IS ~黒き鋼の復讐者~   作:reizen

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三次元の手乗りタイガーはリアル手乗りタイガーと読む。

共通点→どっちも貧にゅ―――






























二人の木刀使いによって作者は半殺しにされました。


第五話 三次元の手乗りタイガー

 あれから二週間後、俺は何もデータが得られなかったことと、誰にも反応しないことから黒鋼は返還された。

 もっとも、持っていたことを報告しなかったことに対する反省文は用意されていたので、ISには全く興味がない人間に待機状態がどんなものか知るわけがないことを伝えると枚数は減らしたが。

 

(まぁ、適当でいいか)

 

 俺が教室に入ると、オルコットは怯えており、約一名を除く全員が俺をにらんでくる。ちなみにだがその約一名は暗部の人間だ。

 それ以外はごく平凡な日常だった。

 

 ―――昼休みまでは、な。

 

 件の昼休み。チャイムが鳴ったので食堂に向かおうとすると、自動ドアが無理やり開けられた。

 

「見つけたわよ、一夏ッ!!」

 

 銀の短髪だと全員が過去の俺だと認識するので、そろそろ髪を変える必要が出てきたようだ。

 とはいえこのままだとヤバいと、その声の主を反射的に判別した俺はあえてゆっくり腰を上げ、すばやく窓を開けた。

 

「あ、ヤバッ」

 

 開けた窓をそのまま通過したそいつは、器用に体を回転させて地面に着地し、再び壁を登ってきた。

 

(相変わらず、三階ぐらいは飛び降りるんだな)

 

 そんな感想を抱きながら俺は無視して食堂に向かおうとすると、

 

「待ちなさいよ! アンタ、連絡もせずにどこをほっつき歩いていたのよ!!」

 

 そもそも今の俺は「一夏」ではないので返事する義理はない。

 そう思って先に行こうとすると、

 

「いい加減にしろ、貴様!!」

 

 何故か篠ノ之が割って入り、木刀を抜く。

 

「……へぇ、上等じゃない」

 

 そう言ってその女は背中から木刀を出し、先に動いた。

 

「わかりやすい動きごときで―――」

 

 と、篠ノ之が凰を攻撃しようとするが、今回は篠ノ之の負けだな。

 何せ俺を襲おうとした凰鈴音という女の趣味は道場破り。剣道だろうが空手だろうが、柔道だろうが、武道という武道を相撲を除いてはかたっぱしから潰して回った女だからだ。

 フェイントをかけた奴は篠ノ之の動きを乱し、木刀を支えに使ってこめかみを蹴った。

 

「待ちなさい、一夏!」

 

 篠ノ之に気にせず俺を追ってくる凰鈴音。

 

「あ、悪いんだが、俺は一夏じゃ―――」

 

 と、言い訳しようとした俺は蹴りを顔面から食らって蹴り飛ばされる。

 

「っと」

 

 なんとか体制を立て直した俺に、そいつはトンファーで攻撃しようとするので後ろに回ってそれを掴み、後ろから振り下ろされる出席簿を受け止める。

 

「貴様ら、校内で喧嘩とはいい度胸―――」

 

 俺に掴まれたトンファーの一つを捨て、もう一つのみで容赦なく織斑千冬に一撃を入れようとする凰を捕まえ、俺は窓から飛び降りた。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

「……じゃあ、アンタは一夏じゃないってこと?」

「さっきからそうだって言ってるだろ」

 

 まぁ、髪の色とかだけは変わっただけで、実際はほとんど変わっていないから間違えるのは当然っちゃぁ当然かもしれないが。

 

「………じゃあ、一夏は―――」

「最後は拳銃自殺」

「…そう」

 

 実は俺が一夏なんだ、とか言ったら色々と言われそうだし、どうなったかをすべて話したら話したらで実姉を殺そうとするだろうから、織斑千冬に言ったことをそのまま話した。

 

「……ぱり」

「あ?」

「やっぱりあの時、家に誰もいないんだから私の家に連行するべきだったんだ」

「……はい?」

「そして既成事実を造れば合法的に二人から離れられるし………」

 

 その後は何故か聞いてはいけない気がしたので正気に戻した。なんだ? 俺はあの後どうなっていたんだ?

 意外なところで明かされる恐怖に身震いしていると、

 

「見つけたわよ、屑共」

 

 第一印象が「あ、まだこんな不良がいたんだ」と思わせる雰囲気を持った連中だった。

 どう見ても俺たちに敵意を持っているんだが、肝心の凰はというと、

 

「………」

 

 何故か上を見ていた。

 

「ちょっと無視しないでよ、屑―――」

 

 ―――ドガッ!

 

 いつの間に木刀を出していたのだろうか、凰は思いっきりその女を殴り飛ばしていた。

 

「あーあ、困るよねぇ」

 

 木刀を背中にしまい、さっき殴り飛ばした女の襟首を掴んで持ち上げる。

 

「男だからって強がる男も大概だけど―――女だから、金持ちだからって粋がる女ってウザいのよ」

 

 そう言ってその体のどこにそんな力があるのかと気になるほど、思いっきりその女を殴り飛ばす。

 

 凰鈴音は、中学の時にはリアル手乗りタイガーと呼ばれていた。

 ある話のヒロインがモデルらしいのだが、ついたきっかけは―――中学生の時だった。

 

 ISが出てから児童に対する性的犯罪が上昇しつつあったころ、転校してきた凰鈴音というこの少女は何を言っているのか理解できず、とりあえずついて言ったらしい。たまたま早退した俺が買い物に向かっている途中でたまたま出くわすと、俺の顔を覚えていた向こうはたまたま話しかけてきた。

 それを気に食わないと思ったその男は凰に包丁を近づけ、貧乳とかチッパイとか、今の俺にもあまり理解できない言葉を並べていたのだが、それに何故かキレた凰はいきなり暴れだした。

 当時は小学六年生だった彼女の周りは徐々に胸の発育が始まる頃だったので、あまり成長していない彼女は早くもその自覚があったのだろう。俺の後ろに回って持っていた木刀を奪ってその犯人をたった一人で撃退した。

 実は中学生だという事実が発覚して、痛い目に合わせようとした連中が集団でかかってきたのだが、全員を病院送りにした過去を持つ。

 そんな女がISをスポーツを思っている―――ましてや、男より女の方が強いって思っている女に対しては、喝と称して遠慮なくぶん殴っていた。

 

「………で、これで理解したかしら?」

 

 目の前には三つの屍。手乗りタイガーは健在らしい。

 

「……はい」

「じゃあ、今すぐ失せなさい。これ以上怪我してアタシが持っている伝手を使って売られたくなければ、ね」

「はぃいいっ!」

 

 三人は一目散に逃げていった。

 

「……なんなんだ、今の」

「アタシがクラス代表になったのをよく思っていない連中よ」

 

 俺の記憶が正しければ、クラス代表はアメリカの代表候補生(専用機持ちではない)のはずだ。

 そのことを聞くと、凰は

 

「まぁ、それは困ると言われたから、決闘で決めることになったのよ」

「いくらなんでも横暴すぎるだろ」

「だからある条件を呑んでくれるならって言われて、ね」

 

 その条件を聞こうとしたところで、さっきの三人組が逃げて行った方向から、一人の気配が感じた。

 

「りーーーーーーーんっ!!」

 

 金髪巨乳という表現が正しいのだろうか、ともかくそのタイプの女がまっすぐこちらに向かって来た。

 

「あ、ティナ」

「ちょっと鈴! いつになったらウォーヴェンさんの連絡先を手に入れるのよ!」

 

 ………は?

 ちょっと待て。どうしてここで俺の連絡先の話になる。

 

「今から聞こうとして―――」

「うそうそうそうそうそ! さっきから仲睦まじく話して―――」

 

 ―――ドガッ!

 

 凰は容赦なくティナという女を蹴り飛ばす。しかも、

 

「どうして俺の方なんだよ」

「気分?」

 

 そう言って凰はティナという女のスカートをめくり始める?

 

「どう?」

「今すぐそのスカートを下ろそうか」

 

 躊躇なくティナを辱める凰にそう言いつつ、IS学園のデータベースにハッキングして、彼女の素性を探る。

 そこには一般的な素性を書かれているだけで、特に異常はなかった。

 

(まぁ、別に仲良くしておいてもいいか)

 

 アメリカに入る気はないが、利用する価値はあるだろう。これからもちょくちょく相手をしてやろうと思う。

 とりあえずティナ・ハミルトンを凰から解放してやる。

 

「……で、お前は何の用だ?」

「あ、はい。実はあなたの電話番号を教えてもらおうかと……」

「理由は?」

「この機会に殿方の勉強をしようかと………あわよくば、結婚して骨を日本に埋めるのもいいかと思いまして」

 

 一応、俺はドイツで生まれた日本国籍者となっているのでその表現は間違っていないだろう。日本語を除けば英語や中国、ドイツ語とフランス語は話せるレベルだ。

 

「そうか。じゃあ、ちょっと待ってろ」

 

 そう言って俺は連絡先を紙に書き、それを渡す。

 

「わーい!」

 

 それを受け取ったハミルトンは赤面しながらそこから走って消えた。

 

「……別にいいの? 彼女、スパイの可能性もあるかもしれないのに」

「お前はスパイかもしれない女とあんなことをしていたのか」

「スパイに余計の脂肪は不必要でしょ? だからそれをもらおうと思って」

 

 その言葉の時に眼が虚ろになっているように見えたのは、決して気のせいではないはずだ。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 そんなこんなでとうとうクラス対抗戦。俺とハミルトンは観客席に座りながら試合を今か今かと、本気で心待ちにしていた。何故なら、

 

「なぁ、ハミルトン」

「何ですか?」

「何でお前はそこまで俺にくっつく」

 

 現在、俺はハミルトンの胸とふとももを大いに堪能している状態だ。これを見たら俺の知り合いは激怒するだろう。女にモテないからやっかむ奴が、俺に向かって遠慮なく攻撃するかもしれない。

 

(アイツの攻撃って、一撃が凄いんだよな)

 

 撃ったらそれで試合終了。額に傷をつけた少年が箒に乗って戦うスポーツで金のボールを取れば終了するかのように、たった一つの光弾で施設は吹き飛ぶ。

 

(まぁ、IS学園は大きいからそれは難しいかもしれないが)

 

 むしろそうであってほしいと、心のどこかで俺は思っていた。

 

「あ、鈴が来ましたよ」

 

 ふと、俺の中で好奇心がわいて出たので聞いてみた。

 

「そういえばお前らって、部屋じゃどんなことをするんだ?」

「え? 部屋でですか? そんなこと聞くなら、今度一緒に寝てもいいですか?」

「その質問に対しては俺に被害がないなら、と答えておく」

「むしろ快楽しかないので問題ありません!!」

 

 つまりそれは俺に対する死亡宣告か何かだろうか? 俺が退学するのは組織的には大損失な気がする。

 

『ねぇ、アイン。その女をミンチにするか薬を打って正気を失わせるかどっちかにしない? 大丈夫。どっちも快楽だから』

 

 感情を持ったAIは、主人が別の意味でピンチになっているとヤンデレ化が進行するらしい。

 

「あ、鈴が出てきましたよ!」

 

 言われてみれば、相手の三組のクラス代表と凰が出てきた。相手がラファール・リヴァイヴに対して、凰は中国の第三世代型IS『甲龍(しぇんろん)』。

 

『確かあれ、衝撃砲が装備されているって噂よ』

『衝撃砲?』

『空気砲がマッハ』

『なるほど』

 

 つまりは空気砲が襲いかかるというとんでもない代物で、そもそも空気砲は見えな―――

 

 ―――ドンッ!!!

 

 三組代表が後ろに引っ張られるに吹き飛び、凰は容赦なく双天牙月をぶん回して終わらせる。しかもぶん回す過程にちゃっかりとスラスターとかも切り落としているので凄いという意見しかない。

 

(なんか、ここ数年が凶暴性が増してないか?)

 

 ただ俺は、そんな感想を抱くしかなかった。

 

「えーと、次は一組と四組の専用機持ち同士の戦いですね」

「四組って専用機持ちがいたのか?」

「ええ。でも、確かまだ完成していなかったって話でしたけど」

 

 まるでそれを証明するかのように、打鉄を纏った異色な日本人が現れた。

 

『あれは、更識か?』

『でも違う。あれは当主じゃないわ。今の当主は巨乳って話だし』

 

 その判別はどうかと思う。

 だけどこの時、俺は何で警戒しなかったのかと後悔した。この時にちゃんと準備していれば、こんな絶好の乱入機会で仇敵と再会しても応戦できたのに。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 四組代表のその少女―――更識簪を迎えた反応はとても厳しいものだった。

 周りからは専用機持ちなのに専用機を持っていないという状況に何故か優秀な姉の影響でお情けでもらっているといううわさも立っている。確かにそれはあるだろう。なければ一個人にISコアのみを託すなんてことは絶対にないからだ。

 だが本来なら、彼女の専用機は今頃ちゃんとしたものとして手渡されているのだが、そうなっていないのには理由があった。

 

「君は舐めているのか」

 

 簪の対戦相手―――織斑秋羅だ。

 彼は知らずにそう吐き捨てる。だが、簪は睨みつける以外のことは決してしていなかった。例え心の中でどれだけの憎悪を吐き捨てようとも。

 そして試合は開始され、秋羅の先手で試合は動く。

 簪が展開したトンファーでそれを受け流し、試合が動くのを観客席以外でVIPとも一般席にいる生徒や、管制室やいざという時の警護として配備されている教師でもないまったくの部外者が二名、観戦していた。一人は簪が訓練機で戦っている姿を機械のカメラで笑いながら。そしてもう一方は、

 

「なぁ、羅殺(らせつ)

『なんでしょうか、ご主人様』

 

 羅殺と呼ばれた機械は、声をかけた少年に向けて声の代わりに文字を出す。

 

「あの男、消していい?」

『さすがにそれはまずいかと思われます。いくらあなたの能力が高いとはいえ、ブリュンヒルデはともかく、天災を敵に回すのは』

「………そっかぁ。まぁ、羅殺らしいといえば羅殺らしいか」

 

 その機械の言葉に対して納得を見せるその少年は、織斑秋羅を見ているが、その眼は完全に相手を見下している眼だった。

 

「本当にムカつくよな、あのゴミ。いっそのこと、あのゴミを駆除するついでに簪を誘拐して夫婦の営みと洒落込むのもありだと思う」

『………………まぁ、かれこれ七年は抜いてませんからね。発情するのはわかりますが。……ですが、突入する口実の一つとしては、良いものがあります』

 

 そう言って羅殺は少年の前にディスプレイを展開する。すると少年の目の色が変わった。

 

「なるほどね」

 

 そう答えた志斗はディスプレイには何も映っていなかったが、二人にはわかったらしい。

 その謎の物体がぶつかった瞬間、少年は鋼鉄の装甲を身に纏った。

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