IS ~黒き鋼の復讐者~   作:reizen

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最近、夏休みだからってバイトのシフトが鬼となってきている気がするので、投稿できる時間に投稿


第12話 仕組まれた出来事

 少女はただ、少年と同じで不幸だっただけだった。

 だが彼女はあまりにも経験が少なかった。彼女を守ろうとする人が、あまりにも少なすぎた。

 

「………待っててね、お母さん」

 

 望みを叶える為に、少年は―――いや、少女は閉まっている扉を開く。

 

「今、人でなしを生贄に助けるから」

 

 彼女の顔には笑みが浮いているが、その笑みはいつも周りに向けている優しい笑みではなかった。

 

 また、別の場所では待ってる母子がいて、一人の女性は今か今かと待っており、中学生くらいの少女はその女性を見て反吐を覚えていた。

 

(下らないですね)

 

 その少女の瞳は冷たく、一人の女性を明らかに見下している。

 彼女はその女性にいろいろなことを教えられ、精神的に痛めつけられた。それ故に母である女性を見下し、自分が後を継ぐ事実から逃れようと模索しているが、叶えられない事に対して苛立ちを感じており、無数の傷を負い、首輪をされて繋がられているのに美しい金髪を持つ女性を見る。

 

(………とりあえず、連れてくれる人に期待しましょうか)

 

 ―――この現状を打破し、義姉に幸せな人生を送ってくれるかどうかを

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

―――アインside

 

『……久々に着たな、この服』

『結構似合っているわよ。白と黒の鍵がないことが物凄く残念だけど』

『………はぁ』

 

 そういえば、一つだけ何故かさせてくれないゲームがあったのを思い出す。虐められているというわけではないが、何でだろうな?

 

「お待たせ、ウォーヴェン君」

 

 馬鹿話をしていると、俺を呼び出した相手が現れた。その相手は笑ってはいたが、なんとも気持ち悪い笑みだ。

 

「こんな時間に呼び出して何の用だ? 俺はノーマルだからホモと付き合う気はないんだが」

「大丈夫だよ。そんなことはしないから」

 

 そう言って相手―――シャルル・デュノアは殺気を放ち、俺の喉元にブラッド・スライサーを突き付ける。

 

「命が惜しいでしょ? 大人しく従ってくれないかなぁ」

 

 瞳に光がないことから、もうこれ手遅れかもしれないと思う。別に助けるつもりは最初からないが、代表候補生ならそれなりに育ちそうだし、ある程度仕上げれば戦力にもなると思うからだ。

 

「穏やかじゃないな。ISを生身の人間に突き付けると男とはいえ流石に犯罪だと思うが? まぁ、お前は女だから完全にアウトだが」

「!!? へぇ、知ってたんだ」

「むしろあの程度の男装で通じると思っているなら頭がおかしいとしか思えない」

 

 実際に確信したのはスティングからの報告書が来てからだけどな。

 

「そう。だったら話は早いよ。大人しく従え」

「断ると言ったら?」

「君に拒否権はないよ、君のような狂ったクズは、僕の犠牲になれ」

 

 自分のことを棚に上げて随分な言い様だなと思う。

 

(さて、本気でどうするか)

 

 ある程度本気を見せているとはいえ、まだ騙せるレベルだと思いながらそこから消える。

 

「逃がすか」

 

 更識に迷惑をかけたらどうなるかゼロがどう動くか少し気になったが、今はそれを忘れるようにして森の方に入る。

 

『どこに行くつもり?』

『海なら装甲解除されても問題はないだろと思ってな』

 

 港に着き、そこから黒鋼を展開して海に出る。

 するとライフル弾だと思われる物が飛んできて、それを敢えて弾く。

 

「まさか、そんなに身体能力が高いなんて思わなかったよ。でも所詮、ISには劣るけどね!!」

 

 瞬時加速で接近してきたデュノア。左手首には少し洒落にならないのが装備されていた。

 

「ロマン武器の男の特権だと思ったんだけどな」

「君たち男性操縦者がいるからとはいえ、ISは元々は女のものだからね」

 

 どうやらあの貴公子は仮面だったらしい。ああも女尊男卑の考えを持っているとは思えなかったが、この際は気にしても仕方がないだろう。

 

『クロ、負けるぞ』

『気に乗らないけど、やってあげるわ』

 

 繰り出される灰色の鱗殻(グレー・スケール)が当たる範囲のみに絶対防御を起動させ、俺はある人物に期待しながらクロに意識を飛ばさせた。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

「なるほど、了解した」

『頼むわよ。アインは経歴が経歴だから頼めるのがアンタしかいないのよ』

「そうしつこく言わなくてもわかっているさ。じゃあな、クロちゃん」

『クロちゃん言うな!!』

 

 スピーカーからクロの叫ぶ声が聞こえるが、気にせずに折りたたみ式の携帯電話を閉じ、少年はそれをポケットにしまう。

 

「隠密行動は静かにと言っているだろう、コウ」

「おいおい、それはいくらなんでも言いがかりがすぎるぜ。今のはクロが叫んだからであって―――」

「その原因を作ったのはお前だろう」

「う……」

 

 論破され、言葉を詰まらせる少年―――コウは顔を引きつらせる。

 

「で、ターゲットはまだ?」

「ああ。だが、ISの反応が二つと、別の方から一つ来る。おそらくそれだろう」

 

 淡々と述べるもう一人の少年。彼の腕は機械に包まれており、そこにレーダーが投影されていた。

 

「しっかし、コアが三つとはデュノアは豪華だな。しかも一人は四十前だろ? これが若く見えるならまだしも、資料で見たら完全にオバサンだろ。歳を考えろよ、歳を」

「そういえば、資料を見ていた整備課の男連中がデュノア夫人をどう処分しようかと考えていたぞ」

「アル、お前が言うと似合わない」

 

 コウに指摘されたアルと呼ばれた少年は息を吐き、

 

「……これでも思春期なんだがな」

「お前が思春期ってこと自体が詐欺だろ。精神年齢は完全に社会人だと思うぐらいだ」

 

 アルはジト目でコウを見る。すると、オレンジ色のラファール・リヴァイヴが頭上を通った。

 

「着いたか」

 

 呟くようにアルは言い、コウに尋ねた。

 

「これより作戦を始める。頭に入っているな」

「言うまでもないぜ。俺が囚われている美人さんを連れて来ればいいんだろ?」

「ちなみに彼女は今年で36だが、かなりの美人らしい」

 

 アルに見えないようにガッツポーズするコウ。彼の周りに機械が展開され、暗い今はわからないが白い装甲が彼を包む。

 

「コウ・フリュウ、白鬼(びゃっき)、出るぜ!」

 

 装甲の一部が開き、音を出さずに消えた。

 

(さて、俺たちの用意はできた。アイン、後は任せたぞ)

 

 取引の材料となっているアインを彼が使用する機械―――青翼(しょうき)の望遠機能でアルは観察した。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 アインを誘拐したシャルロットは自分の義母と義妹が待つ場所に飛び、二人の姿を見つけると着地、ISを解除した。

 

「ただいま戻りました、社長夫人」

「ええ。しかし、意外な人物を選んだわね」

 

 デュノア夫人―――レベッカ・デュノアは目を覚まさないアインを見ながら笑う。

 

「狂戦士と言われたアイン・ウォーヴェンとはいえ、女には勝てないということね」

 

 その笑みは嘲笑。シャルロットはそれを否定したかったが、自分の実力じゃ勝てないことを理解しているからか、敢えて沈黙で通す。

 

「…まぁいいわ。ご褒美よ、シャルロット」

 

 そう言うとレベッカは娘のリゼットに合図をすると、リゼットはリードを引いてある女を家畜を引くように扱った。

 

「母さん!?」

「でもまだよ、シャルロット。あなたはあるものを私に渡していないわ」

「………」

 

 シャルロットはポケットに手を突っ込んで自分の物とは違うISの待機状態の黒いネックレスを出してレベッカに渡した。

 

「ええ。これであなたとの契約は終わりよ。あなたたちは解放してあげるわ」

 

 シャルロットはすぐにその女の元へと駆けようとするが、その動きを止めた。

 

「……何のつもりですか、お義母さん」

「その呼び方は気に入らないわよ、雌犬」

 

 レベッカはシャルロットにアサルトカノン《ガルム》を突きつけていた。

 

「まぁ、あれよ。ちょっとあなたたちの容姿は結構使えるじゃない? だから利用しようと思ってね。最近じゃ、その手の手術も発展してきたから、あなたのお母さんもそれをすればまた利用できるわ」

「……待ってください。あなたは私のお母さんに何をしたんですか!?」

「ちょっと何人かと寝かせただけよ。まぁ、抵抗がウザかったからクスリで大人しくしたけどね」

 

 それを聞いたシャルロットはすぐに自機を展開するが、

 

「お母さんが死んじゃってもいいのかしら?」

 

 灰色の鱗殻を寸でのところで止め、母親を確認する。リゼットは既に銃を向けていて引き金を引けばいつでも撃てる状態になっていた。

 

「ならどうすればいいか、言わなくても理解しているわよね?」

 

 シャルロットは支持される前にISを解除する。

 

「そう。それでいいわ。これからも利用価値があるのだからちゃんと生かしておいてあげるわ。一生を男のご機嫌を取る雌としてね」

 

 勝者が決まったという態度を取るレベッカ。彼女は確信しており、後は三人を連れてここから去り、家畜同然の男に奇跡の一人を渡せばいい。そう思っていた。

 

「―――そいつは困るなぁ。うん。困る」

 

 その言葉にレベッカだけじゃない。リゼット、そしてシャルロットも驚く。

 

「誰だ?! どうしてここにいる!!」

 

 レベッカは声を上げるのに対し、その男は自信満々に答えた。

 

「俺か? 俺はシャドウナイツの「七人の超戦士(セブンズバトラー)」の一人、コウ・フリュウ。その女を奪いに来た!」

 

 そう宣言すると共に消え、リゼットの前に現れて再び消える。

 

《……で、アンタは―――いつまで私に触れてんのよ!!》

 

 まるでスピーカーから音が出ているかのような声がしたかと思うとレベッカの手元から鞭が飛んでレベッカを吹き飛ばした。

 

「おぉー。ナイスアタックだぞ、クロちゃん」

「クロちゃん言うな!!」

 

 具現化したクロがコウに対して突っ込み、アインの近くへと飛んだ。

 

「……俺はお前に茶々入れだけを頼んだんだけどな」

「気にするなイチカ。気にしたら負けだ」

 

 さっきまであったコウの姿は消えアインの後ろへと下がった。

 

「リゼット! あなたは何を惚けているの!?」

「惚けていませんが?」

「だったらどうしてあの女が男の腕の中にいるのよ!!」

 

 叫ぶレベッカに対しコウは笑いながら言った。

 

「俺はテレポーターだからな。これくらいのことなんて造作もない」

「ふざけたことを!!」

 

 レベッカは赤色のリヴァイヴを展開し、ブラッドスライサーを展開してコウの方へと切りかかるが、コウはその女性を持ちながら白い装甲を展開して日本刀を模していると思われる刀剣を展開し、受け止めた。

 

「!? まさかお前もISを―――」

「なわけねえだろ」

 

 刀剣をぶん回して吹き飛ばしてレベッカから距離を取る。だがレベッカは再びコウへと迫っていくが、その間にアインが《龍牙》で受け止めた。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

―――アインside

 

「ここまでだな、デュノア母娘」

 

 シュペーアを展開して赤色のリヴァイヴを撃つ。下がったと思ったら今度は男装が突っ込んできた。

 

「お母さんを、返せ―――!!」

 

 なんだかお株を奪われた気がするが、俺は《焔》で妨害する。

 

「男風情が―――!!」

 

 体勢を立て直してショットガンを構える赤色。受け流すことを前提に作られた《鉄傘(てっさ)》を展開して防ごうとすると、いきなり俺たちの間に白色のラファール・リヴァイヴが乱入し、盾を展開して防いだ。

 

「エール・アルジャン……リゼット、あなた!!」

「この、悪魔が!!」

 

 赤色の方は戸惑う反面、オレンジはグレー・スケールを展開して白いラファールに攻撃しようとするが受け流す。

 

『イチカ・オリムラさん。あなたは彼女を止めてください。私は自分の母に終止符を打ちますので』

 

 ISの個人間秘匿通信(プライベート・チャネル)でシャルロット・デュノアじゃないもう一人の少女が俺に通信を繋げてそう言った。

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