ラブライブ!サンシャイン!! ~平凡な高校生に訪れた奇跡~ 作:syogo
翔クンとヨーソローの出会い。
…。
………。
……………遠い。
…かなり走った。体感、7~8キロくらい走ったんではないだろうか。
ちらり、と地図を見る。地図には、「道なりに進んで‘浦の星女学院前’のバス停まで行って、そこにある坂道を登った先」と解説が書いてある。
そうなのだ。走り始めてしばらくしてから気づいたのだが、バスが出ていたらしいのだ。なぜ、もっとよく地図を見ておかなかったのか…。正直、もう限界。卓球部にこの距離は辛すぎるぜ…。
ひぃひぃ言いながら、さらに走ること十数分。
………やっと見つけた。
‘浦の星女学院前’と書かれたバス停を見て、安堵する俺。よし、ここまでくればあとは坂道を………!?!?
…見た瞬間、へなへなと俺は座り込んだ。
かなり急な坂道が目の前にはあった。……だが、俺が見ていたのはそこじゃない。
遠くにポツン、と見える建物。あれが、浦の星女学院なのだろう。
…そう、ポツン、と見えるのだ。ポツン、と。
つまり、まだ到着には時間がかかり、おまけに坂道を登って行かないといけないわけで………。
今度から、色々なことに確認を怠らないようにしよう(特に地図)、と自分に言い聞かせるのであった……。
………
「…はっ、…はっ、…はっ、……はぁっ。」
死ぬかと思った。
残りの力を振り絞り、全速力(すっげぇへろへろだったが)で坂道を駆け上がり、…やっとの思いで到着。
明日は筋肉痛だな。確定で。…明日から学校なのに。
半分涙目になりつつ、校門を見上げる。
‘私立 浦の星女学院’
ぱっと見、普通の学校、という感じ。…いや、普通じゃない学校って何なのかは知らないけども。
三階建ての校舎が目の前にある。それと体育館らしき建物、校庭。
…入って行ってもいいんだろうか。
しかし、せっかくここまで来たんだ。(しかも徒歩で)少しくらい見学しても罰は当たらないだろう…、と思い、おそるおそるではあるが、浦の星女学院に足を踏み入れるのであった。
………
「うーん、駄目か…。」
早速、校舎にでも入ってみようと思ったのだが、鍵がかかっている。ガラス戸越しに校舎を覗くが、人の気配はない。
「開いてないんじゃしょうがねぇよなぁ…。」
確かに、今は春休み中だが。…でも、教師だって色々仕事があるはずなんじゃないだろうか。大体、一人くらいはいるもんなんじゃないのか…?
その時、頭に鞠莉さんが思い浮かぶ。…そうだ、ここの理事長鞠莉さんだ。あの人なら、「今はホリデーなんだからぁ、センセたちも休みましょ!休校休校♡」なんて言ってホントに休みにしてそうだ。
とりあえず、開いてない事にはしょうがない。
「あ、そーいえば。ここって、プールないんかな?」
俺の通っていた小、中学校にはプールがあった。25メートルの競泳プール。暑い夏の日に水に浸かれる有り難い授業。授業のある前日は、楽しみで眠れないときもなんどかあったものだ。
そんな昔の思い出に苦笑しつつ、それとなくプールを探して歩く。…いや、別に「プールがあれば、女子の水着姿拝める!」なんて決して思っていない。うん。
するとどこからか、
ぽちゃーん。
何かが水に落ちた音。…でも、小石が水たまりに落ちたとか、そんな軽い音ではなく、もう少し重い感じ。
「別に雨が降った、とかそうゆう訳じゃないしなぁ…?」
不思議に思った俺は、その音のした方へ歩みを進める。
体育館の角を曲がったところで、俺は異様な物を発見した。
白い柱が立っている。…飛び込み台だ。
なんで飛び込み台!?と思うも、プールを見つけたことの喜びで、若干ニヤケ顔になる(けして女子の水着が(以下略)。
……ん?
その飛び込み台の上に、誰か登っている。…女の子?
「あれ…。なんかこのパターン、見たことあるよーな…。」
その子は台の端に立つと、大きく深呼吸をし、構えて……。っておい!またかよ!?
「まだ4月だっちゅうに!!どんだけ気が早いんだこの辺の子たちは!!」
疲労した足に鞭打って走り出す。…だが、その子は俺に気づくこともなく台からジャンプ。
「早まるなぁぁぁ……おおぅ!?」
その子の飛び込みを見て、俺は理解した。
その子は「海の音が…」とかそういう理由じゃなく、練習で飛び込んでいるのだと。
…俺は競技の飛び込みを全く知らないから、うまく説明できないが。
空中に浮いた瞬間、足を抱え込み、そのままクルクルと前回り…1、2、3回?回った後は体を1本の線のようにピン、とはりそのまま着水。すげぇ、着水音が超静か。
そういえば、さっき聞いたぽちゃーん、って音もあの子だったんかな…?なんて思いつつ、プールへと近寄る。フェンス越しにプールを見ると、ちょうどさっきの女の子がプールサイドに上がろうとしていたところだった。
すげぇ~、もう一回やってくんないかな、なんて思いながらその子を見ていると、プールサイドを歩いてこっちの方へ……ヤベ、気付かれた?
…って、あれ?フェンス5メートル前くらいで、急に歩みを止めた。
一体何を…?と思った矢先、いきなりこっちにダッシュ。
「ちょ、ちょっ!?なにを!?」
「…とりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
と、フェンスに向かってジャンプ。そのままフェンスにしがみつくと、なんとまたいでこっち側に来た。…このフェンス、2メートルくらいあるんですけど!?
「捕まえたっ!!覗き魔だなぁ!?へんたーい!!」
「ちょっ!?待て待て、誤解だ!!」
「問答むよーう!!…どりゃぁぁぁぁ!!」
「うわぁぁぁぁ!?」
どしーん。いきなり服をつかまれ、そのまま足をかけられた俺は、なす術もなく地面へ。…うぉぉ、痛ぇ。
「ここは女子高だよ!?キミ、男の子だよね?…なにしてんの!?」
ぐい、っと詰め寄られる俺。
身長は…、155センチくらいだろうか。ボーイッシュな顔立ちに、ベージュ?に軽く白がかかった感じの髪が肩まで伸びている。癖っ毛なのだろうか、髪の先端がクルクルっとしている。ぱっちりした目。服装は競泳水着。…それもそうだ、さっきまで飛び込みやってたんだから。う…、それにしても目のやり場に困る。
「い、いや…。俺は、けして怪しい者ではなくて…。」
「じゅーぶん怪しいよ!!」
やばい、すっげぇ警戒されてる。このままだとマジで警察とか呼ばれるかもしれない。…それはマズイ、転入前からそんな騒動、起こしたら絶対マズイ。
「お、俺は…!明日からここに転入することになって…。学校がどんなんなのか見に来ただけなんだ!」
顔を赤くしながら、なんとかそう答える俺。するとその子は目を丸くして、
「え!?じゃあ、キミが千歌ちゃん家に来た、って男の子?」
「あ、ああ…。そうだけど。」
なんで知ってるんすか。…すると、ずずいっ!とさらに俺との距離を縮めて……って、近い近い!!
「うわぁ~!!じゃあ、キミが翔くんなんだぁっ?……あ、私、渡辺 曜 って言うんだ!よろしくね!」
すっ、と俺の手を取り、ギュッと握手。…おおう、この子、結構握力強い。
「あ、さっきはごめんね。ここ、女子高だからさ~。てっきり、不審者が来たのかと思っちゃって。」
にこっ、と笑いかけてくる、えっと…渡辺さん。か、かわいい。ボーイッシュな感じにかわいさもプラス。カッコかわいいとはこのことか。
「私ね、千歌ちゃんとは幼馴染なんだ。だから、キミがここに来ること、教えてもらっててね~。名前、翔くんで合ってるよね?…それにしても、イケメンだね~。さっき初めて見たとき、ちょっとドキドキしちゃった。」
俺って、そんなにかっこいいんだろうか……??謎だ。
「あ、ああ。俺の名前は榮倉 翔。改めてよろしくな、渡辺さん。」
「あ、名前で呼んで!私も、翔くん、って呼ぶから!」
…何だろうか、内浦の子達って。基本的にコミュ力が高すぎやしないか?
俺、初めて会った人に、「名前で呼んでくれよ。」なんて、言えないぜ?
「じ、じゃあ…。よろしくな、曜ちゃん。」
「よろしく!翔くん!」
これが、俺と曜ちゃんの初めての出会い。
…ちなみに、旅館の事は、すっかり忘れてた。
やっと曜ちゃん(ちなみに私の押しキャラです)を登場させられました。
曜ちゃんの話し方っぽくなかったらすいません…。
次回から、やっと翔クンが浦女に入学です。
お楽しみに。