待っている。ではどうするか。簡単な話だ。

 自機の特性を生かして一撃で叩き潰せばいい。

 

 一夏は空を駆けた。白い閃光となって宙を駆けた。スラスターの出力は一瞬で最大まで挙げられ、体に強烈なGが襲い掛かる。

 だがそんな些細な事は無視する。ISの保護機能が働いている故、大事はない。

 雪片の刀身が実体から蒼い光を放つ煌びやかなエネルギー体に切り替わる。

 単一仕様能力『零落白夜』。白に蒼が混ざる様子を見て観客は流星のようだと認識する事だろう。

 

「なっ!!」

 

 鈴音の焦ったような声が聞こえる。当然だろう。一夏のような初心者がこんな高等技術を使うなど欠片も思っていないはずなのだから。

 

「おおおおっ!!」

 

 賭けは勝利。鈴音の一瞬の隙を突いて一夏は懐に入った。偃月刀は巨大なため細かな取り回しは出来ない、衝撃砲も今の状態では放つことは出来ない。つまり今の鈴音にこの攻撃を防御する術はない。

 一夏は甲龍の胴体を切り裂こうと雪片を振り下ろす。

 しかしその耳で捕らえたのは攻撃が届き装甲を破損する甲龍の音ではなくシールドが割られ、辺りに衝撃が広まる音であった。

 

                 *

 

「さて、じゃあやりますかね」




最初に出てきた男は誰なのか、気になるところですね。



誤字指摘とかすごい待ってます。
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