私小説であり、試小説   作:陰月

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 作業中に耳が寂しいので、何かの動画を垂れ流しながら作業をします。

 そして、ふと聞いた内容が気になるので改めて最初から再生します。


二十話 その足、止まる

 「なんだアレは、お出迎えか?」

 男に迫って来るのは大型のトラック。

 その存在が異様であるからこそ足を止めたのだ。

 狭い道いっぱいに車体を走らせるので、側面がたまに擦れている。

 何よりも速度がオカシイ。目の前に人が居るなら緩めるだろう、と言いたい。これは明らかに轢き殺しにきているのが見て取れる。

 帽子に隠れる目元を手で覆いながら、また溜息が出てくる。

 

 途方にくれる男の背後では、なんちゃって刑事ドラマを繰り広げていた2人が焦りを見せるも、ハルミだけは優先すべきことが分かっていた。

 「サナイ、ワシのことは良い。あの堅気の安全を確保しろ」

 サナイの支えを振り払いフラフラしながらも立ち続けようと踏ん張る。

 若い頃ならば無茶がきいた体だったものだが、この程度で立つのも辛くなるとは。自らの老いを、妙な所で実感した瞬間であった。

 

 一方のサナイは、すぐには思考の切り替えができないでいた。普段聞いていた時には理解したつもりでいたものの、いざその状況が目の前に広がると思考が真っ白になってしまう。

 「え、いや、でも」

 さっき話を聞いたじゃないか、半端な俺達は堅気の盾になって初めて一人前になれる。

 いつも兄貴から聞いている、オヤジが居るから俺達が居られるんだ。

 

 だが人の思考速度が極限状態で加速しようとも、適解の結論を出しても体が付いていくものではない。

 そして迫りくるトラックは車体を擦りながらも、速度が落ちる様子がない。

 「サナイ!!!」

 「は、、はい」

 2度目の声掛けにより、優先すべきは組長の言葉だと、やっとサナイが動き出す。今なら男を抱えて左の曲がり道に飛び込めば助かる。

 男を優先すれば当然、背後に位置するハルミを助けることはできない。

 嫌だ。

 組長を失えばどうなる?

 それでも、、、自分にはこの状況を打破する力がない。

 

 「こっちです!」

 男の意識をコチラに向けようと声を掛け肩に手を置く。トラックは最早数秒も待ってはくれない。急げ。

 

 

 

 しかし、、、

 

 

 

 男がとった行動は、この場に居た2人とトラックの運転手にとって予想外のものであった。

 

 「邪魔すんな」

 

 「え、ちょっ、」

 

 煩わしそうにサナイの手を払いのける男。

 そして目の前のトラックに向かって半歩踏み出す。

 

 次の瞬間、、、ドーーーーーーーン!

 

 

 

 

 

 サナイとハルミの目の前でトラックの後部が浮きあがる。

 そのまま、ゆっくりと下降して後輪が路面へと叩きつけられた。凄まじい砂埃と焦げ付いたような臭いが広がる。

 数秒の後に砂埃が晴れると、男の直立した姿が見えた。男は煙草の煙を吐きながら一言呟く。

 

 

 「オジサン舐めんじゃねぇぞ」





 作業の妨害を自分でしているように感じますw
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