リアル発デスゲーム経由異世界行き   作:ベアトリーチェ

3 / 8
演説

 いち早くフリーズ状態から復帰したトールが、皆に向かって語りかけた。

 

『違和感を感じられたのは、俺とモモンガさんがリアルと呼ばれるもう一つの世界で常に戦い続けていたからに過ぎない。経験の少ないお前達では、気が付けないのは仕方がない事なのだ。』

 

 

(トールさん中々巧妙だな・・・・・しばらく成り行きを見守るか・・・)

 

 

『詳しくは、ここに居ない守護者達にも聞いて貰わなくてはならないが』といったん切り、『モモンガさん、人員を借りますが宜しいですか?』といきなり振って来た。

突然の事だったので「問題はない」と答えるのが精一杯だった。

 

 

 

『我々の経験も重要な要素であるが、現状の情報も重要である。そこで、セバス』

 

 

 

「はっ」

 

 

 

 トールさんは、ナザリックの執事長であり万能キャラであるセバスを指名した。

 

 

 

『地表に赴きナザリックの周囲1kmを確認せよ。知的生物が居た場合は交渉の上、友好的にここまで連れてこい。戦闘は極力避け、情報を持ち帰る事を最優先とする。プレアデスを1名、補佐に付ける。お前が敗れた場合は、情報を持って帰還させろ。人選はお前に任せる。』

 

 

 

「了解致しました。トール様、モモンガ様」

そう言ってセバスは、玉座の間から退出した。その後ろには、ソリュシャンが付き従っていた。

 

 

 

 

『残りのプレアデス達は、九階層に赴き上層からの侵入者の警戒にあたれ。一般メイドに関しては、通常業務を継続せよ』

 

 

 

 

 

「はっ」

 

 

 

 

『現状では、こんな所でしょうか?モモンガさん?』

 

 

 

 

「さすがは、我が友。我が心の内を読んでいる」とボロが出ない様に、返答しておいた。

(しっかし、トールさん手馴れすぎてないか?)

 

 

 

 

「最後にアルベドよ」

 

 

 

 

「はっ!トール様!何なりとご命令を」

 

 

 

 

「各階層守護者に連絡を取れ。第六階層の闘技場まで来る様に伝えよ。時間は今から2時間後だ。それとアウラとマーレには俺達から伝えるので必要ない。第四と第八の守護者は、お前達とは役割が違うので、連絡は不要である。」

 

 

 

 

 

 

「承知致しました。」

 

 

 

 

そして、アルベド・プレアデス・一般メイドも玉座の間から出て行った。

 

 

 

 

『はぁ・・・・疲れるーーーー』

 

 

 

 

 

 そして、誰もいなくなったのを確認して、トールが深く息を吐いた。

『慣れない事はするもんじゃないなーー次からモモンガさんに任せようと・・』

「いやいや、二人で頑張りましょうよ」とつっこむモモンガさん。

 

 

 

「しっかし、見事な采配ですね。トールさん」と気を取り直して、モモンガさんは俺を褒めてくれたが、俺的には複雑な心境だった。

 

 

 

 

『モモンガさん聞いて欲しい事があるんだが・・・』 

今話しておかないと話す機会がないかもしれないので、モモンガさんに俺が過去に経験した事件について話しておく事にした。

 

 

 

 

 モモンガさんも俺の只ならぬ様子に、若干警戒しつつ「どうしたんです?あらたまって?」

と聞いてきた。

 

 

 

『さっき円卓の間で、宇宙人に誘拐されたのが一番近いって言ったよな』

「ええ」

 

 

『実は、攫われたのはゲームの中なんだ。大昔に流行ったろ・・デスゲームってやつ』 

「そんな話もありましたが・・・・・まさか!!」

 

 

『そのまさかなんだ。一般には公開されていないが、あるゲームで閉じ込められてな・・・リアル世界に帰って来るのに、5年掛かった。』

「じゃぁユグドラシルにインしなくなってからずっと今迄・・・・」

 

 

『そうだ、5年だ・・・ちょっと友達に誘われて、軽い気持ちでそのゲームにインして5年だ。他のゲームに浮気したツケがこのざまさ・・・』

 

 

『形振りかまわず、我武者羅に駆け回ってやっとゲームをクリアした。自分のパーティ以外は容赦なく見捨てて、助けられるやつらも無視した。策略で蹴落として、必要なアイテムを入手した事もあった。ゲーム内で死んだ奴は、リアルでも死亡していたよ。』

「そんな事が、現実に起きていたなんて・・・・」モモンガさんは絶句している。

 

 

『今の状況は、それに似ている。あの時とは違って、帰る手段があるのかは不明だが・・・・多少の経験が俺にはあるが、状況はモモンガさんとそうかわらんよ』

 

 

 俺があのクソゲームで、理解した世の中の真理をモモンガさんにも教えてあげよう

 

 

『モモンガさん、人間はやれる事をやる事しか出来ないんだ。自分の能力以上の事は出来ない様になっている・・・出来ない事は出来るやつにやって貰うしかないんだ。』

 

 

 

 当たり前の事だが、それが理解出来るまでにかなり時間がかかったんだ。

 

 

 

『それと確認なんだが、どうしてもリアルに帰ると言う強い意思がモモンガさんに有るのかどうか?俺はクソゲームで、帰る理由を見つけそして失ったんだ。正直この先、この世界で生きていっても問題ないぐらいだ。』

 

 

 

 モモンガさんが考え込んで「俺にはまだ分かりませんが、じっくり考えてみます。」と返答してきた。

 

 

『辛気臭い話はここまでにして、実験しにいこぜー』と勤めて明るくモモンガさんに話し掛ける。

 

 

「スキルとかの実験の為ですね」とモモンガさんは言い、その切り替えの早さと頭の良さを示した。(やっぱあんたは凄いよモモンガさん。何の経験もなしに思考を切り替え、非現実的な現状に対応してくるなんて)

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。