IS ~黒き鋼の復讐者~   作:reizen

19 / 31
第19話 戦士たちの面会

 久々に帰ってきた故郷と言える島―――レヴェル島。

 俺たちシャドウナイツが守るべき島であり、俺の家がある。

 今、そこの本部の最上階で俺はアメリカでテストパイロットを務めていたナターシャ・ファイルスを同伴して円卓に集まっていた。

 

「………で、それは本当かい?」

「はい。私がアメリカを裏切ってこの子を連れている途中で、何故かそうなってしまいまして……」

 

 実際、目の前で起こったというのだから無理もない。

 俺だって初めてISがクロになった時は本当に焦ったからな。施設の女物を漁るのにどれだけの勇気が必要だったか。

 

「で、クロの見解としては今回はどう見る?」

 

 スティングに言われ、俺のそばに立っていたクロは説明を始めた。

 

「おそらく、今回の福音事件ではナターシャの精神は完全にシャットアウトされていた状態にあった。その代わりに福音のコアが操られていたとしても全面的に精神が前に出ていたから黒鋼を通じて彼女に影響を与えていたとみるべきね。無意識とはいえ、こんな状態にしたのは謝るわ」

 

 そう言って頭を下げるクロ。俺も下げようとしたらナターシャがそれを止める。

 

「い、いえ。いいのよ。むしろ私として得でしかないし……」

 

 その言葉の真意はわからなかったが、とりあえずナターシャはここで退場させた。

 

「さて、今日は君たちに集まってもらったのはほかでもない。まだ君たちには会ってもらっていないセブンズバトラーがいるから、本日ここで紹介しようと思ったからだ」

 

 そのスティングの言葉に俺とコウ、そしてアルは顔を見合わせる。

 確かに俺たちが座る円卓には男三人、そしてスティングの右腕でクロのコピーのコア人間《アテネ》にスティングの妹―サイレス・ゲイルが座る程度だ。後はスティングが別に編成している特殊部隊の中から二人選んだというのだろうか。

 

(確か一人はあの臨海学校で乱入してきた奴、だよな)

 

 ナターシャを運んでいる最中に何故か織斑と篠ノ之に執拗に攻撃していた所属不明機。クロはバトラーすべてを把握していないけどそれかもしれないと予想を立てていたが。

 

「スティング様、一人は到着が遅れているようです」

「…アイツか。イギリスに寄るとは言っていたが」

 

 どうやら一人は知っている人間らしい。いや、どっちも知っているか。

 そう思っていると自動ドアが開き、そこに現れた人間に対して―――俺は黒刃を展開して攻撃を仕掛ける。

 するとそいつは一本の刀を出して黒刃を弾いたので、その反動を利用して左手に白牙を展開して応戦しようとすると、

 

「―――そこまでです」

 

 アテネが間に入り、俺の動きを止める。

 

「止めるなアテネ! こいつは……こいつだけは―――」

 

 兎がここにいるのに、どうして誰も攻撃しないのか疑問に思いつつも俺はさらに攻撃する。

 

「―――ダーリン♪」

 

 ―――え!?

 

 そいつから発せられた声に俺は動きを止めてしまい、俺は本日二度目のキスをされた。

 ちなみに今は鈴にキスされて10時間しか経っておらず、俺は改めて自分がどれだけ罪作りな男かということを理解させられる―――じゃねえな。

 まず思ったのは、兎とこいつの声が少し違うことだ。

 確かに姿は似ているが、よく見ると髪の色も違う。そして―――機械だがうさ耳ではなく角だった。しかも、鬼の。

 周りを見るとコウとアルは呆然としており、クロに至っては冷静だった。……え? 冷静?

 

「―――ぷはっ! ……えーと…その―――」

「え? もう一度したいの?」

「いやいやいやいや、そう言う問題じゃないから!!」

 

 誰かに止めてもらおうと思うが、たぶん無理だ。コウに至っては殺気立っている。

 

「あー、いいかい、メイ」

「いいわよ」

 

 どこか満足そうにするメイと呼ばれた女を改めて見る。まるで兎の2Pキャラみたいな感じだ。

 

「彼女がメイ・グラス、登録上は6人目のバトラーだが、実際はナイツ結成前に私と共に活動している」

「よろしくね、みんな」

 

 終始笑っているが、顔がやっぱり敵である兎に似ているからか、俺たち男三人は複雑な顔をしている。

 

「それと、この際だから私自身のことも話しておこうかしら」

「……いいのかい?」

「黙っててもいずれわかることだしね」

 

 スティングの問いにそう返し、メイは俺すら知らなかったことを言った。

 

「私の本名は篠ノ之(しののの)(かえで)。コピーでもクローンでもなく、正真正銘篠ノ之柳韻(りゅういん)の娘よ」

 

 その言葉にコウとアルが俺を見るが、当然俺は首を振った。

 

「3歳ぐらいに私の知能数があのアホと同等だって知ったから父さんは伝手を使って私を預ける形で捨てたのよ。まぁ、あんな破天荒な姉と一緒だとさすがに母親の神経が持たないと思ったんでしょうね。幸い私にはそう言う反面教師がいたから少しはまともだから安心して」

 

 そう言ってメイは用意された自分の席に座る。

 それでも、正直信じられなかった。

 あの二人が会ったのは小学生の頃だし、俺が箒に会ったのは小学校に入学したときに姉の紹介で。その時には既に捨てられていたという。他人の感情に敏感じゃなかった俺には変化がわからないからな。

 

「そのことに関しては私からも保証するよ。むしろ彼女は一般人のそれと変わらない」

 

 ……まるで兎に会ったことがあるような口調で話すスティング。確かスティングはクロとも面識があったし、どういう関係か少し気になる。

 そこまで考えると、そこに漂っていた気まずい空気とは一変したプレッシャーが流れてきた。

 

「……来たか」

 

 スティングが三叉の槍を展開し、その場から消えた。

 

「全員、武器を構えた方がいいよ」

 

 サイレスがそう言い、全員がその場で各々の武装を展開する。

 すると空中で火花が散り、俺の後ろにスティングが、そしてその対角線上に―――何故かゼロが着地していた。

 

「ゼロ……?」

「おい待てよアイン。あれってお前に「更識に手を出すな」って警告した男か?」

 

 アルが聞いてきたので頷くと、納得したような顔をする。

 

「どうしたんだよ、アル」

 

 ゼロが、そしてスティングがその場から再び消え、上空で持っていたそれぞれの武器で鍔迫り合いを始めた。どうやって浮いているのか謎だ。

 

「あの男、七年前に更識姉妹を誘拐した裏組織から救うためにたった一人でその組織を壊滅した奴だ。監視カメラに顔が鮮明に映ってた」

「―――その後は私が処分したので更識には死んだ認識がされています」

 

 そう補足する声があり、全員がそっちの方に武器を構える。

 

「初めまして、みなさん……というわけではありませんね」

 

 その少女はクロの方を向くが、すぐこっちに視線を戻す。

 

「私はゼロ―――ドーン・ゲイルのIXISコア、ティアと申します。ISのナンバリングでは007に該当します」

「待て。じゃあ、お前は―――」

「IXIS零号機。IXAとISの融合体の試作品。彼は自分が名前が嫌っているので「ゼロ」と通しています」

 

 俺たちは上を見ると、そこにはゼロが炎の翼に雷の槍を展開し、スティングに攻撃していた。

 しばらくすると気が済んだのか、二人は武器を消して着地する。

 

「ということで、彼が七人目のバトラーだ」

「よろしくな」

 

 ……ちょっと待て。今俺たち重要なことを聞き逃さなかった。

 

「……ドーン・ゲイル?」

 

 コウがそう言うと電気のみの何かがコウの隣を通過する。

 

「その名前で呼んだら消す」

「上等だ!」

 

 コウは飛び出し、同時にそこからゼロの後ろに飛んで心臓を貫く。

 

「上だ!」

 

 アルがそう言うと上から身動きを封じるためか鎖が襲う。さらに下からも鎖が出てきて壁に押し付けた。

 

「―――っと、悪いな。ついカッとなってしまった」

 

 そう言ってゼロは何事もなかったかのように鎖を消し、しりもちをついているコウに対して手を差しだす。

 

「いや。俺もアンタの実力を知れて良かったぜ」

「そう言ってくれるとなによりだ」

 

 コウを立たせると何かを思い出したかのように外に出る。すると鎖の塊を持ってきて俺の方にぶん投げた。

 それを黒鋼を展開して受け止めると、鎖が解かれる。

 

「おみやげだぜ、イチカ・オリムラ」

「だからと言って投げなくてもいいだろう!」

 

 手元からそんな声がしたかと思うと、そこには高校生くらいの千冬姉がいた。

 

「あ、そいつは織斑マドカ。お前の妹だ」

「………」

 

 妹がいるなんて知らなかった俺は思わず投げてしまう。

 

「あ、兄貴。こいつのISをIXIS化してほしいんだけど」

「それはいいが、まさかイギリスの二号機を奪って来たのかい?」

「アイツのスタイル的にそっちの方が良かったんだよ。それにイギリスじゃあBT適正がA止まりしかいないから仕方ない」

 

 なんて会話しないでどうしてお前がこいつを連れていたのか説明してほしい。後攻撃してくるのを誰か止めろ。

 するとそんな思いが届いたのか、妹(仮)の後ろを何かが通過した。

 

「………あ」

 

 まるで破裂したかのように妹(仮)の服が弾け飛び、下着とかが露わになる。

 俺も含め男全員が一斉に顔を背けるが、ゼロだけは笑っていた。

 そんなことをした犯人―――メイが視界内にいないからおそらく犯人。

 

「―――!?!?!」

 

 混乱した妹(仮)は噂のISを展開してビットで乱射するのだった。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

「……で、何でゼロがマドカを連れていたんだよ」

「俺が元亡国機業のキングなんてものをやっていたから」

 

 するとそこに残っている男たちは飲んでいた水を吹いた。女たちはメイの服を試着するらしい。

 

「ちょっと待て!? じゃあお前は亡国機業の王様だったのか?!」

「面倒だったから裏切ってアレだけ連れてきたんだけどな。自由にするのはこっちについた方が楽だし」

 

 引っかかったことがあるので俺は挙手して質問する。

 

「自由にするってどういうことだ?」

「実はマドカって五反田弾が好きなんだぜ」

 

 弾が蘭が俺に惚れていることについて四苦八苦したことをようやく理解した。なるほど。妹が友人に惚れるとここまで微妙な気持ちになるとはな。―――と、十分経ってようやく受け入れれた俺が言うセリフではないな。

 ちなみに俺の適応力が高い理由は、篠ノ之楓という存在がある時点で色々と諦めているからだ。適応力がア高くなければここにはいられない。

 

「ほら、お前らIS学園生が水着買いに行っていた時に友達が黒ウサギの副隊長とデートしていただろ? あの時に織斑千冬とかその弟とかとバッタリ会って途中に見失ったからわからなかったようだけど、実は最後まで追跡したりコスプレショップに戻ってどんな服がいいのか探したりって、本当におもしろかったぜ。あ、写真見る?」

「もちろん」

「俺も見せてもらおう」

 

 何故かコウとアルが物凄く乗り気なのが気に入らない。

 

(っていうか何故に弾!?)

 

 一瞬、マドカが弾と結婚して連さんと同じように定食屋を営んでいく姿を想像した。

 

「うわぁあああああああッ!?!?! 無理! 絶対無理!!」

「落ち着けよイチカ。血縁である以上、俺みたいに誰にも渡さないってことは無理なんだから」

「………」

 

 するとコウとアルが俺を変人を見るような視線を向ける。待て! 俺はそういうんじゃない!!

 

「って言うかいいのかよ、ゼロ。今は夏休みだとはいえ不穏分子と更識が会う確率は低い―――」

「……ごめん。その時にはもうお前の弟は灰になってる」

 

 時と場合によっては俺の復讐は強制終了するみたいだ。

 どうか俺が引導を渡すために、あのアホが余計なことをしないように祈りたいが……確率は低い。




ということであの七人が揃いました。

No.1 アテネ
No.2 サイレス・ゲイル
No.3 アルト
No.4 コウ
No.5 アイン
No.6 メイ
No.7 ゼロ(ドーン・ゲイル)

ゼロの合流は当初から予定にあり、違いがあるとすれば主要人物がマドカだけか否かですね。全員裏切って亡国機業は暴走中。

スティングはみんなのリーダーなので入っていません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。