ラブライブ!サンシャイン!! ~平凡な高校生に訪れた奇跡~   作:syogo

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ルビィ&花丸はスクールアイドル部に入るのか?
本当に部員を揃えた翔を見た会長の反応は?

それではどうぞ。


第20話 ~スクールアイドル部(仮)、結成。~

 

 

 

誰もいない図書室。

本棚が陳列している場所で本を選ぶ生徒もいなければ、勉強スペースの机に向かって熱心に勉強している生徒もいない。全くの無人だ。

そんな、いつもと変わらない光景に、図書室に誰もいない状況を喜んでいる自分に少し罪悪感を覚えるものの、内心胸を撫で下ろす。

そして、着いて早々「ずら~」と本棚の列に吸い込まれそうになっている親友を連れ戻し、勉強スペースにある椅子に腰かけさせると、自分も着席する。

 

「…そ、それで、花丸ちゃんに話があるんだけど。」

 

親友の顔は真剣そのものなのだが、内心そわそわしているのが手に取るようにわかる。

どうやらよっぽど本が読みたいらしい。

…しまった、連れてくる場所を間違えたか。と自分の選んだ場所が間違いだったことを反省する。しかし、人がいない場所なんて早々ないのだ。ここは我慢してもらって話を聞いてもらわないと。

 

「…あ、あのね。大事な話なんだ。ちょっとだけ…、聞いてくれる?」

「ずら?」

 

やっとこさこちらに意識を向けた親友に内心苦笑しながら、少女は語りだす。

 

 

「あのね…。スクールアイドル部についてのことなんだけど…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分は本が好きだ。

運動が苦手で、人付き合いが苦手で。地味な自分にとって、唯一向き合うことができた趣味___読書。

本は、自分を色んな世界へと連れて行ってくれる。…そう、自分が体験できない、感じられない世界を感じさせてくれる。

その感覚が、たまらなく好きで。

……だからこそ、本に囲まれた状況になったら、いてもたってもいられなくなってしまうのであって。

 

「ずら~!」

 

親友と一緒にやってきた図書室。話をする場の利用として来たのは頭では分かっているものの、体が本棚へと自然に動いていってしまう。

 

「花丸ちゃ…!ちょ、ちょっとまっ…て…!」

 

と親友に背中を押され、頭を切り替え椅子に着席。…したものの、体の本に対する反応が収まらない。…うぅ、本が読みたい。

 

「…あ、あのね。大事な話なんだ。ちょっとだけ…、聞いてくれる?」

「ずら?」

 

相変わらず、体の意識は本に向かったまま、返事をする。…しかし、次の一言で、すべての意識が目の前の親友へと集中する。

 

 

「あのね…。スクールアイドル部についてのことなんだけど…。」

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

「…ふわぁぁ~。終わったぁ~!」

 

帰りのSHRも終わり、他のクラスメイトが三々五々、部活や帰宅に向かおうとする中、俺、千歌、曜の3人は俺の机に集まっていた。

 

「…で?今日の成果は?」

 

生徒会長との話し合い、もとい賭け以来、毎回定例化しているこの成果報告。…まぁ、毎回特に進展はないんだけども。

 

「はい!」

「はい、高海さん。」

 

元気よく手を上げる千歌に、恭しく指名する俺。まぁ、報告会だからね?雰囲気作り大事。

 

「今日も、梨子ちゃんにたくさん勧誘話を持ちかけました!」

「………成果は?」

 

にしし、と笑いながら勧誘した、と言う千歌に、嫌疑度マックスで問いかける俺。すると千歌は、腰に手を回し、えっへんとドヤ顔をする。

 

「いい感じですっ!!」

「嘘つけ。」

「ほんとだよっ!?」

 

絶対嘘だろ。

なぜかって?そりゃあ、休み時間ごとに梨子ちゃんの机にダッシュして、「スクールアイドルやろー!!」だぞ。梨子ちゃんの顔見たか?千歌。もう、すっっっっっげぇ嫌そうな顔してたぞ。マジで。

 

「だってね!最初のころは、『ごめんなさいっ!』だったのが、今は、『………ごめんなさい。』になってるんだよ?」

 

それのどこの部分がいい感じなのか。完全に逆だろ。

俺は千歌の超ポジティブシンキングにため息をつきながら、苦笑している曜の方へ向き直り、同じ質問をする。

 

「う~ん…。私は、特にはないかな…。」

 

少し困った表情で、小首を傾げながらそう言う曜。…いちいち可愛いんだから、まったく。

 

「よし、じゃあ今日の結論。」

 

ごほん、とわざとらしく咳をひとつすると、ぽけーっ、とした表情の千歌の方に向き直る。

 

「千歌、今後梨子ちゃんに勧誘すんの禁止。 以上。」

「ええ~~!?」

「あたりまえだわ!!」

 

自分のやってることが理解できていないのか、ブーブー文句をする千歌と論争を繰り広げていると、教室のドアがカラカラ…、とゆっくりと開く。それに気付いた俺たちが会話を止めると、おずおずと見慣れた1年生、ルビィちゃんと花丸ちゃんが教室に入ってきた。

 

「あーーっ!!ルビィちゃんと花丸ちゃんだぁーー!!」

 

突然大きな声を発し、二人へと突撃していく千歌。その声に驚いたのか、ルビィちゃんは小さく縮こまり、花丸ちゃんはその場にフリーズ。…ったく、待てっつの!

 

「落ち着けっつの!」

「あいたぁ!」

 

二人への接触まで50㎝。すんでのところで首根っこをつかんだ俺は、そのままこちらへと引きもどす。

 

「ごめんな二人とも。…で、今日はどうした?」

 

いまだに抵抗を続ける千歌を曜に任せると、二人の方に向き直り、驚かさないように優しく問いかける。

 

「え…、ええ…と。」

 

危機が去ったと判断したのか、ゆっくりと顔を上げ、立ち上がるルビィちゃん。すると、急に真剣な表情になる。隣を見ると、花丸ちゃんもだ。

 

ついに来たのか。決断の時が。

スクールアイドル部への入部の答えを告げに来たのだろう。俺は真剣な面持ちで二人を見つめる。不意に、喉の奥がゴクリ、と鳴った。

同時に、後ろで騒がしかった千歌ちゃんの抵抗も静かになる。ちら、と後ろを見ると、不安げな表情の千歌と、真剣な表情の曜。どちらもこれから何を告げられるか分かっているようだ。

教室内に緊張感が張り詰める。ルビィちゃんはどのタイミングで切り出すべきか、なかなか言いずらそうにしていたものの、数秒間の沈黙の後、ついに口を開いた。

 

 

「わ、私…、黒澤ルビィは、スクールアイドル部に、にゅ、入部します!」

 

小さな彼女からは想像もできないような声の大きさで。

叫び声の中、何度も噛みながら。

しかし、俺たちが待ち望んでいた言葉を、彼女は、顔を真っ赤にしながら告げた。

 

「「……やったぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

その瞬間、後ろから二つの衝撃。

 

「ぐえっ!?」

 

なんとか踏みとどまり、何事かと後ろを向くと、これでもかとの笑顔の二人が、俺に抱きついてきていた。

 

「やった!やったよかけるくーん!!」

「よかったぁ!よかったよぉ!」

「おわぁ!?わ、わかった!わかったから!」

 

とりあえず二人をなだめようとするものの、興奮のあまりか、全く俺から離れようとしない二人。…こんな時に言っちゃいけないことなのだと思うが、二人に抱きつかれていると、その…。お二人についている二つずつの放漫な果実が…。

 

「あ、あの…。」

 

はっ!?ダメだ、今は1年生に集中しなければ!

落ち着いたのか、いつもの雰囲気に戻っているルビィちゃんの声により、意識を強制的に背中から切り離す俺。

 

「じ、実は…。もうひとつありまして…。……花丸ちゃん。」

 

…え?

ルビィちゃんの呼びかけにより、一歩前に踏み出す花丸ちゃん。その目は、先ほどのルビィちゃんと同じ、真剣さを物語っている。

花丸ちゃんは、すうっ、と息を吸い込むと、大きく口を開き…

 

「わ、私!国木田花丸も!スクールアイドル部に!入部するずらぁ!」

 

ルビィちゃんよりも大きい声で。下手したら学校中に響いたんじゃないかというくらいの声量で。

スクールアイドル部入部を、宣言した。

 

「「…いいいぃぃぃぃやったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」

 

先ほどから抱きついていた二人の締め付けがより一層増す。そうすると、自然に密着面積が広くなるわけで。

ギュゥゥゥ。

 

「わ、わかった!わかったから!とりあえず離れてくれ!二人とも!」

 

背中全体に広がる4つの果実の感触は、その後数分続くのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ぅゆ。」「…ずら。」

 

「よしっ!記名完了!これで、君たちは晴れてスクールアイドル部の一員だ!」

「まだ(仮)だけどね。」

「うぐっ。」

 

おいこら曜。急に現実に戻すんじゃない!

にしし、と笑う曜を尻目に、1年生二人に向き直る俺。いやぁ、それにしてもめでたい!これで、目標の5人達成!これが笑わずにいられるかって。えっへっへ。

 

「あ、あの…。先輩…。」

「ん?どした?」

 

にやにやと笑っている俺に、花丸ちゃんがおずおずと俺の元へ。

 

「あのぉ…。さっき、名前を書いたとこの上に、善子ちゃんの名前が書いてあったんですけど…。もしかして…?」

「ん?そうだよ?今日の昼休みに入ってくれたんだぜ。あいつもよかったな、これで1年一人で寂しい、なんてこともないだろう。うんうん。」

「す、すごすぎる…。たった1日で登校させて、その上スクールアイドルにまで…。」

 

ブツブツと呟く花丸ちゃん。…え?そんなにすごいことか?なんか、あいつは…、なんというか、チョロかったぞ。

と、いきなり花丸ちゃんは俺に向き直ると、

 

「せ、先輩…!ぜ、ぜひ、『師匠』と呼ばせてほしいずら!」

 

俺の手をガシッ、と握り、とんでもないことを言いだした。

 

「し、師匠!?」

「はい。出会ってから全然経ってないのに、善子ちゃんを手玉に取るその能力、御見それいたしいましたずら!是非、師匠と呼ばせて欲しいずら!」

 

それ、善子が聞いたらまた不登校になるぞ。

真剣なまなざしでぶっ飛んだことを言いだす花丸ちゃんにたじろぐも、まぁ呼び方くらい何でもいいか、と思い了承する。パアッ、と明るくなる花丸ちゃん。「師匠♪師匠♪」と鼻歌気分で連呼している。それ、頼むから人前でやるなよ。100%俺が犯罪者になるから。

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

 

 

「さよならずら~」「さ、さようならっ!」

 

途中のバス停で降りた二人を見送り、俺たち3人はいつもの席に再度座る。

 

「いやぁ~!めでたいっ!6人だよ!?6人!!」

 

未だ興奮さめない千歌を横目に、曜の方を見る…。

そこには、無言ながらも、目が尋常じゃないくらい輝いている曜。…あ、あなたもですか。

ギラギラの千歌と、キラキラの曜に挟まれている俺。…こんな二人の間で、言いたくはないんだが、絶対忘れてるからなぁ…。

 

「なぁ。二人とも。…肝心なことを忘れてるぞ?」

「ふぇ?」「え?」

 

腕組をして、真ん中に座る俺に、二人からのキラキラした目線。…ああ、この瞳を壊すのが辛い。

しかし、言わなけりゃ始まらない。意を決して、現実を告げる。

 

「まだ…。『生徒会長』という壁が残ってるからね?」

「「……あ。」」

 

やっぱり忘れてたか。

俺の言葉を聞いて、分かりやすいくらい落胆する二人。

そう、まだ終わりではない。

『5人以上』という目標を達成し、3年間の奴隷生活は回避できたとはいえ、あの型物会長がそう易々とスクールアイドル部を承認するとは思えない。本当の戦いはこれからなのだ。

だから、しっかりと傾向と対策をだな…。

 

「でもまぁ、翔くんがいるし!」

 

そうそう…、って、え?

 

「なんとかしてくれるし!」

 

え?なんとかしてくれるって、何?

 

「「なんとかなるよね!翔くん!!」」

「………はい。」

 

ダメだ。ポジティブ人間の千歌はともかく、まともだと思っていた曜までお気楽モードになっている。お前ら、1週間前の会長忘れたのか?

心配だ…。と不安になる中、バスは夕焼けに染まった海岸線を走って行くのだった。

 




ルビィと花丸が加入いたしました!これで1年生組も揃いました。
さて、そろそろ1年フラグも立てていこうと思うと同時に、会長とのバトルも迫ってきてます。翔クンはどう出るのか?

次回ですが、ルビィと花丸がそれぞれどんな思いでスクールアイドル入りを決めたのか。『もうひとつの20話』を書く予定です。それ+本編の方も同時に載せたいと考えているので、少し投稿まで時間が空くかもしれませんが、お待ちくださいませ…。
年が明けるまでには、投稿がんばルビィ!
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