私小説であり、試小説 作:陰月
書くスピードを上げたい今日この頃
皆が静まり返る中一人が何かに気づきハッと顔を上げ、
「でもオカシイですよ。あの時は確かに歩いて帰って行ったんですよ?こんなのあいつ等の仕業だって言ってるようなもんじゃないですか」
この言葉には周囲も、確かにな、そうだそうだ、と頷き合う。しかし組長は違った。
「無理だよ」
「え、なんで」
「それをどう説明する?ウチが撃ち殺してようがいまいが関係ないんだよ」
現在確実に証明できることは、熊組チンピラが撃ち殺された、こと。
いつ、誰がやったのか、場所は?
今では全て、推測が飛び交うのみ。
若い衆の言い分が嘘だとは思っていないし信じている。
チンピラとはいえ部下を簡単に殺してしまう、相手が異常なのだ。
「これは熊だけの考えじゃねえな、いくら過激な集まりでもここまでやるような奴じゃなかった」
となると、当てはまる人物が一人だけ浮かぶ。
だが今は別に急を要することがあった。
「熊のチンピラが絡んでた住民の住所は分かるな?今からお前らで影ながら警護にあたれ」
指示を受けた部下は言葉の真意が分からず動こうとしなかったが、
「急げ!!!」
ハルミの剣幕におされて飛び出して行った。
「組長、どうして警護なんか」
どうしても理由の分からないサナイがおずおずと尋ねる。
「馬鹿野郎、チンピラを追い返したのはその人たちの目の前だろ。その段階で生きてた、っつう事実は向こうにとって都合が悪い。人一人ヤるのも三人も四人も変わらねえ筈だからな」
「そっかぁ。、、、ん?だったらその人たちに証明してもらえば、ウチに対する要求も出来なくなりますよね」
閃いたとばかりに駆け出すサナイを、またもや組長の言葉が止める。
「大馬鹿野郎!これ以上
堅気;一般の人のこと
ヤクザを辞めることを、足を洗う以外に、堅気になると表現したりする
ただでさえ被害にあっているところに、追い打ちをかけるつもりか?
証明してもらえば確かに今回の戦争は終結するだろう。しかし、終結後に今度は矛先が堅気に向かってしまう。 いつ終わるか分からない恨みを背負わせるな。
我々半端者は居るだけで堅気に迷惑をかける存在だ。
感謝の念を抱き続けろ。
そして、脅威が迫ろうものなら喜んで盾になれ。
その身を差し出せ。
それが半端な俺たちが唯一、一人前になれる方法だ。
「おい、お前も向こうに回ってくれ」
「はい」
「頼んだぜ」
一人の金バッジを呼び、警護に向かわせる。
先に向かわせた奴らの中には納得していない者もいるはず。だが、これで納得してくれるだろう。
なにせ自分の『子』だ。
今送り出された金バッジも、何故自分が向かわされたのか分かっていた。
指揮をとりに行くのと同時に、先程の組長の言葉を伝えるためだ。
襟元の金バッジを光らせながら、硯組幹部 中村 夏(ナカムラ ナツ)は向かう。
限られた登場人物でいかにして話を回すのか
難しいものですね