IS<インフィニット・ストラトス> for Answer 作:Akimiya
修正入る前のにもどってしまった……orz
ブルーティアーズはビット型の兵器であり、蒼い雫には合計6基搭載されており、内4基はビーム、2基ミサイルを発射する。ビット型の特性を生かして、相手の死角からのオールレンジ攻撃が可能であるという厄介な兵器だ。
恐らく彼女と戦うにはこのブルーティアーズ対策――死角からの攻撃にどう対応するかによって、勝敗は決まるだろう。
ではどうしよう。射撃で打ち落とす? 多角攻撃に対応できない可能性がある。では斬撃で? 可能かもしれないがエネルギーの無駄だ。あちこちと動き回らなくてはならないだろう。
ビットを打ち落とすために飛び回っていたところでライフルで撃ち落とされるのがオチだ。
「さて、どうするか……」
俺は端末を操作する。カタカタとキーボードを打つ音が部屋に響き渡る。
彼女の実力はどうなのか。この世界に来て日が浅い俺は代表候補生がどれぐらいのものなのか知らない。どのようなものかは理解できるが、その実力が分からない。
どれぐらい強い? って聞いたとして、相手が教えてくれたとしても、こっちの世界のもので例えてくれないとどうっもピンとこない。
まぁいいか。考えていても仕方が無い。実際に戦ってみれば程度が知れるというものだ。
確かオルコットは自分のことを「主席入学」だと言っていた。ならば新入生の中で最も優秀なのは彼女ということだ。ならばそれから推測し、判断すればいい。
(考えても仕方が無いか……)
今日はもう寝るとしよう。戦いは明日だ。
最後に端末のウサギのアイコンをダブルクリックする。
そして表示された情報を暫し眺め、プログラムを終了し、端末の電源を落とした。
そのとき端末にはこう表示されていた。
『
と。
*
曜日は月曜、あれから一週間がたった。つまり、今日が対決の日。
天気は晴天。気候条件は申し分ない。絶好の決闘日和だ。
俺は一人通路を歩く。
発せられるのは俺から出る靴の音、規則的な音のみが俺の耳に入ってくる。
向かうは第三アリーナ。決闘の場所はそこだ。
暫し歩いていると屋外に出た。同時に風の音、鳥の声、草花が揺れる音、さまざまな外界からの刺激が俺へと浴びせられる。
今まで感じた事のない、心地よい、いい気分だ。コジマで荒廃した大地でしか生活したことない俺にとって、この世界は全て未知であり、新鮮なのだ。
緑がある。清浄な空気、土壌がある。そこには食物連鎖が存在し、生物はその生命を謳歌する。
もし、こちら側がこのようであるのならば、戦争は無かったのかもしれない。そもそも世界の荒廃は国家解体戦争、リンクス戦争と人々は、企業は争いすぎた、そのツケが回ってきたにすぎないのだけれど。
企業に雇われ、絶え間ない経済戦争に勤しんできた者たち、そしてその被害者、特に国家解体戦争以後に生まれてきた者たちはこの光景を目にすることは難しいのではないだろうか。
ならば俺は幸運だろう。本来ならありえないのだから。
クラニアムでの戦いで俺はカラードの上位二人、オッツダルヴァとウィン・Dを下した。アナトリアの傭兵、ラインアークの守護者はどうか分からないが、あの時点で現役のリンクスの中では俺が最強ということになるのだろう。
戦闘狂的発言になるが、あの世界ではこれ以上の進歩は難しい。アンサラーやスピリットオブマザーウィルといったアームズフォートが量産されて一対多の状況になれば話は別かもしれないが――まぁその場合進歩以前に撃墜されてしまうのがオチだろうが――それは夢想というものだ。
あの世界での技術の進歩は自身の兵器の強化につながる。それでは鼬ごっこ、終わりは来ない。
きっと時間がたてばネクストを越える兵器が生まれることだろう。
だとすれば、この状況は僥倖というべきだ。ここでなら、あちらでは学びきれなかった事を取り入れることが出来る。こちら独特の兵器運用法、立ち回りなど俺の知らない事がゴロゴロあるはずだ。現時点での最終目標が「元の世界に帰還する」というものだが、べつに最短経路とはいっていない。こちらでは天才と謳われる束博士であっても短時間では不可能だろう。
ならその間はこの世界を満喫させていただく事にしよう。
今は、これから行われる
「さて、これはどういうことなのか説明してもらおうか。なぁ一夏クン?」
「いや……これは……その……」
「ん? よく聞こえないナァ。もう一回言ってみようか?」
「だから……その……」
場所は第三アリーナ、Aピット。
俺は腕を組み仁王立ちになり、正座の一夏を見下ろしていた。一夏は逃げたそうに気をううかがっているようだったが俺の後ろには
一夏とセシリアの試合は既に終了している。今はセシリアのISのエネルギー補給と彼女自身の休憩ための時間、
俺は米神を盛大に引きつらせていた。俺は怒っているのだ。あまりにもふがいない同胞を。
結論から言おう。一夏は負けた。
因みに俺は負けた事に怒っているわけではない。負け方に怒っているのだ。
IS学園での戦いは殺し合いではなく、エネルギーの削り合いだ。
このことから言うと一夏はセシリアよりも先にエネルギーが尽きたということなのだが、それは相手によって引き起こされたわけではないのだ。
自爆、といっても差し支えはないだろう。
一夏の専用機「白式」という名前だが、あまりにも特殊な機体だった。武装は近接ブレード『
しかし、ブレオンという特性上、運用方法は、機動特化の機体の運用法と酷似してしまう。
では機動特化の機体はどのように運用する? 基本的には圧倒的な機動力で敵を翻弄して一気にこちらの射程まで近づき斬るという感じで運用するだろう。
俺もネクストに関しては高機動の機体を好んで扱っていたが、同じ系統の機体を使うよしみで一夏には機体の特性と運用のコツを教えたのだ。
1.高機動機は燃費が悪いのでエネルギー残量には常に気を配ること。
2.相手の射線に入らないよう、死角をとるように移動すること。
3.移動の際は緩急をつけて相手に軌道の推測をさせないこと。
どれも基本的な事ばかり、別に高機動機だけに当てはまる訳でもないのだが、そもそもの基本すらままならない一夏にとっては有益なものだったと俺は考えている。
真改がいればもっとマトモなレクチャーを頼めたのにと思ったがいない人間の事を言っても仕方がない。
まぁ、その後織斑先生の個人レクチャーを受け、意気揚々と出て行ったわけだが、さて、ここいらで自爆について説明をしておこうか。
セシリアとの戦いの中、白式はファーストシフトを迎えたことにより(聞こえは良いかも知れないが初期設定が完了しただけ)
今回白式に発現した単一仕様能力――『
一撃必殺と言っても過言のない能力だったが、一夏はこの能力を使用して敗れたのだ。
理由は一夏がその特性を理解できていなかったのに他ならない。零落白夜はその能力故の欠点があったのだ、それは『自身のシールドエネルギーを消費して稼動する』というものであり、つまり自身を食らって力に変えるものだったの――諸刃の剣と言っても差し支えないものだったのだ。
俺が教えたとおり、こまめにエネルギー残量を確認してさえいれば気づく事のできたものの、一夏は手に入れた力に酔って、それを疎かにした。
一夏は自身の能力の所為でエネルギーが尽きてしまったのだ。
あまりにも幼稚なミスで敗北を招いて仕舞ったため、俺は織斑先生と共に修羅になって一夏を見下ろしていたのだ。
「よくもまあ、持ち上げてくれたのもだ。それでこの結果か、大馬鹿者」
「人がせっかく忠告をしてやったと言うのに、見事に忘れて負けてくれたなこの野郎」
「人の忠告を無視し、武器の特性を考えずに使うからああなるのだ。身をもってわかっただろう。明日からは訓練を励め。暇があればISを起動しろ。いいな」
「……はい」
この通り修羅二人に散々言われ、頷くしか方法が残されていない一夏。修羅の一人は俺だけども、これはやりすぎたかな?
「さて高城、次はお前だが、勝算はあるのか?」
話はついたと、俺に話を振ってきた。
「勝算と? 初心者の俺に無茶を言いますね、先生は」
「フン、完全な初心者とは言えまい。理論だけで言うならばお前はもう一人前だと思うが」
「理論だけなら誰だって一人前になれますよ。それも短時間で」
「そうかもしれんな。さて、時間だ。準備はいいか」
「はい」
俺はピット・ゲートに向かう。その足取りは軽く、無意識的に戦いを望んでいるかのようだ。
おそらく向こうではあの少女が頭の中で圧倒的な力の差を見せつけ俺を叩きのめしている光景が浮かべながら俺を今か今かと待ちっていることだろう。
だが彼女は知らない、俺が何者であるのかを。彼女は知らない、本物の戦場で身につけた技術を。
生まれながらの強者だったのだろう。敗北を知ることはなく、常に火の光の当たる場で過していたにちがいない。
知らない事ばかりだ。経験という点から見るのであれば彼女は赤子同然。
ならば、見せてやろう、教えてやろう。
赤子と大人の差を。小鳥と山猫の差を。
「では、これより試合を開始する。高城、そこにあるISを装着しろ」
織斑先生の視線の先には第二世代IS『打鉄』が安置されてあった。どう見ても学園においてある訓練機だが、整備はきちんとしているらしく、埃などはかぶっていない。
ただ、彼女と戦うだけならばこれでも構わないだろう。しかし、これから俺がやろうとしていることには不足。
「それには及びません。自前のがありますので」
「ほう?」
興味深そうに目を細める先生。
この世界で専用機を持つということ、それはすなわち、企業もしくは国家に属すという事だ。つまり俺はどこかに既に所属していると判断されたわけだ。それは気になるだろう。
「では試合を始めるとしましょう」
しかし、今は黙っておこう。まだ存在を知られるわけにはいかない。
こういうときは興味を他に持っていくのが一番。
俺は自身のISを展開する。
「これは……」
「ほう、これがお前の専用機か」
因みに言動は織斑弟、姉の順だ。
先生は珍しいものを眺めるかのように、一夏は自機との差に驚愕しながら呟く。
「ええ、そうです。銘は亜式。打鉄のカスタム機です」
照明を反射し、照り輝く灰色の装甲。しかし、その形状は通常の打鉄と全く異なるものだった。
第一に、通常のISであるならばあるはずの肩部装甲の左側が欠けている。破損ではない。もともとこの機体には存在しないものなのだ。
次に脚部装甲。通常のISと比べて明らかにそれは薄いものだった。まるでそれは地上戦を意識していないかのよう。ただ、対照的にまるで鋭利な刃物のような威圧感を感じさせる。
また、特徴的なのが腕部だった。右腕に関しては従来のようなISと同じような装甲なのだが、左腕はそれに比べて明らかに装甲が薄かった。脚部程ではないが、最低限の防御性しか確保していないのは確かだ。
アンバランス、そう形容してもいい機体だ。
そして、それを最も特徴づけるのが背面部のスラスターだ。
巨大、そう形容するに尽きる。通常のISでは高速戦闘にしか使用しないような規模のものをそれは装備していた。
「一夏」
俺はISのモニターを介して一夏を見ながら語りかける。
「これからお前に見せるものが、当面のお前の目指す事になるだろう」
織斑先生に、そしてクラスの皆に言ったことは最早嘘だとばれてしまうが、仕方がない。
これから起こるであろうあれのために、早くから育てるのも悪くはない。
「しっかりと刻み込め。系統こそ違うが、きっとお前の為になるはずだから」
少し、大仰な喋りになってしまったか。俺もテルミドールに似てきたかもしれないな……
「さて、織斑先生?」
「ああ。山田先生、ハッチを開放してください」
「はい。わかりました」
重厚な金属同士がこすれる音と共にハッチが開かれる。すぐにアリーナ内の歓声やざわめきが俺の耳に入った。
自分の戦いが大多数の目にさらされる経験があまりないために少し緊張してしまう。
「じゃあ、行きますか」
*
「フフ、逃げずにちゃんときたんですのね」
アリーナに出てすぐ、セシリアの声が聞こえてきた。
彼女は空中に浮かんでいた。ただ、弱者を見下ろす強者の如く、俺に視線を向けている。
「逃げる必要はないからな」
「フン、その余裕が何時まで続くか……楽しみですわ!!」
彼女の手に粒子が集まり、巨大な銃器が形を成す。
検索……照合完了。六十七口径特殊レーザーライフル、名称『スターライトmkⅢ』
「さぁ、踊りなさい!! わたくし、セシリア・オルコットと
「残念ながらその誘いは断らせてもらおう」
言葉と同時に武装を展開。右手には反りの浅い刀状近接ブレード『哀歌』、左手には先端に銃剣が接続されたマシンガン『コブラ』が形成される。
「そうだな……けど、どうしてもと言うのなら――」
3…2…1…
「――止めはしない。一人で勝手に踊ってろ!!」
0!!
試合開始の鐘が鳴る。
同時に俺はスラスターを解放した。
「――え?」
セシリアが気づいた時、俺は既に彼女の懐に入っていた。
日の光を受けた哀歌が怪しげな光を放つ。
まずは……一撃。
「きゃあああああああっ!!」
俺の斬撃はセシリアの腹部――装甲で保護されていない箇所――に直撃した。
絶対防御が発動し、シールドエネルギーが大きく削られる。
俺は残身を保ったまま、反動で動きが鈍っているセシリアの背後に移動する。
さあ、ここからが亜式の本領発揮だ。
背後に移動した後、スラスターを操作、慣性を中和して瞬時に方向転換、そのまま勢いに身を任せ、セシリアの背中を斬りつける。
先ほどと同じく装甲の無い場所を攻撃した為にまたしても絶対防御が発動する。
「くっ――よくもっ」
「遅い!!」
セシリアは反転しようとするが、それよりも早く背後に回り、攻撃する。
ワンサイドゲーム、形容するならばそうだ。
セシリアがどんなに頑張ろうが、機動特化に懐に入られた以上振り切ることは至難の業だ。
さらにセシリアは常に背後からの攻撃にさらされている。また、劣っているのは機動力だけではない。機動特化は加速力だけではなく、旋回性能も通常のそれとは比べ物にならない。
世の中には平然とカウンターを使ってくる怪物も存在するが、間違ってもセシリアじゃない。
正直セシリアは俺の敵ではない。
事前情報のみから判断していた時は、ビットでの攻撃と並行して、退避先にレーザでも撃ってくるのかと考えていたが、一夏との戦闘を見た時、「それはない」と判断してしまった。
セシリアは機体の唯一のアイデンティティとも言えるビット兵器を使いこなせていない。
自機の操作と自立兵器の並行操作、それがままなっていない状態では話にならない。
つまり、自機の操作に意識を割いていてはビット操作ができないということだ。
そう、俺が取ったセシリアへの対策。それは、彼女が対応しきれない攻撃をすることでビット制御をさせないというものだったのだ。
「そら、どうした? これで終わりか?」
「い、インターセプターッ!!」
セシリアはライフルを持っていないほうの手にショートブレード『インターセプター』を展開する。だが――
「ハッ」
次の瞬間には俺はセシリアのブレードを哀歌で払いのける。
ブレードと連動して腕ごと払いのけられたセシリアの胴体はがら空きだ。
俺はコブラの銃剣を蒼い雫の装甲に突き刺した。
鈍い音と共に装甲に銃剣が沈んでいく。
「さぁ、幕引きだ」
引き金を引く。
轟音と共にセシリアにコブラの銃弾が叩き込まれる。
銃弾はコブラ猛毒の如く蒼い雫の装甲を侵食し、消し飛ばしていく。
そして試合終了の鐘が鳴った。
5以下の評価をつける方は可能ならば「どこが悪かったのか」「どういう所を直したら良いのか」というのを感想の方に記述してくださいますようお願い申し上げます。
今後の展開上仕方の無い事なのです。セシリアの犠牲は無駄にはならない!!←生きてますけどね