IS ~黒き鋼の復讐者~   作:reizen

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踊り舞う白銀
第14話 とある男女の逢引き未満


 ……どうして、こうなっちまっただろうな?

 モノレールに乗っている間、俺は隣で可愛く寝ているボーデヴィッヒの頬を突きながらそんなことを思っていた。

 デュノアの一件が片付けた俺はしばらく学生の身としているようにと言われ、こうしてボーデヴィッヒを連れて買い物に来ている。水着がないので買うつもりだ。……さすがに水中戦を想定したダイビングスーツは違うと思うからだ。

 

(むしろアレにキレられたからなぁ)

 

 何故あそこで頭脳的補佐だったらアルが乱入できたか。それは俺たちの方に助っ人が来たからである。

 その助っ人の女に相談したところ、

 

「女を舐めているでしょ、アンタ」

 

 舐めるなと言う方が無理な話となりつつあるこの世界で電子越しに殺気を感じた俺は口を閉ざし、渋々買いに来たというわけだ。

 クズな弟には恨まれるし、変なチビには付きまとわれるし……。

 

(そう言えばハミルトンは最近来ないな)

 

 あの一件以降、一緒にお昼を食べる程度だが、それも凰を交えてだ。まぁ、今はクロと何かの準備をしているからであろうことはわかるが、それにしても余裕がなさすぎだろう。身辺整理、まともにしたことないからわからないが。

 

「ボーデヴィッヒ、起きろ。もう駅着くぞ」

「……………むにゅう……」

「いや、起きろよ」

 

 すると瞼を開けたボーデヴィッヒは俗に言うであろう微睡タイムを放棄する。ガッツリ寝てたのは容易に想像できたが、いくら何でも警戒心なさすぎるのは軍人としてはどうなんだろうか?

 そんな疑問はさておき、俺たちは元々で相変わらず派手な「レゾナンス」というショッピングモールに来ていた。

 俺の右手にはボーデヴィッヒの少し硬い手が握られており、人ごみに揉まれつつも移動をするのだった。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

―――???side

 

 ……まったく。相変わらずなのは嬉しいのは嬉しいが、いくら何でも朝から急にこんなことをされたら俺は当然へこむ。

 

「で、あれが一夏って? 見えなくはないが、いくら何でも別人だろ」

 

 そう思いながら前方のカップルを追跡している俺こと五反田弾は、妹の蘭と久しぶりに会っていたら中国の代表候補生になっていた凰鈴音と共に一夏と思われる男―――アイン・ウォーヴェンを追跡していた。

 ちなみに別人に見えるのは、風体がまるっきり違うのだ。

 

「いいえ。一夏よ。ちゃんと本人が認めたわ」

 

 そう断言する鈴。だけど俺にはそんなことより別の方向を見ていた。

 

「…何よ」

「妹ポジション、取られたな」

 

 そう言うと妹に殴られた。ひでぇ。

 

「大体、この追跡に一体何があるっていうんだ。アレが一夏かどうかともかく、本物だとしてどうするつもり―――」

「拷問」

「監禁」

 

 ダメだこいつら。

 どうして俺の周りの女にまともな奴がいないのだろうかと、水着売り場に入る二人を見ながら思う。

 

「なぁ鈴、IS学園にいる女の子を誰か紹介してくれよ」

 

 ちょっとした出来心で頼んでみると、いきなり悪寒が走った。

 

(……いや、え?)

 

 俺は後ろに向くが、そこには誰もいなかった。

 

(まさか幽霊が……いや、そんなわけないな)

 

 だとしたら俺を狙っている奴でもいるのか? ……そんなことあるわけないな。だって俺、モテないんだぜ。

 そんなことを思い出してしまった俺は前を向くと、そこには面白い状態になっている二組を見た。

 

(……何だ、あれ)

 

 更衣室から出てきたと思われる織斑秋羅。その後ろにはイギリスの代表候補生―――セシリア・オルコットがいた。ここから少し見えるが、たぶんあれって下着だと思う。眼福だが、それよりも困り焦る神童の方が面白いので写メを取って友達の御手洗数馬に画像を送る。

 

『スレ立てようぜ』

 

 すぐにそうしようと思うが思いとどまり、説得を開始した。

 

『それじゃあ面白くない。天才だと思っている奴の汚点を開示するべき場所は―――グループだ』

 

 とあるSNSのグループで同じ中学の連中の中で織斑に酷い目に合った奴だけを集めて嘲笑う。一応は「拡散禁止」と書くが、まぁ、露見したらしたらで面白いから放置。

 

『おま、それって拡散する気満々じゃねえか』

『当り前だ』

 

 すぐに俺はそのグループを作り、写真を添付した。

 すると近くで殺気を放っている女を発見した。どうやら織斑の方を見ているらしいので、顔が写らない角度で撮ってそれも貼る。

 

『なにこの織斑』

『女の試着を間近で視聴かよ。死ねよ』

『というか隣の銀髪の連れがチョー好み!!』

 

 確かあれ、ドイツ軍人のラウラ・ボーデヴィッヒじゃねえか。スキャンダルだらけだな。

 

「―――ちょっとよろしいでしょうか?」

 

 肩を叩かれてそう言われた俺はそっちを向く。そこには黒髪外国人が大人な雰囲気を醸し出した状態で存在していた。……何故か左目に変な日焼けの跡があるのがすごく気になる。

 

「えっと、何でしょうか?」

「あなたは織斑一夏の関係者でしょうか?」

 

 耳元でそう言われ、ドキマギとするがそんなことをしている場合じゃない。とりあえず頷いておく。

 

「……なるほど。では念のため、あなたの知る限りのことでいいので彼のことを教えてもらいたいのですが」

「え?」

 

 えっと、どうして今更になって一夏を? まさか―――

 

「まさか弟が動かせたから兄である一夏を探している、ということですか?」

「いえ。あそこにいるのでそれは行っていませんが、隊長の男であるので」

 

 途端にその女性の瞳が変わる。

 

「本当に隊長に相応しいか確かめようと思いまして」

「え? た、隊長……?」

 

 振り向くと、まだ説教されている中に銀髪カップルがいる。

 

「……えっと、あの少女?」

「はい」

「……隊長?」

「ええ。ちなみにですが、少佐です」

 

 ………それって凄くないか? 少なくとも、あの年齢で少佐ってのはそんなにいないだろう。軍の階級にあまり詳しくないけどな。

 

「あの、せっかくのお誘いですが連れがいますので……いえ、行きましょう。今すぐに」

 

 既にいなかったその連れコンビを放っておき、俺はその女性の誘いに乗った。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 ………話を聞くだけだと思っていた俺は、それが大きな誤算だということに気付く。

 

「どれが隊長に似合うと思います?」

 

 目の前の軍人ことクラリッサ・ハルフォーフさんは明らかにサイズが合ってない服を二着取り、俺に見せてくる。

 俺は渡された写真に視線を写し、どっちも買うことをお勧めする。

 

(だってロリ体型だもんな)

 

 どうやら俺に話しかけたのは意図的らしい。まさかロリコンだと思われるなんて想像していなかったが、確かにあの時の俺は両手に花だった。

 

(………しかしまぁ、コスプレ店なんて入ったの生まれて初めてなんだが)

 

 少し恥ずかしく思いながら、辺りを見回す。どうやら大き目のサイズも揃っており、俺は目だけをそっちを向けていた。

 

(ハルフォーフさんは大人びているから、スーツとか?)

 

 大人用のワンピースも似合うことはスーツも似合いそうだな。

 そう思って手に取ろうとすると、俺は思わず手を引っ込めて周りを見回す。

 

「どうしました?」

 

 俺の様子に気付いたハルフォーフさんは声をかける。すると何故か俺に対する視線が強まった。

 

「い、いえ―――何も―――」

 

 するとハルフォーフさんが俺に近づき、抱き着くと言うある種のご褒美をもらったが、

 

「やはりですか」

 

 同時に殺気が飛んできた。

 

「買うものを買って人気のない場所に行きましょう。ここで騒ぎは拙いですから」

 

 それから俺はハルフォーフさんと共に買いたいものを買い、俺は買った服を鞄に入れるのだった。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

―――アインside

 

「……カオスだな」

「? 何がだ?」

 

 一般的な服やとコスプレ店が並ぶ場所で、俺は友人だった弾の姿を見つけた。

 すると何故かあの辺りから感じたことがある殺気を感じたので密かに近づき、相手には視認できない位置で俺は見てしまった。自分の姉と同じ気配をした女が、弾に向かって殺気を放っているのを。

 

「ん? あれはクラリッサではないか」

 

 どうやらボーデヴィッヒの知り合いもいたらしい。

 

「もしかして、あの女性?」

「そうだ。おー―――」

 

 俺は思わずボーデヴィッヒの口を塞ぎ、抱きしめる。すると大人しくなるのでそのままにする。

 

『これはこれで面白い展開ね』

『まさか自分の親友のモテっぷりをこの目で見れるとは思わなかったな』

 

 うちの学校じゃ、織斑の方がモテてたからな。それでも密かな隠れファンとして弾を支持する奴はいたって話だ。

 あの後オルコットと織斑はその場で怒られるという羞恥な出来事をしばらく笑いながら眺めた俺たち。それよりも今はこっちの方が面白い。

 するとボーデヴィッヒが俺の肉部分を摘まむという暴挙に出た。

 

「―――ッ!?」

 

 慌てて下を見ると、そこには顔を赤くしたボーデヴィッヒが上目づかいで俺を見ていた。

 

「い、いきなりは困る」

「悪い。今はそれどころじゃないんだ」

 

 そう言って向こうを指すとボーデヴィッヒは納得する。

 その後、特に問題はなかったが、まさか邪魔が入るとは思わなかった。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 そこはとあるラボ。

 そこの主である女性こと篠ノ之束の後ろには妹に渡す誕生日プレゼントが用意されていたが、今の彼女の興味はそこにはなかった。

 

『………も無駄だろうから言っておく。確かに俺は織斑一夏だった』

 

 それが何度も室内で再生され、そのたびに束の顔が青くなっていく。

 

(……そんなわけない)

 

 何度も何度も自分にそう言い聞かせるが、そのたびに自分の脳裏に一人の少年が助けを求めるが逆に消したことを思い出させる。

 

 

 ―――助けて、束さん!!

 

 だがこの時、束はそれが一夏だということを認識しなかった。いや、認識できなかった。あまりにも違ったから。

 そして場所も悪く、そこは以前ラウラ・ボーデヴィッヒの機体から検出されたVTシステムを扱い、同時にクローン培養所でもあったため、助けを求めた少年が一夏自身だと認識できなかった。

 

(……違う)

 

 自分に何度も違うと言い聞かせる。そんなわけがないと。ありえないと。

 

(……でも)

 

 彼女の目の前にあるディスプレイが浮かび上がり、そこには出来る限り集めた黒鋼のデータが揃っていた。

 

(……まさか……でも、ありえる)

 

 妹のプレゼントがそうなるはずだった数字。それがすでに現れていたことで束の脳裏にはある人物が浮かび上がる。

 

 ―――千冬が好きだった男が




今回はあまりスポットライトが当てられないバンダナ男にスポットライトを当ててみました。
この二人が後にどうなるか。それはご想像にお任せします。




※アインはチート ゼロやシャドウナイツは超チート
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