俺がギルド職員をするのは間違っているだろうか   作:RINTO

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久しぶりの投稿になりますリントです
しばらく投稿を止めてました。もし、楽しみにしている方がいたならすいません。
ストックはあるのですがこれから先の展開に不安があり執筆できていませんでした
もし、これからも続けて欲しいと思っていただけるなら頑張っていこうかなと思います。
何かあれば感想欄でよろしくお願いします
それでは第15話をどうぞ


第15話 少年の危機に青年は決意する

ベルがランクアップから数日が経ったある日久しぶりにベルがギルドに姿を見せにきた。

 

「エイナさん、レオンさんおはようございます」

 

「おはよう」

 

「おはよう。それで、ベル君は何のよう?」

 

そうエイナがベルに尋ねると普段のニコニコしている優しい顔ではなく決意を固めた顔だった。

 

「僕の今のステイタスで三人一組(スリーマンセル)なら中層に行ってもいいですか?」

 

「三人目ってのは一体誰なんだ?」

 

「ヴェルフ・クロッゾです」

 

ベルがヴェルフと直接契約を結んで今の新しい装備を作ってもらっていて何度か一緒にダンジョンに潜っていて実力も把握しているらしい。それにしても、あの没落鍛冶貴族と呼ばれているクロッゾねぇ。確かに、前防具を買いに行った時に選んだ防具の製作者も同じだったような。何かの運命みたいなものを感じるな。

確かにミノタウロスをレベル1で撃破した実力があったとしても上層と中層ではモンスターの強さはもちろん、湧く量も増えインターバルも比べ物にならないくらいに早くなる。

いくらベルがランクアップしたからといってサポーターが一人いる三人のパーティーで中層に挑むのは厳しいものがあると俺は考えている。決してベルの実力を認めていないわけではないのだ。パーティーのバランスがお世辞にも良いとは言えないからだ。

しかし、ベルの決意は固いらしい。さて、どうしたものか。

 

「ベル君、前みたいにステイタスを見せてくれる? それ次第では中層に挑むのは許可するから」

 

そんな中でエイナの発言は意外だった。普段あれだけ安全に配慮するよう言っているエイナがステイタス次第では挑んでもいいと言ったからだ。まず、反対すると思っていた俺は思わずつっこんでしまった。

 

「ちょ、ちょっと待てよエイナ。まだ、中層に挑むのは早いんじゃないのか?それより、冒険者のステイタスを見るってのはいくらベルのでも……」

 

「レオンさん、そのことに関してはエイナさんを責めないであげて下さい。自分が了承しているので大丈夫ですから」

 

ベルが許可していることもあり第三者に見られないように一度面談ボックスに入ってベルのステイタスを確認することになった。俺は生憎神聖文字(ヒエログリフ)は読めないためエイナに全てを任せている。それにしても、普段からベルのステイタスを見てるってそれヘスティア様やロイマンにバレでもしたら大変なことになりそうだ……

 

「うん、このステイタスなら確かに充分中層でも通用すると思う。だから、ベル君の考えを尊重するよ」

 

「それじゃあ……」

 

「ただし、条件としてサラマンダー・ウールを人数分買うこと、いい?」

 

「分かりました。本当に今日はありがとうございました」

 

「全然いいんだよこれくらい。あと、もうこないだみたいに無茶をするのは絶対ダメだからね」

 

「はい‼︎」

 

俺とエイナにお礼を言ってベルは足早にギルドをあとにしていった。それにしてもエイナが中層に行くことを本当に許可してしまうとは正直驚きを隠せない。まぁ、担当アドバイザーはエイナなのでその判断について俺がとやかく言う資格は無いだろうが。

 

「本当に許可してよかったのか?」

 

「ベル君のあんな目見たことなかったし。あんな真剣な目で言われたら反対出来ないよ。だから、私が今出来る限りのサポートはしたつもり」

 

そう話すエイナはとても優しい顔で笑っていた。まるで、自分の子供の成長を喜ぶ親のように。その顔を見てこれ以上何か言う気持ちにはなれなかった。

日頃からギルドのトップであるロイマンには冒険者には情を移しすぎるなと言われている。冒険者はいつ死んでもおかしくない職業のために正確な情報を伝えるのに私情は時として邪魔になりえるからだ。確かにその考え方も間違ってはいないと思う。

しかし、エイナのように冒険者一人一人に対して親身になって対応してくれるアドバイザーが本来あるべきアドバイザーとしての姿なんじゃないかと俺は思うのだ。

 

「でもね、本当はとても不安なんだ。私のこの判断が間違っているんじゃないか。そのせいで、ベル君を危険に晒してしまうんじゃないかって……」

 

さっきとは変わり途端にエイナは声のトーンを落として話し始める。エイナは本当に冒険者のことを大切に思っているんだとよく分かる。

 

「俺だっていつもそうだよ。この間あの冒険者に言ったことは本当に正しかったのか、とかな。でもな、エイナ。あんまりそれを考えすぎて疑心暗鬼になる方が不味いと俺は思ってる。もう少し自分に自信持てよ‼︎」

 

エイナを精一杯励まそうと自分の考えを素直に伝えた。誰だって、アドバイザーも冒険者もみんないつも悩んで苦しんでる。それでも、前を向いて進まなきゃならない。だから、立ち止まってはいけないのだ。

 

「レオン、ありがと。少しは元気でたよ。そうだよね、私が心配してもしょうがないよね。今はベル君たちを信じることにするね‼︎」

 

「俺もそうするよ」

 

笑顔が垣間見え、やっと明るい普段のエイナに戻った気がする。これからはエイナを少しでも気持ちの面でもいいから支えてやろうと決めた俺だった。

 

「さて、そろそろ仕事に戻らないとな」

 

「だね」

 

こうして、ベルをダンジョンに送り俺たちは通常業務へと戻っていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

次の日の午後仕事を全て終わらせて帰りの支度をしようと思ったときだった。ギルドの入り口に走ってくるヘスティア様の姿があった。

 

「ヘスティア様、そんなに慌ててどうされたんですか?」

 

「レオン君、ベル君はダンジョンから帰ってきているかい?」

 

「いや、昨日の朝見たきりみてないですけど。エイナは?」

 

「私も見ていませんが、どうかしたんですか?」

 

「それが今日になってもベル君が帰って来ないんだ」

 

その言葉を聞いて、俺とエイナは固まってしまった。ベルたちのパーティーはダンジョンで滞在するはずがないからだ。これは間違いなくベルが何らかのアクシデントに巻き込まれダンジョンから帰れなくなってしまったことは確かだろう。

 

「エイナ君、至急クエストの依頼を頼む」

 

「分かりました」

 

ヘスティア様の依頼を聞きカウンターにあった羊皮紙にクエストの内容を書き込み掲示板へと持っていった。その顔には焦りや不安が垣間見えていた。

 

「それと、レオン君はボクについて来てくれるかい?」

 

「自分ですか?」

 

「ああ。すまないがここで説明している時間はないんだ」

 

「分かりました」

 

「悪い、エイナ少し出てくる」

 

「分かった。気をつけてね」

 

エイナにとりあえず声をかけてからギルドを後にし、ヘスティア様の後を付いていくと着いたのはミアハファミリアのホームだった。中に入ると、ミアハ様にタケミカヅチ様、ヘファイストス様、それにタケミカヅチファミリアの団員もいた。ヘスティア様は交流のある他の神々に助けを求めたのだろう。

 

「ヘスティア、どうしてギルド職員なんかをここに連れて来たんだい?」

 

俺の服装を見てミアハ様が不思議に思ったのだろう。ヘスティア様に理由を尋ねる。

 

「この子を連れて来たのはヘファイストスの指示なんだよ」

 

「そうゆうこと」

 

ヘスティア様の答えに納得したのかミアハ様やタミカヅチ様も落ち着きを取り戻した。

「レオン、久しぶりね。査察の時にあった時以来かしら」

 

「はい、ご無沙汰してます。ヘファイストス様、どうしてこんな緊急時に自分などをここに呼んだのですか?」

 

「そんなのあなただって本当は分かっているでしょ。レオン、貴方の力が必要なのよ」

 

ヘファイストス様にそう言われて俺は何も言い返すことが出来なかった。

 

「ヘファイストスよ、この男に何ができというのだ」

 

「タケミカヅチ、貴方は何も感じないの? この子に与えられている恩恵に」

 

はぁ、ヘファイストス様この場のみんなにバラしちゃったよ。こうなったらもう隠せるわけがない。

 

「レオン、貴方が抱える問題の大きさは私が一番理解しているつもりよ。だからこそ、ここで立ち止まってはいけない。いえ、私は立ち止まって欲しくないと思ってる。それとも、大切な友人が命の危険に晒されていてもなお貴方は過去のトラウマから逃げるのかしら?」

 

そこまで言われてしまったらもう逃げる道は残されていなかった。まったく、ヘファイストス様もずる賢いというか。俺が逃げることが嫌いなことを分かっててはっぱをかけているのだろう。

 

「分かりました。自分もベルのためです力を貸しましょう。そろそろ、踏み出さないといけないと思っていたので」

 

「それでレオン君といったかな。君は一体何者なんだ」

 

当然と言えば当然なのだが、タケミカヅチ様が訪ねてきた。何と答えようか迷っているとヘファイストス様が助け船を出してくれた。

 

「それは私から説明するわ」

 

ヘファイストス様の優しさに感謝をし他の神々への説明をお願いした。自分の口から話すのにはまだ少し抵抗があるのだ。

 

「この子は二年前まで第一線で冒険者をしていたのよ。所属はカリスファミリア」

 

「カリスファミリアってあのカリスファミリアかい?」

 

今度はヘスティア様が驚く番だった。カリスファミリアと聞いてミアハ様やタケミカヅチ様もとても驚いているようだった。

 

「ええ、あのカリスファミリアよ。とあるファミリアに戦争遊戯(ウォーゲーム)を吹っかけられて負け、解散を余儀なくされたね。レオンはその中の一人だったのだけれどカリスが天界に戻る直前に私に頼んだのよ。レオンだけは気にかけてあげてってね」

 

「そうゆうことだったのか」

 

「ヘスティア様、今まで隠していてすいませんでした。ギルドで働いている手前ステイタスを持っていることは伏せておかなければならなかったので」

 

これまで、事あるごとに誤魔化してきてしまったことをヘスティア様に謝罪した。別にわざと誤魔化していたわけではないのだ。生活していくため、ギルドで働き続けるためにはしょうがなかったのだ。

 

「別にいいんだよそのくらい。それでレオン君のレベルは幾つなんだい?」

 

「最後に更新したときはレベル5だったと思います」

 

自分の発言にこのことを知っているヘファイストス様以外はとても驚いていた。レベル5ともなればこのオラリオの中でもそうそういないレベルに当たるからだ。

 

「それならどうして、冒険者としてではなくギルド職員として働いているんだい? そのレベルなら探索系のファミリアには引く手数多だっただろうに」

 

「そ、それは……」

 

「ヘスティア、その辺にしてあげてくれる? レオンも色々問題を抱えているままだから。全て話すのはベルを助けてからでもいいかしら」

 

「分かった。ごめんよ、レオン君。根掘り葉掘り聞こうとしてしまって」

 

そんなことはないと、首を横に振った。正直なところはここで全て過去を暴露するのは気持ち的にも辛いものがあったためヘファイストス様には感謝しなければならないだろう。

 

「レオン君が来てくれるとなると、タミカヅチファミリアの三人とボクとで五人だね」

 

「ちょっと待ってくださいヘスティア様。神様がダンジョンに入るのは禁止なんじゃ?」

 

「バレなきゃ大丈夫だろ? それに、ベル君のピンチに地上で大人しく待ってるなんてボクには出来ないんだよ」

 

はぁ、まったくこの(ひと)は…… ベルが心配なのは分かるけど本当に大丈夫かよ。俺一人で四人を守りながら進めるだろうか。一人は完全に戦闘できないときてる。そう、不安に思っていた時だった。

 

「邪魔するよ」

 

ホームの入り口が開いたのに気づいてその方を見るとヘルメス様とヘルメスファミリア団長のアスフィ・アル・アンドロメダが立っていた。

 




ここまで読んでいただきありがとうございます
ご感想、ご意見お待ちしております。
それでは次回更新までお待ち下さい(いつになるかまだ分からないですが…)
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