俺がギルド職員をするのは間違っているだろうか   作:RINTO

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第17話 彼女と女神のガールズトーク

ヘスティア様がレオンを連れて行ってからそろそろ一時間程たっただろうか。一向にレオンがギルドに戻って来る様子はなかった。何か大変なことに巻き込まれてなければいいけど……

 

「エイナ、レオンが気になるのは分かるけどギルドの前をウロウロするのはどうかと思うよ? それに今仕事中だし」

 

「ミイシャにそう言われる日が来るなんてね。ゴメン、今戻るから」

 

ミイシャに釘を刺さらてしまい慌てて仕事に戻った。ところで何でレオンはヘスティア様に連れていかれたのだろうか。こう考えると知ってるようでレオンのこと何にも知らないんだよね、私。

そんなことを考えながら、残り少しとなった業務をこなしていた時だった。

 

「ここにエイナ・チュールさんはいるかしら?」

 

そう、私のことを探してるような女性が一人ギルドのカウンターの前に現れた。赤髪に右目に眼帯しているその女性は誰かと見間違える事などあり得なかった。

 

「か、神ヘファイストス?」

 

「貴女がエイナさんでいいのかしら?」

 

「は、はい。そうですが……」

 

ヘファイストスファミリアの主神であるヘファイストス様がどうしてギルドなんかに来たんだろうと理由を考えているとヘファイストス様から話を切り出してきた。

 

「ゴメンなさいね、突然ギルドに尋ねたりなんてしてきてしまって。二人きりで話がしたいのだけれど大丈夫かしら?」

 

「あ、はい。面談ボックスで良ければそこで……」

 

私何か大変なミスとかしちゃったかな? 査察が厳しすぎたからそのクレームかな? そうやって考えているとマイナスな考えしか浮かんでこなかった。こんな時に、レオンが側にいてくれたらなぁ……

それを見かねたのかヘファイストス様は私に微笑みながら肩の力を抜くように促してくれた。どうやら、悪い話ではないらしい

 

「まず、最初に貴女には謝らなければならないわね。本当にゴメンなさい」

 

「え、いえ。私は何も」

 

突然の女神様からの謝罪に困ってしまっているとヘファイストス様が真剣な顔をして話し始めてくれた。

 

「さっき、ヘスティアがレオンを連れっていったのは知っているでしょ?」

 

「え! あ、はい」

 

突然レオンの名前が出てきて驚いている私をヘファイストス様は何か大切なものでも見ているような目で眺めていた。

 

「レオンは今、ベル・クラネル救出パーティーに加わってダンジョンに向かうための準備をしているところよ。レオンを連れていくようにヘスティアに頼んだのは私なの。だから、レオンと特に親しかった貴女には謝らないといけないと思ってね」

 

「それはベル君のためだと思うのでいいのですが、レオンは大丈夫なんですか? いきなり、中層の中層部を目指して。しかも、救出パーティーなのだからベル君たちよりも実力がないとダメなのに。いくら、レオンが元冒険者だからといってもいきなりは……」

 

言いたいことを、全て言ってからしまったと思った。レオンが元冒険者だということは周りには絶対に言うなときつく口止めをされていたからだ。

 

「あら、レオンが元冒険者ってことを貴女は知っていたのね」

 

「レオンと出会ったときに色々聞いたので……」

 

「私はレオンとの付き合いは長いから知っているだけよ。だからこそ、今回助けを求めたのだから。私は貴女がレオンを心配する気持ちは分かっているつもりだから。でもね、レオンは中層レベルで根を上げる冒険者ではないわ」

 

「一体どうゆうことですか?」

 

ヘファイストス様にレオンのことを問い詰めると昔を懐かしむような顔で一つずつゆっくり話してくれた。

 

「彼の過去は彼自身から話してもらうとして、彼は今のロキファミリアとは言わないけれどかなりの実力を持っていたファミリアに所属していたのレベルは確か冒険者をやめる前の最後のステイタス更新でレベル5だったかしらね」

 

ヘファイストス様の話を聞いて正直驚いた。レオンと知りあった時に元冒険者ということは聞いていた。だけれど、個人情報になるステイタスまでは知らなかったのだ。レベルも含めて。てっきり、レベル2、下手したらレベル1のままとも思っていたのだが、このオラリオでも数少ない第一級冒険者だと聞いて驚きが隠しきれなかった。

 

「その様子を見るとレオンはなにもレベルやステイタスについては話してなかったみたいね。彼の実力なら中層レベルならなんら問題ないはずよ。他にヘルメスファミリアの団長も同行しているらしいしね。もしかしたら、レオンのことだから久しぶりのダンジョンに胸を踊らせていたりね」

 

「そうだったんですか。それなら、救出パーティーとしたら申し分ないわけですね」

 

今度、ダンジョンから帰ってきたら絶対に色々と問い詰めてやるんだと心に決めた。ふと、ヘファイストス様の顔を見るとさっきの真剣な顔とは違いとても優しい顔に変わっていた。

 

「それと、貴女にはもう一つ、お礼をしなければならないわね」

 

「え、私は何もヘファイストス様に何かしたとかは……」

 

「私ではなくてレオンに対してよ。正直、冒険者を辞めた直後は色々あって別のファミリアだったんだけど私がレオンの面倒を見ていたの。レオンの主神との約束でね」

 

ヘファイストス様から聞く話は全部が全部初耳なことばかりで驚いてばかりだった。

 

「その頃のレオンは顔では笑っているんだけど、どこか抜け殻のようでね。心から笑っている感じがしなかった。でもね、ギルドで働くようになって貴女と知り合ってからは少しずつだけど変わっているのを肌で感じられたの。だから、レオンに手を差し伸べてくれて本当にありがとう。心にから感謝してるわ」

 

ヘファイストス様からの感謝の言葉に何も返すことは出来なかったが、心の底から嬉しかった。自分がレオンと関わってきたことは間違いじゃなかったんだと実感することが出来たから。

 

「それと最後に一つだけお願いがあるの」

 

「何でしょうか」

 

「これから何があってもレオンの側に居てあげて支えて欲しいの。また、彼が死に急がないようにね」

 

「は、はい。努力します……」

 

ヘファイストス様にお願いされてしまったけど、それってもう……

 

「レオンのこと、好きなんでしょ?」

 

「へ⁉︎」

 

突然のことにヘファイストス様の前で間抜けな声を出してしまった。これじゃあ、前のヘスティア様と一緒だ。

 

「貴女にならレオンを任せられるわ。まぁ、私はあの子の主神じゃないけどね。あの子をお願いね」

 

「は、はい‼︎」

 

前回みたいに隠しても無駄だと分かっていたので素直に返事をしてしまった。そりゃ、レオンのことは確かに好きだけど今はどうしようとかあんまり考えられないんだよね……

 

「焦らなくてもいいわ。それにレオンはかなりそっちのほうは鈍感だしね。私で良ければいつでも相談に乗るわよ?」

 

「もう、心を読むのはやめてくださいよ……」

 

「ゴメンね、神って生き物はそうゆう噂とか大好きなものだから」

 

そう話すヘファイストス様の顔はまるで我が子のことを気にしている母親のようだった。その顔を見て、前回のヘスティア様とはまた少し違うんだなと感じた。

 

「その時はよろしくお願いします……」

 

「あら、意外と素直なのね。何かあったら私の所に来なさい。相談に乗るから」

 

「は、はい」

 

心強い人が出来たものだ。ミイシャに相談するよりもヘファイストス様の方がいい気がする。何となくそんな気がした。ミイシャだと絶対にからかわれるしね……

 

ヘファイストス様をギルドの出入り口まで送っていき外を見るといつの間にか真っ暗になっていた。それだけ、ヘファイストス様と話をしていたということだろう。

柱に掛かっている時計を見るともう二十時を回っていた。おそらく、もうベル君を助けるためにダンジョンへと出発したからだろう。確かに、レベルだけ見たら心配は杞憂なのかもしれないがそれでも不安なのだ。無事、ベル君達のパーティーとレオンが顔を見せるまで。

 

「 全員無事で帰って来ること、絶対だからね‼︎」

 

バベルの方角にそう呟いてから、ミイシャたちが待つカウンターへと戻った。

 

「エイナ、ヘファイストス様と何をそんなに話込んでたの?」

 

「えぇ、それは秘密かなぁ?」

 

「そんなぁー」

 

何も教えてくれなかったことを残念がるミイシャを横目に今日一日の仕事を終えていたのを確認した。

 

「ミイシャ、レオンの残ってる仕事を手伝ってくれたら何を話してたのか教えてあげてもいいけど?」

 

「もちろん、手伝わせていただきます‼︎」

 

本当にミイシャには感服するというか他人のこと気になりすぎでしょ……

レオン、ギルドの仕事はやっておくから今はベル君のことをお願いね‼︎ 今、ベル君を助けられるのはレオンだけだから。

 

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