IS ~黒き鋼の復讐者~   作:reizen

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第29話 ぶつかり合う過去の因縁

□年 ○月×日

 私たちの研究の成果が誕生した。

 だけど少し困ったことにそいつは女の子だった。私としては男の方が身体能力が高いから男が良かったけど。

 生まれた彼女には「千冬」と名付けよう。彼女の今後に期待する。

 

 

 

■年 ○月×日

 千冬の成長は本当に驚くことばかりだ。

 知能面はともかく、戦闘面ではまだ3歳になったばかりだというのに木刀を振り回している。

 拳銃を持とうとしたときは驚いて片づけた。しばらく持たせるのはまずいかな。

 

 

○□年 △月■日

 小学校に上がった千冬は近くに道場を見つけたらしい。

 最近、少し凶暴になってきているので反対したいけど、いざという時のために護身術は必要かなと思ったので通わせることにした。

 ところで、千冬が持って帰ってきたプリントに少し見覚えのある名前があった。

 

 ―――風宮剣嗣

 

 ……まさか、ね。

 そんなことがあるわけがない。きっと気のせいだ。

 ……そろそろ、千冬にも弟と妹を作ってあげようかな。

 

 

 

 ×月×日

 今日から双子の製作に入る。

 男の子と女の子。女の子はちょっと凶暴とはいえ千冬と同じ遺伝子配列でいいかな。

 男の子は初めてだけれど、少し弄ろう。賢くて、正しくて、強い男の方がいい。

 

 

 

 ■月■日

 ようやく二人が人間の形になってきた。

 これだから遺伝子を弄って人を造るのは止められない。どんな形をして生まれてくるのか楽しみだ。

 

 

 

○△年 ★月×日

 緊急事態だ。

 一夏のカプセルが異常を感知し、ばれない様に私は地下へと降りる。

 カプセルが震えていたけれど、何事もなかったかのように沈黙すると同時に警報も鳴りやむ。

 

 特に異常は見受けられなかったし、今日はもういいかな。

 

 

 

 ○月○日

 おかしい。

 気が付けば一夏のカプセルの中に二つの人の形が存在している。

 

 ―――どういうことだ

 

 

 

○◇年 9月10日

 

 もうすぐ三人が生まれるというところで、重大なことがわかった。

 一夏のカプセルにもう一人が誕生したのは、どうやら弄りすぎたのが原因らしい。

 何が一夏に残っているかわからないけれど、願わくば二人が仲良くなることを祈る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから六年が経った。

 千冬は十四歳になり、年ごろになったようだ。

 一夏のカプセルにいたもう一人は妻の秋子からとって秋羅にした

 わかったのは、秋羅の頭が良く、一夏には何もないということだろう。

 いや、一つだけあった。

 

 ―――戦闘だ

 

 研究所から帰ってきたときに私はとんでもないのを見てしまった。

 どうやら機業の連中が私たちを見つけたようで、捕まえにきたようだ。

 それで私は信じられないものを見た。

 

 ―――六歳にしては異常すぎる身体能力で相手を殺したのだ

 

 どうやら後ろには秋羅がいたことから、秋羅をかばったのだろうと推測できた。

 

 ―――私のせいだ

 

 私が異常に強くしたから、そのせいでこの子は抗ったんだ。

 だからもう殺させないために、私は殺すそぶりを見せて二人に銃弾を放った。

 それは記録を永遠に消す特殊な銃弾で、銃弾自体には殺傷能力がないものを。

 

「ごめんな」

 

 もう、私は処刑されるだろう。

 これを読んでいるということは、息子たちの秘密を知ったことだろう。

 

 だから剣嗣君。最後に頼みがある。

 

 ―――連れて行かれた円夏を、助けてくれ

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 秋羅はレヴェル島付近に近づいたところで燃料が切れたバイクを捨て、ある白い機械を見つける。

 それは自分の兄で、今は敵―――

 

「一夏ぁあああああああああああああッ!!!」

 

 瞬時加速を使い、堕天に近づく秋羅。

 一夏はそれを回避し、飛ばしていた黒と白の刃を握る。

 

「……篠ノ之束か。いや、その白式に備わっている生体再生能力か」

「この、出来損ないがぁああああああああああああッ!!」

 

 今までの取り繕いを捨ててまで一夏に攻撃を仕掛ける秋羅。一夏は黒刃と白牙で応えるように受け止める。

 

「出来損ないはお前だ。泥棒野郎!!」

 

 二つの剣が主の手元を離れて秋羅に襲い掛かる。

 秋羅はそれを残っていた雪片弐型で弾き飛ばし、一夏に接近した。

 一夏は龍牙で受け止め、秋羅を弾き飛ばす。

 

「お前は俺から生まれ、俺が歩むべき人生を奪った。だからお前は―――俺が殺す!!」

「何を! お前が出来損ないからだろう!!」

「違うな! お前は俺から―――父さんが俺たちとマドカ、そして千冬姉を造ったんだ。ドイツが遺伝子強化素体を造ったようにな!!」

 

 その言葉でドイツの偉い人が焦ったようだが、この二人には関係ないことだ。

 

「舞え! 焔火!」

「飛べ! 氷雪!」

 

 白と黒のBT兵器が交差し、飛ばした二人はぶつかり合うようにつばぜり合いを始める。

 箒は一夏に狙って切ろうとするが、それをその場にいるには意外な人物が妨害した。

 

 双天牙月が主の元に戻り、その主は武器を持つ。

 

「…凰?! 貴様がどうしてここにいる!?」

「一夏の戦いに茶々入れするアンタを止めるためよ」

 

 双天牙月を分離させた鈴音は衝撃砲を箒に放ちながら接近し、箒もまた接近して四つの刃が火花を散らし始める。

 そしてまた、別の場所で戦いが始まった。

 

「くっ―――!?」

 

 セシリアは体を捻ってレーザーを回避し、白い機体に身を包むリゼットを攻撃する。

 リゼットは離脱したマドカが置いて行ったスターブレイカーで攻撃すると、ますますセシリアの攻撃が速くなった。

 

 その光景は見ていたスティングは、パイロットスーツに身を包んである機械に搭乗する。

 

「メイの無人機も応戦していますが、さすがはブリュンヒルデというべきか、見事に倒しています」

「そうか。アテネ、総指揮はお前に任せる」

「わかりました。お気を付けて、マスター」

 

 スティングは自分のIXA「夜叉」に乗り込むと、すぐに発進した。

 目の前には一瞬で無人機を蹴散らすかつての同級生の姿があり、躊躇いなく闇を纏った槍を投げる。

 千冬はそれを雪片で弾き、話しかけた。

 

「挨拶がそれとは、あの時の静かさとはかけ離れたな」

 

 その言葉に笑うスティング。

 

「君の方こそ、随分と荒々しいね。そんなに弟を止めたいのかい? ……いや、この場合は私か」

「……そうだ。一夏がそっちにいる理由は貴様に聞いた方が早いだろうからな」

「……無理だろうね。君がその理由を知ろうとするにはあまりにも遅すぎた」

「何を―――」

 

 黒い球体が千冬めがけて飛び出し、千冬は瞬時に零落白夜を使用してそれをかき消す。

 

「簡単だよ。世界はレヴェルを中心になる。いや、なるしかないのだよ。君たちが生き残るには、降伏の道を取るしかない。それとも―――抗って焼け死ぬか?」

「ふざけたことを! 今の貴様たちは世界を敵に回したテロリスト集団だぞ!」

 

 千冬の言葉をスティングは否定した。

 

「かつてのテロリストがテロリストを諭そうとするか。これもまた一興だが―――つまらないな」

 

 千冬の周りに黒い球体がたくさん並び、それらがただ一点―――千冬めがけて飛び出した。

 千冬はダメージを負いつつも消滅させる。だが―――度重なる無人機集団との戦闘で疲弊を見せ始めていた。

 

「いいことを教えてやろう、織斑。今、君の弟たちがお互いを殺し合っている」

「!?」

 

 そんなことを知らない千冬は驚く。何故なら今回のIS擁護連合国陣を率いているのは千冬ではなく別の人間で、全員が感知していたのだが―――誰一人としてそのことを通達していないからだ。

 というのも自国の海軍や空軍が次々と壊滅していき、控えていたものが尻拭いに出ているためだ。

 それに、どうしてこうも壊滅が早いかというと、

 

「それとだ織斑。人間とは本当に簡単だな」

「何を―――」

「ISコアは公式的には全部で467個。それがすべて世界に本当に渡っているのか? 答えは否だ。日本やアメリカ、イギリスなどの先進国が10以上を所有しているんだから無理だろう。私はそれを餌として巻いたのだ。実に簡単だったよ。ISが倒れていく様をリアルタイムで見せて、従わせるのは。条件として支配条件を変えるだけでいいのだから」

 

 かつて千冬(自分)が惚れた男は―――もういない。

 それを理解した千冬は接近する。

 

「―――無駄だよ」

 

 だがそれは黒い闇によって阻まれ、千冬はその闇に呑み込まれた。だが―――

 

「はぁあああッ!!」

 

 千冬は一閃し、わずかの隙間から抜け出して離脱するも―――また別の闇が手の形をして千冬を捕まえた。

 その手が一瞬光ったかと思うと、千冬はあることに気付く。

 

「暮桜は―――」

「ここだ。しばらく―――いや、今後一切触れさせないようにしておくよ。君には自覚してもらわないといけないからね。

 確かに君はIS操縦がうまく、我々にとって篠ノ之束並みに危険視していた。

 だけれどまぁ、私や一夏君がいる時点でわかっていたさ。君がこうなることは」

 

 勝ち誇ったように述べるスティングは千冬を連れて本部へと戻る。

 

「どこへ行く気だ」

「特等席だよ。敵からは視認できない、最高の席だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――奪った者と奪われた者――――君の弟たちが戦う特別なフィールドで行われる試合を見ることができる艦に、ね」

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 スティングからすぐにレヴェル国に味方する諸国の軍、並びにシャドウナイツは撤退を開始する。

 それは楓、そしてコウ、リゼット、鈴音も同じで、その姿を見たどの軍も「自分たちが追い込んでいる」と思っている。

 

 ―――いや、思わなければやってられなかった

 

 それほど疲労していた彼ら―――いや、ISを動かす彼女らは止めを刺そうと追撃を開始する。

 

『……許可が出たわ、一夏』

 

 今まであえて沈黙を貫き通していたクロはそう言い、一夏は頷いた。

 

「………そうか」

 

 すべて、最初から一夏が地雷だった。

 これもスティングの作戦の一環であり、これは今まで「劣っていた」という理由で苛めてきた奴らへの復讐でもあり、

 

 ―――所詮、女が優遇されているのはこういう時のためにあるというメッセージ

 

 一夏は秋羅から距離を取り、ゼロに教えてもらったある言葉を思いだす。

 

「イメージだよ。勝利じゃなく、ただそこにあることを認識すればいい」

 

 その通りに一夏は認識すると、周りの景色が変わり始める。

 辺りには夕焼けが広がり、自分ともう一人以外には侵入することを絶対的な結界。

 

《―――敵機から単一仕様能力を確認》

 

 秋羅の白式・改がハイパーセンサーにそう表示させ、周りに高エネルギーの感知したことも伝える。

 するとどちらの装甲もすべて消え、秋羅は雪片弐型が秋羅に合わせて存在し、一夏は黒刃と白牙を持っていた。

 

「……何だここは」

 

 秋羅は一夏にそう尋ねると、一夏は一通の手紙を出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは俺たちの始まり、そして俺たちが生まれた場所―――父さんの研究所だ」

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