みかん少女とヨーソローな幼馴染が部屋にいる生活 作:すいーと
それとタイミングよくUA10000も突破したので両方を記念した話です。
前回曜ちゃんメインの話だったので今回は千歌ちゃんメインです。
それと評価していただいた方ありがとうございます。
ではどうぞ
ポッキーというものをご存知だろうか?
1966年にとあるお菓子メーカーから発売されている人気のチョコがかかったお菓子だ。
そして何より俺の大好きなお菓子でもある。受験を乗り切るための糖分補給で買って以来の付き合いで、今一番食べる頻度が高い。
今日もこうしてリビングでくつろぐ俺は袋からポッキー数本をまとめて口に放りこみ、その甘さを口全体で味わっていた。サクサクとかみ砕く音が内側から耳に響く。休日のポッキーは2割増しで甘い気がする。
「真樹君。私にも頂戴。でないといたずらしちゃうよ?」
隣でテレビを見ていた曜から季節はずれのハロウィンの呪文を食らった。
「ほい」
さっと渡し何事もないゆっくりとした時が流れていく。テレビでは物騒な事件のニュースが流れているが、こっちは平和すぎて眠くなって来る。あくびしているとスマホで何かを見ていた千歌がそっと俺のほうに寄ってきた。
「真樹君。私にもポッキー頂戴」
「はいはい」
最後の1本だったが仕方なく千歌に手渡す。もうなくなったか……。また買い置きしないとな。
「真樹君~」
名前を呼ばれて声のしたほうを見るとさっき渡したポッキーを口にくわえたままの千歌がいた。
「どうした? 食べないのか?」
「ポッキーゲームしよっ?」
いつになく甘い声。赤く染まった頬に何より色々見えそうな部屋着。見慣れてきたとはいえ関係が変われば見方も変わるものだ。断るという選択肢がなくなる。がしかし困ったことにポッキーゲームとやらを俺は知らない。ポッキーでチャンバラでもするの?
「ポッキーゲーム? なんだそれ?」
「そこからっ!! えーとね、二人で両端からポッキーを食べて先に口を離した方の負けっていうゲーム」
「まあいいけど」
「じゃあ行くよ? 私が勝ったら二人っきりでデートね?」
千歌の正面に正座してポッキーに口をつけるその瞬間曜が俺の後ろに抱き着いてきた。
「ストップストップ。私もやりたーい」
「残念だが曜。今千歌が咥えてるのが最後だ」
「えー。なんか代わりになるもの探してみる。そしたら私ともしよっ?」
耳に囁いてキッチンのほうに消えていく曜。視線をもとに戻すと不満げに頬を膨らせた千歌がいる。フグみたいでかわいいが機嫌としっかり取らいと毒を吐くからなぁうちのみかんフグは。
「真樹君?」
ぎろりと擬音が付きそうなほど鋭くこちらを見る千歌。
「負けたら二人っきりデートだろ? 約束するよ」
「絶対だよ?」
念を押すように確認してくる千歌に頷きを返し、再びポッキーをお互い咥えなおす。視界に広がるのはしわも毛穴も見えない手入れの行き届いた肌に、そこにチョンと乗っている艶やかな唇とそこから伸びるポッキー。なんだか見ていて恥ずかしくなって目を閉じた。
「じゃあスタートね」
千歌の合図とともに少しずつかじる。耳に届くのは二人のポッキーをかじる音のみ。しばらく食べ進めているとお互いの額が触れ合った。びっくりして口をポッキーから離しそうになるのを何とか耐えた。次に鼻があたり、ついに唇が触れたが俺はそこそこ負けず嫌いだ。このゲームは口を離したほうが負け。つまりポッキーなくなっても勝負は続いている。しかし千歌も負けず嫌いな性格。なかなか勝負がつかない。しびれを切らした千歌が俺の鼻をつまんだ。
「何すんじゃ」
「離したから真樹君の負けー」
「あっ」
「じゃあ約束通りデートだね?」
「男に二言はない。どんなに卑怯でも負けは負けだからな」
あえて卑怯を強調した言い方をすると、千歌が少し、しゅんとした。
「もしかして怒ってる?」
「いや。千歌が卑怯な手を使うのは今に始まったことじゃないし」
特にトランプの曜との共謀する率は高い。
「ほんとに嫌なら引き分けでもいいよ?」
「じゃあデートコースは千歌に任せるってことにしようかな。卑怯な手を使った分のマイナスってことで」
「真樹君」
「そういうわけでポッキーゲームは終了」
無事この争いに終止符を打ち、少しだけ千歌との仲が深まったところで、曜が現れた。
「真樹君これならできそうじゃない?」
手にもっているのはポッキーとは似てもにつかないホットドック。そういえば冷凍のやつ安売りで買ったな。
「いやさすがに口に入らないだろこれ」
「やってみたら意外といけるかもしれないよ?」
「じゃあちょっとだけやってみるか」
この後あごが外れかけて大惨事になったのは言うまでもない。