みかん少女とヨーソローな幼馴染が部屋にいる生活   作:すいーと

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夢の一人暮らし?

 

 春という季節が俺は好きだ。自分の苗字が春野って春が入っていることも理由の一つではあるが、なんといっても始まりの季節。学校で新たな出会いがあったり環境が大きく変わる。そんな時の流れをわかりやすく感じられるってのが1番大きい。それに『桜が舞うと出会いがある』じいちゃんの口癖を思い出す。あるといいなそんな出会いが……。そんなことを思いながら駅の外に出た。

 

 俺こと春野真樹(はるのまさき)は今日から一人暮らしを始める大学1年だ。都内某所で駅から徒歩7分。しかも部屋が3つもある素晴らしいマンションに住めることになったのだ。しかも家賃は気にしなくていいとのこと。むしろ一人暮らししたいとおふくろに話したら速攻でこの部屋を見つけて来たぐらい。

 事故物件だったらどうしようと考えながらも荷物の入ったバックを背負い直し、スマホの地図を頼りに新居へと向かう。風が背中を押すように後ろから吹いた。

  

 今日から住む東京というところは、噂では恐ろしいところらしく皆血も涙もない鬼のような人たちばかりが住む魔都だと聞く。なので少し警戒しながら進む。

 見た目は普通の人。東京の人の第一印象はそんな感じだ。視界に広がる景色もべつにおかしなところはない。

 特に誰かとぶつかるようなイベントなどなく、新居のマンションの入口へとたどり着いた。

 エントランスにある機械を操作すると扉が開く。

なんだかファンタジーの世界に迷い込んだような気分なりながら、今日から住む部屋のある304号室へと向かう。

 この部屋、素晴らしいことに家具家電が備えつけてある。白で統一された部屋に黒い大きめの薄型テレビ。一人暮らしには大きすぎるぐらいの冷蔵庫に、顔が映るぐらい磨かれているシンク。生活に必要な家電も一通りある。そして3部屋という一人暮らしとして多すぎる部屋。ここでの生活が楽しみでしかたない。

 

 趣味部屋を作ってなんて妄想を膨らましていると、ふと窓からの景色が目に入った。なんとベランダまである。窓を開けてベランダへと出る。視界の下のほうで桜が風になびいている。そこに突風が吹き荒れる。桜が舞い散り、俺の目の前まで飛ばされてきた。その花びらを手にで掴もうと手を伸ばす。とタイミングよく電話が鳴った。

 

「誰だよ俺の出会いを邪魔するのは」

 

 桜の花びらぐらいで怒るなと思うかもしれないが物知りなじいちゃんの言うことに間違いはないはず。なので今、出会いを逃したことになるはずだ。登録されてない番号だったが、文句の一つでも言ってやろうと電話に出る。

 

「もしもし?」

 

『ひぃっ』

 

 若干の怒りを乗せた声は自分で出したとは思えないほど低く、相手が凍り付いてしまったように無言になる。悲鳴はかわいらしく女の子のようだ。

 

 『女の子には優しく』

 

 じいちゃんのもう一つの口癖に従って普通より優しめの声で問いかける。

 

「もしもし?」

 

『あのー春野真樹君の携帯ですか?』

 

「そうですけど。どちらさま?」

 

『私、渡辺曜覚えてない?』

 

 言われて記憶を引っ張りだす。すぐには出てこないぞ。数秒たっても返事がなくてしびれを切らしたのか相手から声を発した。

 

『ほら中学まで一緒だった』

 

「あっ。いやわかってたよ」

 

 渡辺曜。俺の幼馴染の一人で、グレーの髪の毛が特徴の制服マニアだったはずだ。水泳選手で胸周りが残念だったというのが俺が知ってる情報だ。高校が別々なってからは連絡を取らなくなって疎遠になっていた。そんな幼馴染が一体何の用なのだろう?

 

「で、そのこんなときに何の用だ?」

 

『あれ? もしかして聞いてないの?』

 

「ん? 何を?」

 

『マンションで千歌ちゃんと真樹君と私で一緒に住むって話』

 

「全く聞いてないなすまんが曜。一旦事実確認するために電話切るぞ」

 

『うん。でも駅で迷っちゃったから早めに迎えに来てくれるとうれしいかな』

 

ひとまず電話を切り、唯一登録している『策士』に電話を掛ける。ワンコールで出た。

 

『あら。まさ君。そろそろかけてくる頃だと思って待てたわよ』

妙に余裕がありイラッとする声に冷静さを失わないように対応する。うちのおふくろは策士だ。俺をおつかいみ行かせるために仮病を使うぐらいの策士だ。

 

「なら話は早いぜおふくろ。何がどうしてこうなった? というか何でこんなことをした?」

 

『それはねぇー。あなたが心配でオートロックのマンションを探したのだけれど思ったより高くてって渡辺さんに愚痴ったらうちと同じように悩んでたみたいだから調べてね。最近流行ってるんでしょ? シェアハウスそれをやったらどうかってそしたら高海さんのところの子も東京行くって話だから誘ってみたの』

 

俺の聞きたいことを簡潔にまとめてくれたのはありがたいが絶対よくないだろこれ。

 

「おふくろ。何とか白紙にする方法はないのか」

 

べつに二人と暮らすのが嫌というわけではないが、理性が持たない。1日とかなら何とか我慢できるかもしれないが俺だって男だ。間違いが起こらないとも限らない。それに何より俺にそんな資格はない。

 

「べつにできなくはないけど1人で払えるの? 毎月家賃の10万円」

 

「いえ謹んでシェアハウスをお受けいたします」

 

月の仕送り9万円ではどう考えても無理だな。バイトすれば何とかなるかもしれないが趣味の時間も少しは欲しい。となると受けるほかない。資格? そんなもん知るかっ!! 大事なのは未来だ。

 

『じゃあそういうことで』

 

 通話の終わりを告げる音が耳に響く。

鍵とスマホと財布を持つと俺はもと来た道をダッシュで駆け抜ける。外に出てすぐ桜がの花びらがせかすように舞い散っていた。

 じいちゃん一応出会いあったよ。再会だけどね。一度空を見て天国にいるだろうじいちゃんに話しかける。

さあ曜たちを迎えに行くか。俺は駅までの道のりを駆け出した。




誤字が多いとの指摘を受け、誤字の修正&少し内容の修正をしました。
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