俺がギルド職員をするのは間違っているだろうか   作:RINTO

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第6話 少年の活躍を願って

 

私はいつものようにギルドに赴きアドバイザーとしての仕事をこなしていく。正直、男性冒険者の執拗なデートへのお誘いなどにうんざりはしているがこの仕事は好きなのだ。

自他共に認めるお節介焼きの私だからこそ、冒険者のアドバイザーという仕事はぴったりなのだろう。いわば天職とでも言えるかもしれない。

最近はレオンと行動することがなぜか自然に増えてきている。元々は同僚のミイシャとばかりご飯を食べたりしていだが近頃はレオンとミイシャで三人なんてこともよくある。

三人とも歳が近いこともあり気楽に話せるしお互い楽なのだろう。少なくとも私はそう思っている。

一番年上は二十歳のレオンなのだが普段のレオンは割と子供っぽい所が多々ある。遅刻しかけたり、面倒な仕事はなんとか理由をつけてやらなくて済むようにしたり。まぁ、私がそうはさせてないんだけど。

 

「おはようございます、エイナさん」

 

「おはようベル君。それにしても今日は随分と早いんだね」

 

「はい、ちょっと用事があって。レオンさんっていますか?」

 

「まぁ多分来てると思うけどちょっと待ってね」

 

ベル君がレオンに用事って何なんだろう。レオンが何かやらかしてなければいいけど。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

はぁ、眠い。昨日は久しぶりに動いたせいかとても疲れた。それに身体の節々が痛い。完全に筋肉痛である。翌日に痛みが来るってのはまだまだ俺も若いな。

 

「レオン、いる?」

 

「何だエイナか。何か用か?」

 

「何だとは何よ。とにかくこっちに来て。ベル君があなたに用があるって待ってるの」

 

「分かったよ。今行く」

 

用事と言うのはおそらく昨日のことだろう。まぁ、俺がしたのはただの時間稼ぎだしそんなに感謝される程でもないんだけどな。

 

「おはよう、ベル。それで俺に何かようか?」

 

「えっと昨日は助けてもらってありがとうございました」

 

「別に気にするなよ。俺はただ時間稼ぎのために囮をしただけだからな」

 

「ちょっと待って。レオン、囮をしたってどうゆうこと?」

 

あ、しまった。昨日のことをエイナには全部ベルが一人でシルバーバックを撃破したことにしたんだっけ。俺とした事が口を滑らしてしまった。

こうなっては誤魔化しようがないため、昨日あったことを洗いざらい全部説明した。

 

「全く…… ベル君もベル君だけどレオン? 勝手に無茶はしないでよ」

 

「悪かった、悪かったって。次からはちゃんと報告するから」

 

「それってまた無茶しますって言ってるようなものじゃない。これ以上私に心配かけないでよ」

 

まぁ、エイナには色々助けてもらったし心配もかけている。まぁ、とりあえず謝っておこう。

 

「ゴメン、次は気をつけるから」

 

「絶対だからね」

 

「ベル、用事は済んだか?」

 

「いや、本題はこれからで……」

 

ベルが言うには俺の動きを見て思ったらしい。自分と一緒に訓練して鍛えて欲しいと。そうすれば、もっと強くなれる。神様に楽をさせてあげられる。ベルとヘスティアは相思相愛ですか。それは結構なことだ。

 

「悪いな。ベル、俺は冒険者じゃないし仕事もある」

 

「いやでもあの動きは」

 

「何でもだ。訓練をお願いするならもっといいやつがいる」

 

「本当ですか?」

 

「あぁ、近いうちに会えるようにしてやるよ。それと、そろそろダンジョンに行かなくていいのか?」

 

「あ、はい、これで失礼します」

 

「おう、頑張れよ」

 

そうベルに声をかけると元気な声で返事を返しながらダンジョンの入り口があるバベルに向かって全力疾走していった。

 

「まさか、ベル君にあのことバレてないよね? さっきの会話聞いてると不安になるんだけど」

 

「多分大丈夫だよ。ベルは素直だからへんな詮索はしないと思うから」

 

「でも、これからの言動には気をつけないとすぐに周りにバレるよ」

 

「まぁ、その時はその時だろ。俺もベル見てて一歩踏み出さなきゃなって思ったし」

 

「そっか…… 私も協力するよ」

 

「ありがとな」

 

「なんでそうゆう時は素直かなぁ……」

 

「なんか言ったか?」

 

「何でもないよ。早く仕事に戻るよ」

 

その辺で会話を切り上げ午前の業務に戻った。

 

 

 

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何とか今日もアドバイザーとしての激務をなんとかこなし終業時間まで漕ぎ着けた。毎日、仕事の量多すぎだろ。なんでこんなに多いんなら人手を増やして欲しい。マジで……

 

「レオン、ちょっといい?」

 

せっかく帰ろうとしていたところをエイナに捕まってしまった。

 

「何だよ。早く家に帰りたいだけど」

 

「またすぐそうやってスルーしようとするんだから。まぁいいや、それで明日って空いてる?」

 

「そりゃ休日だから暇だけど?」

 

「行きたいところがあるから付き合ってくれない?」

 

え、何ですか。これってあれですか?デートのお誘いとか言う奴ですか?そうゆうの初めてで嬉しいは嬉しいけど絶対目立ちたくないな。知り合いに見られたら何言われるかわからん。

 

「それって絶対?」

 

「もちろん。あと明日は買いたいものあるからお金はしっかり持ってきてね」

 

「あ、はい。分かりました」

 

え、何これ完全にエイナの買い物に付き合わされた挙句に貢がされるんですか? いや、確かにエイナはハーフエルフってこともあってかなり容姿は整ってるしどっちかと言えば美人だけども貢がされる理由にはならないんだけど……

まぁ、こうなったら断れないからどうしようもないんだけどな。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

翌日、待ち合わせ場所に集合時間の10分前に着くとそこにはエイナではなく白髪の少年。そう、ベルがいた。あれ、俺まさかエイナに弄ばれてた?

 

「レオンさん今日はよろしくお願いします」

 

「え、どうゆうことまったく状況が把握出来ないんですけど……」

 

俺は現在置かれている状況を必死で理解しようと頑張っていた。俺が来ることをベルは知っていた。でも、俺は知らない。うん、どうゆうこと?

そんな時だった。

 

「ゴメンね、遅くなって。もう二人とも揃ってるみたいね」

 

「エイナ、これって一体どうゆうこと?」

 

「言ってなかったけ?」

 

「聞いてないけど……」

 

エイナが言うにはベルがソロでこれ以上深い層に潜るには防具面で不安が多い。だから、防具を買うためにお店を紹介しつつ防具選びを手伝うらしい。まぁ、その意見には賛成なのだがどうして俺が必要なんだろう。まさか、人生で初めて人に貢ぐ相手が彼女ではなく年下の少年だったとは……

 

「だったら俺必要なくない?」

 

「こうゆうことは私よりもレオンのが詳しいから。今度ご飯奢るからさ」

 

「いいよ奢らなくて。ちゃんと一日付き合うから安心しろって」

 

さよなら、俺の休日。さよなら俺の淡い期待。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

今来ているのは、バベルの中にあるヘファイストスファミリアのお店だ。普通に考えて初心者が行くようなお店ではない。だって片手剣一つとっても数億ヴァリスとか普通に行くから。まぁ、買うのはこの店ではないので安心はしたのだが。

こないだ見回りに来た時と特に変わってないようだし適当に見て回ったら目的の店に行けばいいか。

 

「いらっしゃいませー ……ってベル君?」

 

「神様?」

 

え、何でヘスティア様ここで働いてるんだよ。まぁ、団員がベル一人のヘスティアファミリアが貧乏なために神様も働いているのはまだ分かるが何でここなんだろうか。

あ、そうか。この間のナイフの代金を払うために働いてるのか。その辺はヘファイストス様きっちりしてるしな。いくら神でも容赦なしか。

 

しばらく、エイナ、ベル、ヘスティア様で話をしていたようだがそれも終わったみたいなので目的のお店に移動することにした。

 

同じバベルの中の別の階に別のヘファイストスファミリアのお店がある。しかし、こっちのお店は新人の鍛治師が腕を磨くために作られた防具や武器が売られている。新人にはどんどん経験を積ませて才能を伸ばすためらしい。ヘファイストス様らしい考えだ。

それなりの値段でも掘り出しものなんかが見つかるためお金にあまり余裕のない冒険者にはもってこいの店だ。品質はヘファイストスファミリアだけあってかなりいいし。

 

「それじゃあ、ベルは自分の気にいる防具を探してこい。俺とエイナは他を見るから」

 

「分かりました」

 

そう言って目をキラキラさせながら店に入っていった。本当に純粋な奴だなと改めて感じた。

 

「俺たちはどうするんだ?」

 

「何か装備品の一つくらいプレゼントしようかなって」

 

「じゃあ一緒に探すか」

 

「え、い、い、い、一緒に?」

 

何でそんなに顔を赤くさせてるんだろうか。そんなに一緒に見て回るのが嫌なんだろうか。てか、そしたら何で今日誘ったのって話だよ。

 

「嫌なら別々でいいけど」

 

「別に嫌じゃないっていうかむしろ嬉しいっていうか、ちょっとびっくりしただけだから……」

 

「嫌じゃなきゃいいや。てか、最初しか聞き取れなかったけどなんて言った?」

 

「何でもいいの。さ、行こ」

 

「お、おう……」

 

相変わらずだが、エイナの考えていることはサッパリわからん……

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ベルが見つけてきたのはシルバーのボディのライトアーマーだった。ナイフで戦うベルにはぴったりだろう。それにデザインもベルにぴったりである。まさに兎だ。

製作者はえっと【ヴェルフ・クロッゾ】 あぁ、あの一族の末裔か。ベルはなかなかいい目をしてる。

値段も特別高くないし丁度いいだろう。

 

「それでベル君。これは私とレオンからのプレゼント。受け取ってもらえると嬉しいな」

 

散々見て回った結果決めたのはエイナの目と同じようなエメラルドグリーンのプロテクターだ。そこにはナイフ程度だったら収納しておく事も可能だ。

 

「ありがとうございます。大切に使わせてもらいます」

 

ベルにはこれからの活躍に期待することにしよう。まぁ、財布がすっかり軽くなったがベルやエイナの笑顔が見れたし良しとしておこう。

そんなことを考えながら俺たちはバベルを後にした。

 

 




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