俺がギルド職員をするのは間違っているだろうか 作:RINTO
作者本人とても驚いています。ということで感謝を込めて活動報告欄にリクエスト企画実施中です
よかったらどうぞ
それでは第5話です
モンスターが脱走してからもう一時間程が経つだろうか。モンスターの討伐はロキファミリア、主にアイズ・ヴァレンシュタイン氏に任せたので問題は無いだろう。
俺とエイナは念のため東のメインストリートへと向かっている。モンスターが向かったのが東のメインストリートのためにモンスター討伐をロキファミリアに任せ、ギルドとガネーシャファミリアは住民を避難させるために現場に赴いていた。
「エイナ、避難はどこの住民までさせるんだ?」
「とりあえずはこの周辺は全員かな。それがどうしたの?いつにもなく真剣な顔をして」
「いつにもなくは余分だろ?とにかくなんか嫌な感じがするんだよ。誰かの手のひらの上で転がされてるような。モンスターを逃した犯人には他の目的があるような」
「本当に? もしそうだとしたら犯人の狙いはなんだろう……」
この
「分かったぞ」
「何だと思うの?」
「これは俺への嫌がらせだ。キリッ」
「はぁ…… それで、理由は?」
「俺への日頃恨みだろ。アドバイザーという仕事柄、女性冒険者と話す機会が多いからな。それに嫉妬した冒険者の犯行に決まりだ。フィリア祭を楽しみにしていた俺を凹ませるつもりなんだろうな」
どうだこの名推理ぷりは。どこやらの体は子供、頭脳は大人の天才探偵に迫る、いや超える推理は。
「な訳ないでしょ…… 早くここら辺一帯の住民を避難させるわよ」
「え、ちょ、スルーですか?」
エイナは冷たいなぁ…… このままだと本当に置いてかれそうだ。でも、本当に変な胸騒ぎがするのは確かなのだ。誰かの手のひらで踊らされてるような感覚も冗談じゃない。
普通に考えて並大抵の冒険者では檻の管理をしているガネーシャファミリアの警備を突破など出来るはずがないのだ。となれば後ろに何か大きい力があるのは必然である。
そんな時だった。
そう遠くないとこから地鳴りのような激しい音が響いてきた。石畳を揺らし近くの家からはパラパラと砂埃が舞っている。
あっちの方は確かダイダロス通りだったはず。
「エイナ、ちょっと俺はダイダロス通りの方の様子を見て来る。何だか騒がしいし」
「ちょっと、住民の避難のが先でしょ。それにさっきの音だってアイズさんが戦ってる音じゃないの?」
「アイズさんがおそらく今いる場所とダイダロス通りとは反対の場所なんだよ」
「それって……」
「考えるだけ無駄だ。エイナはそのまま避難誘導を頼む」
エイナに一言頼み直ぐにダイダロス通りへと足を急ぐ。
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「はぁ、もう行っちゃったよ。本当に大丈夫かな? でも、レオンいつにも増して真剣な顔をしてたし……」
レオンは普段は割と抜けてるところがあったり調子に乗ってたりしているけど、本当に真剣な顔をしているときは
あれ、私ってそんなにレオンのことしっかり見てたっけ?
まぁ、それはさておきあんなに真剣な顔をしているということはそれなりに事態がマズイ方に向かっているのだろう。レオンはそうゆう嫌な空気にとても敏感なのだ。
「怪我とかしなければいいけど…… まぁ、レオンが簡単に怪我とかするわけないけどね」
さぁ、私はレオンに任された避難誘導の方に集中しよう。今、自分に出来ることをする。それが私のモットーなんだから。
「皆さん落ち着いてゆっくり進んで下さい。慌てないで大丈夫ですから。今、ロキファミリアの方でモンスターの討伐を行なっているので安心して下さい」
ロキファミリアという言葉に安心したのかさっきまでパニックに近かった住民たちも落ち着きを取り戻し避難を再開している。これで、私の仕事は全うできただろう。
「レオン、そっちは頼んだわよ」
レオンが向かったダイダロス通りの方に向かって呟いたその言葉はそよ風によって遠くへ運ばれていった。
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今、俺は絶賛迷子である。あんなカッコよくエイナのもとを後にした手前戻るわけにもいかないし。ってか第一迷子なんだから戻れるわけないよね……
今いるダイダロス通りは昔の有名建築士のダイダロスが作ったオラリオに存在するもう一つの迷宮とも言われる場所だ。やたらめったら細い路地が入り組んでいて一度迷ったら二度と戻れないとも言われているほどだ。あれ、俺帰れなくね……
しばらく、その辺りをウロついていると明らかに何者かによって破壊されたとしか考えられないような建物を見つけた。しかも、それがずっと先まで続いてる。恐らくモンスターと戦闘をしながらダイダロス通りの奥へと入っていったのだろう。
しかし、いったい誰が戦っているのだろうか。アイズさんか。いや、どう考えても物理的に無理だろう。
そんなことを考えていると、一人の少女物陰から出てきたのだ。
「何やってるんだい、早く逃げないと。ここは危ないから」
「私はここの道詳しいから大丈夫。それよりモンスターに追われてたお兄ちゃんを助けてあげて」
お兄ちゃん? 一般市民がモンスターに襲われているのだろうか。それなら直ぐにでも助けに行かなければならない。
「そのお兄ちゃんの特徴を覚えてるかい?」
「えっと、ウサギさんみたいな白い髪の毛で、目は綺麗な宝石みたいに赤かった」
その言葉を聞いて固まってしまった。そんなに特徴的な男などこのオラリオにはベル・クラネルただ一人だろう。
直ぐに助けに行かないと手遅れになってしまう。
「ありがとう、お嬢ちゃんは安全なところに逃げるんだよ。そのお兄ちゃんを助けてくるから」
「分かった‼︎」
ベル、まだ死ぬんじゃねぇぞ。
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その光景は衝撃的だった。まだ、駆け出しの冒険者であるベル・クラネルがシルバーバックと対峙して必死に食らいついているのだ。しかし、明らかに武器が貧弱だ。
ギルドで支給されているナイフではシルバーバックの胸にある魔石までは届かない。
これ以上は彼の命に関わることだ。そう思い俺はベルとシルバーバックの間に割って入ろうとした時だった。
「レオン君だったかな?」
「神ヘスティア? あれ以上ベル・クラネルを戦わせるのは危険です。自分が割って……」
「我が儘だってことはわかってる。だけど、ベルくんは今も強くなろうと必死に戦ってる。だからこの戦いに手を出さないで欲しいんだ」
「でも、あの武器じゃあシルバーバックの魔石を貫くことは出来ない」
いくら攻撃をかわし続けてカウンターを狙っても胸の魔石を貫かなければ勝機は薄いだろう。
「貫ける武器があるとしたらどうだい?」
そういいながから、ヘスティア様が背中に背負っていた包みを開いた。それは誰だって一目で業物とわかる一品。ヘファイストスファミリアの刻印が入った武器だ。
「それはどうしたんですか?」
「僕の天界の時からの親友のヘファイストスに丸一日頼み込んで、ヘファイストス本人が作り上げてくれたナイフなんだ」
ヘスティア様はヘファイストス様と仲が良かったのか。初めて知ることだった。それにしても丸一日頼み込むとかヘスティア様はそれだけベルのことを大切に思っている証拠だろう。
「それで提案なんだがレオン君。君の力を見込んで頼みたいことがあるんだ」
「自分には力なんて無いですけど神の頼みならなんなりと」
「君は素直じゃないねぇ〜 まぁいいや。君にはベルくんのステイタスを更新するのとこのナイフを渡す隙を作って欲しいんだ。頼めるかい?」
「分かりました。精一杯時間を稼がせてもらいます」
はぁ、なんて損な役回りなんだろう。好き好んでモンスターの囮をしなきゃなんないだよ。まぁ、神様に頼まれたら断れないからやるけどさ。あぁ、面倒だ。
「ベルくん、レオン君にシルバーバックを任せてこっちにくるんだ」
「え、あ、はい‼︎」
さて、やりますかね。手始めに護身用に常に持っているナイフを逆手に握りシルバーバックの左足を斬りつけてヘイトを集める。
そこらからはひたすら回避しては少し斬りつけ回避してはまた斬りつける。俗に言うヒットアンドアウェイを繰り返して時間を稼ぐ。決してベルやヘスティア様の方に注意を向けてはいけない。
「レオン君もういいぜ‼︎」
「分かりました。ベル、スイッチ‼︎」
「あ、はい‼︎」
そこからは一方的に見えた。強化されたステイタスに加えてヘファイストス様製の漆黒のナイフを持ったベルはさっきとは比べられない速さで動き回りシルバーバックを圧倒していく。
もう、勝負はついたな。
「ヘスティア様。自分は先にエイナと合流してギルドに事態の報告をした後仕事に戻ります。」
「ベル君が心配じゃないのかい?」
「あれを見たらヘスティア様でも分かりますよね? もう、勝負はついてますから。あ、あと、囮の件貸しですからね」
「あぁ、分かってる。神威に誓って近いうちにお礼させてもらおう。本当にありがとう、レオン君」
「それではこの辺で失礼します」
シルバーバックと戦うベルを横目に大通りを目指して走り出した。そろそろ自分も踏み出さないといけない頃なのだろうか……
ベルのあの姿を見て正直心が揺らいでしまった。
今直ぐは無理かもしれないが時間をかけて一歩を踏み出そうと心に決めた。
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まぁ、ガネーシャファミリアに相応のペナルティーが課されたのは言うまでもないだろう。あの
これからベル・クラネルはどんどん成長し強くなる。俺はこのあいだの戦いを見て確信した。
「まぁ、頑張れ。ベル・クラネル」
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次回更新は数日後になります。
それでは