IS<インフィニット・ストラトス> for Answer 作:Akimiya
「フーフフンフーン」
薄暗い空間の中で彼女は鼻歌を歌いながらキーボードを叩いていた。
その顔は「面白い物を見つけた」と言わんばかりの満面の笑みだ。
「まさか、こんな掘り出し物を見つけるとはね。束さんは幸運だなー」
彼女の名は篠ノ之束。ワンピースにウサミミといった変な格好であるが、彼女は世界が一目置いている科学者である。
それにしても美人だな。眩しいや。
「いやー、ホントに最初はどうしようかと思ったんだよ~? あんなのが降って来るなんて」
束はこちらに目を配ることなく口を開く。
「こっちもあんな所に飛ばされるとは思いませんでしたよ」
「あんな質量体を飛ばすぐらいなんだ。そりゃもうすごかったんだろうね」
俺は束の見ているディスプレイに目を向ける。
そこには図面、
*
目が覚めたとき、まず目に入ったのは薄暗い天井だった。
視線を動かす、そこにはさまざまなガラクタと思えるものが乱立していた。
「……どこだ……ここ……」
今まで俺はどこにいた? 俺はネクストに乗っていたはずだ。それなのに、なぜこんなところに俺は大の字で寝ている。疑問が疑問を呼び、それらは混ざり合い、頭の中をグルグルと駆け回っている。
「何が起こったんだ……?」
「それは私が教えてあげるよ」
何気なく呟いた一言だが、まさか言葉を返されるとは思っていなかった。
声のした方向に頭を向けてみる。
奇妙な女性だった。出るところは出、引っ込むところは引っ込んでいる、扇情的なプロポーションをしているが、格好がおかしかった。胸の所がぽっかりと開いている空色のワンピース、オプションで純白のエプロン。極めつけは頭に引っ付いているウサミミ。一見すると「不思議の国のアリス」のような格好だが、残念な事にこちらは見惚れるような余裕はなかった。
女性はニコニコと笑顔を振りまきながら言葉をつむぐ。
「君はね。突然降ってきたんだよ。あんなデカブツに乗って、この束さんの秘密のラボに」
「降ってきた?」
「そう!! 降ってきたんだよ!!」
「正解!!」とでも言うようにビシッとこちらを指差す女性。楽しそうだなぁ、そう感じてしまった。
「も~驚いちゃったよ。突然すごい音がするんだよ!! センサーにもカメラにも何も反応が無かったのに!! この天才束さんお手製の万能センサーをかいくぐって!!」
「…………」
「それに君のロボット、少し調べさせてもらったけど、あんな技術見たことないよ!! もう未知の塊だよ!! エンジンの機構もISとも違うし。ねぇあれは何なの? ねぇねぇねぇ!!」
「ま、まぁ落ち着いてください!! お姉さん」
「束さんとお呼び!!」
「は、はぁ。じゃあ、束さん、とりあえず落ち着いてください。説明しますから」
「ほうほう、じゃあ君はその穴のようなものに飲み込まれて気づいたらここにいたと」
「そういうことです」
自分の身の安全を考えた俺は、事の一部始終を話す事にした。
「ふーん。多分その穴ってワームホールだろうねぇ」
「ワームホール?」
「そう、ワームホール。もっとも、今までは理論上のものだと思ってたんだけどね」
「それじゃあ、ここは……」
「うん、お察しの通り、異世界だよ。いや~災難だったね」
異世界、つまりここは俺がいた世界ではない。アルテリア施設も、クレイドルもネクストもいない世界ということか……
「君のロボット、ネクストだっけ。君の世界のそれはこっちではISってところかな?」
「人が落ち込んでいるにも関わらず、容赦なく話を進めますね、あなたは」
「そりゃすすめるよ!! 時は金也だよ!! それに落ち込んでいても仕方ないでしょ?」
「それはそうですが……」
「じゃあ、落ち込まない!! 人間、前を見続けるのが重要なんだよ!!」
ずいずいっと顔を近づけてくる女性。反射的に顔を遠ざけてしまう。
この人は俺と違って前しか見てなさそうだな。
「なんで笑ってるのさ?」
「あ、笑ってましたか。いや、そんな考え方もあるな、と思いまして。
そうですね。いつまでもくよくよしていても意味は無い。あなたの言うとおりですよ」
そうだ、こんなところで油を売る訳にもいかない。戻らなくては、元の世界に。
「よく言った!!」
女性は立ち上がり、俺に向けて手を差し出してきた。
「じゃあ仕事の話をしようか。改めて、私は篠ノ之束、科学者よ。君の名前は?」
「……ユウ、ORCA旅団所属のリンクスだ」
そう言って束と握手を交わした。
*
篠ノ之束が提示してきた仕事とは二つ。一つは篠ノ之束個人が所有する
不透明(特に二つ目が)とも言える依頼内容だが、その報酬が魅力的過ぎた。その報酬は三つ。
一つ目はネクストACの修理と武装の提供。この世界にネクストは存在しない。故に弾薬も機体の替えも無い。提供が無ければ戦闘なんてそもそも論外だ。
二つ目は専用ISの提供。この世界で既に認知されている兵器を使ったほうがまだ動きやすいだろうという理由で提供される。検査の結果分かった事だが俺のIS適性はA。最高値ではないが、問題があるわけではない。本来ならば女しか扱えないものにどうして適性があるのか、これは推測であるが恐らくはAMSのお陰だろう。機体の方は強化人間の特性も生かした設計をしてくれるらしいから安心だ。
そして極めつけは三つ目、元の世界の帰還法の発見、確立。これが一番重要な訳だが、自分でも不可能じゃないのかと思っていたところ、「この束さんに任せなさい」と胸を張って言っていたので任せることにした。
契約期間は三つ目の報酬である帰還方法が発見、確立される、もしくは俺自身が帰還を諦めるときまで。
俺は二つ返事で了解し、契約を交わした。
契約が完了したあと、とりあえず博士にはヴァイオレットの修理をやって貰っている。弾薬の補給も兼ねて。
博士曰く、今の状態では装甲は修復できても内部までは無理らしい。コジマを用いる機構の解析に少し時間がかかるのが理由だ。もっとも、クラニアムで負った損傷は装甲だけだが。
次に弾薬についてだが、同じ理由でコジマミサイルの補給はまだ無理らしいので普通の大型ミサイルを積む事にした。マシンガンとスラッグバズーカは完璧に複製可能らしい。まぁ通常兵器だしね、ISを自力で作り上げる事のできる人間になら造作もなかろう。
「ねぇ」
「なんですか、博士?」
不意に束が話しかけてきた。
「君の専用ISについてだけど、何か要望みたいのはある?」
「要望ですか……」
「そうそう、要望。どんなのがいい? 束さん何でも作っちゃうよー?」
「うーん」
頭を抱える俺。ネクストに乗っていた時は状況によって使い分けていたのだけれど、ISにそれは通用するのか?
「とりあえず今のところ強襲がメインでしょうし、そんな感じでお願いします」
「了解しちゃったよ。束さんに任せなさい」
「お願いします」
「フフフ……腕が鳴るねぇ……、っとできた」
ラボに一際大きなキーを打つ音が鳴り響く。どうやらできたようだ。
「さぁ直ったよ、君の機体が」
「……おお」
そこにあったのはまるで新品同様の愛機だった。流線型の独特なボディが俺の目に映る。
「どうかな?」
「完璧です。ありがとうございます、博士」
「お礼はいいよ。そういう契約だもん。ところで……」
「何でしょう?」
束の顔つきが変わる。これは何かあるな、そう直感した俺は表情を正した。
「早速君に動いてもらいたいんだけど」
改行したのに反映されない……
そのうち直します。
次は戦闘になる予定です。
乞うご期待!!
5以下の評価をつける方は可能ならば「どこが悪かったのか」「どういう所を直したら良いのか」というのを感想の方に記述してくださいますようお願い申し上げます。
2013/02/25 :ご指摘にあわせ内容を一部修正