連続投稿なのでこれより二話ほどあります。
「何でいきなりあんな奴の研究所に!? あの二人は僕たちを捨てたんだぞ!!」
「正しくは、黒鋼の
そう説明するように一夏が言うと、秋羅がさっきの文字を納得する。
「ところでだ、お前はどこまで知ってる」
「……あの屑親共のことか」
「ああ」
「お前も知ってるだろ! あの二人は急に僕たち三人を捨てて消えたんだ! それ以外にあるわけないだろう! 現に姉さんだって―――」
秋羅がそう言った途端に一夏はため息を吐いた。
「……何だよ」
「いや。お前、頭の回転は人一倍早いはずなのに肝心な時に馬鹿になるなぁ…と」
「ふざけるな! 少なくとも僕はまともなことを言ってるさ!」
そう断言する秋羅だが、一夏にはそうは思えなかった。
「じゃあ考えてみろよ。ISが脅迫込だとしても強制的に受け入れられたが、代表とかその他諸々はしばらく時間かかっただろうが。親が俺たちを見捨てて逃げたとして、あの女子力がマイナスを軽く通り越してむしろ不良商品として返品されるであろうレベルの織斑千冬「姉さんの悪口を言うな!」が! どうやって金を降ろす。言っておくけど、カードはすべてクレジットだし、あの女が文字通り溶かしたのだってすべて俺が交渉して最安価で仕入れたものだぞ!」
当然、最初から一夏はうまく交渉できたわけではない。
冷蔵庫は「何でもいいだろう」と言い出した姉をスカートを捲ることで危機を脱したり(当然発情は日頃の行いを見ているから無い)、洗濯機を調べてきた範囲外のものを買いそうになったりと主に千冬の暴走で危機感を覚えた一夏でも対して値切れなかったが、次第にうまく言ってテレビの時はかなり安く買えた。
そしていつ姉が物を壊してもいいようにコツコツと貯めていたものは、主に束の乱入で無駄に浪費した結果、別の意味で束を嫌っている。
「それに中学三年で失踪して、家事に関しては男が逃げるほどダメなアレが! ATMで引き出すことができるわけがないだろう!!」
思わず秋羅は同意してしまった。
「……じゃあ、お前は姉さんが予め二人の失踪を知っていたというのか?」
「正しくは三人だ」
「……え?」
「本当は俺たちに妹がいる。これを読んでみろ」
そう言って一夏は秋羅に手紙を投げ渡す。
そこには二人の父親―――織斑春彦が綴った告白文であり、千冬を初めとする子供たちの成長記録と、自分が知らない過去―――そして、二人が亡国機業の元研究員だということが書かれていた。
「……こんなの……出鱈目だ。あるわけがない」
「じゃあ、お前は六歳の時のことを覚えているのか?」
「………」
この二人は六歳以前の記憶はなく、そのことを気にしないで生きてきた。
だからそのことを覚えていないが、その日にその時のことがなかったことを証明できるものがない。
「………風宮剣嗣って―――」
「それはあの女が惚れていた男の名前」
「……それはご愁傷様だね」
「ちなみにあの演説をしていたのがそれ」
「えぇ?!」
一夏の補足に驚いた秋羅。
(…た、確かにイケメンだったけど…)
自分の姉の好みがわからなくなり、秋羅は頭を抱える。少なくとも、あんな男に
「……でも、だからってお前は―――僕を殺そうとしたのか!?」
「自分のことを棚に上げて何を言っているんだお前は。俺をことを殺そうとした分際で」
お互いが持っていた武器を構える。
「……最初から僕はお前が嫌いだった。それは今も変わらない」
「奇遇だな。俺もお前が嫌いだ―――それは今も変わらない」
「お前は僕に毒を盛った」
「嫌がらせしたのはそっちが先だけどな」
「剣道を捨てて主夫に生きるなんて逃げだよ」
「お情けで生かしておいてやったんだ。ありがたく思え」
「成績平凡」
「あんな暴力女を好いてしまうなら平凡で結構」
「そっちだってまな板を好いているじゃないか!!」
「胸で女を選ぶお前よりよっぽどマシだ!!」
ある程度お互いを罵ったところで二人は示し合わせたかのようにお互いを睨む。
「で、条件は?」
「何もない。ダメージはある程度食らえば響く、男らしく一対一の対決だ。ま、技がないお前には不利だろうけど」
「……安心しなよ。僕は君と違って時間があったからいくらでも自分の技を造ることができた」
「その分、俺は主夫力を鍛えられたがな」
「もう僕が超えているけどね」
「それはないな。特に料理に関しては俺はプロ級だ。お墨付きもある」
一夏は黒いローブ以外とネックレス以外はすべて空中に放ると、それらは消えた。
「……とりあえず始める前にお前に言うべきことがある」
「奇遇だね。僕からも言いたいことがあるよ」
すると二人は示し合わせたかのようにお互いの気持ちを吐いた。
「「テメェ(お前)だけは――――ぶっ殺すッ!!」」
お互いが飛び出し、交差する武器が火花を散らした。
一夏は力任せに雪片弐型ごと秋羅をぶん投げる。
秋羅は空裂をイメージして雪片を振るうと、そこから走るようにレーザーが飛び出して一夏の方へと飛んだ。
(……なるほど。自分がイメージした通りになるのか。じゃあ―――)
秋羅はカプセルを飛び越え、飛ぶように一夏に接近する。
一夏はそれを先読みし、秋羅の攻撃を回避―――と見せかけて黒刃を飛ばした。
秋羅は黒刃を弾き、白牙で応戦する一夏の攻撃を回避する。
(―――早っ)
今まで自分が相手をちゃんと見ていなかったことを自覚し、秋羅はそこから流れるように移動して一夏の背後を取ろうとすると、一夏は振り向かずに白牙で受け止めた。
そしてまるで瞬間移動したかのように秋羅の背後を取って殴るように飛ばした。
「―――まだだッ!!」
秋羅は瞬時に体勢を立て直し、すさまじいスピードで一夏に接近し、一夏は雪片をあえて二本で受け止め、弾き飛ばす。
すると一夏は回転しながら秋羅に迫り、秋羅は一歩下がることでそれを避けようとするがそれは甘かった。
衝撃波が秋羅を襲い、一夏はその隙を狙ってVの字を描くように秋羅を斬る。
だが秋羅は雪片を自分と二本の剣が当たる寸前に入れ込み、なんとか防いだ。
(危なかった。今のは確実に―――)
それでも一夏は、秋羅に考える暇を与えるつもりはなかった。
攻撃が当たらなかったことを知った一夏はすぐに切り替え、黒刃に闇を、白牙に光を纏わせて実験設備を壊しながら秋羅に襲わせる。
秋羅は零落白夜を雪片に纏わせてそれを防ぎ、一夏に切りかかる。
―――もらった!
そう確信した秋羅は―――誰にも気付かれることなく笑みを浮かべた。
「今すぐこれを止めさせろ!!」
ゼロの艦「ファングオーガ」のブリッジで艦長席ごと縛られている千冬は周りにいる人間にそう叫ぶが、その声を無視する。
その近くにはさっきの衝撃で吹き飛ばされた箒がおり、二人はパイプ椅子で縛られていた。
「それはできないな。これはお前の責任でもある」
スティングがそういうと、千冬は黙り込んだ。
今、画面は秋羅が一夏を斬りかかったところで一夏は白く、太い光の柱に呑み込まれたところだ。
おそらくこれで一夏は完全に消滅しただろう、と箒はそう判断する。
だが箒の少しの期待を裏切るかのように世界は消滅の兆候を見せない。
『……忘れていた』
一夏の声が聞こえ、箒は冷や汗をかき始めた。
―――あれを食らってまだ耐えれるのか
そんな絶望を見せるかのように一夏は姿を現した。
「お前は成長スピードが異様に早いんだったな」
「……何で―――まさか!?」
「先に言っておくが、お前の攻撃はリアルとして反映されるんだ。それをなかったことになんてできるわけがないだろ」
先に言った一夏だが、その顔にはボロボロだが余裕があった。
「自力で耐えた―――なんて格好よく言えれば良かったな」
黒刃を右に、白牙を左に持った一夏は、先ほどと同じにそれぞれの力を纏わせる。
秋羅は先ほどのように零落白夜を雪片に纏わせて突っ込む。
「………これで―――終われ―――!!!」
まるでそう願うかのように叫ぶ秋羅。
一夏も同じように飛び出すが―――叫ぶことはなく二つの想像の力によって強大となった力は激突した。
■■■
―――ゼロside
「………あ、ヤバッ」
俺は顔を上げて辺りを見回す。
そこはよく知った風景で、19歳ながら「理事長」という役職を務めている。
それにしても、さっきまで懐かしい夢を見ていた。あれからもう二年という月日が経つのに、俺はあの力に魅入られているみたいだ。
(まぁ、仕方ないわな)
幻想世界とはいえ、あそこまで惹かれる力を見て興奮しないわけがなかった。速攻でボロボロのアイン―――じゃなくて、一夏と勝負を挑んだことは今でも覚えている。
結局、あの第三次世界大戦―――通称、一日戦争はレヴェル国連合の勝利となり、先進国を文字通り跪かせる結果となった。
その後、ISは大半が封印とされたが、ティアやクロ、アテネやシェリル(福音)と具現化した奴らは今も出歩いている。
そしてIS委員会は解散。現在各国はすべて「永停条約」に則って鳴りを潜めている。まぁ、どうせIXAの軍備を整っているだろうけど。
人間はどうせ欲望でできているんだから、まだ男女平等の世界を実現できただけマシか。
「………あの、生徒会長? 何をしようとしているのでしょうか?」
もう無理。現実逃避なんて無理です!
半ば現実を直視することにした俺は、目の前で何かしようとしている生徒会長の更識簪。
ちなみに補足すると、ここはIS学園ではなく、
「理事長の大きさチェック」
「真面目な顔で見せたら絶対にモザイク補正のところの長さを測ろうとするな」
どっかのアニメじゃないんだから、それにそうだとしてもそれはどっちかと姉の仕事であって、君の仕事じゃありません。
「お姉ちゃんからお義兄ちゃんの体調管理を任されている。だから私には義務が―――」
「ないからな」
「というか、私ともしま―――」
すぐに簪の口を塞ぐ。役職的にそれは不味いと思うんで。
ちなみに俺が簪の義兄なのは「結婚したから」だ。
「お父さんは私とも結婚していいって言ってた」
「学生と結婚するつもりはありません」
「じゃあ、来年」
「………」
ごめん。正直今すぐ結婚したい。
という冗談(実は本気)はさておき、あの戦争から二年経った今―――ある意味では世界は平和だ。
終わったばかりは色々といざこざがあり、俺は理事と生徒を兼任していた時は本当に疲れた。よく本音を抱き枕として寝ていたな。流石は癒し空間製造機。俺の心は安らぐ安らぐ。
―――閑話休題
織斑兄弟の一騎打ちの後、大量生産していた無人機を送り込んで全員降伏という独裁よろしく戦争方法で止めて色々あって平定していた。
というのも俺はこっちの仕事をしていたのと更識とのイザコザがあったから詳しくは覚えていない。
今はセブンズバトラーで残っているのは一夏と鉄治、そしてコウぐらいで、今は再編成しているようだ。
そしてその三人は各国で起こっている問題に取り組んでいるらしく、俺は貴族たちのご機嫌取りとかしないといけない。オルコットなんて俺を見るだけでビビるから笑える。
「あ、会議か」
織斑姉弟は現在行方不明―――ということになっているが、実際はシャドウナイツが監視している。
そして今は篠ノ之束―――彼女だけが本当に行方不明だ。
(……まぁ、検討はついているけど)
篠ノ之―――いや、織斑楓が一枚どころか全部噛んでいるだろうな。
そう思いながら俺はある資料を持ち、簪と一緒に理事長室を出る。
「………あ」
「どうしたの?」
簪が俺の方を見てくるのを密かに萌えながら、義妹―――桂木マドカから送られてきた写真を出した。
そこにはマドカが好きな五反田弾が映っている。後ろにはジェットコースターがあるので、おそらくはデートでもしていたんだろう。
これがいくつか結婚式の招待状になって送られてくることを―――俺は密かに祈っている。
次話は謝罪と少しの補足、そして次回予告なので、見なくていいと思う方はここで終了です(それ以前に見ている人がいるのか怪しいけど)