私小説であり、試小説   作:陰月

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 組長の指示により、警護の指揮をする為ナツが向かっています


十六話 その考え、フラグ

 

 若い衆の元へ行きながらナツは考えていた。

 組長(オヤジ)のことだ。

 

 オヤジは、なんで極道の世界に入ってきたのか理解できない。

 極道なんてのは堅気になれなかった者、爪はじきにされた奴らの集まりだ。

 自分が一番。すべての基準は自分が決める。相手に譲ることができるのなら到底なりえない存在なのに。

 だから、この疑問をぶつけてみたことがある。そうしたら、

 

 「確かにそうなのかもしれない。でもな、受けた恩は返すもんだろ?たとえ相手が極道、ヤクザでもよ」

 

 オヤジは、それ以上を語らにず笑って見せた。

 更に詳しいことは、他の組に行儀見習いで世話になった時に、ちょこちょこと聞いた程度。

 あのオヤジが昔は孤児だったこと。運よく引き取られたこと。そしてそれが先代硯組組長だったこと。

 

 なぜ極道の親分が孤児を引き取ったのか、それは本当なのか。疑問が浮かぶが、納得できる材料でもあった。

 そして、オヤジを慕う材料が増えた瞬間でもあった。相手の気持ちに全力で応えようとする姿勢に、この人になら安心してこの身を預けられると感じたのだ。

 だからこそ決めた、オヤジが願うなら喜んで盾になろう。

 『男に惚れる』

 小説や映画の中だけだと思っていた。しかし惚れてみれば揺らぐものはなかった。

 

 ナツは駆け出す。

 近づくにつれて何か聞こえてきたからだ。

 徐々に明瞭になる音の正体は、怒号であった。

 「そこをどけや、腑抜けの硯組が」

 「熊臭いんだよ、山奥に帰りやがれ」

 「へ~。山に入った瞬間に撃ち殺す算段かよ。怖い怖い」

 「お前らみたいに、弱い者いじめするよかマシなんだよ」

 「んだコラ」「やんのか?」

 

 「やめろ、馬鹿ども」

 道の真ん中で言い争うだけでも迷惑なのに、喧嘩寸前になるとは何を考えてるんだ。

 と、若い衆の頭をシバキつつ割って入る。

 「あでっ、ナツの兄貴痛いですy」

 「熊の奴らが、ウチのシマに何の用だ?まさか勘違いしてたわけじゃないだろ」

 抗議の声に被せながら問い質す。

 「な、なんでこんな所に幹部が」

 予想外だったのか、ナツの登場に困惑する熊組のチンピラたち。

 「聞こえなかったのか?なんでウチのシマ内に居るんだ。用があるなら事務所に来いよ」

 

 ナツが凄んでいるとチンピラの奥から、一人の男がニヤニヤと笑いながら現れる。

 「なんで、だと?決まってる。仇討ちにきたんだ」

 「ああ?なんだお前は」

 足が上がらないのかと、疑いたくなるほどの摺り足と共に現れた男。

 スーツどころかワイシャツまではだけさせ、サラシを巻いている腹は引き締まっていることが窺える。

 ベルトに匕首(あいくち)(はい)し、両手をポケットに突っこんでいる姿はヤクザの見本のようだ。

 

 匕首;ツバのない短刀のこと。いわゆるドス。

    

 

 そんな風体の中でナツはある一点だけを睨んでいた。

 男のスーツの襟元に輝く金バッジである。

 





 口調だけでキャラを固定するのは無理そうです

 オカマキャラとかなら一発ですがw
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