1
そしてまた、夜が来た。
流石に、2度目ともなると、お互いに慣れたものである。
約束の深夜零時。
そこにはイリヤ、美遊、凛、ルヴィア、響が集まっていた。
既にイリヤと美遊は、それぞれ
「油断しないようにねイリヤ、響。敵はもちろんだけど・・・・・・ルヴィア達がどさくさに紛れて何してくるかわからないし」
「何で、そんなにギスギスしてるの?」
《お2人の喧嘩に巻き込まないでほしいですねー》
「悪い大人の見本」
イリヤ、ルビー、響の3人からディスられる凛。
どうにも、ルヴィアとの因縁は、簡単に解消できるものでもないらしい。
一方で、ルヴィア・美遊陣営も、既に戦闘態勢を整えている。
「速攻でケリをつけますわよ、美遊。開始と同時に距離を詰めて、一撃で仕留めなさい」
「はい」
「あと可能なら、どさくさ紛れで遠坂凛も葬ってあげなさい」
「・・・・・・それはちょっと」
《殺人の指示はご遠慮ください》
サラッととんでもない事を言うルヴィアに、冷静に返す美遊とサファイア。
こちらも、絶好調のようだった。
その間、凛は腕の時計へと目をやる。
零時1分前。
間もなく作戦開始時刻である。
次の相手がどんな存在なのかは判らない。
ライダー戦のように速攻で倒せれば良いのだが、長期戦になると相手も宝具を使ってくるだろう。そうなると、こちらの不利は否めない。
と、そこでふと、凛は響のほうへと目を向ける。
結局、今回も「イリヤのお伴」として着いて来た響。
本来ならこれ以上、関係ない一般人を巻き込むのは凛としても不本意でしかない。
しかしライダー戦の事を鑑みれば、響には英霊に対抗できる何らかの力があるのも事実である。結局、その正体が何なのかまでは判らなかったが、いざという時の保険くらいには成り得る。
凛としても忸怩たる物がないわけではないが、今は少しでも可能性があるなら勝率を上げておきたかった。
「時間ですわ」
ルヴィアの宣言が響く。
同時に2本のステッキが詠唱を開始する。
《半径3メートルで次元反射路形成。鏡界回廊、一部反転します!!》
地面に描かれた魔法陣が輝きを増し、カードのある世界への道を開く。
高まる魔力。
戦機が立ち上がる。
「「
イリヤと美遊が同時に叫ぶと、
輝きは一気に増し、一同の姿は鏡界面へと飛び込んでいった。
2
光が晴れる。
同時に開けた視界は、接続前と同じく橋のたもとであった。
しかし、同じであっても同じではない。
それはライダー戦の時と同じ、格子状の光に遮られた異質な空間だった。
すかさず、戦闘態勢に入る一同。
しかしそこで、
「なッ!?」
思わず、全員が絶句した。
空一面に展開された魔法陣。
それも一つや二つではない。
無数の魔法陣が、見上げる空全てを覆いつくしている。
その中央に、1人の女性が浮かんでいた。
長いフードに身を包んだ女性の素顔を伺う事は出来ない。
しかし、あれがカードの持ち主、黒化英霊である事は間違いない。
さしずめ魔術師の英霊、キャスターとでも言うべきか。
外套を翼のように広げた
どうやら向こうも、迎撃準備万端で待ち構えていたらしい。
「や、やばッ」
凛が叫んだ瞬間、
一斉攻撃が開始された。
魔法陣から次々と撃ち下される魔力の光。
強烈な閃光が、束になって襲い掛かってくる。
その圧倒的な火力は、想像を絶していると言ってよかった。
《魔力障壁展開ッ 凛さん、響さん離れないでください!!》
とっさにルビーが動き、イリヤを中心にバリアを形成する。
そこへ着弾する、
しかし、
その凄まじい衝撃たるや、展開した障壁が軋みを上げるのが分かった。
状況については美遊達の方も同様であるようだ。
あちらもサファイアが障壁を展開、美遊とルヴィアを守っている。
だが、
障壁の防御力が、攻撃を緩和しきれていないのだ。
やがて、攻撃もひと段落して障壁が解除される。
しかし、
「・・・・・・・・・・・・い、痛ァァァァァァいッ!?」
障壁を貫通してきた攻撃に、思わず悲鳴を上げるイリヤ。
見れば響も、ボロボロになって膝をついている。
見上げる空では、既に
「ま、ずい・・・・・・・・・・・・」
絞り出すような少年の声。
相手はこちらの防御力を貫通してくる事ができる。受け身に回っていたら、あっという間にやられてしまうだろう。
どうやらこれには、凛も驚いているらしかった。
「ちょ、ちょっと、何でAクラスの魔力障壁が貫通されてんのよ!?」
《おやー おかしいですねー》
がなる凛に、相変わらず緊張感の欠く返事をするルビー。
などと言うコントじみたやり取りの間に、小さな影が動く。
美遊だ。
立ち尽くすイリヤ達の脇を駆け抜けると、サファイアに魔力を充填し振りかざす。
「
短い叫びとともに、魔力砲を対空で放つ美遊。
収束された魔力の閃光が、真っすぐに
次の瞬間、
美遊の放った砲撃は、
「なッ!?」
これには、美遊も絶句する。
まさか、必中を狙って放った攻撃が、防がれるとは思っていなかった。
相手が遥かな上空にいる以上、こちらの攻撃手段は遠距離からの砲撃しかない。
しかし今や、その遠距離攻撃も封じられている状態である。
どうやら
考えてみれば、向こうはこれだけの攻撃陣を強いて待ち構えていたのだ。当然、防御も万全と見てしかるべきだった。
事実上、こちらの攻撃手段は封じられている等しい。
「何か・・・・・・手段が・・・・・・」
響は状況を見ながら考える。
相手の魔術は強力を極めており、1発でもまともに食らえば最悪の場合、死は免れない。
それほどまでに、戦力差は隔絶していると言っていいだろう。
しかし、相手は魔術師である。
ならば単純に考えて、接近戦にさえ持ち込めれば勝機はある。
響は子供心に、そんな風に考えていた。
問題は、どうやって上空にいる敵を、地面まで引きずり下ろすか、だが・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・」
再開した
打ち下ろされる閃光と、それを防ぐ障壁。
しかし、やはり分は魔術師《キャスター》の方にあり、2人の防御障壁は完全には相殺しきれないでいる。
徐々に増えていくダメージ。
このままでは、じり貧は確実である。早急に、何らかの手を打たないと。
相手は空。
こっちは地上。
そこに既に、絶望的な戦力差が存在している。
どうするか?
どうやった、こちらの攻撃が届く距離まで、敵を引きずり下ろすか?
「・・・・・・・・・・・・そっか」
何かを悟ったように、響は呟く。
何も難しい事ではないではないか。
周囲では、尚も激しい砲撃が続いている。
そんな中、
「イリヤ」
「何、響!? 今忙しいんだけど!?」
障壁の維持に躍起になっているイリヤが、振り返らずに声を上げる。
対して響も、衝撃に耐えながら言った。
「次に攻撃が止んだら、一瞬で良いからバリアを消して」
「え、何言ってッ」
響の言葉に、思わず振り返るイリヤ。
だが、響はそれには答えない。
「頼んだ」
「ちょ、ちょっとォォォォォォ!!」
謎の行動を取る弟に戸惑うイリヤ。
だが、躊躇している時間は無かった。
それと同時に、限界を迎えつつあったイリヤの障壁も解除された。
次の瞬間、
ドンッ
強烈な音とともに、響が地面を蹴った。
同時に、その小さな体は上空へと跳び上がる。
地上ではイリヤや凛が驚いた顔をしているのが分かったが、今はそれに構っている暇はなかった。
相手を地上に引きずり下ろすのは現実的ではない。そもそも、遠距離攻撃が封じられている状態なのだから。
当たらない攻撃に、期待はできない。
だが、こちらから接近する分には不可能ではないはず。
あの魔力障壁は強力だが、それだけに物理攻撃には対応していない可能性が高い。
以上の事を冷静に判断した響は、攻撃手段を決定した。
魔力で強化した脚力で大ジャンプ。そのまま空中で接近して攻撃を仕掛ける。
なぜ、そんな事を考えることができたのか?
なぜ、こんな事が自分にできるのか?
様々な疑問が頭の中で湧いたが、その全てを無視する。
考える事なら、あとでいくらでもできるのだから。
目指す
向こうも、まさかこんな手段で接近してくるとは思わなかったのだろう。わずかに見える口元が、驚愕で開かれるのが分かる。
「・・・・・・・・・・・・」
飛翔する風切り音の中、響の口が何事かを紡ぐ。
次の瞬間、
掌に光が出現した。
あの、
だが、
だが、今は違う。
完全に輪郭が確定された姿。
それは、一振りの日本刀だった。
優美に反り返った、白銀の刃が魔力の閃光に照らされて怪しく光る。
魔術師が、フードの下で大きく目を見開いた気がした。
次の瞬間、
「ウワァァァァァァァァァァァァ!!」
振りかざされる刃。
次の瞬間、
振り下ろされた刃が、
手ごたえを感じる響。
刃は、確かに魔術師の体を切り裂いたはず。
だが次の瞬間、
「あ・・・・・・・・・・・・」
短い声とともに、響の体は急速に落下を始めた。
当然の事であろう。
別に羽が生えているわけでもなく、何かを足場にしているわけでもない。
響が
そして空を飛んでいる物は、必ず落ちる。自明の理だった。
真っ逆さまに落下する響。
正直、響は
下では、イリヤが悲鳴を上げているのが分かる。
そのまま叩き付けられるかと思った。
次の瞬間、
突如、誰かに抱きかかえられる形で、響の落下は止まった。
「バカッ 何考えてんのよあんたはッ あんな無茶して!!」
響を抱きかかえた凛は、そう言って少年を叱責する。
どうやら彼女が、落下する響を受け止めてくれたらしい。魔術を使えば、このような芸当も可能になるようだ。
そのまま、響を地上へと下す凛。
そこへ、イリヤ達も駆け寄ってきた。
「もうッ 響のバカぁ!! あんな無茶して!!」
「だって、できると思った」
襟首を掴んでくる姉に、シレッと言い訳する響。
一方で、ルヴィア達は、驚愕の眼差しで響を見ていた。
まさか、あんな手段で、敵に攻撃を仕掛けるとは思っても見なかったのである。
「説明なさい遠坂凛、いったい、その子は何者ですの?」
「あー、そう言われると、説明が難しいんだけど・・・・・・」
詰問するようなルヴィアに対し、凛は頭を掻きながら言葉を濁す。
何しろ、響本人ですら判っていない事なのだ。それを他人の凛が説明しろと言う方に無理がある。
「何はともあれこれで終わった、のかな・・・・・・」
イリヤが息をつきながら呟いた。
その時だった。
「まだです!!」
鋭い叫びを発したのは、美遊だった。
その言葉に釣られるように、一同は天を振り仰ぐ。
果たしてそこには、
先ほどの物よりも巨大な魔法陣を展開した、
先の響の攻撃によるダメージが、無いわけではない。その証拠に、傷口は今も残っている。
しかし、その力が衰えているようには見えない。
むしろ、響の一撃を食らって怒り狂っているようにも見える。
「まずいわッ このまま攻撃を受けたらッ!!」
焦った調子で叫ぶ凛。
イリヤや美遊の攻撃は届かず、響の攻撃はリスクが高すぎる。そもそも、あんな行き当たりばったりを2度も許すほど、敵も間抜けではないだろう。
「こ、これはもしかしなくても、大ピンチなんじゃ?」
「デッドエンド確定?」
唖然として呟く、イリヤと響の姉弟。
その間にも、上空の魔力が高まっていくのが分かる。
「悠長に話している場合かー!!」
「ててて、撤退ッ 撤退ですわー!!」
叫ぶ凛とルヴィア。
急ぎ反射路を形成し、退路を確保するルビーとサファイア。
その間にも
《半径3メートルで反射路形成!!》
「早く早く早く!!」
《鏡界回廊、一部反転!!》
ルビー達の詠唱が完了し、反射路が形成された時、既に
致死量の暴風が迫る。
それ以上、この場にとどまることはできなかった。
《
ルビーの声とともに、鏡界面が反転する。
次の瞬間、一同の姿は消え去り、現実世界へと帰還するのだった。
3
誰もが、地面に座り込んでいた。
紛う事無き敗北に皆、精根尽き果てた感じである。
正直、全員が五体満足で戻ってこれたこと自体、奇跡に思えるのだった。
《いや~ ものの見事に完敗でしたね。歴史的大敗です》
いつも通りの軽い口調で告げるルビーだが、その彼女も心なしかボロボロになっているのが分かる。
彼女の力をもってしても対抗できなかった事実が、一同に重くのしかかっていた。
「いったい何だったのよ、あの敵は・・・・・・」
よろよろと身を起こしながら、ぼやくように呟く凛。
こちらの攻撃はほとんど通じず、逆に向こうの攻撃は全くと言って良いほど防ぎきれなかった事実には戦慄せざるを得なかった。
と、
「ちょっと、どういう事ですの!?」
ルヴィアはサファイアを引っ掴むと、そのリング部分に手をかけて左右にグイグイと引っ張った。
「カレイドの魔法少女は無敵なのではなくて!?」
《私に当たるのはおやめください、ルヴィア様》
激昂するルヴィアに、冷静に返すサファイア。
宝石翁キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグの手による、最高峰の魔術礼装。
それを手にする魔法少女、カレイドライナーは強力な魔力を行使する事ができる。その力をもってすれば、いかなる敵も倒せるはずなのだ。
次の瞬間
《ルビー・サミング!!》
ズドッ
「メガッ」
サファイアを虐待するルヴィアの眼球に、ルビーの一撃が突き刺さった。
強烈な一撃を受け、地面に転がるルヴィア
「お、乙女の眼球に何て事を!?」
《サファイアちゃんをいじめる事は許しませんよ~》
言いながらルビーは、妹を守るように立ちはだかる。
《それに、魔法少女が無敵だなんて、慢心も良いところです》
「ごめん、わたしもちょっと、無敵だと思っていた」
言い募るルビーに、横合いからイリヤが苦笑気味に口を挟む。
アニメの影響故か、魔法少女が負けるということ自体、少女にとっては想像の埒外だったようだ。
対して、ルビーは諭すように言う。
《もちろん、大抵の相手なら圧倒できるだけの性能はありますが、それでも相性と言う物があります》
「その相性最悪だったのが、さっきのアレってわけね」
凛が嘆息とともに呟く。
遠距離攻撃ならば無敵だと思っていたイリヤと美遊が、完封されるとは思っても見なかった。
「まるで要塞でしたわ。あんなの反則ですわよ!!」
《もう魔術の域を超えていましたね。そりゃ、障壁でも防ぎきれないわけです》
憤懣やるかたない、といった感じのルヴィアに、ルビーもやれやれといった感じに返す。
おそらくは現代の魔術ではなく、失われた神代の魔術。現状の戦力では対抗は不可能だった。
とにかく厄介なのは、あの空中魔法陣と、美遊の魔力砲を弾いた障壁だった。
前者は恐らく、索敵と砲撃を兼ねていると思われる。つまり、索敵範囲に入った敵を自動で攻撃するようになっているのだ。
後者は恐らく、魔力反射平面だと思われる。文字通り、魔力による攻撃を完全にブロックし、反射するのだ。
つまり、空中にある限り、キャスターは無敵に近い。
倒すならば、響がやったみたいに接近して物理攻撃を仕掛けるしかないわけだ。
とは言え、
凛はちらっと、響に目をやる。
前回と違い、今回は響の攻撃手段がはっきりとした。
いったいいかなる手法なのか、響は自分で刀を出してキャスターに攻撃を仕掛けた。
相変わらず、あれが何なのかは判らないが、確実に言えるのは、同じ手は二度使えないだろうと言う事だ。
相手もバカではない。今回は不意を突いたから成功したような物。次は向こうも対策を講じてくると見るべきだった。
次はもっと、確実な手段に訴える必要がある。
やはり、不確定要素にばかり頼る事はできなかった。
《あの魔力反射平面も魔法陣も座標固定型のようですし、せめて空でも飛べたら、打つ手もあるのですが・・・・・・・・・・・・》
「と言っても、いきなり飛ぶなんてできるわけないし・・・・・・」
魔術の行使には、強固なイメージが重要となる。
要するに、「思ったことは現実に起こる」と言う事を強くイメージできるか否かが、実現のカギとなるのだ。
とは言え、空を飛ぶことができない人間が、飛ぶことをイメージするのは容易なことではない。
凛やルヴィアも、苦労して飛行魔術を習得したほどである。
これは長期戦も視野に入れて、充分な戦略を練る必要があるだろう。
と、その時だった。
「あ、そっか、飛んじゃえば良かったんだね」
やけにあっさりとしたイリヤの言葉。
振り返る一同。
「おー、イリヤ、すごいね、それ」
感心したように称賛する響の声が聞こえてくる。
その視線の先には、フワフワと空中に浮きあがったイリヤの姿があった。
高度はそれほど高くはないが、それでも間違いなくイリヤの体は宙に浮かんでいた。
「ちょ、ちょっと、何でいきなり飛んでんのよ!?」
「え、何でって・・・・・・・・・・・・」
驚愕する凛に、イリヤは質問の意味が分からないといった感じに答えた。
「だって、魔法少女って、飛ぶものでしょ?」
要するに、またしてもアニメの影響である。
古今、アニメに出てくる魔法少女の多くは、何らかの形で飛行魔法が使える設定が多い。
そのアニメを見て育たイリヤの中では「魔法少女は空を飛ぶ」と言うのが、半ば常識となっていたのだ。
何という、頼もしい思い込み。
凛とルヴィア。2人のベテラン魔術師が、思わず絶句したのは言うまでもない事だった。
「クッ 負けていられませんわよ!!」
言いながら、ルヴィアは美遊に向き直る。
「美遊、あなたも今すぐに飛んで見せなさい!!」
囃すように言い募るルヴィア。
イリヤにあんなあっさりとできたんだから、美遊もできて当然、と思ったのだろう。
対して、
「ルヴィアさん・・・・・・・・・・・・」
美遊はぎこちない仕草で振り返る。
何やら、絶望的な事態に直面した、とでも言いたげな表情である。
そして、重々しく言い放った。
「人間は、飛べません」
愕然とするルヴィア。
小学生女児にあるまじき、夢の無さだった。
「そんな考えだから飛べないんですわッ!! 来なさいッ 明日までに飛べるように特訓ですわ!!」
「あう・・・・・・・・・・・・」
そのまま、美遊の襟首をつかんで引きずっていくルヴィア。
当の美遊はと言えば、無理難題を押し付けられたように困り顔をしたまま連行されていく。
その様子を、残された響達は唖然とした様子で眺めていた。
「ま、何にしても、今日のところはこれでお開きね。幸い、明日は学校が休みだし、私もいろいろと戦略を練っておくわ」
凛の言葉を聞き、響とイリヤはドッと疲れるのを感じる。
正直、あれを相手に勝てるのかどうか?
今だ、勝機が全く見えていないのが現状だった。
第5話「魔術師の城塞」 終わり