俺がギルド職員をするのは間違っているだろうか 作:RINTO
第7話 少年はまたトラブルに足を踏み入れ青年はそれに首を突っ込む
朝起きてギルドへ向かう。この生活を続けてもう一年以上経つだろうか。普段と変わらない朝のはずなのに何故だが少し清々しい。まぁ、昨日ベルにプレゼントをしたし、いいことをした後はこんな感じなのだろう。それなら偶には日頃感謝をこめてエイナにも何かプレゼントをしようか……
そんなことを考えながらギルドへの道を歩いて行く。
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「はぁ、今日も仕事疲れたー」
「ミイシャはそんなに頑張ってないだろ。それになんだよその後ろにある書類の山は?」
ミイシャの仕事の手際の悪さは相変わらずである。よくこれでギルドに入れたよな。ギルドの七不思議に入れてもいいくらいだ。まぁ、アドバイザーとしては顔も重視されるからそっちの採用の説が濃厚だが。
「い、いやぁ…… これはそのエイナとレオンに手伝って貰おうかと」
「何で私とレオンが手伝う前提になってるのよ。全くしょうがないなぁ〜 レオン時間まだ大丈夫?」
「分かったよ。手伝えばいいんだろ」
エイナもエイナで相変わらずお人好しだよな。毎回、次はないとか言っておいてミイシャに泣きつかれて渋々って感じだからな。まぁ、そうなったら俺も大体手伝わさせれるんだけどな。
「二人ともありがとう‼︎ やっぱり持つべきものは親友だよね」
「「調子に乗らない‼︎」」
「あ、はい、すいません…… 次から気をつけます」
そこから一時間程かけて仕事を終わらせることができた。それにしても溜めすぎでしょ。三人ががりでやっと終わるって。少しは残業くらいしてけよ。
「もう、18時を回っちゃってるね。二人はご飯どうする? 今日のお礼に何かご馳走するけど」
「私は大丈夫だけどレオンは?」
「俺はパスかな。二人で行ってこいよ。俺がいると話しづらいことも色々あるだろ」
「分かった。じゃあまた明日ね」
「じゃあね、レオン」
二人に軽く手を振ってから俺はギルドを後にした。何でパスしたかって? そりゃ面倒だからに決まってるじゃん。帰りは家まで送っていかなきゃならないし。
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ギルドから家へと向かっている途中、どうにもお腹が減った俺は屋台でジャガ丸くんの抹茶味を買い食べながら歩いていた。
やっぱりジャガ丸くんは最高だわ。買い食いに最も適していると思う。それにしても、ヘスティア様があそこでバイトしているとは思わなかった。そんなにお金に困ってるのか……
ジャガ丸くんの残り一口を食べようと口を開けた時後ろから走ってくるやつにぶつかられて地面に落としてしまった。3秒ルールを思い出し拾おうとしたら走ってきたもう一人の男に踏み潰されてしまった。
俺のジャガ丸くんをよくもやってくれたなぁ。それにしても先に走ってきた奴、背丈的にはパルゥムだっただろうか。その後来た男。パルゥムを追いかけていたのだろうか。俺のジャガ丸くんといいあの男許さんぞ。
そんなくだらないことを考えながら二人を追って路地裏へと入っていった。
結果的にはすぐにその男を見つけることができた。何でかって? ベルと向かいあい互いに武器を構えていたから。おいおい、ベルは何でこんなに厄介ごとに絡まれてんだよ。
まぁ、このまま戦闘になっても危ないし止めに入るとするか。面倒だけど。
「おいガキ、そこどかねぇと痛い目にあわせるぞ」
「その一回落ち着いた方が……」
「あぁ、もう面倒だ。まず、お前からぶっ殺してやる」
あぁ、もうダメだ。男の子方がスイッチ入っちゃってるわ。今のこいつだと本当にベルに武器を振り下ろしかねない。これ以上は見てられないわ。
「おい、その辺で止めとけ」
「何だよ、次から次へと邪魔しやがって」
「俺のジャガ丸くんを踏んだ罪償ってもらうぞ」
「どいつもこいつ訳わかんなねぇことばっかり。お前からぶっ飛ばしてやる」
「別に構わないけどさぁ、俺ギルド職員だからファミリア確認して主神に告げ口すればお前の冒険者としての人生終わるよ…… それともここで君の人生を終わらせようか?」
なるべく感情を殺し、冷たい声でその男に話す。俺も護身用のナイフを腰から抜き逆手に握る。
奴の顔が一気に青ざめていった。それに武器を握っている手も小刻みに震えだしている。
何だよその程度の小物かよ。
「く、くそがぁ‼︎」
いかにもモブキャラの言いそうな捨て台詞を吐き捨ててその男は路地裏後にしていった。
「大丈夫か、ベル」
ナイフを腰の鞘に収めながら今度はなるべく優しく、暖かみのある声でベルに声をかける。
「助けてもらってありがとうございます、レオンさん。それにしてもさっきのレオンさん怖すぎます……」
「悪かったな。あの男をビビらせるためだったんだ。それはそうと何であの男とやりあおうとしてたんだ?」
「それはそのこの子がって、あれいない……」
「誰かいたのか?」
「さっきまでは」
見知らね人を助けようとしてたのか。本当にベルには感心させられてばかりだ。まぁ、あんまり人が良すぎるのも考え者だが。
「あんまり無茶するなよ。自分の身を最優先しないと」
「すいません、これから気をつけます」
「あと、それから主神様がバイトしなくても済むようにしてやれよ。さっきジャガ丸くん買おうとしたら屋台で働いてたからさ。まぁでも無理はダメだからな。ヘスティア様やエイナが悲しむから」
「分かりました。今日はありがとうございました」
「おう、気をつけて帰れよ」
ベルはこちらに手を振りながら笑顔で走っていった。あぁやって、なりふり構わず行動できるベルは正直羨ましかった。常にリスク計算をしてしまう俺とはまるで正反対の考え方である。俺も昔はあぁだったのだろうか。
辺りを見回すと街灯がつき始めるくらいには暗くなり始めていた。ベルを助けたせいもあってかすっかり遅くなってしまった。この時間から材料買って作るのもなんだか面倒だしどこかで食べて帰るとするか。
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「何がどうしてこうなった……」
「いや、そりゃ私たちが食事しているところにレオンが来たに決まってるじゃん」
「だからって同じテーブルじゃなくていいだろ」
「いいじゃない元々はミイシャと三人でくるつもりだったんだし」
「分かったよ」
結局、ミイシャとエイナに捕まり同じ先で食事をすることになった。別に嫌という訳じゃないけど周りの視線が痛いのがこの上なく精神をえぐってくるのだ。
注文した料理あらかた食べ終えデザートを食べるだけとなったところで一旦席をたつ。
「ちょっとトイレに行ってくるわ」
「「はーい」」
二人とも酔っ払ってるな。エイナが酔っ払うまで飲むのは珍しいな。ミイシャはいつもだが。
まぁ、実際はトイレに行くのではなく先に会計を済ませるためだ。
「お会計お願いします」
「少々お待ちください」
会計をするために出て来たのはエルフの女性だった。それにしても表情が固いな。どっかの戦闘マニアには負けるが
「あなたは私と同じ目をしている」
唐突に店員に話しかけられて驚いていると、さっきからは考えられなかったが顔を綻ばせて少し笑った。
「すいません、突然話し始めてしまって」
「いえ別に。それよりも同じ目をしているってどうゆうことですか?」
「いえ、私の勝手な想像なので。私と同じような経験をしているような気がしただけです。なので、お気になさらないで下さい」
「はぁ…… あなたお名前は?」
「リュー・リオンといいます。そうゆうあなたは」
リュー・リオン。どこかで聞いたことのある名前だ。気のせいかもしれないが
「レオン・クリフです」
「クリフさんですか」
「それが何かありましたか?」
「いえ、似たような名前の人物に心当たりがあっただけです」
支払いを済ませて自分のテーブルへと戻る。リュー・リオン、不思議な人だ。
「おーい、お前らそろそろ帰るぞ」
「あぁ、レオン遅かったね。それじゃあ、私会計してくるね」
「いや、俺が全員分払ってきたから。明日も仕事なんだから帰るぞ」
「ミイシャが先に払っておかないからレオンに払われちゃうんだよ。でも、ありがとうレオン」
「ありがとねぇー」
ミイシャがちっとも感謝してなく感じるのは気のせいだよね。気のせいじゃないと俺悲しいんだけど。
「もう、それなりに時間も来てるから帰るぞ。送ってくから」
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「また、家まで送ってもらっちゃったね。いつもありがと」
「いいんだよこれくらい。エイナたちを夜一人で歩かせる訳にはいかないしな」
今はミイシャを家に送り届けて、エイナの家に向かっている最中だ。これでなんだかんだでエイナを家まで送るのは二回目か。家までの道もすっかり覚えてしまった。
「珍しく酔ってたけど何かあったのか?」
「い、いや別に何にもないよ。ミイシャとしか話せないこととかを話してただけだから」
「そっかならいいんだけどさ。今日もここまででいいか?」
「あ、うん。ありがとねレオン。いつか、いつかお礼は必ずなんらかの形でするから……」
「あぁ、分かった。首を長くして楽しみに待ってるよ」
「じゃあまた明日ね」
「おう、おやすみ」
そこで、エイナと別れて自分の家へとまた足を進める。はぁ、明日もまた仕事かぁ。休みたいなぁ。そんなことできる訳ないけど……
ギルドの仕事は辛いぜ。
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