私小説であり、試小説   作:陰月

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 一日空いて申し訳ないです


二十一話 その髪型、流用?

 「な、な、、」

 開いた口が塞がらなかった。

 砂煙が晴れると、風に吹き飛ばされたであろう帽子がパサリと落ちてくる。

 エンジンの焼け付く臭いが漂う中で明かされた、自らを『オジサン』と称するその容貌は青年そのもの。予想だにしない事態の連続で頭が働かないサナイであったが、その皺ひとつ無い姿から、自分と同じか2,3つ年上なだけではないのか?と、軽い現実逃避をしていた。

 

 男の前では、フロント部分が大きくへこみガラスには全面のヒビ。

 唯一異様なのは、へこんでいる部分が人のサイズで収まっていること。壁や電柱にぶつかった時のように、大きく広くへこんでいたり、トラックの下から上までのへこみが見られないからだ。

 だが、この場の経緯を見ていないなら誰が信じるのだろう。

 全速力で迫る大型トラックを生身の人間1人が止めた。

 普通じゃない。

 驚いていたのはサナイだけではない、ハルミも同様に驚きに包まれ、この時だけは痛みを忘れた。

 

 「まったく、嫌になるねぇ。世界基準で見るなら平和だっつうから来たのによ。それとも何か?ここでは大型が突っ込んで来るのが日常茶飯事なのか」

 煙草を吐き捨て、火を踏みつぶすことで消す。

 「オジサンの夢はいつ叶えさせてくれんだよ」

 やれやれと帽子を拾い、汚れをパタパタと落としながら愚痴をこぼしてみせる。

 一人称をオジサンとすることで強調しているが、逆にそのことで余計に若く見えていることに本人は気付いていない。

 「おい、そこの兄ちゃんよ。こっちに曲がっても向こうの通りに出られるのかい?」

 呆けているサナイに向かい道を尋ねる男。

 正面から捉えた男の姿は、遠目や横顔の時よりも一層若く見える。

 少し垂れ気味の眦。黒々として艶やかな黒髪。若く見て高校生、どんなに高く見積もっても三十路にはいかないであろう。

 『オジサン』と意識できるのは、妙に余裕のある物腰や雰囲気だけであった。

 

 男がサナイに向き直り尋ねていると、背後から乱暴な破壊音と怒号が響いてくる。

 そしてサナイにはその全貌が見えていた。

 先程の運転席から人間が窓を叩き割って、這い出てきたのである。

 スキンヘッドで顔には無数の傷跡。体全体が筋肉で盛り上がり、腕の太さは頭と同等か?

 トラックがへこむ程の衝撃を受けながらも、流血や怪我は見受けられない。そして青筋を浮かべて声を張り上げる。

 「くっっっっそが、ふざけんなよ」

 「あぁん?」

 「お前、何をしてくれとんじゃ!お?」

 「なんだ?クソガキはすっこんでろ」

 体に響くような大きな声に振り向くオジサンであったが、一切相手にしない。この態度に筋肉達磨は、より怒気を増して食って掛かる。

 「ガキはてめえだろうが!」

 「なんだ、年上か?えらく若作りじゃねぇか。だとしても邪魔するな、黙ってろ」

 ビビるわけでも、悪びれるわけでもなく、ただただ邪魔者扱いされたことに筋肉達磨は、本当の達磨の様に全身を真っ赤にして腕を振り上げた。

 「っっっっぶっ殺してやる!!」

 





 昨日の分、明日も更新できるよう頑張ります
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