俺がギルド職員をするのは間違っているだろうか 作:RINTO
それでは第14話をどうぞ
ベルがミノタウロスを単独撃破してから三日たったある日、いつにもないくらい嬉しそうにギルドへやって来た。おおよそ何かいいことでもあったのだろう。感情が顔に出やすいベルだからな。
「レオンさん、おはようございます。エイナさんはいますか?」
「おはよう、ベル。悪いな、今エイナは他の仕事で手が離せないんだよ。俺でよければ話聞くぞ。そういえば、あの後はどうなったんだ?」
こないだ、俺とエイナが帰ったときはなかなかな修羅場だったからな。面白いことになったんだろうとニヤニヤしながらベルの返答を待ってみる。
「レオンさんあの事は勘弁して下さい……」
「お、おう。なんか、すまん……」
ベル、相当大変だったらしいな。からかって悪かったよ……
「あれ、ベル君じゃない。おはよう。三日ぶりかな?」
「あ、エイナさんおはようございます。それで、聞いて下さいよ。僕遂にレベル2なったんですよ!」
「「……」」
「「なんだって?(ですって?)」」
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「「ご、ゴメン……」」
「いや、いいんですって。全然気にしてませんから。それに沢山普段からお世話になってますし」
今、俺とエイナはベルのランクアップという爆弾レベルのニュースを周りの目があるところでは話せないと面談ルームに入って話を再開させていた。
「ベル、お前冒険者になってからどれ位経つ?」
「一ヶ月半です‼︎」
ですよねぇ…… そりゃ冒険者に成りたての頃から知ってるから当たり前なんだけど。それにしても早すぎないか? ベルがそんなしょうもない嘘をつくとは思えないしな。てか、憧れの筈のアイズさんの一年っていう化け物レベルの記録塗り替えて
これから色々と大変になるだろうな。
「それでベル君、発展アビリティについての相談で良かったんだっけ?」
「はい‼︎」
ランクアップする度に一つ手に入れられる発展アビリティだが、冒険者ごとに発現していたりしていなかったりとまちまちだったりするため、効果も含めて相談に来たらしい。
「ヘスティア様は何って言ってるんだ?」
「神様は自分の好きなものにすればいいって言ってました。強いて言うなら珍しい【幸運】を取ったらどうだと」
ヘスティア様から聞いたことを思い出しながら俺とエイナに説明をしてくれた。【耐状態異常】や【狩人】はよく見かけるのだが【幸運】という発展アビリティはこれまでアドバイザーをしてきて初耳だった。エイナの方に目をやるとこちらも同じらしく困った顔をしていた。そりゃ、聞いたこともないアビリティだから気にはなるけどオススメは出来ないよな……
「私は【耐状態異常】や【狩人】も便利でいいと思うよ。でも、ヘスティア様と同じようにベル君自身で決めたらいいよ。これからの自分の為に何が必要かをよく考えてね」
こうやってエイナを見てると冒険者に対してのアドバイスの仕方が本当に上手いなと思う。
自分の感じたことをなるべく分かりやすく、相手の意見を否定しないように目を見て伝えているのは俺ももっと見習わなければならないところだろう。
「それじゃあ、僕は何かの縁かも知れないですし【幸運】を取ろうと思います」
エイナやヘスティア様のアドバイスを聞いた上で自分自身でしっかり考えて答えを出したのだろう。ベルの目を見れば他人任せにしてないことが良く分かる。また、ベルが一つ成長したように感じた。
相談の内容はランクアップについてだけだったらしく、話が終わると俺たちに挨拶をして元気よくホームへと帰って行った。今からランクアップしてもらうのだろう。本当にベルは純粋というか見ているこっちが清々しいくらいだ。
「ねぇ、レオン……」
ベルがギルドを後にしてから俺が他の仕事に戻ろうとした時、エイナが俺を呼び止めた。苦悶の表情を浮かべているけど何かあったのだろうか? ベルのランクアップというおめでたい話題をしていたばかりだというのに。エイナもさっきは自分のことのように喜んでいたというのにな。
「どうした、エイナ。そんな、深刻そうな顔をして」
「上への報告はどうしようと思って……」
担当の冒険者がランクアップした時などは必ず担当アドバイザーがギルドの上層部へ報告しなければならないのだ。各ファミリアの規模を把握して税金の額を決めるためなど色々と必要な情報なのだ。
担当冒険者が一ヶ月半でランクアップしましたなどと上に報告などしたものならそれこそエイナが根掘り葉堀り聞かれることになるだろう。あのロイマンのことだから面倒なことになりそうだしな……
まず、信じてもらえないだろうし。
「とりあえずエイナで止めておいたらどうだ? なんか言われたら俺もロイマンの奴にいってやるからよ」
「そ、そんなレオンに迷惑かけられないよ……」
俺の提案を聞いてエイナは申し訳なさそうに俯いてしまった。エイナは何も悪くないのだ。そんな落ち込む必要はないのだ。もちろん、ベルが悪いということもないが。
「気にすんなよ。これまで、エイナにたくさん助けられた借りがあるからな。その一つを返すだけだよ。エイナは何も気にしなくていいんだよ」
「レオン…… 本当にありがとね!」
さっきまでの重苦しい表情からは一変して吹っ切れたようなスッキリした顔をしていた。少しでもエイナの心の支えになれたならよかった。
「おう!」
「なになに? お二人さんまた仲良くお話ししてるようだけどなんの話かな? お姉さんに聞かせてみなさい」
せっかく、いい気分で仕事に戻ろうとしていたのにミイシャに水を差されてしまった。エイナもまたかと呆れ返っている。
何か勘違いされても困ると思った俺はさっきエイナと話していた内容を他言しないと約束させて一から説明した。ベルのランクアップを話した瞬間はやはりとても驚いてはいたが俺とエイナが言っていることもあってすんなり信じてもらえた。
「それじゃあ、次の
いつものことといえばそうなのだが、またミイシャのやつ仕事を溜め込んで俺とエイナに泣きついてきたのだ。まぁ、ここで騒がれても後々面倒だし手伝うという選択肢しか俺たちには残されてないのだが……
「なんではなから手伝うことになってるのよ……」
「全くお前ってやつは……」
「「はぁ……」」
「ちょっと二人揃ってため息つかないでよ」
「「ミイシャが言うな」」
「あ、はい。ゴメンなさい……」
こうして、いつものようにミイシャの仕事をエイナと俺と三人で片付けることになったのだ。まぁ、今回の
別に知り合いが関わってなかったら手を抜くとかそうゆうのじゃないのだが。
「はぁ、やっと終わった……」
「まったくだよ。ミイシャ、あれだけ仕事を溜めたらダメっていってるでしょ?」
「はい、すいません」
「それから……」
現在、絶賛エイナのお説教タイムである。普段から仕事を溜めがちのミイシャにここぞとばかりに注意をしている。ミイシャは肩身が狭そうに話を聞いている。悪いのはミイシャだし当然といえば当然なのだが、やっぱり怒っているエイナは怖いな。少しばかりミイシャに同情しそうになってしまう。これから、エイナを怒らせないように気をつけよう……
「手伝ってもらったお礼に無事
「今度は俺は払ってやらないからな」
「分かってるって」
「期待して待ってるよ」
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無事、書類を提出し
「それで、ベルの二つ名は無事決まったのか?」
「うん。今日、ベル君に聞いたんだけど【リトル・ルーキー】らしいよ」
【リトル・ルーキー】ねぇ。なんというか、二つ名によくある厨二病のような痛い名前じゃないんだな。面白いことが大好きな神々は独特なネーミングセンスで二つ名を付けている。人によっては二つ名で呼んで欲しくない人もいるレベルらしい。
そう考えたらなんともベルの二つ名はなんというか。あれだ、すごく普通だ。誰かがフォローでもしたのだろうか。
最近書くモチベーションが下がっている作者です
相変わらずの豆腐メンタルなので…
もし、褒めて下さる優しい人がいたら感想お願いします(まぁ、いないだろうけど…)
次回更新までしばしお待ち下さい
それでは