IS ~黒き鋼の復讐者~   作:reizen

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第23話 影の騎士団、本格始動!

 鈴音がラウラを楓に引き渡している頃、第四アリーナでは織斑秋羅が更識楯無が主催した「灰被り姫(シンデレラ)」に出演させられており、容赦なく刀やら苦無ならライフルが持ち出されていた。

 

(一体全体これはどういうことだよ!?!)

 

 手刀で一人を昏倒させ、武術で用いられる棍棒を使って向かってくる女たちを次々と倒していた。一部女子たちから批判があったが、弾が本物だと分かった瞬間から秋羅はそんな声を無視している。

 

「大人しくしろ、秋羅!」

「待って箒! どう考えても刀を向けられて大人しくできる男はいないと思うんだ! しかもそれ、本物だよね!?」

「しかし、あの生徒会長は「これは偽物だから」と言ってたが―――」

「どう考えてもあれは本物の切り口だよ!!」

 

 先ほど箒が切り捨て大道具を指して秋羅は叫ぶ。

 だがその横槍を入れるかのごとく、射撃が秋羅を襲った。

 

(あの射撃はセシリアか!!)

 

 すぐに近くの壁に避難するが、箒の攻撃で再び外に追いやられる。

 

 その光景を見ていたコウとアルトは何とも言えない顔をしていた。

 

「なぁ、アル」

「なんだ?」

「俺、シャルロットが彼女だったことを幸せに思うことにするよ」

 

 親友で相棒であるコウの言葉に乾いた笑しか出てこないアルト。

 シャルロットとは以前はIS学園にシャルルという男として在学していた人間で、今はレヴェルで家族と幸せに暮らしている。リゼットがアインの部屋で寝泊まりし、なつく理由の一つでもあるのだが、本人たちはそれに気づいていない。

 ともあれコウはその母親が好きだったのだが、振られた挙句に娘を紹介されたためにぎくしゃくしていたが、最近では徐々に距離が近まってこの光景を見てから急接近するだろうということは容易に想像できる。

 

「しかし、更識の様子がおかしくないか?」

「あー……そういえばさっきから誰かに連絡しているようだけど……もう開始したのか、ゼロの奴」

 

 二人には楯無が焦っている理由を知っており、なんとも言えない顔をする。

 そこでふと、あることに気付いたコウはアルトに聞いた。

 

「ところで、何でこの女の映像を写真でコピーしているんだ?」

「ゼロに売るために決まっているだろう」

 

 真顔に答えるアルトにコウは少し引いた。

 再び顔を画面に戻す二人。すると秋羅が謎の女に連れ去られたのを確認し、二人はお互いのIXAを展開する。

 そして秋羅が謎の女と戦闘になった瞬間―――二人は今いる空間を攻撃した。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 いきなり警報が作動し、教員たちは職員室の間近に設置された作戦司令室に入り、状況を確認し始める。

 

「教員部隊はすぐにIS格納庫に急行せよ! 繰り返す! 教員部隊はすぐにIS格納庫に急行せよ!」

 

 IS学園には格納庫が二つあり、一つは教員用の機体を保管する格納庫で、もう一つは生徒たちに貸し出す格納庫だ。

 生徒たちに貸すほうが襲撃されており、訓練を受けた戦闘員たちはすぐに機体に搭乗して格納庫に向かう。

 

「更識、お前は織斑の援護に回れ」

『了解しました』

 

 千冬は楯無にそう指示する。こっちは予想通りだったが、さすがに格納庫を狙うことは予想できなかった。

 格納庫にはかなり厳重なセキュリティが設置されており、人っ子一人は言うまでもなくネズミ一匹すら通さないほどのレベルを、内側から攻撃されている。

 

『織斑先生! 包囲完成しました!』

 

 指令室のスピーカーから一年一組の副担任を務める山田真耶の声が聞こえ、千冬はすぐに指示を出す。

 

「真耶、精鋭を数人選んで突入して捕縛しろ。それが無理なら殺せ」

『……わかりました』

 

 苦々しく答える真耶。いうまでもなく彼女はまだ人を殺したことがないが、この教員となる前にあらかじめそうなる可能性はあることを伝えられており、彼女はそれを受け入れている。

 真耶は使えると判断した教員を選出し、格納庫に入ると。

 

「おいアル。もう来たぜ」

「そうか」

 

 ―――え?

 

 彼女らは思わず動きを止めてしまう。

 なぜなら聞こえてきた声が男だったためであり、

 

「目標確認、迎撃する」

 

 その言葉に続いてミサイルが飛んできたのだから。

 真耶はいち早く正気に戻り、シールドで防ぐ。

 

「ほう。女の中でも対応できる奴はいたか」

「いや、普通に対応できない方がおかしいからな!」

 

 アルと呼んだ少年らしき声が聞こえる。すると真耶の方に一直線に何かが現れ、真耶は回避した。

 

「全員出てください。この人は危険です」

「コウ、目的は果たした。活路を開け」

 

 お互いが自分の仲間に指示を出す。すると男の方から何かが光り、覆っていた壁が消滅した。

 

「こんなことが……」

 

 教員の一人がポツリと漏らし、コウはそれを聞き逃さず反応した。

 

「いやいや、これくらいやろうと思えば簡単にできるっての」

「ISにはできないように作られているからな。だから容易に壊れる。」

 

 アルトがそう言うと、全員が顔を青くする。

 

「―――ふざけんなよ、男風情が!!」

 

 一人の教員が二人の方に飛ぶ。それにアルトがいち早く反応して背中の翼を生やすように伸ばす。

 

「これはヤバいな」

「目にもの見せるだけだ。無能にな」

 

 誰もがその光景に目を奪われ、気が付けばアルトはその女性を通り過ぎていた。

 

「その程度か、優良ぶった無能女」

 

 IS装甲が斬られ、その女はISの恩恵を失った状態で落下する。

 それを受け止めた数人の教師は青い機体を纏ったアルトを見て、コアを見つけた。

 

「あなた、それは……」

「ああ。この女が持っていたコアだ。だが、これも必要ないだろ」

 

 その頭上から雨のようにピンクの光が降り注ぐ。

 

「俺、アテネが戦うの初めて見た」

「俺もだ。その名の通りだな、あの女は」

 

 二人が見た先には紫の機体がそこにいるすべてを見下ろすように存在していた。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 その頃、秋羅は自分を引っ張って連れてきた女―――オータムと交戦していた。

 

「オラオラオラァッ!!」

 

 八本から飛ぶ弾丸やナイフを二次移行(セカンドシフト)した白式で回避する。

 

(こいつの攻撃、無駄がない)

 

 その攻撃スピードといい、たまに掠るほどの射撃鮮度といい、国に所属すれば国家代表は間違いないレベルだ。

 だが、秋羅も楯無との特訓のおかげでレベルアップしており、マニュアル操作の連度が上昇していた。だからこそ今も生き残っている。

 

「ちぃ。しぶといガキだ」

「あまり男を舐めるなよ、おばさん」

 

 秋羅の言葉に反応したオータムは接近し、二本のアームが接近してくるが秋羅は冷静にそれを雪片で受け流す。

 

「私はまだ20代後半だ!」

「十分おばさんじゃないか!!」

 

 完全に敵を作る発言をした秋羅だが、瞬時加速でオータムの真横に移動。荷電粒子砲を近距離で放つ。

 それが直撃し、オータムが駆るアメリカ製の第二世代IS『アラクネ』は壁に激突した。

 

「……随分と頑張るじゃねえか。まさか三年前にさらったガキがこんなに強くなってるとはなぁ」

「え……?」

 

 秋羅の思考が停止した瞬間、オータムはそれを見逃さず接近してタックルする。

 

「ぐっ!?」

「さっきまでの威勢はどうしたぁ? 手がお留守になってんぞぉ!」

 

 オータムの攻撃を回避していく秋羅。だが彼の頭にはあることが引っかかっていた。

 

「まさか……お前らが僕を誘拐したのか?」

「そうだぜぇ。まぁ、テメェの兄は死んじまったみたいだがなぁッ!!」

 

 ―――そんなことはどうでもいい

 

 兄のことを頭の片隅に追いやるどころかすぐに捨て、秋羅はがむしゃらに突っ込んだ。

 

「お前らのせいでぇッ!!」

 

 だがオータムはそれを読んでいたかのように―――すれ違い様に秋羅に何かを取り付けた。

 それを素早く蜘蛛の糸で回収すると着地する。電流が秋羅に走ったが、それも威力が弱かったからかすぐに秋羅は体勢を立て直した。

 

(これで―――!!)

 

 自分の体に異変が起こったことに気付いたのは、秋羅がオータムの攻撃を体で受けた時だった。

 

「……どう…して……」

「どうして? んなもんテメェのISがここにあるからだよ!」

「―――!!」

 

 オータムが持つ物を見て、秋羅の顔が驚愕へと変わる。

 そこには強い輝きを放つ菱形立体のクリスタルを固定する装置が握られていたからだ。

 

「……まさか……それって……」

「そうだ。テメェがさっきまで装着していた白式だよ!!」

 

 肩で息をしながら立ち上がる秋羅を見て、オータムは語り始めた。

 

「さっきテメェとすれ違う時に着けたのは剥離剤(リムーバー)っつってなぁ! ISを強制解除して奪うことができる代物よ! 生きてる内に見れてよかったなぁ!」

「―――!!」

 

 そこで秋羅はようやく気付いた。自分がまんまと敵の策にはまったことに。

 

(僕としたことが……)

 

 だが後悔する前に秋羅は現実に引き戻される。

 秋羅は咄嗟に頭を下げると頭上を鎖が高速で通過し、高笑いしているオータムを攻撃した。

 

「この鎖―――まさか!?」

 

 オータムは心当たりがあるらしく、顔色を変え始めた。

 

 ―――その時だった

 

 オータムの目の前を黒い何かが通過し、着地する。

 

「ウォー…ヴェン?」

 

 だが秋羅にはそれが本当にアイン・ウォーヴェンなのか確証を持てなかった。

 何故ならアインが纏う服がさっきまで来ていた燕尾服ではなく、黒いローブだったからだ。

 

「テメェ! それを返せ!!」

 

 オータムがアインに接近しようとすると、目の前を何かが通過して視界を遮ると同時にアインの周りに何かが浮かび上がってそれが展開された。

 

「ウォーヴェン! それを僕に渡せ!」

 

 秋羅はアインにそう言い、アインは秋羅を一瞥するがそれだけだった。

 

「言うことを聞け、ウォーヴェン! 後ろの奴はともかく、俺とお前なら目の前の敵を捕まえれる! だから―――」

「何を勘違いしているんだ、お前は」

 

 秋羅の言葉を遮ってアインは口を開いた。

 

「あの程度の敵、俺一人でも十分倒せる」

「だったら何故アイツを叩かないんだ!」

 

 秋羅には意味がわからなかった。アインが自分に装備を渡さないことが理解できなかったし、何より勝てる自信があるのにさっきから動かない理由が。

 

「………」

 

 答えのつもりなのか、アインは秋羅の後ろにいる人物に目を向ける。

 そこにはアインと同じ格好をしてはいるが、フードで頭が隠れて見えない。

 

「やれやれ、人使いが荒いな」

「だがやるのだろう?」

「まぁね。あ、そこの誰かさん? さっさと物陰に隠れとかないと変なのが―――」

 

 まるでその男の言葉に怒ったかのように壁が爆発し、戦闘員と思われる人間が何人か現れた。

 

「―――来ちゃったよ」

 

 ため息を吐く男だが、オータムはそれを終わるのを待たなかった。

 

「死ねゼロ! この裏切り者がァ!!」

 

 オータムはアラクネの装甲脚で斬り裂こうとするが、突如その男―――ゼロの手から眩しい光が放射されて全員が動きを止める。

 光が完全に消え去ったと思ったら、そこには秋羅も見たことある機体が存在していた。

 

「……お前は……あの時の侵入者!?」

「レズビッチのメス豚風情が」

 

 子供の声を発した零騎は秋羅に一瞥もくれずにオータムに向けて罵倒と同時に攻撃する。

 

「まさかお前は―――あの時の侵入者の仲間か」

「いや、本当のあの機体の操縦者で侵入したのはちょっとした欲情と殺意込み―――と」

 

 ゼロは後ろに向けて銃を撃ち、遠慮なく頭を吹き飛ばす。

 

「え? でも、ISを動かせるのは僕たちしか―――」

「まぁ、お前古いしなぁ……」

 

 憐みの視線を受けた秋羅はゼロを睨むが、ゼロは秋羅を蹴り飛ばしてから後ろに飛び、再び敵を消滅させる。

 

(いや、今は―――)

 

 秋羅はアインに白式を返してもらうように言おうとアインを見ると絶句した。

 

「……何だよ、これ」

 

 周りにいる人間たちの手足はもがれ、全員が血を出した状態で倒れており、アインは謎の円の中でそれを見るように見ているからだ。

 そしてアインは自分の胸元に話しかける。

 

「……目覚めろ」

 

 するとアインの胸元から漆黒のクリスタルが現れ、アインはそれを掴んで持っていた剥離剤を握り潰して白式のコアを開放する。

 秋羅はその光景を見て周りから目を逸らし、ただ白式のコアを奪うためにその混沌へと向かうが―――鎖が秋羅に巻き付いて離れない。

 

「何だよコレ!? 解けよ! 開放しろよ!!」

「開放しても死ぬだけだと思うけど?」

 

 ゼロは秋羅を引っ張ってこけさせる。

 

「何すんだよ!? 離せよ!!」

「いやぁ。お前がこの場で死ぬのはアイツも不本意だろうからわざわざ助けてやってんだけど」

 

 恩着せがましく言うゼロだが、実際そうだ。

 今回のゼロの任務はアインの補佐で、ついでに秋羅を生かすようにアインから言われている。

 

「大体、俺は仕方なくお前を生かしてやってんだから大人しくしろよ」

「ふざけんな! いいから僕を開放しろ!!」

 

 そう叫ぶ秋羅をゼロは鼻で笑って秋羅に言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さすが、簪に「偽物」って言われたことだけあるな」

「……お前」

 

 秋羅はそう言われ、キレそうになるがなんとか抑えたがゼロはそれでも挑発を続けた。

 

「まぁ、仕方ないよな。あの子は俺の凄さを知っているし、俺はお前みたいな成績だとの無能とは違ってありとあらゆることができる正真正銘の天才だし」

「ふざけるな! お前が僕と束さんと並べるわけないだろ!!」

「まぁ、とっくに追い越してるしな」

 

 ドヤ顔でそう言うゼロにとうとうキレた秋羅。すかさずゼロの顔を蹴り飛ばそうとするが、それを受け止められる。

 

「ほぅら、天才だろ? お前らみたいに中途半端に兵器を創るような奴や、成績だけで自分が神童と勘違いするお前と違ってな」

「死ねェ!!」

 

 秋羅の所業を見てゼロは笑ったが、その笑顔は瞬時に変わった。

 

「………もう来たのか、ナナ」

 

 その言葉で話しかけてた相手はゼロのことを確信したんだろう。ナナと呼ばれたその女―――更識楯無はゼロに対してこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どうしてここにいるの、キョウ」




ということでタイトル通り動き出したシャドウナイツ。
アインとゼロの二人のコンビの話は次へと持ち越し。

ティアが零騎を動かせるのは、その機体のコアでもあるからです。
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