《ユグドラシル》
かつて一世を風靡し、NO.1ゲームの座を欲しいままにして来たゲームにも終わりの時がやってこようとしていた。
その中で、悪名を謳われたとあるギルドの本拠地であった《ナザリック地下大墳墓》繁栄を極めたこの地も、密かに終焉を迎えようとしている。
《アインズ・ウール・ゴウン》
このゲームでは、知らない者がいない程の知名度(知らない者はモグリ)を誇ったギルド所属人数若干41名でありながら、最高時のギルドランクは破格の9位。まさに少数精鋭という言葉が相応しいギルドであった。
だが最大のポイントは、ギルドメンバー全員が異形種であるという点であっただろう。異形種狩りが流行った頃に、結成されたギルドであった。当初は異形種同士の助け合いがメインであったが、次第にメンバーの中にも実力者が増え初め、狩られる側から狩る側へと変貌して行った。
PKギルドとして、次第に悪名が流れ始めた。それを討伐しようと、複数のギルドが連合を組んで進行して来た事もあった。危ない場面もままあったが、今日まで存続し続けて来た。しかし、サービス終了と言う巨大な流れには逆らえず、終焉の時を迎えようとしていた。
「またどこかでお会いしましょう」
そう言ってログアウトしていく仲間(ヘロヘロさん)の姿を、大墳墓の主は見送るしかなかった。肉のない骨の身体に豪華なガウンを纏うその姿は、まるで古(いにしえ)の大魔王を連想させる。(これは余の○ラ的なラスボス感がしている)
(今日はサービス終了日ですし、お疲れなのは分かりますが最後まで残っていかれませんか?)相手の事を考えてか、そんな言葉も発せられないほどに見かけと違い良い人(骨)であった。
「またどこかでお会いしましょう・・・・・・・・・か」
本人も叶うと思っていない、あったらいいね的な挨拶が空しく響く。
「どこで・・・・会うというのだろうね・・・・・・」
それと同時に湧き上がったのは激しい怒りであった。
「ふざけるな!!! 此処は皆で造り上げて来た《ナザリック地下大墳墓》だろ!! なんで・・・なんで・・・・皆そんな簡単に棄てることが出来るんだ!?」
両手を円卓に叩きつけ正気に返ったのか、先程の勢いとは逆に弱い声で呟く。
「・・・解っているだ・・・リアルを優先するしかなかった事は・・・だけど」
「まぁ俺の場合は、不可抗力ってやつだがね」
立派な骨が息を呑む・・・・・・・・・・・【トール様がログインしました】
「暫くぶりだなギルド長・・・いやモモンガさん」
そこにはグリーンの着物姿に大形の斧を持った、妖孤が佇んでいた。
おそらくこの日一番嬉しそうな声色で、モモンガが相手の名を呼んだ。
「トールさん!! 来てくれたんですね。」
『ああ、本当に最後になってしまったのか?ギリギリだがインする事が出来た。』
(微妙に引っかかるセリフであったが、まぁあのトールさんだし・・・・・・)
そう言って懐かしそうに辺りを見渡すトールさん。
ある日突然に、こなくなってしまったギルドメンバーだ。活動していた頃はあれほど熱心にプレイしていてその情熱は凄まじく、人生そのものといった感があった。
そんな彼の失踪に、ギルド内でも様々な憶測が流れた。やれ、宇宙人に攫われただの、事故にあったんじゃないか?いやいや会社がブラックすぎてイン出来ないだけじゃないか?など当時は論争が起きたが、次第に時の流れ(ギルメン数の減少)と共に忘れられていった。
そんな話を彼に聞かせた所、驚くべき事に宇宙人に攫われたが一番近いとの返答が帰ってきた。詳しく聞こうと思ったが、トールさんの言葉に遮られた。
時間が迫っているので、ここではなく最後ぐらい王座の間で迎えようとの発案であった。それにはモモンガも異存はなく、二人で玉座に向かう事にした。