私小説であり、試小説   作:陰月

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 見せ場を作りたいという欲求だけが先行して、他がおざなりになってしまいます。


十九話 その人、鉄砲玉

 T字路の交差点(?)にさしかかった時、右に建ち並ぶビルの1つから若い男が飛び出してきたと思ったら、何か叫びながら周りをキョロキョロとしだした。

 そしてコチラの存在に気付くやいなや、今度はジロジロと。一体なんなんだ?

 買い物帰りにいつもとは一本違う道に入ってみれば、まったくもって騒々しい。

 あまり近づくと面倒か?

 しかし近づかんことには進めない。わざわざ引き返してやるような道理もなし。

 さて、どうしたもんかな。

 男は考えをまとめるために足を止め煙草の灰を落とす。

 

 どうしようかと考えているうちに、新たな男がビルから飛び出してくる。

 今度は壮年の男だ。若い方の上司だろうか。

 出てくるなり若いのを捕まえて睨んでいる。実にご立腹な様子。

 睨まれている方は正しく『蛇に睨まれた蛙』よろしく汗がだらだらでている。

 今なら変に巻き込まれることなく通り過ぎることが出来るのでは?

 1つの可能性を期待して歩を進めようとするも、2,3歩で止めてしまった。

 左の曲がり角から妙な光の反射を捉えたからだ。

 

 前の男2人とは別の人間が影から覗いている。その手に持つのは黒光りするある物。

 しかし男は喚きたてたり、慌てることもない。

 やれやれ。

 と、嘆息しつつ煙草を咥える。

 

 それと同時に一発の発砲音が響いた。

 先程視界の端に捉えたのは銃身に反射した光だったのだ。

 

 発砲されるぎりぎりで壮年の方は気付いたのだろう。目を見開きながらも、若い方を庇う形で腕の中に巻き込み銃口に背中を向けた。

 

 急に視界が傾いたので驚いたが、目の前に突き付けられた現実で理解は出来た。

 撃たれたのだ。

 サナイは急いで組長の怪我の様子を確認する。胴体や頭なら命に関わる。

 最悪の現実になってくれるなよと目をやると、どうやら肩に当たったようだ。

 命の危険はなさそうだと、ホッとするが危険な状態である。更なる襲撃があるかもしれない。

 ハルミの無事な方の腕を肩に回し、移動させようと行動を起こす。

 

 ハルミが懸念していた通り、窓を割って待ち伏せをしていたらしい。

 唯一の救いは連射してこなかったこと。考えられるのは口だけのチンピラを使ったか、もしくはすぐ逃げるように指示していたか。

 筆組のやりくちで考えるなら後者はありえない。

 その場を動くなら相手の命を止めてから。止めるまでは帰ってくるな。

 筆組での鉄砲玉は、まさしく呼び名の通りの扱いをされる。

 放たれた玉が、元の銃身に戻ることは無いのである。

 

 おそらくは度胸試しに使われたチンピラだろう。

 ヤクザへの憧れだけが強い、口だけの存在。

 そのくせ困れば組の名前をひけらかす。筆組にとっては丁度いい『鉄砲玉』だ。

 

 残りの組員は逃げた奴を追っていく。

 最後まで張れない虚勢を張る輩だが、シマ内で銃を持った輩を放置は出来ない。

 

 

 そんな、いざこざを目の当たりにしながらも全く驚かない煙草の男は、自分には関係ないと再び足を動かし始める。のだが、今度は進行方向からの存在によりまた止められてしまう。

 

 

 





 名無しモブの人たちも、ちゃんと動かしてみたいです。
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