私小説であり、試小説 作:陰月
続きを書けるときは、すんなりといくのに
書けないときは、全く筆が進まない
書きながら楽しめていれば一番ですね
「あなた、クロウから何か渡されませんでしたか?」
「何か?さて、ありましたかね」
「おや、、クス、これはこれは」
あえてガクトに発信させようと余計なことは伝えずに、誤魔化してみせるサナイ。
対して、作った微笑でなく、本当に面白いモノを見るように笑うガクト。
「ふふふ、良いでしょう。では単刀直入に、その胸の内ポケットに忍ばせているカードを出して下さい」
カードを内ポケットへと仕舞ったのはマスターと話した室内のことだ、弟分の二人はカードの存在すら知らない。何の話をしているのかと、後ろでひそひそ。
だが、カードを持っていたことや、仕舞った場所を言い当てた程度では証明としては弱い。
さあ、どうする? まさか終わりか?
少しでも変な動きをすれば、即時撤退する心持で待つ。
「おそらく渡された段階では無地だったはずです。が、今なら『炎』が燃えているはず」
「『炎』、、、?」
ガクトはその場から動こうとはせず、逆に試すような目つきで三人を見据えている。
距離としては数歩の距離。もしもカードを奪おうと動けば気付けない距離ではないし、飛び道具の心配もしていない。仮にガクトが銃火器で脅しにかかってきても、後ろの二人にカードを託せる。周囲に狙撃可能な高い建造物が無いことも確認済み。
大丈夫だ、問題ない。意を決して懐からカードをゆっくりと取り出す。
すると、取り出す途中で胸元がほんのり明るくなる。
「これは、いったい」
確かに無地だったのだ。
座卓に並べられた時
手に取ってみた時
選んだ瞬間
懐に仕舞うまでも
無地だった。うっすらと模様が見えないことも無かったが、このような『炎』を見落とすことが出来ようか。
カードの表面には煌々と『炎』が存在を主張している。
しかも、絵として定着しているのではない。揺らめいている、小さな火の粉を巻き上げ。
しかし、立体ではない。平面で、熱も感じない。
ただ二次元の炎がゆらゆらと光り輝いている。
キンヤ、マドカも後ろから覗き込んで目を丸くしている。
そしてガクトは依然として動こうとはせずに、証明を続ける。
「それは、私との契約の証となります。任務終了までは、どうぞ大事にして下さい」
簡単な明かりの代わりにもなりますので、有効活用して下さい。
なんて異様な雰囲気の中で、ガクトはおどけて見せた。
しかし一方のサナイはと言えば、目の前のモノを受け入れられないようだ。
確かに、カードの提示者であるマスター。五年前から姿の変わらない非常識な人だ。しかし世界は広いのだ。まだありえない存在ではないと、自分自身を納得させていた。
だが、目の前の男と、カード、そして再認識させられた『契約』。
どこまでが現実で、どこまでが信じられる?
知恵ある動物ヒト。
様々な知識を求める存在でありながら
たとえ目の当たりにしても、自らの人生経験に存在しない事象は、理解の対象外となってしまうものである。
「ご安心下さい。先程のお二人のように危害を加えようとしてこない限り、私から手は出しませんので」
自分の脳内を整理する
たまに、なんだこれ? が出てくる。
あの時メモしておけば(グヌヌ