IS ~黒き鋼の復讐者~   作:reizen

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連続投稿、一話目です


第28話 本格開戦/篠ノ之、激突

―――アインside

 

 ゼロが女権団の本部を文字通り壊滅させた三日後、日本にとっては弔い合戦の意味も含められており、日本は中国とロシア、ドイツとアメリカと共同戦線を結んでレヴェル国を攻めることになったらしく、俺たち主要メンバーは集められていた。

 

「それで、俺たちを集めたはいいが……ゼロはどうした?」

 

 代表して意見を言うと、

 

「弟贔屓だと思うかもしれないが、しばらくは休ませてやってくれ」

 

 羅殺に見せてもらった中継用映像を見て、正直俺たちは笑えなかった。

 後で名前教えてもらって最後のビームが「剣式・滅刃砲」らしいのだが、あれでクレーターはもう恐怖で支配できるレベルだろう。

 そのためか、今回はティアが代表として出ている。

 

「……ズルいわゼロ。私だって一夏といちゃいちゃしたいのに」

 

 隣で何かを呟いている楓はスルーだ。

 

「……メイ。今回はそういうのじゃない。ただの疲労だ」

「「……はい?」」

 

 俺とコウはそろって疑問声を上げるが、ティアが冷静に解説する。

 

「今回、マスターは羅殺に更識楯無を回収させた後、生身で戦っていたのでその時に味わった疲労です。マスターの肉体は見た目とは裏腹に耐久力はかなり高いですが、それでも常人で耐えられないマニューバを気合と怒りでカバーしている状態だったので………まぁ、普通の人間がやったら体が耐えられずに死にますけど」

 

 さすがは化け物レベル。やったことがめちゃくちゃだ。

 

「そういうことだ。だからアイン、コウ、今回はお前たち二人に掃討してもらう」

 

 つまり俺は機体の試運転ができるということか。その試運転に利用するために戦争を仕組んだ……のはさすがに考えが過ぎるだろう。

 

「それと楓、お前はいつでも出れるようにしておけ。横槍の阻止を頼みたい」

「……その横槍に来た大物を持ち帰って薬漬けにしてもいいのでしょうか?」

「好きにしろ」

 

 その横槍が誰なのかわかった気がしたが、楓の質問である人物ではないだろうと思う。

 

「アルト、サイレスは伏兵対策だ。そしてある程度の戦況が傾いたら俺も出る。なのでアテネ」

「わかりました」

 

 どうやら作戦内容は決まったようだ。確かに、総大将が先に出るのは愚策だろうし、俺としても意見はない。

 

「それでは私はマスターに準備を―――」

「いや、ティア。お前にはあることをやってもらいたい。アテネ、あれを」

「わかりました」

 

 アテネはティアに資料を渡す。

 

「これにはある計画が書かれていて、あのバカにはその運営を任せたい。戦いは任せてそっちに専念するようにしてくれ」

 

 ティアはその用紙を見て、ふと動きを止める。

 

「わかりました」

 

 そして会議は終了して解散なんだが、俺はティアの方に行った。

 というのも、さっきの返事の仕方が怪しかったからだ。

 

「なぁティア、もしかしてさっきのメモに「更識を餌に」ってなかった」

「ありましたよ。私にとってもありがたいです」

 

 あー。やっぱりかー。

 もはや更識はゼロの餌扱いだからな…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『私にとっても……?』」

 

 どうやら話を聞いていたクロと俺はハモりながら言った。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 触れてはいけないだろうという俺たち二人の意見が一致し、俺とクロはこれ以上追及をしないことにした。正直、気にならない方がいいだろう。

 そう思って今は任務に集中する。

 

「じゃあ、行ってくる」

「行ってらっしゃい、あなた」

 

 隣でラブコメしている同僚をどうにかしたい気分だ。

 

『というか、発展しているんだな』

『まぁ、コウもあの言動がなければそれなりにイケメンだからね』

 

 そう言いながら俺は先に白式・堕天を展開して先に出る。

 外からはすでに何人かおり、俺はその中に突入する。

 

「来たぞ! 裏切り者の織斑一夏だ!」

「殺しても構わん! 遺体は回収しろ!」

 

 本当に無茶を言うな。

 俺は黒刃と白牙を展開すると同時に投げ、一気に二機のISを戦闘不能にする。

 すると一機のISが俺の背後から攻撃しようと接近してきた。

 

「これでぇ!!」

 

 すると後ろからピンク色の熱線がそのISを襲い、吹き飛ばす。

 

「いちゃいちゃは終わったのか?」

「ああ」

 

 すると白鬼をまとったコウはそこから消え、別の場所に現れて二刀流でつぶす。

 

『しかし、思ったより敵がいないな』

『そりゃあ、実験とかに多く使うからじゃないの? 大部分は回収していたから半分近くはこっちにあるし』

 

 すると熱線が俺を襲うかのように飛んでくる。たぶんこれは白鬼じゃないだろう。

 そう思って辺りを見回すと、俺を狙っていた狙撃手を発見した。

 

『待ってアイン。あの武装の砲撃パターンが前の無人機と似ている気がする』

『何?』

 

 クラス対抗戦の時のアレを思い出す。すると別の方からも熱線が飛んでくる。

 

『この数、まさか集中攻撃……待って、何機か無人機がいるわ!』

 

 たぶんそんな気がしてたんだよな。

 異様に多いレーザーを回避し、時には防御して防いでいく。

 

『一夏! 動くな!』

『―――え?』

 

 すると後ろから別の熱線が飛び出し、それがまるで流星群のように降り始めた。

 それが次々と敵機を破壊していくと、今度は前の方から白い何かがこっちに向かって飛んでくる。

 それを回避した俺をフォローするかのように、楓は俺の前に現れた。

 

「……やっぱりいたんだ、ダメ兎」

 

 すると白い装甲を纏った篠ノ之束がステルスを解除して現れた。

 視線を楓に向けており、表情からはものすごく怒っていることがわかる。

 

「「死ねェッ!!」」

 

 そう言って篠ノ之家の姉妹喧嘩が勃発した。

 俺は巻き込まれないようにここから回避する。経験上、天才がやることはおそろしいから。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 一夏が消えたと同時に二人はお互いの装甲を解き、肉弾戦へと移行する。

 するとまるで示し合わせたかのように各国の軍人たちが移動を開始し、二人の邪魔にならなように射程を外す。

 それに気づいているのか気づいていないのか、二人はそこでPICを駆使してまるで宝玉を七つ集めて願いをかなえる人たち並みの戦闘力を発揮する。

 一撃一撃で海水に波紋を打つが、船には影響は出ない。

 

「ねぇ、いっくんを返してくれない。返したら見逃してやる――よッ!!」

 

 束が飛び出し、楓に向かって飛び蹴りを使う。だが楓はそれをいなし、腹部に強い衝撃を入れる。

 束は吹き飛び、楓はそれに追撃を入れようとする。それを束は受け止め、楓を海面にたたきつける。

 

「だったら―――」

 

 掴んだままの腕を捻り、楓は上空へと飛んだ。

 それに対して束は体を捻って体勢を変える。

 

「―――見捨てるな!!」

 

 楓の渾身の蹴りと束の拳がぶつかり、束は海面に叩きつけられた。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 ―――ドスッ

 

 見張りの人物を気絶させた二人を部屋に入れ、IS学園全体から軟禁を強いられていた秋羅と箒はIS保管庫へと向かう。

 今、あそこは厳重なセキュリティが用意されていたが、秋羅にとってそれを解くのは容易だった。

 

「しかし、こんなことをして構わないのだろうか」

 

 今さらながら箒はそうポツリと漏らす。

 

「向こうが参加させないならこっちから行くまでだ。それに、一夏との決着は千冬姉さんが付ける資格はない」

 

 そう言いながら没収された白式・改に乗り込み、箒も続くように紅椿に乗り込む。

 そして白式を発進させた秋羅は倉庫を破壊して外に出ると、IS学園内に緊急事態を知らせる警報音が鳴り響く。

 

「秋羅!」

 

 呼ばれた秋羅は箒の方を見ると、そこには見覚えがないマシンに箒の姿があった。

 

「ほ、箒!? なんてものに乗ってるんだよ!!」

「お前はあそこに行くんだろう。だったらエネルギーを無駄にせずに行った方がいい」

 

 そう言われ、秋羅は考えてしまう。

 確かにそっちの方がいいかもしれないが、危険ではないかと。

 

(……でも)

 

 即座に乗った方がいいと判断した秋羅は頷き、箒に運転席を譲ってもらって二人乗りの状態で太平洋へと繰り出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

―――楓side

 

「これがもう一人の方だよ」

 

 日本に「織斑秋羅」という天才少年がいるという話を義父から聞いたとき、何故か私にはもう一人の方に轢かれた。

 たぶんだけど、私が天才だから仕事が忙しい代わりに愛する夫の出迎えを楽しみにしたかったのかもしれない。

 だから私は一目見ようと、唯一のわがままを言ってその男を探したのだ。

 

 ―――けど、その場所にはいなかった

 

 その過程で私はスティングと出会い、その弟のゼロと出会い、今の一夏に会った。

 

 そしてあの場所で私は―――姉が一夏を好いていることを知った。

 

 ―――渡さない

 

 中途半端にしかできない、世界を混乱させるだけでさせてもう一人の妹を裏切った奴の人権なんてもういらない。

 

「はぁああああっ!!」

 

 確かに私には姉を責める資格はないだろう。自分が計画しているハーレム計画も一部非人道的なことがあるのも理解している。

 だけど、裏切りものなんていらないし―――一夏のような裏切った奴なんてもう必要ない。

 

「この、コピー風情が!!」

 

 敵はISを展開し、同時に何体かの無人機を出すと同時に私はあるものをばらまく。

 それが周りの敵戦艦を巻き込んで結界を張った。

 

「……どうして」

「ISを展開したのはともかく、あなたは元から周りを舐めすぎているんだよ」

 

 敵―――篠ノ之束が驚愕する。それも当然だ。

 私が展開したアンチ(A)マシン(M)・フィールド。即座にフィールド以外のシグナルパターンを検出し、破壊するシステムで、展開された範囲は空中に浮いている。

 それはISコアだけは停止するシステムで装甲は消すけど、それで十分だった。

 

 呆然としている姉に向かって接近し、ある物質を小型注射器で入れる。

 

「―――!?」

 

 箒はともかく、私と姉はとにかく薬物が効かない。

 姉はどうしてかわからないけれど、私の場合はそれが体質らしい。

 そして私は以前私自身であることを試した。

 

「どう? 私特性の特殊薬は」

「……おま…え……」

 

 あの時は一夏の前でなんとか抑えたけれど、今思えばあの時に既成事実を造っていればよかったかもしれない。

 今回、姉に投入した薬はその10倍の威力を持っている。

 

 ―――我ながら、よくできた劇薬だと思う

 

 それでも耐える姉は、もしかしたら私以上に薬が効きにくい体質かもしれない。

 

 ―――だけど、もういいか

 

 私は回収するために「天才」というモルモットに触れると、それは身震いを始めたので卑部を触れまわすと痙攣し始める。

 

 ―――計画完了

 

 これでまた一人、使えるのを手に入れた。

 それにこの姉は友達のためなら無人機を提供することは容易に想像できる。

 

 ―――ピピッ

 

 私がIS学園に残してきたカメラがある映像をこちらに流してきた。

 それを開くと、そこには私が知っている人物が映る。

 

(やっぱりね)

 

 織斑秋羅と篠ノ之箒が私があえて置いてきた飛行バイクに乗って飛んできた。この戦いにはすでに織斑千冬が暮桜を持って参戦している(というかさせられている?)し、戦っているエリアは違うが、今も私が作った無人機たち相手に無双している。

 

(人質もいいけど……まぁ、無理か)

 

 生きているって知ったら、一夏は秋羅を殺したがるだろう。

 

 ―――平凡から落ちた原因を

 

 そもそも、あの三人(性格に言えば四人)は異常だ。ゲイルの三人なら一度母親の方とは会っているからどれだけ優秀かはわかるけど。

 亡国機業のあの計画はあの人抜きで進められたから、一夏のような犠牲者が出るのは当然だ。

 だって一夏は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――亡国機業が開発していた一人兵団(ワンマン・アーミー)計画(プロジェクト)の生き残りなのだから。

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