私小説であり、試小説 作:陰月
遅々としていますが、どうぞよしなに
こいつらは双子かなにかだろうか、とマスターは二人の発言を聞きながら思う。
一方サナイは、未だ失礼な物言いを続ける子分を、これ以上喋らせまいと慌てて説明を始めた。
「こちらの方はな、俺がまだ新入りだった頃親分(オヤジ)を救って下さった。辻 功楼(ツジ クロウ)さんだ」
マスターが居なかったらウチの組は無くなり、俺もお前らに会うことは無かったんだ。と続けたことで初めて子分のマスターを睨み付ける目が和らぐ。
兎に角失礼のないように注意を促す。暴走しがちな子分達だが、自分を慕ってくれていることが唯一の救いだった。これで静かになってくれるはずだ。
「んで?そろそろ要件を聞きたいんだが。それとも本当にコーヒーブレイクか?」
カウンターに回ったマスターが細々とした作業をしながら答えを促す。
すると、言いにくそうに逡巡した後ゆっくりと口を開いた。
「す、すいません。実はまたマスターの力を貸していただけないかと」
「ウチは出張とか出前はやってねぇよ。オジサンのコーヒーが飲みたいんなら手前ぇが出向きやがれ、って硯に言いな」
「違います、マスターも人が悪いですよ。俺が頼みたいのは、五年前の時のように、、、」
「おかしいぜ、あれは特別だってきちんと伝えた筈だ。耄碌するには早いんじゃねぇか?」
言外に、包み隠さず話せ、と諭されたサナイ。マスターは手に取ったカップを磨きながらも、油断ならない視線を送る。
「じ、実は今回のことは俺の独断なんです。オヤジは知りません」
「だろうよ。あん時は偶然に偶然が重なっただけだ」
「あの、改めて話だけでも聞いていただけませんか?」
「、、、まあ。知らない仲じゃ無いしな」
奥で聞いてやるよ、と告げるとサナイはお礼と共に奥へと向かう。しかしそれに続こうとした子分はマスターに阻まれた。
「なんだよ、邪魔しねえよ」「兄貴に言われたしな」
不満ながらも兄貴分の命令を守ろうとする忠犬(?)たちだったが、次のマスターのセリフで命令に背きかける。
「お前らには俺の代わりをしてもらう」
「「なにぃ!?」」
「ここは喫茶店で、現在絶賛営業時間だ。客が来たらどうする。お前らの兄貴の要件なんかよりコーヒー運ぶ方が大事なんだよ」
「「はぁ!?」」
「分かったらエプロンつけてカップでも磨いてな。一人は床掃除とテーブル拭きだ」
「「こんの!」」
「なんだ、難しいか?昔のサナイもやったんだがな」
今にも飛びつきそうだった二人の挙動が止まり、サナイがマスターの後ろから前に出てきて告げる。
「俺にできたんだ。お前らなら大丈夫だよ」
「「は、ハイ!」」
そんな上下関係の良好さが見て取れる光景から、
「こんなとこまで五年前と一緒かよ」
一人ごちるマスターだった。
続けるぞ
頑張れよ
自分w