私小説であり、試小説 作:陰月
組長の指示により、警護の指揮をする為ナツが向かっています
若い衆の元へ行きながらナツは考えていた。
オヤジは、なんで極道の世界に入ってきたのか理解できない。
極道なんてのは堅気になれなかった者、爪はじきにされた奴らの集まりだ。
自分が一番。すべての基準は自分が決める。相手に譲ることができるのなら到底なりえない存在なのに。
だから、この疑問をぶつけてみたことがある。そうしたら、
「確かにそうなのかもしれない。でもな、受けた恩は返すもんだろ?たとえ相手が極道、ヤクザでもよ」
オヤジは、それ以上を語らにず笑って見せた。
更に詳しいことは、他の組に行儀見習いで世話になった時に、ちょこちょこと聞いた程度。
あのオヤジが昔は孤児だったこと。運よく引き取られたこと。そしてそれが先代硯組組長だったこと。
なぜ極道の親分が孤児を引き取ったのか、それは本当なのか。疑問が浮かぶが、納得できる材料でもあった。
そして、オヤジを慕う材料が増えた瞬間でもあった。相手の気持ちに全力で応えようとする姿勢に、この人になら安心してこの身を預けられると感じたのだ。
だからこそ決めた、オヤジが願うなら喜んで盾になろう。
『男に惚れる』
小説や映画の中だけだと思っていた。しかし惚れてみれば揺らぐものはなかった。
ナツは駆け出す。
近づくにつれて何か聞こえてきたからだ。
徐々に明瞭になる音の正体は、怒号であった。
「そこをどけや、腑抜けの硯組が」
「熊臭いんだよ、山奥に帰りやがれ」
「へ~。山に入った瞬間に撃ち殺す算段かよ。怖い怖い」
「お前らみたいに、弱い者いじめするよかマシなんだよ」
「んだコラ」「やんのか?」
「やめろ、馬鹿ども」
道の真ん中で言い争うだけでも迷惑なのに、喧嘩寸前になるとは何を考えてるんだ。
と、若い衆の頭をシバキつつ割って入る。
「あでっ、ナツの兄貴痛いですy」
「熊の奴らが、ウチのシマに何の用だ?まさか勘違いしてたわけじゃないだろ」
抗議の声に被せながら問い質す。
「な、なんでこんな所に幹部が」
予想外だったのか、ナツの登場に困惑する熊組のチンピラたち。
「聞こえなかったのか?なんでウチのシマ内に居るんだ。用があるなら事務所に来いよ」
ナツが凄んでいるとチンピラの奥から、一人の男がニヤニヤと笑いながら現れる。
「なんで、だと?決まってる。仇討ちにきたんだ」
「ああ?なんだお前は」
足が上がらないのかと、疑いたくなるほどの摺り足と共に現れた男。
スーツどころかワイシャツまではだけさせ、サラシを巻いている腹は引き締まっていることが窺える。
ベルトに
匕首;ツバのない短刀のこと。いわゆるドス。
そんな風体の中でナツはある一点だけを睨んでいた。
男のスーツの襟元に輝く金バッジである。
口調だけでキャラを固定するのは無理そうです
オカマキャラとかなら一発ですがw