ラブライブ!サンシャイン!! ~平凡な高校生に訪れた奇跡~ 作:syogo
さて、カオスな状況の中、翔クンはどうするのでしょうか?
それでは、続きをどうぞ。
………ど、どうすれば。
ドアを開けてから3秒。このカオスすぎる教室の光景+空気に、俺の脳内の緊急サイレンがウーウー鳴り始めている。
目の前の壇上には、突然の俺の登場で驚いたような顔をしている梨子さん。
そして教室の後ろの方の席には、立ちあがっている千歌ちゃん。…おい、いつまでロミオポーズしてる気だ。いいかげんその腕を下ろしてはくれないか。
さらに、千歌ちゃんの隣の席に座っているのは、昨日プールで会った、曜ちゃん。…あの、なんでジト目で見てるんですか。俺、この状況でどうしたらいいかわからないんすけど。
……さらに固まること10秒。
俺が教室に入ってから、誰も一言も発する事のないまま時が過ぎる。
このままだと、何時間でも膠着状態が続いてしまうんじゃ……、と思った時。
梨子さんの隣に立っていた先生が、動いた。
「さ、さぁ!桜内さんは、高海さんの前の席が空いてるから、あそこに座ってね。…それと、榮倉君。次はあなたの番よ。こっちに来て。」
その瞬間、まるで止まっていた時が動き出したかの様な感覚に陥った。体中こわばっていた筋肉の力が抜け、脳内サイレンも鳴りやむ。…あぁ、ありがとう先生。あと、梨子さんと千歌ちゃんの存在が強すぎて忘れててごめんなさい。
「は、はい。」
先生に促され、梨子さんが席に向かう。席の方を見ると…、やっと千歌ちゃんも座ったようだ。席に着いた梨子さんと小声でなにか話している。…って、曜さん?なぜ、あなただけ俺に対するジト目が継続されているんですか。俺なんもしてないじゃないですか。
そんなジト目(+クラスの視線)を浴びながら、梨子さんがいた壇上へ向かう。
「さ、さぁ。自己紹介をしてね。」
先程の沈黙を打ち破ってくれた救世主様に促され、クラスのみんなの方向を向く。……うっ、クラスのみんなの視線が痛い。
膠着状態が解けたとはいえ、微妙な空気感はいまだ残っている。…まぁ、当然だろう。転校生が来ることは、まず貴重だろうし、それが同時期に二人、しかも俺は「男」なのだ。みんなが警戒するのも無理はない。
…くっ、切り出しづらい。
しかし、これ以上延ばしてしまっても、より苦しくなるのは明白だ。
心の中でそう感じた俺は、口を開き…
「埼玉県から来ました。 榮倉 翔 といいます。これから、よろしくお願いします。」
軽く頭を下げながら、そう言い切る。…よし、言えた!出来たぞ俺!良く頑張った!
…と、少し安堵して顔を上げると。
は?? と首をかしげているクラスの人たち。な、なぜだ!?ちゃんと名前言ったぞ!?なにかおかしい所あったか!?
と、しどろもどろしている俺に、先生が横からこっそり耳打ちする。
(榮倉君。…なんでこの学校に来たのか言わないと!)
……あ。
そうだった。ここは「女子高」。基本的に男がいるのはおかしいのだった。
「え、えっと…。父親の転勤が理由で内浦に来ることになりまして________
クラス全員からの視線を浴びながらの俺の説明は、実に10分以上続くのであった………。
………
「な、なんとか乗り切った………。」
椅子に座りながらため息をつく俺を、両隣りに座っている千歌ちゃん、曜ちゃんがクスクス笑う。
場所は変わって体育館。入学式に出席するために、あの後すぐに移動したのだ(俺の自己紹介、もとい釈明が長すぎてすぐ移動になった、というのは別の話。)。
「転入初日から、遅刻するのが悪いんだよっ。」
教室でずっと俺をジト目で見続けてきた曜ちゃん。…ちなみに、なんでジト目で見てきたのか聞いたところ、「男の子のクセに、自分から動かなかったから。」らしい。
…いや、だって女子の視線が痛かったんだもん。緊張してたし。あんな空気だったし。
俺の考えてることがバレているのか、軽いジト目をしてくる曜ちゃん。…はいすいません、言い訳しません。
「そ~そ~。さっきの話もすっごく長かったし! 一言、『チカの家に住んでます。』でいいじゃん。」
「余計誤解を招くだろうがっ!!」
さらに俺が口を開こうとしたところで、体育館内に先生のアナウンスが流れる。…どうやら、式が始まるようだ。
「新入生、入場。」
パチパチパチ、と拍手を浴びながら、1年生たちが体育館内に入ってくる。……お、おぉ、少ないな。
ざっと見て40人弱くらいだろうか。約一クラス分か…、俺はそんな事を考えながら、少しの期待を持って男子を探す。
…が、いるわけもなく。
大きめの制服の裾をつかみながら、どことなく緊張した表情の新入生たちは次々と着席していく。
「かわいいね~。新入生たち!…特に、あの子達。かわいいなぁ~。」
千歌ちゃんが俺の制服を引っ張り、指を新入生の方に向ける。
その先には、赤い髪のツインテールの子と、その隣の薄い茶色の髪を下ろした子の後頭部が見える。
「そ、そうなのか?…良く見えたな。俺たちの横を通ったのって、つい数秒だろ?」
「にしし、かわいい子には目がないのだよ♡」
ドヤ、と親指を立てる千歌ちゃん。…そ、そうかい。
「理事長の挨拶。 …小原理事長、お願いします。」
先生のアナウンスが流れる。…どこか、アナウンスの声に曇りが感じられたのは俺だけだろうか。
「高校生のクセに、理事長なんて。」そんな先生の心情など、まるで気にしてないようにニヤニヤ笑顔で登壇した鞠莉さん。…お、恐ろしい。
『新入生のみなさん。入学オメデトウ。』
おお、鞠莉さん、マジメな挨拶もできるんじゃないか。
そう思っていた俺。 …だが、次の鞠莉さんの言葉で、体育館中が凍りつく。
『え~。新入生のみなさんには突然で申し訳ないのデスガ。 …この浦の星女学院は、
来年度から、統廃合します♡』
「「「「「「「「「「はぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」」」」」」」」」」
全校生徒、約100人。全員の声が、体育館内に響き渡るのだった……。
鞠莉さんによって突然発せられた廃校宣言。
そしてついに次回から、『スクールアイドル』の事に徐々に触れていきます。
お楽しみに。