私小説であり、試小説   作:陰月

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投稿が遅れまして、失礼しました。

 人によって面白く感じる展開は様々ですが、今回はどうでしょうか


十話 その治療法、適切?

 

「そうですね、よし行くぞ」

 怒るのは後回しだ、とマドカの右腕を掴み歩き出そうとするサナイ。

 火傷ならばとにかく冷やさなくては。

 近場ならついさっき出てきたマスターの店しかない。病気や怪我に詳しいわけではないが、民間療法程度の知識なら持ち合わせている。

 患部を冷やす。急激に冷やすのでなく、緩やかな流水でゆっくりと。

 もしも、衣服の上からの火傷なら無理に衣服を取り除かない。

 熱にやられた皮膚が衣服に張り付く形で剥がれ、被害が拡大するからだ。

 そして迅速な救急要請。今回なら走ったりタクシーの方が早いか?

 歩きながら連絡をとろうとして懐から電話をだしたのだが、それを横から伸びてきた手が制した。

 ガクトだ。

 「なんですか、邪魔しないでください」

 火傷を負った皮膚は薄くなり抵抗力も落ちてしまう。急がないと感染症を引き起こすはずである。

 しかしガクトはいつまでも変わらない笑みで制してくる。そして、一言同じ言葉を告げる。

 「ですから『手当て』をするのですよ」

 言うや否やマドカの左手を手に取る。

 やせ我慢できるとはいっても痛みは感じているのでマドカは表情を曇らせた。

 「ぃっ」

 「何を!?」

 何をしているのかと、ガクトを戒めようとしたサナイであったが気にせずガクトは左手を両手で包み込む。

 そして何やら口中でボソボソと呟いた。

 「気持ち悪いことすんじゃねぇよ、男同士で」

 マドカは急いで左手を引き抜き、汚れを払うかのようにひらひらと手を振る。

 なにが嬉しくて同性に手を包まれたいものか。

 ハンカチを取り出して手のひらや甲を拭う。

 その異変に先に気付いたのはキンヤであった。

 「、、、おいマドカ、手は痛くないのかよ?」

 「あん、、、あれ?」

 「左手を見せてみろ」

 三者三様。目を丸くしたり、口が半開きになっていたり。ほんの数秒前には真っ赤だった手。

 今では見る影もない。

 綺麗なものである。

 

 「さて、これで少しは信用に値する存在になりましたかね」

 行きましょう、と組長の待つ事務所へ向かおうと三人を促すガクト。

 一方の三人はますます不信感を募らせた。目の前の事実が信じられない。

 だが、なにかの一線を越えると、考えることを放棄してしまうのかどうでもよくなってしまう。

 そして一人が口にすると、それは伝染する。

 「ははは、もういいです。分かりました行きましょう」

 「めちゃくちゃだろ」

 「訳わかんねえ」

 めんどくせ、と言外に告げるように諸手を挙げる。降参の意思だ。

 

 サナイは事務所への道すがら、ガクトに先程の事象の説明を要求する。

 「さっきのはどういうことなんですか?」

 「あなたは魔法使いかなにかなんですか?」

 「それとも、俺達は幻をみているんですか?」

 夢や幻ならばまだ納得できる。微かな望みを抱いて問いかける。

 

 しかしガクトは、この質問に逆に首を傾げる。

 そして含みを持たせて告げた。

 「何度も申し上げたように、あれは『手当て』ですよ」

 あなたがたが、過去に置き忘れてきた知識です。




 
そろそろ新キャラ;組長が登場になる、はずですw
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