IS ~黒き鋼の復讐者~   作:reizen

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第十話 悪女降臨

 現在、俺はボーデヴィッヒにセクハラを働いたということであの日の放課後から定額をくらっている。

 ということは今からオアシス。それに今回はクロも一緒だから、課題を終わらせた俺は話したり寝たり簡単なトレーニングでもしよう!! と、思っていた時期が俺にもあった。

 

「……ハミルトン、お前いい加減にしろよ」

「え? 何が問題でも?」

「……いや、このから揚げは食べやすい―――じゃなくてだな、そもそも俺は嫌われものだな。どうせ俺に関わっているから苛められているだろ」

 

 というか裏切るつもりの人間に弁当をもらって食べるなんて、ある種ではかっこ悪いと思う。……あくまでもこれは偏見だけど。

 

「いえ、むしろ凰さんに喧嘩売って返り討ちにあった人たちが私をさらったからという理由で逆に裸にされて写真撮られて―――」

「もういいもういい。凰が強すぎることは理解でき―――」

「友人に全員リードをつけて送って女としてのプライドを傷つけさせようかと私に相談してきました」

 

 その友達が俺の知っている奴じゃないことを切に願う。いや、どっちも女に飢えていたから最悪してそうで怖い。

 

『でも、IS学園生相手にそんなことってできるの?』

『………証拠を使って脅すんじゃないか?』

 

 最近、凰はグロい方向に走っているから俺にも把握できていない。前の授業みたいに巨乳狩りまがいなことをしそうな雰囲気は、俺が消えてからだと思っている。

 

『………それまではただの中学生だったのにな』

『帰国してから何かあったのかしら?』

 

 リアルにその線がありそうなので、少し怖い。

 

「にしてもこの弁当、おいしいな。見栄えもいいし」

「えへへ~。じゃあ、アインさん。()()()()()()()()()()()

「え?」

 

 いきなり何を言われたかわからなかったが、気がつけば俺はハミルトンに対して膝ま付いていた。

 

「へぇ。こんなにも簡単に従うんだ。ガードが堅い君でも素直になるなんて」

「………」

 

 しくじったというのが正しいのだろう。おいしい料理を与える女というイメージを与えてから、料理にコントロール系のナノマシンを混入させて食べさせたというところか」

 

「だーいせーいかーい」

 

 本性を現すハミルトン。どうやらすべて口に出ていたらしい。

 

「いやぁ。いつ気付くかなぁってずっと待ってたんだけど、まさか全部食べ終わるまで気づかないなんて思わなかったなぁ」

 

 何故か服を脱ぎ始めるハミルトン。俺は監視カメラの方を見るが、それで俺の考えをある程度見透かしたハミルトンは綺麗な顔で小悪魔的に微笑む。

 

「さぁ、アイン。無駄だからカメラは忘れて私の体に触れて、獣のように舐めまわして」

「…わかりました」

 

 この光景を見たら親友の五反田弾は羨ましがるだろう。アイツ、金髪美人が好みだから。

 そんな感想を密かに抱きつつ、ハミルトンの体に触れ首筋を舐める。

 するとビクッと震え、俺も動きを止めた。

 

「驚いた? 実は私、何人も体には触れさせてあげたんだけど、本当の経験はまだなの」

 

 そう言って俺の頬を舐めるハミルトン。俺もそういうのはまだ経験がないから、ハミルトンみたいに震えた。

 

「アハハハ、いがーい。あなたのことだから何人も相手にしていると思ってた」

「いえ。私めにも事情がありまして」

「事情? 話してくれる?」

「……わかりました」

 

 体のコントロールが効かない俺は、全て話そうとすると―――

 

 ―――ガッ

 

 鞭を巻いた足―――いや、あんよがハミルトンの顔を捉える。

 

「―――ねぇ」

 

 その容姿は、この世のものとは思えないほど美しいもので、漆黒の髪と瞳を持つ少女は、何故かIS学園の制服を反転させた色の服を着ていた。

 

「私のいち―――アインに何をしているの?」

 

 どこからともなく高級そうな剣を展開したクロは、喉元に切っ先を向ける。

 

「あら、まるで私がただのオトし屋だと思っているようね。だけど―――」

 

 ―――キンッ

 

 クロの剣をすぐに出したナイフで弾き、窓に近づくハミルトン。だけどクロは引き返した。

 

「あら、逃げるつもり?」

「まさか、それよりも優先させるものがあるのよ」

 

 そう言って何でか俺の顎を取り、どこかの王子が姫と接吻するようなしぐさを躊躇いなくやってのけるクロ。つまり何が言いたいかというと、クロは俺の唇を奪うだけでなく、舌すらも絡ませてくるので誰か早急に俺を助けて下さい。

 

「―――ぷはっ」

 

 しばらくすると、クロは離してくれた。

 

「ねぇ、アイン()。アイン様に反旗したあのメスはどうしましょうか?」

 

 まるで俺の従者の様に振舞うクロ。何故かそれが物凄く怖くて、俺は今すぐ逃げ出したい。

 

「えーっと、君に任せる」

「わかりましたわ。とりあえずここから先は少し女同士の話になりますので、アイン様は少々お外へ」

「わ、わかった」

 

 殺気が尋常じゃなかったので、俺はおとなしく外に避難した。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 私が彼と初めて会ったのは、今から十年近く前になる。

 その時の私はまだ捨てられたばかりで、人間なんて「自分勝手な生き物」としか思えなかった。

 だから私は気まぐれである男を助けた後は、そのままその場にとどまっていたのだけれど、彼に拾われた時は驚いた。

 

 ―――この世界は、彼に対して冷たすぎる

 

 彼は家族の中で落ちこぼれであり、一人は学校で、一人は世界的に有名だったため、自然と標的は彼に絞られ、教師もそれを見て見ぬふりをし始めた。

 

 だから私は、データを頼りに彼に合う装甲を組んで世界を壊そうと企んだ。けれど、彼は誘拐され、私が自動で助けに行った後にはすでに半ば壊れるようにモノを造ることに励んでいた。だから―――

 

「どう、私特性の媚薬のお味は?」

 

 だから私は、世界最強になって弟を無駄に信じて苦しめたあのクズ姉とは違い、本当の意味で彼を守ることを心に決めた。

 

「な、なに、これ……」

「実はそれ、ちょっとでもかかったらそれこそ男に突かれないと治まらないような媚薬でね。かかればかかるほど自分の体を抑えられなくなる。最悪ダッチワイフに成り下がるわ」

 

 そう言うと私に媚薬を浴びせられて発情しまくりのクソビッチことティナ・ハミルトンは、恐怖で青ざめながらも何か物欲しそうな眼を私にむける。

 

「い、いや、止め―――」

 

 この女の動きを封じるのは実に簡単だった。

 まずは逃げようとするから壁に叩きつけ、すぐに鞭で捕まえて私の前に来るように引っ張る。そして媚薬を1滴落とすと、すぐに性欲衝動に駆られて発情したけど、少し耐えているのが気に入らない。けど、

 

「あと何ℓ飲ませれば、あなたは壊れるかしら?」

 

 今から本気で壊れてくれるのが楽しみだ。

 だってそうじゃない? 男って女が壊れていくのが見たいから性犯罪とかを起こすんでしょ? 今の私はそんな気分よ。

 それに私はIS。いくら意思を持とうが所詮は物扱いなのだから、信じるわけがない。ほとぼりが冷めるまでアイン以外に姿を見せなければ問題ないわ。

 

 ―――ガラッ

 

 急にドアが開いたけど、誰が開いたかがわかったからそのままでいた。

 

「すみませんアイン様。まだ従順になるには時間を有するようですので、もう少し御辛抱を」

「………いや、どちらかというと止めに来たんだが……」

 

 ―――え?

 

 瞬間、私には彼が言ったことが理解できなかった。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

―――アインside

 

「………いや、どちらかというと止めに来たんだが……」

「―――え?」

 

 信じられないと言わんばかりに俺を見るクロ。

 

「待ってアイン。まだこいつの調教は終わってないわ」

「……ちょ、調教?」

「……あ」

 

 やってしまったという顔をするクロが少し可愛く見えたけど、今はそれどころじゃない。

 

「……これ、解毒薬ってあるのか?」

「…あるにはあるわ。けれど、まだ心は服従していないから渡せない」

 

 そうはっきりと言うクロ。これはどうやら奥の手を使うしかなさそうだ。

 

「じゃあ、これを使うには持って来いってことだな」

 

 そう言って俺は軽い金属でできた首輪を出す。

 

「あ、あなた、私の人権を無視するつもり!?」

「俺を服従させた奴に人権がいるとでも?」

 

 睨みつけると委縮した。防御力は一段階下がったことを確認できた。

 

「……で、でも、私は女よ! 今の社会は男より女が優先される社会なのよ?!?」

「クロ、こいつを素っ裸にして顔つき写真をネットに公開したらどうなる?」

「男女ともにさげすまれるわね。たぶん、男からレ○プされると思う」

「最近の男って、常備らしいからな。たぶん先手必勝でもしない限りハミルトンに勝ちはないな」

 

 段々と顔を青くするハミルトン。

 

「嫌よ。嫌! せっかく奴隷から格上げされるかもしれないのに、こんなところで殺されるなんて、嫌よ!!」

 

 急にヒステリックに声を上げるハミルトン。どうやら少し苛めすぎたようだ。

 

「奴隷? まだ奴隷制度があっても、それって黒人が奴隷じゃないのか?」

「違うわよ! 知らないだろうけど、私達はISが出てから半奴隷化されているのよ!!」

 

 という、完全に祖国に喧嘩を売る発言をした。

 

「………え?」

「ちょっと待って。今調べるわ」

 

 そう言ってハッキングモードになるクロが倒れるので、俺はそれを受け止める。

 そして懐からレコーダーを出して話を聞こうすると、

 

「ただいま」

 

 物凄く早かったクロの帰還。いや待て、何でそんなに早いんだ。

 

「あなた、もしかして孤児なの?」

「…!?」

 

 言われて驚くハミルトン。だがやがて諦めたかのように白状した。

 

「ええ。そうよ」

「なるほど。アイン、ここから少し複雑だけど話を聞いても誰にも言わない?」

 

 唐突にそんなことを聴いてくるクロ。どうやら結構ヤバい話らしい。

 

「……性問題は苦手なんだが」

「それでも解放するのは私達の目標の一つでしょ。ほら、出しているだけのレコーダーを起動させなさい」

 

 何故か少しリーダーぶるクロ。俺はそれに従ってレコーダーを起動し、いつでも起動できるようにする。

 

「じゃあ、最初の質問よティナ・ハミルトン。あなたはアメリカが極秘に造ったハニー・トラップ専門の調教機関「HOT」の一員ね」

「……ええ」

「母親が胸が大きいからという理由で父親が死んだ瞬間に急な転勤とかで引っ越しをさせられて、無理やりその教育を受けさせられた。間違いない?」

 

 それに頷く仕草はどこか弱弱しく感じた。

 

「……ごめんアイン。やっぱりもう一度外に出てて。ここから先は男には聴かれたくないだろうから」

「…結構手おくれぎみみたいだが、了解」

 

 俺はもう一度外に出て待機する。改造されてちょっと聴力が強化されたけど、聞こえないということはクロが何かしたのだろう。

 

(あ、アレがない)

 

 さっきの首輪、監視目的で使おうとしたのに手になかった。おそらくクロがスったな。

 

(まぁ、いいか)

 しばらくすると、クロとハミルトンが出てきて、彼女には俺達にしか見えない監視用の首輪が付けられていた。

 

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