ラブライブ!サンシャイン!! ~平凡な高校生に訪れた奇跡~ 作:syogo
俺「あの…、今回は、真面目に構想がまとまらなくて。」
千歌「ふうん。千歌だってもう少しは速く歌詞を書けるんだけどなぁ。」
俺「……疑ってらっしゃるので?」
千歌「だって、前科がありまくりなんだもん。」
俺「…おっしゃる通りで。」
千歌「じゃあ、罰ゲームだね!」
俺「え!?少しは情状酌量してくれたりしそうな雰囲気だったじゃん今!?」
千歌「そんなわけあるかー!いけー!しいたけ!」
しいたけ「バウバウバウ!!!」
俺「ひいいいい助けてぇぇぇ!!!!」
…だんだんこの茶番も雑になってる気がする。
どうも、お久しぶりです。今回、本当に後半の描写がまとまらなくて、相当苦労しました。…読み苦しい点があるかも解りませんが、ご容赦ください。
さて、今回は千歌回です。+、これで合宿編は終了かな。
最終日、どんな展開が待ち受けてるのか!
それではどうぞ。
「…みんな、グラスは持ったか?」
「……では、みんな、4日間の合宿、お疲れ様!乾杯!!」
「「「「「「かんぱーい!!!」」」」」」
チン、とグラス同士が合わさる音が、部屋に響き渡った。
「いやぁ…、短いようで、長かったなぁ。この4日間は。」
「あはは、かけるくーん。それを言うなら『長いようで短かった』でしょー?」
「なんか千歌に言葉を指摘されると若干イラっとくるな…。」
「うにゃー!またばかにしたなー!?」
先程の俺による乾杯の音頭により始まった「GW合宿打ち上げ」。…若干語呂が悪いのは気にしないでおこう。
打ち上げが始まるや否や、いきなり俺の隣にやってきた、この宴の企画者であり主催者の千歌と一緒にテーブルにある料理をつまみながら、この合宿を振り返っていたのだ。
「…それにしても、今日はびっくりした。まさか梨子が曲を完成させてるとはな。」
「うんうん、そうだよね!曲を聞いた時、感動してチカ、泣いちゃいそうだったよ~。『ああ、これから始まるんだ!』って感じがして!」
「そうだよな。これでダンスの練習もできるようになるし、歌の練習だってできるしな。…頑張れよ?千歌。」
「な~んか、最後の言葉がばかにしてる感じがする…。」
「………気のせいだろ。期待してるんだから頑張れよ?」
「今の間はなんだー!!」
そう、今日はこの合宿一番と言っても良いほどの大ニュースがあったのだ。夕方、梨子が『曲が出来たの』、という言葉と共に俺たちにCDを手渡してきた。勿論、俺たちはすぐさまパソコンに取り込み再生。そこから流れ出す曲は、先日千歌が書きあげた歌詞と絶妙にマッチしていて、それでいて曲自体も良い意味で耳に残る、軽快なリズム。
聞き終わった瞬間、俺たちは自然と拍手をしていた。素晴らしい曲だから、という理由が大部分を占めているのだが、このライブまで間もない過密スケジュールの中で、こんなに早く曲を作り上げてくれた梨子の作曲センスについてもだ。まだ歌詞の入っていない原曲の状態でこれなのだ。彼女たちの歌声が入った瞬間、この曲はどんな様子に化けるのだろう___と、とても楽しみになった。
「…もう、さっきから大きな声で。恥ずかしいからやめてよ…。」
「お、噂をすればこれはこれは。天才作曲者桜内先生じゃないですか。」
「それが恥ずかしいって言ってるのよぉ…。」
と、俺たちが梨子についての話題に触れていると、それを聞きつけたのだろう梨子がグラスと一緒に俺たちの元へとやってきた。先程の彼女の言葉通り、俺たちの会話が全て聞こえていたのだろう。頬がほんのりと赤く染まっている。
「いえいえ、そんなに謙遜しないで下さいよ先生。」
「そうそう。チカ達すっごく感動したんですよぉ?」
「……なんかバカにされてるみたいだから戻ります。」
「まってまってまって!!!」
「ごめんごめんごめん待って梨子!!」
その彼女をにやにやしながら迎える俺たち。それを見た梨子が冷たい目線を浴びせ、踵を返して戻ろうとしてしまうので、慌てて引きとめる。
「ほらほら、こっちにおいで~、梨子ちゃん!」
「そうそう、ほら、俺の隣が空いてるから。一緒に楽しくお話しようぜー。」
「…やっぱりバカにされてるみたいに聞こえる。」
「「気のせい気のせい。」」
そうしてなんとか梨子を引きとめ、席に座らせることに成功した俺たち(特に俺)は、ほっと息をつく。ここで梨子の機嫌が悪くなってしまったら、大変だもんな…。個人的にだが、このメンバーの中で怒らせると一番ヤバそうで怒りが長そうなのは、梨子だと思っている。本気で怒ってるのを見たことがない、しかも、いつもおしとやかな感じで落ち着いてニコニコと笑っている印象だから、恐らく怒る時は笑いながら怒る、という感じだと思う。顔は笑顔だけど、目が笑っていない。…そんな感じだろう多分。おお怖い怖い。
「…翔くん?」
「いえなんでもないです何も考えてないですよ。」
って言ったそばからの梨子。そうだ忘れてた、ここにいる人は全員俺の思考が読めるんだった。いい加減学習しよう。
…というかやっぱり梨子は怒らすと怖いな、確実に。今の俺への表情だって、笑顔だったけれども、若干闇が見えた気がするもん。瞳を見つめると石化でもされんじゃないかな。
「……翔くん?」
「お疲れさまでした桜内先生。ささ、ぐいっと一杯いっちゃってください。」
だからいい加減学習し以下略。さっきから俺への笑顔の威圧が半端じゃないと感じた俺は、すぐさまジュースを梨子のグラスに注ぐ。…よし、もうこれ以上は何も考えない、考えない。梨子の笑顔は純粋そのもの、怖くない怖くない。はははは…。
「……はぁ、もういいよ。 んくっ、んっ…。ぷはっ。…はい、翔くん、もう一杯。」
「はい喜んで!!」
ダメだぁぁぁ体がビビっちゃってるうううう!!と受けとったグラスに迅速にジュースを注ぎながら、梨子の視線にビクビクしていた。
…あれだよね、絶対。梨子は結婚したら旦那を尻に敷くタイプだと思うよ。
「あはは、翔くーん。梨子ちゃんにビクビクしすぎだよー。」
「そうよ。私が何をしたっていうの?…ねえ翔、くん?」
「そ、そうですよね!あ、あはは、あはははは…。」
今の間は何だったんだ…!!蛇に睨まれた蛙状態のまま、残りの時間は梨子のグラスに全神経を集中させ、飲み物を迅速に注ぎ続けるのだった。
…今度から考え事するときはホントに気をつけよ。
………
「……ふう。疲れたー。」
ボスン、とベッドにダイブした俺は、枕に顔を埋めながら全身の力を抜き、完全なリラックス状態になった。
「みんな、結構テンション高かったからな今日は…。雰囲気に飲まれちゃったよ。」
結局、あの後もどんちゃん…、とまでは行かないが。普段おとなしめな彼女たちにしては珍しい(特に花丸ちゃんやルビィちゃん)、陽気な感じで盛り上がっていた。その為、終了予定時間を大幅にオーバーし、美渡さんにお説教をくらう羽目になってしまったわけで…。
「……ま、たまにはいいだろ。美渡さんめっちゃ怖かったけど…。」
思い出しても背筋が軽く震える…。しかし、俺と千歌が怒られただけで、彼女たちの笑顔は守られたのだ。普段見せない表情を見せてくれた代金だと思えば、まぁ容易いものだろう。それにしても、千歌の美渡さんに対する腰の低さ、謝罪の速さには驚いた。慣れすぎだろ。あいつどんだけあの人怒らせてんだよ…。説教が終わった後もへらっとしてたし。あの説教に怒られ慣れてるって、ある意味最強かもしれない…。
…と、そんなこんながあってみんなと解散した後、ペナルティである皿洗いをみっちりとこなした俺は、このまま眠ってしまおうとベッドに横になり瞼を閉じようとしていたわけだった。
コンコン。
…と、俺がまさに寝るか寝ないかの瀬戸際、個人的には一番気持ちのいい時間に、それを阻害する外的要因が現れた。俺はこの時間が好きで、そのまま眠ってしまうのが一番最高の気分なのだ。先程の言葉は悪かったとは思うが、俺の好きな時間を妨害された事に若干の憤りを感じてしまうのも事実。しかし、俺はここに住まわせてもらってる身であり、そのノックの主が美渡さんだったりしたら一刻も早く迎え入れないと先程の地獄が再来してしまう。それに俺はまだ風呂も入っておらず、寝間着にも着替えていない。ここは起こしてくれた事に感謝するとしよう____と、若干回転が緩やかになっている脳を使ってそう答えを出した俺は、ベッドから起き上がるとのそのそと扉まで赴き、そこを空ける。
「____なんだ、千歌か。」
「なんだとはなんだっ!お風呂上がったから呼びに来てあげたのに。」
扉の前に居たのは、地獄の審判者(これ言ったら死ぬな…)ではなく、湯上りの蒸気をほこほこと立てている、みかん色の髪の少女だった。
「そっか、ありがとな。…じゃあ、もう少ししたら入るよ。」
千歌に俺は素直に礼を告げると、扉を閉めようとする。…まだ目が覚めていない。このまま風呂に行くのも良いかもしれないが、この合宿の疲れからか、このまま入ったらそこで眠ってしまう気がする。それだと合宿終了と同時に人生が終了してしまうので、部屋で少し眠気がとれるまで落ちついてから行こう、と扉に手を掛けると___
「……待って。」
「まだお風呂はいらないなら、翔くんと、少しお話したいな…。…入れてくれる?」
その言葉と同時に、俺の服の袖を握ってくる千歌。それと共に、湿った艶やかな髪と、いつもの元気な千歌からは想像もできない潤んだ表情。
「____!」
それに魅入った俺は、反射的に首を縦に振ると、千歌を部屋の中まで誘導した。……眠気は、あっという間に無くなっていた。
………
「…で?いきなりどうしたんだよ、千歌。」
部屋に戻ると、千歌をベッドに座らせ、俺は畳にそのまま座る。そこでもう一度千歌を見ると、まるでさっきの表情が俺の見間違えだったかのように、いつもの表情でえへへ、と笑っていた。
「…えへへ。合宿、終わっちゃったねって思ってさ。」
「……そうだな。」
どうやら、合宿の思い出でも語り合うつもりらしい。…さっき打ち上げで散々話したのに、まだ足りないのか。と内心苦笑しながら、千歌の話に乗る事にする。
「4日間って、長いものだと思ってたけど、ホントにあっという間だったよー…。」
「そうか?俺は凄い長い4日間に感じたけどな…。」
「えーっ?楽しい時間はあっという間に感じるじゃん。…もしかして、楽しくなかったの?」
「いやいや、んなことあるわけないだろ。十分楽しかったさ。…ただ、その。色んな事がいっぱいあってさ…。」
若干ニヤけ顔で聞いてくる千歌にそう答えながら、俺はその『色んな』事を思い出す。…初日から、いきなり俺の部屋の謎の争奪戦が始まるし。梨子との同室は緊張したし。…まさか花丸ちゃんから告白されるとは思わなかったしな。
「……ん~?何を思い出してたの?」
「…そりゃあ、まぁ。色々とだよ。」
「………梨子ちゃんと一緒に寝たり、花丸ちゃんに告白されたり?」
やっぱりさっきのニヤけ顔は、狙ってたな…!と若干顔を赤くして俯く俺。
___ここまでは、いつも通りの風景というか、日常の軽口だった。
「ちょっ…!お前なぁ…、気付いてるなら、わざわざ言わせるんじゃ、な……!?」
いつもの軽口を言い合う、冗談めかした千歌の口調。…またいつも通りの言い合いが始まるな、と内心思いつつ千歌に言い返そうとして顔を上げた、その時。
……俺は訳が解らなかったんだ。
____千歌の目から、涙がこぼれている事に。
…完全に思考が停止した。
意味が…、わからない。さっきまで笑顔で俺と会話をしていた筈なのに。と、完全にパニック状態になると同時に、俺はさっきまでの言動を全て思い返し、何か傷つけた事でも言ったのか…?と必死に記憶を探る…、が。変な事は言ってないと思うし、いつもの言い合いより、今日はよっぽど落ち着いている。
「…あのね、千歌、ずっと寂しかったんだ。」
しかし、それは俺が思っているだけで、千歌は俺の何かの言動で傷ついたのかもしれない。…まずは謝罪しなければ、と思い口を開こうとした瞬間。
千歌の口から、そんな言葉が呟かれた。
……「寂しかった」?
千歌の言葉に疑問を持った俺は、千歌の言葉の解釈に脳をフル回転させる。
数秒間訪れる沈黙。
……そんな俺の内心を知ってか、千歌は話を続けていった。
「…この4日間、翔くんと。…二人っきりで居た事、なかったでしょ?」
「最初はね、そんな事思ってもいなかったの。『みんなとお泊りできる。みんなとずっと一緒にいれる。』って。実際、とっても楽しかったし、またやりたいなぁ、って思った。……でもね。段々合宿が進んでいってね、この気持ちがどんどんおっきくなっていったの。『寂しい』って。」
そこから、千歌の表情が変わった。涙を流していただけで、声色はとても落ち着いていたのだが、段々と表情と共に、言葉に嗚咽が入り混じった。…俺は、何もできずに。千歌の話を…黙って聞くことしかできなかった。
「…翔くんと、お話がしたかった。みんなとじゃなくて、二人きりで。」
「…話したかった?」
俺がそう聞き返した瞬間、…千歌の肩が小刻みに震え、まるで理性のダムが決壊したかのように、嗚咽が入り混じった声で、次々と感情を爆発させた。
「私だって…、翔くんのお部屋に行きたかった!!梨子ちゃんみたいに、隣で一緒に寝たかった!花丸ちゃんみたいに、翔くんに助けてもらいたかった!!ご飯の時だって、二人で食べたかった!練習だって、一番近くにいて欲しかった!」
「………!!」
…他のメンバーに対する、嫉妬心。それを理解した瞬間、俺の心臓の鼓動が急激に加速する。
「…このお家にいるときだけは、翔くんを独り占めできてた。会いたいときは、隣のお部屋に行けばいつでも会えるし、ご飯も、一緒に食べてた。…でも、みんながいたこの合宿は、そんなこと一回もなかった。翔くんは、みんなに優しくしてて、みんなと仲良くしてて。…解ってるよ。私だけ、なんて無理だって。でも、私と翔くんだけのこの場所が、みんなに荒らされちゃったみたいって…!思って…!」
「解ってるの!私、今最低な事言ってるって!!みんなの事を凄く悪く言ってるって!!…でも、思っちゃうんだもん!『私と翔くんだけの場所を取らないで』って!」
「お、おい…!千歌……!?」
その感情って。
……と、俺が『千歌の気持ちに気付いた』その時。
ベッドから立ち上がった千歌が、勢いよく俺に抱きついてきた。
「ちょっ…!千歌!」
「流石に翔くんでも解るでしょ…?…そうだよ。」
いつの間にか、嗚咽の入り混じった声ではなくなっていた。信念のこもった、まっすぐな、はっきりとした声で、千歌はその言葉を告げた。
「好きになっちゃったんだよ。翔くんの事を。」
次回からは、ファーストライブ中心の話になって行くと思います。
さらに、スクールアイドル部現メンバーの恋の描写、3年生の行く手なども、どんどん進めていく予定ですので、ご期待ください。
それでは、また次話をお楽しみに。